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トラ、男の料理 ~男は黙って黄色いカレー~
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冬の訪れが、暖地の静岡の芝山村にもとうとうやって来た。
霜が降り、寒い北風が吹き荒ぶ身の縮こまる季節がやって来たのだった。
各家々は火鉢を出して暖を取るのだった。
そんな、ある冬の日、台所にトラが分家の再従兄弟と作ったダルマストーブが置かれた。
農作業も終わり、時間ができて手が空いたトラは、ヨネの両親が住んでいる隣町の鉄工場の手伝いに出かけていた。
軍に長く勤めていたトラは機械の整備や自動車の運転などの技術があった。
復興真っ只中の戦後日本で、技術のある者の需要は多かったのである。
声をかけられて、分家の再従兄弟と一緒に仕事に通っていた鉄工場で、空で置いてあったドラム缶をリサイクルして製作したダルマストーブを会社のトラックで持ってきたのだった。
「社長の家の分も、会社の工場の分も作ったから、うちと下の分家の分も作って持っていって良いといってくれたからな、お言葉に甘えて作って持ってきたんだ。冬の台所仕事は寒いからな。」
壁際に設置して、煙突を外に出しながら、そう言ったトラに、
「トラちゃん、ありがとー!」
ヨネは抱きついて喜んだのである。
トラが町に行くようになると、村の商店では手に入らない物も頼んで買ってきてもらえるようになった。
さて、ある日曜日の昼過ぎ、台所でトラが割烹着を着て立ってた。
「トラちゃん、いいよ、本当に。私が作るから。休日くらい、ゆっくり休んでよ。」
ヨネがトラを止める。
「トラ兄ちゃん、アタシも居るんだから。」
七緒もそう言って、トラを止めた。
しかし、トラは自信満々で、母親の形見の割烹着に頭に手拭いも巻いて、
「ヨネ、七緒、心配ご無用、大丈夫だ。今日は俺が夕飯作る。」
そう言いはって聞かないのであった。
トラは、大正生まれの農家の長男だ。
《男子厨房に入るべからず》
世間ではそんな風に言われていた時代、本当にそう思い込んでいる男も多い時代なのだが、トラは違った。
元来、子供時分から食べるのが好きな、腹っぺらかしで、母親の手伝いと称して味見をするために、よく台所にいた。
吉竹家は短命な一族で、母も嫁に来た時にはうるさい舅も姑も鬼籍に入っていておらず、トラが台所仕事を手伝うのを悪く言う者が居なかった。
トラの父親もうどんやそばを打ったり、捕ってきたアユを甘露煮にしたりと料理をする男だったから、自然とトラも料理好きな男に育ったのだ。
その後、軍隊生活で、男でもみな料理をしなければならない状況の中、門前の小僧の覚えよろしく料理の腕前の良いトラは調理担当に任命されたのだった。
長い軍隊生活で、トラは嬉々として調理仕事を行った。
その時、男の癖に料理など、なんて言う不届き者は上官にも居なかった。
みな、この食事が最後の晩餐かもしれない、そんな思いを胸に秘めていたから。
そして、みな、終わりの見えない戦地で、日々の楽しみは食事くらいしか無いのだから。
食べるものが上手いか不味いかで、生活の質、モチベーションが天地ほど変わるのだ。
そんな訳で、料理上手なトラは軍で重宝されて、盲腸になって野戦病院に向かうまで、その調理の任務についていたのだった。
さて、トラには深い後悔があった。
ヨネの誕生日なのに、ヨネがご馳走を作って振る舞ったのである。
毎日元気に働く新妻に慰労するつもりだったのに、ヨネの求めている料理の作り方も、味もわからなかった。
都会からこんな田舎へ嫁いできて、不満もあるだろうに明るく元気なヨネに感謝を伝えるべく、自分が腕を奮うはずだったのに。
そんなことを、心の奥で気にしていたトラが町の工場からの帰りに寄った商店で、オリエントカレーの素を見つけた。
カレーは軍でも一番評判が良かったトラの得意料理であった。
「さあ、いいから、いいから。ヨネと七緒は居間にでも行って茶でも飲んでいてくれよ。」
そう言って、台所から二人を出ていかせようとしたのだが、
