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ヨネ、田舎の冬を楽しむ ~ヨネのお好み焼き~~
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冬も深まったある日。
日中も農家の家屋は風通しが良いから、どこそこすきま風が入ってとても冷える。
ヨネは、綿入りの半纏を着て、火鉢にの前に座って、火鉢の上に網を置くと秋に作った干しイモを火で炙って食べていた。
脇の五徳に乗せて置いた鉄瓶が湯をシュッシュと沸かせていて、トラの大きな湯飲みに、たっぷりとほうじ茶を入れて両手で握って指先を温めていた。
今日は、あいにくの曇天で、それだけで一層寒さが強まった気がしていた。
(そうは言っても、名古屋よりは芝山は全然暖かいのよね、雪も降らないし)
立ち上る湯飲みの湯気をぼんやりと見ながら、ヨネはそんなことを考えていた。
ヨネの父親は方々の工事現場の人足出しの仕事をしていた。
父は、どこからか仕事の話がやって来ると、いそいそと汽車に乗ってあちらこちらと行ってしまった。
そうやって出かけてしまうと、半年やそこら、長くなると一年くらいも、全く帰って来なかった。
その間は、母親と二人きりの生活が続くのだった。
ヨネの父親は、仕事柄たまにしか会わない娘に滅法甘くて、ヨネはそんな優しい父親が大好きだった。
体の小さなヨネが風邪でもひいて熱を出すと、どこからか珍しいバナナを買って来て、
「体力つけなきゃ、風邪は治らねからな。風邪は食いきるって言って、旨いものを腹一杯食べてゆっくり寝てたらすぐに良くなるからな。」
そう言って食べさせてくれた。
「またそんなに甘やかして。」
それを見ていた母親は苦い顔をしていたものであった。
甘い父親への反動か、ヨネの母は存外ヨネに厳しくあたった。
その日、名古屋はシンシンと底冷えのする寒い雨の日で、そんな中、ヨネは母の言いつけで豆腐屋へとお使いに行った。
まだ尋常小学校に入る前の頃だ。
今でも体の小さいヨネだが、当時はそれこそ鶏ガラとからかわれるほど細くて小さい子供だった。
そんなヨネにも、近所の子と同じようにお手伝いを母はよく課していた。
凍える指先を温めようと、子供の浅知恵で、横着して手を羽織に入れて歩いたのが失敗のもと。
あっという間に、豆腐屋の先で凍った路面に滑って転んで、豆腐は見るも無惨に潰れてしまった。
困ったヨネは、慌てて家に帰ると母に豆腐を潰してしまったことを謝るが、
「きっと録でもない持ち方でもしてたんだろうよ、まったく。あんたが反省するまで家には入れないよ。」
と、ピシャリと叱られ、寒い中、夜まで外で立たされたのだった。
まあ、そんな失敗はしょっちゅうで、懲りないヨネは横着をしては怒られるの繰り返し。
厳しい母との二人暮らしは、思い出しても苦い、悲しい思い出であった。
窓の外の寒風に舞う落ち葉を見ながら、そんな子供時代のことを思い出していると、玄関から子供の声がした。
「こんにちはー、下の家から来ました。ヨネちゃーん。」
「はーい、今行くよー。」
ヨネが玄関へと出てくと、分家の子供が二人大きな籠を抱えて立っていた。
「これ、うちの庭で採れた蜜柑だよ、お裾分けです。」
「もうしばらく寝かせて置いてあった、そのまま食べれるよ。とっても甘いよ。」
「まあまあ、あらあら、それはありがとうね。嬉しいわ。」
そう言って、ヨネは笑顔で籠を受け取ったのだった。
ここら辺の農家は広い庭先に果樹をいろいろと植えている。
もちろんトラの家も、梅や柿の木は言うに及ばず。
