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ヨネ、キノコ狩りに勤しむ ~キノコの炊き込みご飯~
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実りの秋、芝山村はみなが忙しくしていた。
トラ達一家ももちろん例外ではない。
稲刈りの時期である。
分家と共に田んぼに出て稲を刈る。
刈った稲を纏めて干して。
脱穀して精米して。
米作りの集大成の大事な時期である。
それ以外にも、畑で冬野菜の種まきをしたり。
かぼちゃや小豆の収穫をしたり。
小豆の豆の選定もしなければならない。
それ以外にも、薩摩芋を掘ったり。
里芋を掘ったり。
長芋を掘りに山へ入ったり。
秋は芋に割く時間が多い。
その芋を蒸して切って干して、干し芋作りもしなければならない。
冬の前、手仕事が目白押しであった。
ヨネにとっては初めての収穫、春とは違い張り切っての農作業である。
うまい米がこんなにたくさん採れた!新米だ!涎が口中に溜まってくる。
食いしん坊のヨネには、忙しい中にも、楽しみな日々であった。
そんな秋の日が一段落した頃、トラが朝からヨネをデートに誘った。
「ヨネ、山に行ってきのこ採りに行かないかい?春のアケビの蔓を摘んだところにアケビの実も成っているよ。」
それはヨネにとって魅力的なお誘いであった。
「うん行く!」
ヨネはいそいそと服を着替え、背負子かごを背負って首に手拭いを巻くのだった。
朝から二人は裏山へと入って行った。
細い獣道、藪を掻き分けて前に進んで行った。
本日の一番狙いは霜降りシメジである。
しかし最初に見つけたのは、枯れ木の根本に群生していたナラタケであった。
「うまそうだ、こりゃ上物だぞ。あ、ヨネ、ナラタケの根っこはな、毒があって食べ過ぎると腹を壊すから、根はハサミで切り落とすんだよ。」
「ハイ!わかったわ。」
トラの説明を素直に聞くヨネであった。
更に進んで行くと、奥の木に野生のナメタケが出ていた。
「これも上物だぞ。味噌汁うまいぞー。ツイてるな!」
「いっぱいあるね。空の弁当箱持ってきたから、それにいれるわね。」
そう言って、ヨネがせっせとナメタケを弁当箱に詰めていった。
どんどんと、獣道を奥に進んで行くと、今度は山道の脇の倒木に、ヌキタケが生えていた。
「これはまだ早生だな、出始めだ。少しだけ採るかい?」
「ハイ。」
ヌキタケもトラに聞きながら、少し採って弁当箱に入れた。
もっと奥へ奥へと入って進んで行った。
この頃になるともう、ヨネは倒木を見たら走り寄るようになっていた。
まるで、条件反射である。
「ねえ、トラちゃーん、ふあふあしたのあるよ、これ食べれる?」
ヨネが倒木の下を指差して、トラに大きな声で聞く。
「ああ、こりゃ、ヤマブシタケだ。大きいな、開いてないから食べれるよ。」
トラが屈んでそれをみて、丁度いい大きさのものを採ってヨネに渡した。
「やったー、私が見つけたわ!」
ヨネは茸を見つけるのが楽しくてしょうがない様子で、喜んだ。
「本当に、ヨネは目が良いな!その目の良さで、よーく、枯れ草の間を見てくれよ!グレーの傘のきのこを探してくれよー。」
グレーの傘、グレーの傘と声に出して、ヨネが枯れ草の間を探して歩いた。
トラも目を皿のようにして探す。
すると、やはり枯れ草の間に隠れるようにシメジを見つけた。
「ほらあったぞ!ヨネ、これが霜降りシメジだよ!これは本当にうめーぞ。香り松茸味シメジって言うだろ、その味シメジってのはこれなんだよ!」
「それが、霜降シメジなのね!私も探すわ。」
