7 / 28
クリスの隠し子騒動 ②
しおりを挟む
クリスとサリエルは図書館の別の本棚へと移り、サリエルが気になる魔術書を手にとってパラリと流し見していた。
するとザワザワとした騒がしい声が耳についた。
「図書館でなんだろう。」
クリスが入り口の方を見やると、王太子が側近を引き連れて中に入って来るところだった。
「ゲ!メンドクサソウ」
そう言うが早いか本を本棚に返すと、サリエルを小脇に抱えて図書館の奥へと急いだ。
「なんですの?」
突然のことに驚いたサリエルがクリスの顔を見上げて声を上げると、クリスは勘弁してという情けない顔をして
「いや、面倒な人がなぜかやって来たから、急いでここを出よう。」
と言うと、あっという間に転移魔法でその場から立ち去った。
王太子とその側近が図書室の奥に着いたときには、そこには誰も居ない。
「あれ、さっきそっちの方に行ったのに。」
二人を気にして見ていた人も、おかしいなと首を傾げる。
「きっと転移魔法で脱出したのだろうが、こそこそとするその行動、やましいことでもあるのだろう。本当にこの国から出国する気だろうか。あいつも大魔法使いの類に漏れず、か。しかしそんな大きな隠し子までいたとは。」
王太子は苦々しい顔をして側近に話しかけた。
そこへ急いで駆けつけた魔術師団長が話しかけた。
「殿下、こんな所に呼び出して何事ですか?」
「団長、令息は息災か。」
その言葉を聞いて不満げな顔を浮かべた魔術師団長に、輪をかけて不満げな顔を隠そうともせず王太子がじっとりとした眼差しを向けた。
「・・・うちのに何か?」
王太子の不機嫌さに自分の不肖の息子が関与しているとなれば、思い当たる節しかない魔術師団長は言葉少なく聞き返した。
「サロンの個室で話そうか。」
そう言うと、図書館奥の個室を借りて、そこへと側近と共に入って行った。
席につくと、魔術師団長が再度尋ねた。
「うちの愚息がなにかしましたか?」
「単刀直入に聞く。クリスに隠し子がいるのは本当か!?」
思いかけぬ質問に、魔術師団長は息を飲んだ。
「え?アレに子供が?なんの冗談ですかな?うちのアレに女が居ると殿下、本気で思われているのですか?」
「・・・なるほど、団長は知らぬようだな。先程までここで、面影の似た娘と二人本を読んでいたそうだ。
二人の話を聞いた者が申すには、父娘でどこぞに自由に旅たとうと言っていた、と。
今代の大魔法使いも王国から消えるのかと思ったが、それだけでなく同じ素要素のある娘まで連れてとなると、より問題は深刻だ。」
ひどく切羽詰まった様子の王太子の話を聞いて、別の意味で焦り出す魔術師団長。
「で、殿下、面影が似た娘と出国すると言っていたのですか!そ、そ、それは大変だ、一大事だ!なんと!奴め魔術師の性に引っ張られたか!」
「なんだ、急に慌てて。」
尋常じゃ無い様子の魔術師団長に王太子が怯んだ。
「殿下、アレが連れていたのは5才の女児で間違いないですか?黒髪黒目の!」
「ああ、そう聞いている、おい、間違いないな!?」
王太子が急ぎ報告してきた側近に聞いた。
「はい、間違いありません。4、5才ほどの少女を小脇に抱えて、転移魔法で図書館の前に現れたのです。」
「アーイーツーめー!こうしては居られない。もし本当にその子供と一緒に出国などしたら目も当てられぬ。こうしては居られぬ、至急魔法大臣に伝えねばならぬ。殿下、御前を失礼。」
そう言うのが早いか転移魔法でどこかへと向かいそうな勢いの魔術師団長の腕をむんずと掴んで、
「待った、待った。説明をしろ、なんだ!魔法大臣とはどういうことだ!?」
と、王太子が慌てて聞いた。
「王太子、手を離して下され。出国されてしまったら大事です。ヤツが連れていた女児は小公爵家の令嬢ですよ。今、あいつは彼女の家庭教師をするのに公爵邸で生活をしているのですが、他国に出国するのにご令嬢まで連れていくなど、誘拐紛いのことをするとは!とにかく、急いで小公爵に伝えねば。」
そう言うが早いか、王太子の手を振りほどいて、今度こそ転移魔法で行ってしまった。
「え?その連れの女児とは小公爵のご令嬢・・・誘拐とな?それこそ、大事ではないか!急ぎ、捜査に当たれ!」
王太子が側近に命令し王へ報告に向かい、側近は王国騎士団と憲兵へと知らせに走った。