それ以外にも、琵琶や無花果の木も植えてあって、今年の夏は、熟れた実を採って良く食べたものだった。
そうして食べきれない程成った実は、たくさん採って、近所の家々にお裾分けして周りのみんなで楽しむのだった。
(そうしたら、うちの果実だけでなく、色々な種類の果物が食べれるのだもの、ありがたいわ)
そう思いながら、籠に顔を突っ込んでヨネは胸一杯その柑橘類の爽やかな香りを堪能した。
「ああ、ほんとうに良い香りね。」
籠から漂う爽やかな柑橘の香りに、先程までの寒さに沈んだ気分も一気に盛り上がり、すうっと胸の中の靄が晴れるようだった。
「ねえ、ちょっと上がって行かない?何かこしらえるから、おやつでも食べて行きなさいよ。」
そう言うと、子供たちは手を叩いて喜んだのだった。
「わーい」
「わーい」
「ささ、上がって火鉢に当たって居なさいな。」
そう言って、先ほどまでヨネが座っていたまだ温もりが残っている座布団のある場所に子供たちを座らせた。
台所に立つと、勝手口の横の小さい畑から採ってきたキャベツを刻む。
「ネエサン、手伝うよ。何を作るの?」
トントントンという包丁の音を耳にして、七緒が部屋からやって来た。
「ああ、ナナちゃん、ありがとう、じゃあちょっと納屋から生姜の梅酢漬けを持ってきてくれる?」
そう頼むと、七緒は
「ハイ、ネエサン。」
そう言って、小鉢を手に持って納屋へと向かった。
あの納屋には、壺以外にもガラスの保存瓶もたくさん並んでいて、そこには夏に漬けたらっきょうや、三杯酢に漬けた生姜、自家製のガリと梅酢に漬けた生姜、自家製の紅しょうがも入っていた。
庭の柿の木の下には生姜が群生していた、残暑厳しいある日、ヨネは掘り起こして、七緒と一緒に祥子叔母ちゃんに習って漬けておいた物だ。
さて、おやつと言うには些か量が多いが、大きめのキャベツを丸々一個刻み、それを鉢に入れて小麦粉と水を入れていく。
良く混ざったら、油を引いて熱々に熱した鉄のフライパンにその生地をジュッっと流し入れる。
チリチリと生地の端から火が通っていく音がした頃、フライ返しでヨイショとひっくり返して、更に上からフライ返しでギューギューとフライパンに押し付けて焼いていく。
薄く薄く、広がって、生地がパリパリになるまでしっかり焼いたら、刷毛で醤油をたっぷりと塗る。
それを、皿に乗せ、削り節の粉と刻んだ紅しょうがとネギをザパっと全体にふりかけたら出来上がりである。
これが、ヨネの生家ではお好み焼きと呼ばれていた物だった。
肉も卵も天かすも、入ったり入らなかったり。
子供のおやつである、残り物でヨネの母が作ってくれた手軽なおやつだった。
「ただいま」
玄関から大きな声がした。
「あら、トラちゃんお帰りなさい。もうそんな時間?」
今日は土曜日だから、昼間での半日作業で仕事先から帰ってきたトラが台所に顔を出した。
「わあ、良い匂いだな、ヨネそれは何だい?」
トラが見たことの無い食べ物を指差して聞いてきた。
「ああ、これはお好み焼きって言うのよ。昔から私のお母ちゃんがおやつに作ってくれてた物なの。」
ヨネがちょっと困り顔でそう答えた、すっかり思い出に浸ってのんびりしていて、トラの昼飯の支度をするのを忘れていたのだ。
「え?それがおやつかい?昼飯じゃなくて?本当に旨そうだ。」
トラはそんなヨネのことを全く気にせず、呑気にそう言った。
「ああ、今ね、下の家の坊たちがお使いで蜜柑持ってきてくれたのよ。火鉢のところにいるわ。これは子供たちのおやつにと思って作ったの。」
これはトラちゃんの昼飯じゃないですよ、と牽制しつつ、昼の支度がまだ手付かずなことに気まず気にヨネはそう言った。
「へえ、そうかい。じゃあ、俺もそれが食べたいから、今日の昼はそれにしておくれよ。」