「いやよ、ここの方が温かいわ。手出ししないから、ここでトラちゃんの料理を見ててもいいでしょ?」
ヨネがそう言って台所の板の間に座布団を敷いて座りだした。
それを見て、隣に同じように七緒も座ってしまった。
(ええー!?いや、手元を見られるのは恥ずかしいのだが。)
トラはそう思ったが、言い出したら聞かないヨネのことだと、了承したのだった。
まず、飯を炊く。
いつもより多目に炊く。
カレーなら、誰でも絶対におかわりするからだ。
井戸水は温かいとはいえ、冬の水は冷たい。
シャクシャクシャクシャク
米を研ぐ。
そして、給水した米を竈で炊いていく。
ここらへんのことは、子供の頃から良く手伝いっていたので、全く問題なくできた。
次に、祥子叔母ちゃんに頼んでおいた、飼っている鶏を潰して、骨付き肉をもらってきた物をぶつ切りにする。
にんにくを擦って肉に刷り込み、塩と胡椒で下味をつける。
ジャガイモニンジン玉ねぎの皮を剥き、一口大に切る。
油を入れて、熱した鍋に骨付き肉を入れ、表面の色が変わったら野菜も入れて軽く炒める。
水を入れて、鍋をダルマストーブの上にかければ一休み。
「トラちゃん、これってカレーなのね!」
ヨネが喜色を帯びた声を上げた。
「そうさ、軍でも評判のよかった、俺のチキンカレーだよ。」
トラは少し自慢げに胸を張ってそう答えた。
「すごいわ、トラちゃん。あ、じゃあ私はちょっと納屋に行ってくるわね。」
それを聞いたヨネはいそいそと、納屋へと行ってしまった。
「おい、どうした、ヨネ?なんだ?」
トラが不思議に思ってそう問いかけたが、『いいのいいの』と、ヨネはズンズン納屋へ行ってしまった。
そんな中、じっくりとストーブで煮込まれて、鶏の骨から良い出汁が出て野菜が柔らかく煮崩た頃、オリエンタルカレーの素を鍋に入れた。
今日のために、町で買ってきたのだった。
そうしたら、焦げないように、鍋底から木ベラでゆっくりとかき混ぜて、水溶き小麦粉を少しずつ入れて、良い塩梅にトロミをつけた。
先に炊いて蒸らしておいた飯を、皿によそい、鍋のカレーを上からかけたら、トラ特性のチキンカレーの出来上がりだ。
温かいので、台所の板の間にちゃぶ台を出して皿を並べた。
小さい壺にらっきょうの甘酢漬けを入れてヨネが戻ってきた。
「夏の始めにナナちゃんと漬けたやつよ。」
ヨネがそう言って、ちゃぶ台にらっきょうの小壺を置いた。
「ああそれは、良いな。カレーにはらっきょうだ、さあ、どうだ、俺のカレーを食べてみておくれよ。」
神妙な顔のトラが可笑しくて、七緒とふふふと笑いあって、一口食べた。
「美味しい!」
「おいしい!」
ヨネと七緒が同時に声を上げた。
「そうか、上手いか、良かったよ。」
トラがホッと息を吐いて緊張を解いた。
「これカレー粉だけじゃないでしょ?後引く味よね。」
ヨネが、もう一口、もう一口と食べながら、首を捻って味を考えているようだった。
「はは、これは秘密の隠し味さ。俺の秘密だ。」
トラが腕を組んで、不適な笑顔を向けた。
「えー何よー、教えてくれてもいいじゃない、ねえ、トラちゃん、何を入れてるのよー。」
ヨネが焦れてトラに詰め寄っていた。
「ほら、当ててみてごらんよ!」
トラは笑っていて教えない。
七緒と二人、『うううん、うううん』とあれこれと思い付きの食材を言うが全然当たらない。
「トラ兄ちゃん、作っているのを見てたけど変わったことしてなかったのになあ。」
七緒が首を傾げて、そう言った。
「はは、降参かい?これはね、隠し味に二人が渋抜きした柿の塾し過ぎたやつを少し潰して入れたのさ。タイではカレーにバナナやココナッツなんか甘いものを入れるんだよ。」
トラがそう言って、自分のカレーのおかわりをよそった。
「へー、フルーツを料理に入れるのね。変わってるわー。」
ヨネもそう言うと、おかわりを盛った。
「柿を入れる料理ってあるんだね、アタシカレー初めて食べたけれど、とても美味しいね。トラ兄ちゃんありがとう。」
七緒がそう言って、嬉しそうにおかわりをよそっていた。
カレーは、辛くてしょっぱくて、ちょっと甘くて後を引く、と、三人ともおかわりして腹一杯食べた。
寒さの辛くなってきた初冬の夜、温かい台所でトラ特製のチキンカレーを腹一杯食べた、これはそんな美味しいお話。
霜が降り、寒い北風が吹き荒ぶ身の縮こまる季節がやって来たのだった。
各家々は火鉢を出して暖を取るのだった。
そんな、ある冬の日、台所にトラが分家の再従兄弟と作ったダルマストーブが置かれた。
農作業も終わり、時間ができて手が空いたトラは、ヨネの両親が住んでいる隣町の鉄工場の手伝いに出かけていた。
軍に長く勤めていたトラは機械の整備や自動車の運転などの技術があった。
復興真っ只中の戦後日本で、技術のある者の需要は多かったのである。
声をかけられて、分家の再従兄弟と一緒に仕事に通っていた鉄工場で、空で置いてあったドラム缶をリサイクルして製作したダルマストーブを会社のトラックで持ってきたのだった。
「社長の家の分も、会社の工場の分も作ったから、うちと下の分家の分も作って持っていって良いといってくれたからな、お言葉に甘えて作って持ってきたんだ。冬の台所仕事は寒いからな。」
壁際に設置して、煙突を外に出しながら、そう言ったトラに、
「トラちゃん、ありがとー!」
ヨネは抱きついて喜んだのである。
トラが町に行くようになると、村の商店では手に入らない物も頼んで買ってきてもらえるようになった。
さて、ある日曜日の昼過ぎ、台所でトラが割烹着を着て立ってた。
「トラちゃん、いいよ、本当に。私が作るから。休日くらい、ゆっくり休んでよ。」
ヨネがトラを止める。
「トラ兄ちゃん、アタシも居るんだから。」
七緒もそう言って、トラを止めた。
しかし、トラは自信満々で、母親の形見の割烹着に頭に手拭いも巻いて、
「ヨネ、七緒、心配ご無用、大丈夫だ。今日は俺が夕飯作る。」
そう言いはって聞かないのであった。
トラは、大正生まれの農家の長男だ。
《男子厨房に入るべからず》
世間ではそんな風に言われていた時代、本当にそう思い込んでいる男も多い時代なのだが、トラは違った。
元来、子供時分から食べるのが好きな、腹っぺらかしで、母親の手伝いと称して味見をするために、よく台所にいた。
吉竹家は短命な一族で、母も嫁に来た時にはうるさい舅も姑も鬼籍に入っていておらず、トラが台所仕事を手伝うのを悪く言う者が居なかった。
トラの父親もうどんやそばを打ったり、捕ってきたアユを甘露煮にしたりと料理をする男だったから、自然とトラも料理好きな男に育ったのだ。
その後、軍隊生活で、男でもみな料理をしなければならない状況の中、門前の小僧の覚えよろしく料理の腕前の良いトラは調理担当に任命されたのだった。
長い軍隊生活で、トラは嬉々として調理仕事を行った。
その時、男の癖に料理など、なんて言う不届き者は上官にも居なかった。
みな、この食事が最後の晩餐かもしれない、そんな思いを胸に秘めていたから。
そして、みな、終わりの見えない戦地で、日々の楽しみは食事くらいしか無いのだから。
食べるものが上手いか不味いかで、生活の質、モチベーションが天地ほど変わるのだ。
そんな訳で、料理上手なトラは軍で重宝されて、盲腸になって野戦病院に向かうまで、その調理の任務についていたのだった。
さて、トラには深い後悔があった。
ヨネの誕生日なのに、ヨネがご馳走を作って振る舞ったのである。
毎日元気に働く新妻に慰労するつもりだったのに、ヨネの求めている料理の作り方も、味もわからなかった。
都会からこんな田舎へ嫁いできて、不満もあるだろうに明るく元気なヨネに感謝を伝えるべく、自分が腕を奮うはずだったのに。
そんなことを、心の奥で気にしていたトラが町の工場からの帰りに寄った商店で、オリエントカレーの素を見つけた。
カレーは軍でも一番評判が良かったトラの得意料理であった。
「さあ、いいから、いいから。ヨネと七緒は居間にでも行って茶でも飲んでいてくれよ。」
そう言って、台所から二人を出ていかせようとしたのだが、
「いやよ、ここの方が温かいわ。手出ししないから、ここでトラちゃんの料理を見ててもいいでしょ?」
ヨネがそう言って台所の板の間に座布団を敷いて座りだした。
それを見て、隣に同じように七緒も座ってしまった。
(ええー!?いや、手元を見られるのは恥ずかしいのだが。)
トラはそう思ったが、言い出したら聞かないヨネのことだと、了承したのだった。
まず、飯を炊く。
いつもより多目に炊く。
カレーなら、誰でも絶対におかわりするからだ。
井戸水は温かいとはいえ、冬の水は冷たい。
シャクシャクシャクシャク
米を研ぐ。
そして、給水した米を竈で炊いていく。
ここらへんのことは、子供の頃から良く手伝いっていたので、全く問題なくできた。
次に、祥子叔母ちゃんに頼んでおいた、飼っている鶏を潰して、骨付き肉をもらってきた物をぶつ切りにする。
にんにくを擦って肉に刷り込み、塩と胡椒で下味をつける。
ジャガイモニンジン玉ねぎの皮を剥き、一口大に切る。
油を入れて、熱した鍋に骨付き肉を入れ、表面の色が変わったら野菜も入れて軽く炒める。
水を入れて、鍋をダルマストーブの上にかければ一休み。
「トラちゃん、これってカレーなのね!」
ヨネが喜色を帯びた声を上げた。
「そうさ、軍でも評判のよかった、俺のチキンカレーだよ。」
トラは少し自慢げに胸を張ってそう答えた。
「すごいわ、トラちゃん。あ、じゃあ私はちょっと納屋に行ってくるわね。」
それを聞いたヨネはいそいそと、納屋へと行ってしまった。
「おい、どうした、ヨネ?なんだ?」
トラが不思議に思ってそう問いかけたが、『いいのいいの』と、ヨネはズンズン納屋へ行ってしまった。
そんな中、じっくりとストーブで煮込まれて、鶏の骨から良い出汁が出て野菜が柔らかく煮崩た頃、オリエンタルカレーの素を鍋に入れた。
今日のために、町で買ってきたのだった。
そうしたら、焦げないように、鍋底から木ベラでゆっくりとかき混ぜて、水溶き小麦粉を少しずつ入れて、良い塩梅にトロミをつけた。
先に炊いて蒸らしておいた飯を、皿によそい、鍋のカレーを上からかけたら、トラ特性のチキンカレーの出来上がりだ。
温かいので、台所の板の間にちゃぶ台を出して皿を並べた。
小さい壺にらっきょうの甘酢漬けを入れてヨネが戻ってきた。
「夏の始めにナナちゃんと漬けたやつよ。」
ヨネがそう言って、ちゃぶ台にらっきょうの小壺を置いた。
「ああそれは、良いな。カレーにはらっきょうだ、さあ、どうだ、俺のカレーを食べてみておくれよ。」
神妙な顔のトラが可笑しくて、七緒とふふふと笑いあって、一口食べた。
「美味しい!」
「おいしい!」
ヨネと七緒が同時に声を上げた。
「そうか、上手いか、良かったよ。」
トラがホッと息を吐いて緊張を解いた。
「これカレー粉だけじゃないでしょ?後引く味よね。」
ヨネが、もう一口、もう一口と食べながら、首を捻って味を考えているようだった。
「はは、これは秘密の隠し味さ。俺の秘密だ。」
トラが腕を組んで、不適な笑顔を向けた。
「えー何よー、教えてくれてもいいじゃない、ねえ、トラちゃん、何を入れてるのよー。」
ヨネが焦れてトラに詰め寄っていた。
「ほら、当ててみてごらんよ!」
トラは笑っていて教えない。
七緒と二人、『うううん、うううん』とあれこれと思い付きの食材を言うが全然当たらない。
「トラ兄ちゃん、作っているのを見てたけど変わったことしてなかったのになあ。」
七緒が首を傾げて、そう言った。
「はは、降参かい?これはね、隠し味に二人が渋抜きした柿の塾し過ぎたやつを少し潰して入れたのさ。タイではカレーにバナナやココナッツなんか甘いものを入れるんだよ。」
トラがそう言って、自分のカレーのおかわりをよそった。
「へー、フルーツを料理に入れるのね。変わってるわー。」
ヨネもそう言うと、おかわりを盛った。
「柿を入れる料理ってあるんだね、アタシカレー初めて食べたけれど、とても美味しいね。トラ兄ちゃんありがとう。」
七緒がそう言って、嬉しそうにおかわりをよそっていた。
カレーは、辛くてしょっぱくて、ちょっと甘くて後を引く、と、三人ともおかわりして腹一杯食べた。
寒さの辛くなってきた初冬の夜、温かい台所でトラ特製のチキンカレーを腹一杯食べた、これはそんな美味しいお話。
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