自身の執務室で仕事に当たっていた魔法大臣の小公爵の元へ魔術師団長が転移魔法で現れた。
「な!どうしたというのだ、王宮内での転移は禁止されているだろうに。」
驚きの声を上げる小公爵に、魔術師団長が焦って言った。
「クリス、く、クリスがサリエル嬢を連れて王立図書館に現れて、二人で出国の相談をしていたそうだ。急ぎ存在の確認を取らねばならぬ。一緒に公爵邸へと向かうぞ。」
「な、なんですと!なぜそんな話になっているのです?二人?侍従のガブは連れてなかったのですか?」
「王太子に今しがた聞かされた話では、確かに二人と言っていた。王太子の側近が聞いた話だそうだ。出国されては不味い。とにかく、屋敷へと今すぐ向かおう。」
「わかりました。」
そう言うと、各々転移魔法で公爵邸へと向かったのである。
そうとは知らない二人は、王都の中央広場の噴水へと続く階段に腰を下ろし、屋台のアイスクリームを買ってのんびり食べていた。
「どうだい、なかなか美味しいだろう?」
クリスが夢中でアイスを食べるサリエルに話しかけた。
「ええ、とっても。刺繍の先生がお休みされたお陰で、とても楽しい時間が持てますわ。」
口の周りにクリームをつけながらサリエルは満足気に答えた。
その頃、公爵邸に転移魔法でついた小公爵は出迎えた執事のセバスチャンに声をかけた。
「サリエルは屋敷にいるか!?」
「いいえ、お嬢様はクリス様と王立図書館へと行かれるとおっしゃて出掛けてまだお戻りではございません。」
「サリエルは今日は稽古の日だろう?ガブはどうした?どうしてついていない。」
「今日は刺繍の家庭教師が急病のため、お休みになりました。ガブは部屋の模様替えを手伝っておりますが。なにかございましたか?」
玄関口から入りもせず、早口でサリエルの状況を確認する小公爵に、不測の事態を感じたセバスチャンが質問する。
「うちのクリスがサリエル嬢を連れて出国すると図書館で話していたらしく、王太子に呼ばれ急ぎ図書館へと向かったが、もう転移した後だった。まさかそんなことは無いと思いたいが、魔術師の性に引きずられたと万が一でもあっては困る。」
魔術師団長が沈痛な面持ちでセバスチャンに話す。
「そんな、まさかとは私も思うが、王太子がそういうのだ、とにかくサリエルを見つけなければ。公爵家の騎士団に探すように伝えろ!」
小公爵はそう命じると、魔術師団長を伴って自身の執務室へと入っていった。
玄関先でザワザワと騒いでいる声がガブにも聞こえてきた。
相方の先輩侍従に暇を告げて、セバスチャンの元へと向かった。
「セバスさん、何か問題が起こったのですか?」
「ああ、ガブ。お嬢様がクリス様と一緒に出国すると大騒ぎになっている。王国騎士団より先に、急いで屋敷に連れ戻さないと、例え王太子殿下の勘違いであってもクリス様もお嬢様も何かしらのお咎めを受けるかもしれない。」
「ええ!僕も探しに行きます。」
「ガブ、行き先に心辺りがあるのですか?」
「あの二人が図書館から居なくなったということは、たぶんそのまま帰らず、魔法の練習に行ったと思います。本で読んだ魔術を試したくなると思うので。ですから、広くて人の目が無い場所!つまり、王都の外れの森の中では?」
ガブの推測に理解を示したセバスチャンは、公爵家の騎士団長にガブを連れて馬で森の外れまですぐに迎えに行くように伝えた。
「ガブ、王太子の出国するって話よりお前の話の方が俺は信憑性が高いと思ってるよ。一刻の猶予もない、舌噛まないようにちっとばかし気いつけとけよ!」
騎士団長はそうガブに声をかけて、馬に鞭打って猛スピードで森へと向かったのだった。
するとザワザワとした騒がしい声が耳についた。
「図書館でなんだろう。」
クリスが入り口の方を見やると、王太子が側近を引き連れて中に入って来るところだった。
「ゲ!メンドクサソウ」
そう言うが早いか本を本棚に返すと、サリエルを小脇に抱えて図書館の奥へと急いだ。
「なんですの?」
突然のことに驚いたサリエルがクリスの顔を見上げて声を上げると、クリスは勘弁してという情けない顔をして
「いや、面倒な人がなぜかやって来たから、急いでここを出よう。」
と言うと、あっという間に転移魔法でその場から立ち去った。
王太子とその側近が図書室の奥に着いたときには、そこには誰も居ない。