やっぱりトラはヨネのそんな気持ちは気にせずに、また呑気にそう言ったのだった。
「え?これでいいの?おやつだよ、トラちゃんじゃ物足りないんじゃないかしら?」
ヨネがトラの申し出に困惑して聞き返したが、
「そうだな、旨そうで何枚でも食べれちまいそうだな。あ、じゃあ俺は着替えながら、ちょっと子供たちの顔を見てくるよ。」
そう言ってトラは台所を出ていった。
そんなやり取りを黙って聞いていた七緒も、
「ネエサン、アタシもそれ食べたいよ。キャベツ刻むから、お願い作ってちょうだいな。」
そう言っておねだりをするのだった。
そんなやり取りにヨネはとても楽しい気持ちになって、
「ふふふ、ナナちゃんまで、これは本当に子供のおやつなのよ。まあいいわ、みんなの分もたくさん作りましょうか」
ヨネはそう言うと、勝手口から出てもう一個大きそうなキャベツを採って、洗うとザクザクと刻み始めた。
「ハイ、ネエサン。」
嬉しそうに七緒も一緒になって、キャベツを刻んだ。
それから、みんなに二枚ずつ大きく焼いて、トラの分は四枚も焼いた。
「ウマーい!!!!」
「ヨネちゃん、おいしいよ。」
子供たちも口一杯に頬張って食べた。
「本当に、これは美味しいよ。お好み焼きはヨネのこれに限るな、今日から我が家はお好み焼きはこれにしよう!これから土曜の昼は毎回お好み焼きだ!」
トラが飲むようにスルスルと大きなヨネのお好み焼き食べ進めながら、そんなことを真面目に言った。
「なに言ってるのよ、トラちゃん。毎週お好み焼きなんて、飽きちゃうわよ。」
ヨネにとっては、本当に子供のおやつなのだが、思いの外喜ばれて、なんだかこそばゆい気持ちになった。
これは、曇天の寒い日に、お茶を飲み飲み、火鉢で炙ったイモ食べたり、蜜柑食べたりしながら、家族三人と再従兄弟の子供達と一緒に、ヨネの思い出のお好み焼きを腹一杯食べたそんな美味しいお話。
日中も農家の家屋は風通しが良いから、どこそこすきま風が入ってとても冷える。
ヨネは、綿入りの半纏を着て、火鉢にの前に座って、火鉢の上に網を置くと秋に作った干しイモを火で炙って食べていた。
脇の五徳に乗せて置いた鉄瓶が湯をシュッシュと沸かせていて、トラの大きな湯飲みに、たっぷりとほうじ茶を入れて両手で握って指先を温めていた。
今日は、あいにくの曇天で、それだけで一層寒さが強まった気がしていた。
(そうは言っても、名古屋よりは芝山は全然暖かいのよね、雪も降らないし)
立ち上る湯飲みの湯気をぼんやりと見ながら、ヨネはそんなことを考えていた。
ヨネの父親は方々の工事現場の人足出しの仕事をしていた。
父は、どこからか仕事の話がやって来ると、いそいそと汽車に乗ってあちらこちらと行ってしまった。
そうやって出かけてしまうと、半年やそこら、長くなると一年くらいも、全く帰って来なかった。
その間は、母親と二人きりの生活が続くのだった。
ヨネの父親は、仕事柄たまにしか会わない娘に滅法甘くて、ヨネはそんな優しい父親が大好きだった。
体の小さなヨネが風邪でもひいて熱を出すと、どこからか珍しいバナナを買って来て、
「体力つけなきゃ、風邪は治らねからな。風邪は食いきるって言って、旨いものを腹一杯食べてゆっくり寝てたらすぐに良くなるからな。」
そう言って食べさせてくれた。
「またそんなに甘やかして。」
それを見ていた母親は苦い顔をしていたものであった。
甘い父親への反動か、ヨネの母は存外ヨネに厳しくあたった。
その日、名古屋はシンシンと底冷えのする寒い雨の日で、そんな中、ヨネは母の言いつけで豆腐屋へとお使いに行った。
まだ尋常小学校に入る前の頃だ。