ヨネがトラの採ったシメジを手に持って、また枯れ草の間を探して歩いた。
気づけば、木の根元の苔が這えている一面に、極上の霜降りシメジが群生して生えてた。
「下から採ってな、結構生えてるぞ。」
「ホントだ、一個見つけたら周りにたくさんあるのね、次々見つけられるものだわ。」
腰を屈めて枯れ葉を除け、トラとヨネで一帯の大捜査でして回った。
「さて、そろそろ行くか、ヨネ。ごくろうさん。」
「トラちゃんもお疲れ様、大収穫ね。」
そうして、帰る道すがら、春に蔦の蔓先を摘んだ、アケビの蔓が絡まる大きな木の元へと行き、トラがするすると木を登って行った。
「トラちゃん、落ちないでよ!気を付けて。」
「ああ、任せろや、木登りは子供の頃から得意だ。」
そう言って、トラが木の上から熟れたアケビの実をポーン、ポーンとヨネの所へ投げて寄越した。
「まあ、これがアケビの実なのね。」
トラが木から降りてきて、その根元に座って二人で並んで食べた。
「あまーい!とっても甘いのね。」
ヨネがその上品な甘さに感動していた。
「この種はこうして、プップッと飛ばしておくんだ、行儀は悪いがそうしたらまた春には芽が出て蔓先採って食べれて、秋にはこうして実が食べれるのさ。」
トラはそう言って、器用にプップッとアケビの種を吹き飛ばしていた。
「こうね、プップッて。フフフ、楽しいわ。また来年もあの蔓先の玉子和えが食べれるのね。素敵ね。」
ヨネは種を飛ばしながら、来年の春を思って幸せな気分になった。
「残りは土産にしようか、けっこう採ったから、下の家にもお裾分けが出来るな。」
「そうね、ナナちゃんも待ってるし、帰りましょうか。」
そう言って、二人で藪を掻き分けて、家路を急ぐのであった。
そうして、家に帰ってきたら、採ってきた茸をきれいに、洗ってザルに広げた。
茸とアケビのお裾分けを分家に届けたトラが、絞めた鶏の肉を貰ってきた。
「今日はまた、鶏肉まで手に入って御馳走だぞ!」
トラがそう言って、笑った。
秋の実りとして、畑で採れた新ゴボウと新ニンジン、菩提寺の墓掃除の帰りにトラと拾って来て土に埋めて水に浸して食べれるように処理しておいた銀杏。
鶏肉と霜降りシメジやヤマブシタケやらナラタケやらの茸をたっぷり入れた、今年の新米で作った炊き込みご飯。
かつお節と昆布の出し汁に醤油と酒と砂糖少々を入れて、塩で味を整えて。
硲炊きである。
同じ出汁に味噌を溶かして、豆腐とナメタケをたっぷり入れて、小口切りのネギを散らせばなめこ汁の出来上がり。
居間の机に炊き込みご飯のお櫃とナメタケ汁と糠漬けを並べ終えたら、トラの姿が見えない。
「あれ、トラちゃんが居ないわ。ナナちゃん、ちょっと見てくるわね。」
ヨネが部屋を出て探すと、トラは縁側で小刀片手に何か作業をしていた。
「トラちゃん、どうしたの?ご飯だよ」
「ああ、ヨネ。今日拾った栗を剥いていたのさ。灰汁を抜いて甘露煮にするだろ?」
そう言って、艶々した殻の大きな栗を手に持って、ヨネに見せながら言った。
「まあ、それは素敵なお話ね。でもまずは、ご飯が冷めちゃうから先に食べて、続きはまた後で一緒にしましょうよ。」
ヨネがそう言って、トラの手から栗を受け取って、ザルに戻した。
「ああ、わかったよ。」
そう言って、立ち上がったトラと茶の間へと戻って行った。
茶の間で夕飯を食べながら、七緒に山でのキノコ採りがどんなに楽しかったか、まだまだ秋のうちは採ってくるからと熱く語るヨネとニコニコと楽しく話を聞く七緒を見ながら、炊き込みご飯を頬張り、しみじみと旨いなと、そして俺は幸せだとそう感じたトラがいたのだった。