「あれ、さっきそっちの方に行ったのに。」
二人を気にして見ていた人も、おかしいなと首を傾げる。
「きっと転移魔法で脱出したのだろうが、こそこそとするその行動、やましいことでもあるのだろう。本当にこの国から出国する気だろうか。あいつも大魔法使いの類に漏れず、か。しかしそんな大きな隠し子までいたとは。」
王太子は苦々しい顔をして側近に話しかけた。
そこへ急いで駆けつけた魔術師団長が話しかけた。
「殿下、こんな所に呼び出して何事ですか?」
「団長、令息は息災か。」
その言葉を聞いて不満げな顔を浮かべた魔術師団長に、輪をかけて不満げな顔を隠そうともせず王太子がじっとりとした眼差しを向けた。
「・・・うちのに何か?」
王太子の不機嫌さに自分の不肖の息子が関与しているとなれば、思い当たる節しかない魔術師団長は言葉少なく聞き返した。
「サロンの個室で話そうか。」
そう言うと、図書館奥の個室を借りて、そこへと側近と共に入って行った。
席につくと、魔術師団長が再度尋ねた。
「うちの愚息がなにかしましたか?」
「単刀直入に聞く。クリスに隠し子がいるのは本当か!?」
思いかけぬ質問に、魔術師団長は息を飲んだ。
「え?アレに子供が?なんの冗談ですかな?うちのアレに女が居ると殿下、本気で思われているのですか?」
「・・・なるほど、団長は知らぬようだな。先程までここで、面影の似た娘と二人本を読んでいたそうだ。
二人の話を聞いた者が申すには、父娘でどこぞに自由に旅たとうと言っていた、と。
今代の大魔法使いも王国から消えるのかと思ったが、それだけでなく同じ素要素のある娘まで連れてとなると、より問題は深刻だ。」
ひどく切羽詰まった様子の王太子の話を聞いて、別の意味で焦り出す魔術師団長。
「で、殿下、面影が似た娘と出国すると言っていたのですか!そ、そ、それは大変だ、一大事だ!なんと!奴め魔術師の性に引っ張られたか!」
「なんだ、急に慌てて。」
尋常じゃ無い様子の魔術師団長に王太子が怯んだ。
「殿下、アレが連れていたのは5才の女児で間違いないですか?黒髪黒目の!」
「ああ、そう聞いている、おい、間違いないな!?」
王太子が急ぎ報告してきた側近に聞いた。
「はい、間違いありません。4、5才ほどの少女を小脇に抱えて、転移魔法で図書館の前に現れたのです。」
「アーイーツーめー!こうしては居られない。もし本当にその子供と一緒に出国などしたら目も当てられぬ。こうしては居られぬ、至急魔法大臣に伝えねばならぬ。殿下、御前を失礼。」
そう言うのが早いか転移魔法でどこかへと向かいそうな勢いの魔術師団長の腕をむんずと掴んで、
「待った、待った。説明をしろ、なんだ!魔法大臣とはどういうことだ!?」
と、王太子が慌てて聞いた。
「王太子、手を離して下され。出国されてしまったら大事です。ヤツが連れていた女児は小公爵家の令嬢ですよ。今、あいつは彼女の家庭教師をするのに公爵邸で生活をしているのですが、他国に出国するのにご令嬢まで連れていくなど、誘拐紛いのことをするとは!とにかく、急いで小公爵に伝えねば。」
そう言うが早いか、王太子の手を振りほどいて、今度こそ転移魔法で行ってしまった。
「え?その連れの女児とは小公爵のご令嬢・・・誘拐とな?それこそ、大事ではないか!急ぎ、捜査に当たれ!」
王太子が側近に命令し王へ報告に向かい、側近は王国騎士団と憲兵へと知らせに走った。
自身の執務室で仕事に当たっていた魔法大臣の小公爵の元へ魔術師団長が転移魔法で現れた。
「な!どうしたというのだ、王宮内での転移は禁止されているだろうに。」
驚きの声を上げる小公爵に、魔術師団長が焦って言った。
「クリス、く、クリスがサリエル嬢を連れて王立図書館に現れて、二人で出国の相談をしていたそうだ。急ぎ存在の確認を取らねばならぬ。一緒に公爵邸へと向かうぞ。」
「な、なんですと!なぜそんな話になっているのです?二人?侍従のガブは連れてなかったのですか?」
「王太子に今しがた聞かされた話では、確かに二人と言っていた。王太子の側近が聞いた話だそうだ。出国されては不味い。とにかく、屋敷へと今すぐ向かおう。」
「わかりました。」
そう言うと、各々転移魔法で公爵邸へと向かったのである。