今でも体の小さいヨネだが、当時はそれこそ鶏ガラとからかわれるほど細くて小さい子供だった。
そんなヨネにも、近所の子と同じようにお手伝いを母はよく課していた。
凍える指先を温めようと、子供の浅知恵で、横着して手を羽織に入れて歩いたのが失敗のもと。
あっという間に、豆腐屋の先で凍った路面に滑って転んで、豆腐は見るも無惨に潰れてしまった。
困ったヨネは、慌てて家に帰ると母に豆腐を潰してしまったことを謝るが、
「きっと録でもない持ち方でもしてたんだろうよ、まったく。あんたが反省するまで家には入れないよ。」
と、ピシャリと叱られ、寒い中、夜まで外で立たされたのだった。
まあ、そんな失敗はしょっちゅうで、懲りないヨネは横着をしては怒られるの繰り返し。
厳しい母との二人暮らしは、思い出しても苦い、悲しい思い出であった。
窓の外の寒風に舞う落ち葉を見ながら、そんな子供時代のことを思い出していると、玄関から子供の声がした。
「こんにちはー、下の家から来ました。ヨネちゃーん。」
「はーい、今行くよー。」
ヨネが玄関へと出てくと、分家の子供が二人大きな籠を抱えて立っていた。
「これ、うちの庭で採れた蜜柑だよ、お裾分けです。」
「もうしばらく寝かせて置いてあった、そのまま食べれるよ。とっても甘いよ。」
「まあまあ、あらあら、それはありがとうね。嬉しいわ。」
そう言って、ヨネは笑顔で籠を受け取ったのだった。
ここら辺の農家は広い庭先に果樹をいろいろと植えている。
もちろんトラの家も、梅や柿の木は言うに及ばず。
それ以外にも、琵琶や無花果の木も植えてあって、今年の夏は、熟れた実を採って良く食べたものだった。
そうして食べきれない程成った実は、たくさん採って、近所の家々にお裾分けして周りのみんなで楽しむのだった。
(そうしたら、うちの果実だけでなく、色々な種類の果物が食べれるのだもの、ありがたいわ)
そう思いながら、籠に顔を突っ込んでヨネは胸一杯その柑橘類の爽やかな香りを堪能した。
「ああ、ほんとうに良い香りね。」
籠から漂う爽やかな柑橘の香りに、先程までの寒さに沈んだ気分も一気に盛り上がり、すうっと胸の中の靄が晴れるようだった。
「ねえ、ちょっと上がって行かない?何かこしらえるから、おやつでも食べて行きなさいよ。」
そう言うと、子供たちは手を叩いて喜んだのだった。
「わーい」
「わーい」
「ささ、上がって火鉢に当たって居なさいな。」
そう言って、先ほどまでヨネが座っていたまだ温もりが残っている座布団のある場所に子供たちを座らせた。
台所に立つと、勝手口の横の小さい畑から採ってきたキャベツを刻む。
「ネエサン、手伝うよ。何を作るの?」
トントントンという包丁の音を耳にして、七緒が部屋からやって来た。
「ああ、ナナちゃん、ありがとう、じゃあちょっと納屋から生姜の梅酢漬けを持ってきてくれる?」
そう頼むと、七緒は
「ハイ、ネエサン。」
そう言って、小鉢を手に持って納屋へと向かった。
あの納屋には、壺以外にもガラスの保存瓶もたくさん並んでいて、そこには夏に漬けたらっきょうや、三杯酢に漬けた生姜、自家製のガリと梅酢に漬けた生姜、自家製の紅しょうがも入っていた。
庭の柿の木の下には生姜が群生していた、残暑厳しいある日、ヨネは掘り起こして、七緒と一緒に祥子叔母ちゃんに習って漬けておいた物だ。
さて、おやつと言うには些か量が多いが、大きめのキャベツを丸々一個刻み、それを鉢に入れて小麦粉と水を入れていく。
良く混ざったら、油を引いて熱々に熱した鉄のフライパンにその生地をジュッっと流し入れる。