これは、トラとヨネが秋の恵みを裏山でたくさん採ってきて、腹一杯三人で食べた、そんな秋の美味しいお話。
トラ達一家ももちろん例外ではない。
稲刈りの時期である。
分家と共に田んぼに出て稲を刈る。
刈った稲を纏めて干して。
脱穀して精米して。
米作りの集大成の大事な時期である。
それ以外にも、畑で冬野菜の種まきをしたり。
かぼちゃや小豆の収穫をしたり。
小豆の豆の選定もしなければならない。
それ以外にも、薩摩芋を掘ったり。
里芋を掘ったり。
長芋を掘りに山へ入ったり。
秋は芋に割く時間が多い。
その芋を蒸して切って干して、干し芋作りもしなければならない。
冬の前、手仕事が目白押しであった。
ヨネにとっては初めての収穫、春とは違い張り切っての農作業である。
うまい米がこんなにたくさん採れた!新米だ!涎が口中に溜まってくる。
食いしん坊のヨネには、忙しい中にも、楽しみな日々であった。
そんな秋の日が一段落した頃、トラが朝からヨネをデートに誘った。
「ヨネ、山に行ってきのこ採りに行かないかい?春のアケビの蔓を摘んだところにアケビの実も成っているよ。」
それはヨネにとって魅力的なお誘いであった。
「うん行く!」
ヨネはいそいそと服を着替え、背負子かごを背負って首に手拭いを巻くのだった。
朝から二人は裏山へと入って行った。
細い獣道、藪を掻き分けて前に進んで行った。
本日の一番狙いは霜降りシメジである。
しかし最初に見つけたのは、枯れ木の根本に群生していたナラタケであった。
「うまそうだ、こりゃ上物だぞ。あ、ヨネ、ナラタケの根っこはな、毒があって食べ過ぎると腹を壊すから、根はハサミで切り落とすんだよ。」
「ハイ!わかったわ。」
トラの説明を素直に聞くヨネであった。
更に進んで行くと、奥の木に野生のナメタケが出ていた。
「これも上物だぞ。味噌汁うまいぞー。ツイてるな!」
「いっぱいあるね。空の弁当箱持ってきたから、それにいれるわね。」
そう言って、ヨネがせっせとナメタケを弁当箱に詰めていった。
どんどんと、獣道を奥に進んで行くと、今度は山道の脇の倒木に、ヌキタケが生えていた。
「これはまだ早生だな、出始めだ。少しだけ採るかい?」
「ハイ。」
ヌキタケもトラに聞きながら、少し採って弁当箱に入れた。
もっと奥へ奥へと入って進んで行った。
この頃になるともう、ヨネは倒木を見たら走り寄るようになっていた。
まるで、条件反射である。
「ねえ、トラちゃーん、ふあふあしたのあるよ、これ食べれる?」
ヨネが倒木の下を指差して、トラに大きな声で聞く。
「ああ、こりゃ、ヤマブシタケだ。大きいな、開いてないから食べれるよ。」
トラが屈んでそれをみて、丁度いい大きさのものを採ってヨネに渡した。
「やったー、私が見つけたわ!」
ヨネは茸を見つけるのが楽しくてしょうがない様子で、喜んだ。
「本当に、ヨネは目が良いな!その目の良さで、よーく、枯れ草の間を見てくれよ!グレーの傘のきのこを探してくれよー。」
グレーの傘、グレーの傘と声に出して、ヨネが枯れ草の間を探して歩いた。
トラも目を皿のようにして探す。
すると、やはり枯れ草の間に隠れるようにシメジを見つけた。
「ほらあったぞ!ヨネ、これが霜降りシメジだよ!これは本当にうめーぞ。香り松茸味シメジって言うだろ、その味シメジってのはこれなんだよ!」
「それが、霜降シメジなのね!私も探すわ。」
ヨネがトラの採ったシメジを手に持って、また枯れ草の間を探して歩いた。
気づけば、木の根元の苔が這えている一面に、極上の霜降りシメジが群生して生えてた。
「下から採ってな、結構生えてるぞ。」
「ホントだ、一個見つけたら周りにたくさんあるのね、次々見つけられるものだわ。」
腰を屈めて枯れ葉を除け、トラとヨネで一帯の大捜査でして回った。
「さて、そろそろ行くか、ヨネ。ごくろうさん。」
「トラちゃんもお疲れ様、大収穫ね。」
そうして、帰る道すがら、春に蔦の蔓先を摘んだ、アケビの蔓が絡まる大きな木の元へと行き、トラがするすると木を登って行った。
「トラちゃん、落ちないでよ!気を付けて。」
「ああ、任せろや、木登りは子供の頃から得意だ。」
そう言って、トラが木の上から熟れたアケビの実をポーン、ポーンとヨネの所へ投げて寄越した。
「まあ、これがアケビの実なのね。」
トラが木から降りてきて、その根元に座って二人で並んで食べた。
「あまーい!とっても甘いのね。」
ヨネがその上品な甘さに感動していた。
「この種はこうして、プップッと飛ばしておくんだ、行儀は悪いがそうしたらまた春には芽が出て蔓先採って食べれて、秋にはこうして実が食べれるのさ。」
トラはそう言って、器用にプップッとアケビの種を吹き飛ばしていた。
「こうね、プップッて。フフフ、楽しいわ。また来年もあの蔓先の玉子和えが食べれるのね。素敵ね。」
ヨネは種を飛ばしながら、来年の春を思って幸せな気分になった。
「残りは土産にしようか、けっこう採ったから、下の家にもお裾分けが出来るな。」
「そうね、ナナちゃんも待ってるし、帰りましょうか。」
そう言って、二人で藪を掻き分けて、家路を急ぐのであった。
そうして、家に帰ってきたら、採ってきた茸をきれいに、洗ってザルに広げた。
茸とアケビのお裾分けを分家に届けたトラが、絞めた鶏の肉を貰ってきた。
「今日はまた、鶏肉まで手に入って御馳走だぞ!」
トラがそう言って、笑った。
秋の実りとして、畑で採れた新ゴボウと新ニンジン、菩提寺の墓掃除の帰りにトラと拾って来て土に埋めて水に浸して食べれるように処理しておいた銀杏。
鶏肉と霜降りシメジやヤマブシタケやらナラタケやらの茸をたっぷり入れた、今年の新米で作った炊き込みご飯。
かつお節と昆布の出し汁に醤油と酒と砂糖少々を入れて、塩で味を整えて。
硲炊きである。
同じ出汁に味噌を溶かして、豆腐とナメタケをたっぷり入れて、小口切りのネギを散らせばなめこ汁の出来上がり。
居間の机に炊き込みご飯のお櫃とナメタケ汁と糠漬けを並べ終えたら、トラの姿が見えない。
「あれ、トラちゃんが居ないわ。ナナちゃん、ちょっと見てくるわね。」
ヨネが部屋を出て探すと、トラは縁側で小刀片手に何か作業をしていた。
「トラちゃん、どうしたの?ご飯だよ」
「ああ、ヨネ。今日拾った栗を剥いていたのさ。灰汁を抜いて甘露煮にするだろ?」
そう言って、艶々した殻の大きな栗を手に持って、ヨネに見せながら言った。
「まあ、それは素敵なお話ね。でもまずは、ご飯が冷めちゃうから先に食べて、続きはまた後で一緒にしましょうよ。」
ヨネがそう言って、トラの手から栗を受け取って、ザルに戻した。
「ああ、わかったよ。」
そう言って、立ち上がったトラと茶の間へと戻って行った。
茶の間で夕飯を食べながら、七緒に山でのキノコ採りがどんなに楽しかったか、まだまだ秋のうちは採ってくるからと熱く語るヨネとニコニコと楽しく話を聞く七緒を見ながら、炊き込みご飯を頬張り、しみじみと旨いなと、そして俺は幸せだとそう感じたトラがいたのだった。
これは、トラとヨネが秋の恵みを裏山でたくさん採ってきて、腹一杯三人で食べた、そんな秋の美味しいお話。
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