そうとは知らない二人は、王都の中央広場の噴水へと続く階段に腰を下ろし、屋台のアイスクリームを買ってのんびり食べていた。
「どうだい、なかなか美味しいだろう?」
クリスが夢中でアイスを食べるサリエルに話しかけた。
「ええ、とっても。刺繍の先生がお休みされたお陰で、とても楽しい時間が持てますわ。」
口の周りにクリームをつけながらサリエルは満足気に答えた。
その頃、公爵邸に転移魔法でついた小公爵は出迎えた執事のセバスチャンに声をかけた。
「サリエルは屋敷にいるか!?」
「いいえ、お嬢様はクリス様と王立図書館へと行かれるとおっしゃて出掛けてまだお戻りではございません。」
「サリエルは今日は稽古の日だろう?ガブはどうした?どうしてついていない。」
「今日は刺繍の家庭教師が急病のため、お休みになりました。ガブは部屋の模様替えを手伝っておりますが。なにかございましたか?」
玄関口から入りもせず、早口でサリエルの状況を確認する小公爵に、不測の事態を感じたセバスチャンが質問する。
「うちのクリスがサリエル嬢を連れて出国すると図書館で話していたらしく、王太子に呼ばれ急ぎ図書館へと向かったが、もう転移した後だった。まさかそんなことは無いと思いたいが、魔術師の性に引きずられたと万が一でもあっては困る。」
魔術師団長が沈痛な面持ちでセバスチャンに話す。
「そんな、まさかとは私も思うが、王太子がそういうのだ、とにかくサリエルを見つけなければ。公爵家の騎士団に探すように伝えろ!」
小公爵はそう命じると、魔術師団長を伴って自身の執務室へと入っていった。
玄関先でザワザワと騒いでいる声がガブにも聞こえてきた。
相方の先輩侍従に暇を告げて、セバスチャンの元へと向かった。
「セバスさん、何か問題が起こったのですか?」
「ああ、ガブ。お嬢様がクリス様と一緒に出国すると大騒ぎになっている。王国騎士団より先に、急いで屋敷に連れ戻さないと、例え王太子殿下の勘違いであってもクリス様もお嬢様も何かしらのお咎めを受けるかもしれない。」
「ええ!僕も探しに行きます。」
「ガブ、行き先に心辺りがあるのですか?」
「あの二人が図書館から居なくなったということは、たぶんそのまま帰らず、魔法の練習に行ったと思います。本で読んだ魔術を試したくなると思うので。ですから、広くて人の目が無い場所!つまり、王都の外れの森の中では?」
ガブの推測に理解を示したセバスチャンは、公爵家の騎士団長にガブを連れて馬で森の外れまですぐに迎えに行くように伝えた。
「ガブ、王太子の出国するって話よりお前の話の方が俺は信憑性が高いと思ってるよ。一刻の猶予もない、舌噛まないようにちっとばかし気いつけとけよ!」
騎士団長はそうガブに声をかけて、馬に鞭打って猛スピードで森へと向かったのだった。
271
残念令嬢と渾名の公爵令嬢は出奔して冒険者となるの4話目[魔法の先生]が不手際で消えてしまいました。スミマセン。3話の末尾に追記してありますが、良いねしてくださった方申し訳ありませんでした。
お気に入りに追加
626
あなたにおすすめの小説
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。
転生悪役令嬢に仕立て上げられた幸運の女神様は家門から勘当されたので、自由に生きるため、もう、ほっといてください。今更戻ってこいは遅いです
青の雀
ファンタジー
公爵令嬢ステファニー・エストロゲンは、学園の卒業パーティで第2王子のマリオットから突然、婚約破棄を告げられる
それも事実ではない男爵令嬢のリリアーヌ嬢を苛めたという冤罪を掛けられ、問答無用でマリオットから殴り飛ばされ意識を失ってしまう
そのショックで、ステファニーは前世社畜OL だった記憶を思い出し、日本料理を提供するファミリーレストランを開業することを思いつく
公爵令嬢として、持ち出せる宝石をなぜか物心ついたときには、すでに貯めていて、それを原資として開業するつもりでいる
この国では婚約破棄された令嬢は、キズモノとして扱われることから、なんとか自立しようと修道院回避のために幼いときから貯金していたみたいだった
足取り重く公爵邸に帰ったステファニーに待ち構えていたのが、父からの勘当宣告で……
エストロゲン家では、昔から異能をもって生まれてくるということを当然としている家柄で、異能を持たないステファニーは、前から肩身の狭い思いをしていた