チリチリと生地の端から火が通っていく音がした頃、フライ返しでヨイショとひっくり返して、更に上からフライ返しでギューギューとフライパンに押し付けて焼いていく。
薄く薄く、広がって、生地がパリパリになるまでしっかり焼いたら、刷毛で醤油をたっぷりと塗る。
それを、皿に乗せ、削り節の粉と刻んだ紅しょうがとネギをザパっと全体にふりかけたら出来上がりである。
これが、ヨネの生家ではお好み焼きと呼ばれていた物だった。
肉も卵も天かすも、入ったり入らなかったり。
子供のおやつである、残り物でヨネの母が作ってくれた手軽なおやつだった。
「ただいま」
玄関から大きな声がした。
「あら、トラちゃんお帰りなさい。もうそんな時間?」
今日は土曜日だから、昼間での半日作業で仕事先から帰ってきたトラが台所に顔を出した。
「わあ、良い匂いだな、ヨネそれは何だい?」
トラが見たことの無い食べ物を指差して聞いてきた。
「ああ、これはお好み焼きって言うのよ。昔から私のお母ちゃんがおやつに作ってくれてた物なの。」
ヨネがちょっと困り顔でそう答えた、すっかり思い出に浸ってのんびりしていて、トラの昼飯の支度をするのを忘れていたのだ。
「え?それがおやつかい?昼飯じゃなくて?本当に旨そうだ。」
トラはそんなヨネのことを全く気にせず、呑気にそう言った。
「ああ、今ね、下の家の坊たちがお使いで蜜柑持ってきてくれたのよ。火鉢のところにいるわ。これは子供たちのおやつにと思って作ったの。」
これはトラちゃんの昼飯じゃないですよ、と牽制しつつ、昼の支度がまだ手付かずなことに気まず気にヨネはそう言った。
「へえ、そうかい。じゃあ、俺もそれが食べたいから、今日の昼はそれにしておくれよ。」
やっぱりトラはヨネのそんな気持ちは気にせずに、また呑気にそう言ったのだった。
「え?これでいいの?おやつだよ、トラちゃんじゃ物足りないんじゃないかしら?」
ヨネがトラの申し出に困惑して聞き返したが、
「そうだな、旨そうで何枚でも食べれちまいそうだな。あ、じゃあ俺は着替えながら、ちょっと子供たちの顔を見てくるよ。」
そう言ってトラは台所を出ていった。
そんなやり取りを黙って聞いていた七緒も、
「ネエサン、アタシもそれ食べたいよ。キャベツ刻むから、お願い作ってちょうだいな。」
そう言っておねだりをするのだった。
そんなやり取りにヨネはとても楽しい気持ちになって、
「ふふふ、ナナちゃんまで、これは本当に子供のおやつなのよ。まあいいわ、みんなの分もたくさん作りましょうか」
ヨネはそう言うと、勝手口から出てもう一個大きそうなキャベツを採って、洗うとザクザクと刻み始めた。
「ハイ、ネエサン。」
嬉しそうに七緒も一緒になって、キャベツを刻んだ。
それから、みんなに二枚ずつ大きく焼いて、トラの分は四枚も焼いた。
「ウマーい!!!!」
「ヨネちゃん、おいしいよ。」
子供たちも口一杯に頬張って食べた。
「本当に、これは美味しいよ。お好み焼きはヨネのこれに限るな、今日から我が家はお好み焼きはこれにしよう!これから土曜の昼は毎回お好み焼きだ!」
トラが飲むようにスルスルと大きなヨネのお好み焼き食べ進めながら、そんなことを真面目に言った。
「なに言ってるのよ、トラちゃん。毎週お好み焼きなんて、飽きちゃうわよ。」
ヨネにとっては、本当に子供のおやつなのだが、思いの外喜ばれて、なんだかこそばゆい気持ちになった。
これは、曇天の寒い日に、お茶を飲み飲み、火鉢で炙ったイモ食べたり、蜜柑食べたりしながら、家族三人と再従兄弟の子供達と一緒に、ヨネの思い出のお好み焼きを腹一杯食べたそんな美味しいお話。
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