修道院へ行くか、勘当を甘んじて受け入れるか、二者択一を迫られたステファニーは翌早朝にこっそり、家を出た
ステファニー自身は忘れているが、実は女神の化身で何代前の過去に人間との恋でいさかいがあり、無念が残っていたので、神界に帰らず、人間界の中で転生を繰り返すうちに、自分自身が女神であるということを忘れている
エストロゲン家の人々は、ステファニーの恩恵を受け異能を覚醒したということを知らない
ステファニーを追い出したことにより、次々に異能が消えていく……
4/20ようやく誤字チェックが完了しました
もしまだ、何かお気づきの点がありましたら、ご報告お待ち申し上げておりますm(_)m
いったん終了します
思いがけずに長くなってしまいましたので、各単元ごとはショートショートなのですが(笑)
平民女性に転生して、下剋上をするという話も面白いかなぁと
気が向いたら書きますね
どうも、死んだはずの悪役令嬢です。
西藤島 みや
ファンタジー
ある夏の夜。公爵令嬢のアシュレイは王宮殿の舞踏会で、婚約者のルディ皇子にいつも通り罵声を浴びせられていた。
皇子の罵声のせいで、男にだらしなく浪費家と思われて王宮殿の使用人どころか通っている学園でも遠巻きにされているアシュレイ。
アシュレイの誕生日だというのに、エスコートすら放棄して、皇子づきのメイドのミュシャに気を遣うよう求めてくる皇子と取り巻き達に、呆れるばかり。
「幼馴染みだかなんだかしらないけれど、もう限界だわ。あの人達に罰があたればいいのに」
こっそり呟いた瞬間、
《願いを聞き届けてあげるよ!》
何故か全くの別人になってしまっていたアシュレイ。目の前で、アシュレイが倒れて意識不明になるのを見ることになる。
「よくも、義妹にこんなことを!皇子、婚約はなかったことにしてもらいます!」
義父と義兄はアシュレイが状況を理解する前に、アシュレイの体を持ち去ってしまう。
今までミュシャを崇めてアシュレイを冷遇してきた取り巻き達は、次々と不幸に巻き込まれてゆき…ついには、ミュシャや皇子まで…
ひたすら一人づつざまあされていくのを、呆然と見守ることになってしまった公爵令嬢と、怒り心頭の義父と義兄の物語。
はたしてアシュレイは元に戻れるのか?
剣と魔法と妖精の住む世界の、まあまあよくあるざまあメインの物語です。
ざまあが書きたかった。それだけです。
記憶喪失になった嫌われ悪女は心を入れ替える事にした
結城芙由奈@コミカライズ発売中
ファンタジー
池で溺れて死にかけた私は意識を取り戻した時、全ての記憶を失っていた。それと同時に自分が周囲の人々から陰で悪女と呼ばれ、嫌われている事を知る。どうせ記憶喪失になったなら今から心を入れ替えて生きていこう。そして私はさらに衝撃の事実を知る事になる―。
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
だから聖女はいなくなった
澤谷弥(さわたに わたる)
ファンタジー
「聖女ラティアーナよ。君との婚約を破棄することをここに宣言する」
レオンクル王国の王太子であるキンバリーが婚約破棄を告げた相手は聖女ラティアーナである。
彼女はその婚約破棄を黙って受け入れた。さらに彼女は、新たにキンバリーと婚約したアイニスに聖女の証である首飾りを手渡すと姿を消した。
だが、ラティアーナがいなくなってから彼女のありがたみに気づいたキンバリーだが、すでにその姿はどこにもない。
キンバリーの弟であるサディアスが、兄のためにもラティアーナを探し始める。だが、彼女を探していくうちに、なぜ彼女がキンバリーとの婚約破棄を受け入れ、聖女という地位を退いたのかの理由を知る――。
※7万字程度の中編です。
【完結】辺境伯令嬢は新聞で婚約破棄を知った
五色ひわ
恋愛
辺境伯令嬢としてのんびり領地で暮らしてきたアメリアは、カフェで見せられた新聞で自身の婚約破棄を知った。アメリアは真実を確かめるため、3年ぶりに王都へと旅立った。
※本編34話、番外編『皇太子殿下の苦悩』31+1話、おまけ4話
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる