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ヨネ、草取りに励む ~冷やし茶漬け~
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梅雨が過ぎると、一気に暑さが厳しくなり、本格的な農繁期になってきた。
吉竹家では、みな、朝は日が昇る前に起きて、トラとヨネは二人で一緒に田んぼへ行ったり、畑へ出たり。
朝はたくさん収穫して、それを仕分けする。
そうしたら、トラがリアカーを引いて、村の集積所に持って行って、村でまとめて近隣から買い付けに来た人に売る。売上はみんなで折半だ。
ヨネは自分の家で食べる分を背負子かごに入れて坂を登って先に帰る。
そして、ザブザブと井戸で顔を洗い、濡らした手拭いで体を拭いて、服を着替えて台所に行く。
その頃には、七緒が朝飯の仕度をしてくれてあるから、板の間にちゃぶ台だして、台を拭き朝飯を並べる。
朝から七緒が上手にふっくらと飯を炊いてくれてある。
多目に炊いて残った飯が痛まないように、お櫃に入れて風通しのいい涼しい場所に置き、佃煮なんかの壺は蠅帳に入れていた。
トラが帰って来て、三人で朝飯を食べたら、トラはまた田畑に行った。
ヨネは七緒と一緒に、朝飯の片付けを終えたら、掃除と洗濯をする。
暑いから洗濯物はよく乾くけど、その分、汗で敷布もシャツも手拭いも、たくさん汚れ物が出るから、毎日手洗でせっせと洗った。
井戸に手洗を出して、水浴びさながらに、流行歌や唱歌を歌いながら足で踏み踏みたくさんの洗濯をする。
「ネエサン洗濯、楽しそう!」
「空は青いし、井戸の回りは木陰で風が抜けて涼しいし、井戸水は冷たくて気持ちが良いし!私洗濯って好きなのよ、汚れが落ちてきれいになったのをみると、気持ちが良いじゃない?ナナちゃんも歌ってごらん、うんと楽しいわよ。」
そう言って、ヨネが【かえるの合唱】を歌い出した。
それを真似て七緒も歌う。
途中から輪唱をして、があがあと大声で歌った。
「アハハ、とっても楽しい。」
「そうでしょ?楽しいのよ、次はリンゴの唄を歌おうか。」
「え?その唄、全部は知らない。」
「うん、私も知らない、良いの良いの、歌手じゃ無いんだから。」
ヨネはそう言うと、リンゴの唄の出だしの知ってるところだけ繰り返し歌った。
それを真似て、七緒も出だしだけを歌った。
そうして、アハハと笑いながらあっという間に山のような洗濯を終えて、長い物干し竿に二人で干していった。
この頃になると、体もずいぶん田舎暮らしに慣れてきたようで、筋肉痛になることはずいぶん減った。
それでも、三日と空けずに草刈りをしていたのだが。
日中は、暑いのでね、出来るだけ日陰日陰を探しながら草を刈る。
そうは言っても、日向の草も刈るのだけれど。
そこは、朝早く畑から帰って来てからか、夕方洗濯を取り込んだ後に少しずつ刈るのがコツだ。
一気に頑張ってやってもしょうがないから、毎日少しずつコツコツやるのがコツなのだと、ヨネはそう思った。
吉竹家には納戸の棚に並べてある、秘伝の壺がある。
一つは、塩の吹いた梅干しの入った壺。
その梅干しは七緒が亡き父と二人で庭の梅を収穫して漬けた物。
毎年漬けていた梅干しは壺に漬けた日付が書いた紙が貼られており、古い物から小さな壺に移して、台所の蠅帳に入れておいてある。
今年も庭の梅の木に梅がたくさん実った。
大粒の南高梅と、小梅と二種類の木が植えてあって、それをトラとヨネと七緒とで収穫して、梅干しを漬けた。
ヨネの母親も梅干しは毎年漬けていた、それを思い出してヨネは、
(去年は名古屋でおかあちゃんと梅を漬けたのに、今年は芝山で梅を漬けてるのね)
と、少し感傷的になったりした。
黴無いように、湯煎した壺に梅を入れて塩をうんと振って、しばらく納戸の棚に並べて置くと、そのうち梅酢が上がってくる。
そうしたら、庭の端で育てていたというか、勝手に毎年出てくる自生している赤紫蘇を塩で揉んでアクを出した物を壺に入れてまた並べて置いた。
この壺の出番は、まだまだ遠そうだ。
トラが達筆で日付と一緒に、『ヨネと七緒と初めて漬けた梅』と一言を書き添えた。
それをみて、感傷的な気持ちなどどこかへと飛んで行って、温かなものがヨネの胸を満たしたのだった。
納戸の多くの壺のもう一方は、吉竹家の代々が大切にしていた糠床が入っていて、床下の風の通る涼しい所においてあった。
この糠床はけっこう大変なもので、梅雨から夏のこの時期は、毎日手で混ぜ余分な水はきれいな布巾で、吸い取っておかないとすぐにカビてダメになってしまう。
いつから継ぎ足ししてるか、もうわからないくらい前からある吉竹家代々の糠床、それを大切に大切に手を入れる。
時々、鷹の爪を入れたり、削り節の小さくなったものをガーゼに包んで入れたり。
糠床が柔らかくなったら、炒った糠に塩を混ぜた物に少し種糠を少し足して別の壺に入れくず野菜を漬けた新しい糠床を作って元の糠床に足したりする。
とにかく、繊細なお世話が必要なお坊ちゃまだ。
「このお坊ちゃまは本当に、手がかかること。」
ヨネはそんな風に糠床にあだ名をつけて、呼んでいた。
「フフフお坊ちゃまなんて、ネエサンってば面白い。」
七緒はなんでも楽しく変えてしまう兄嫁のヨネが大好きだった。
七緒は子供の頃から母に教わって、糠床のお世話をしていたから、とても上手に手を入れる。
けれど、糠床にあだ名をつけるなんて思いもよらなかった。
味気ない日常が、ヨネを通すと楽しいことに変わって行くのを七緒は嬉しく思った。
ヨネは嫁いできてから、糠床の世話の仕方を七緒から教わった。
まあ、だいたいの手入れは七緒がやっているのだけれど、ヨネもぬちゃっとした感触の糠床をかき混ぜたり、水と吸い取ったりといった作業は嫌いじゃなかったから、手が空いていれば一緒にやった。
その代々受け継がれてきた、大切なお坊ちゃん糠床に、畑で採れた瓜や茄子、大根なんか葉も漬けた。
この糠漬けが本当に美味しいのだ。
実家で母が漬けていた糠漬けより、何が違うのか旨味が全然違った。
元来、食いしん坊のヨネである。
(この坊ちゃん糠床を大切にしなくては!)
と、人知れず心に誓っていたのである。
糠漬けは、ほぼ毎食食べる。
浅漬けで食べる日も多いけど、下の方に入っていて、うっかり出し忘れて茶色くなった古漬けの瓜のちょっと酸味が効いているものも、本当にしみじみ美味しい。
やっぱり、今まで食べた糠漬けで吉竹家の糠漬けが一番美味しいとヨネは毎回思うのだった。
今日の昼は、というか、最近はもっぱら昼は冷やし茶漬けだ。
さっぱりしていて、夏バテで食欲が無いなと思っていてもスルスル食べれてしまう。
お櫃の冷飯を丼によそって、糠漬けや梅干し、佃煮や油味噌なんかを各々のせて汁をかける。
佃煮は、出汁をとった後のかつお節や昆布と畑で採れたインゲンや茄子や獅子唐なんかを細かく刻んで醤油と砂糖で甘辛く煮付けたものだったり、お揚げの切れはしや竹輪が少しでもあればそれも入れたりして自家製である。
ちりめんじゃこを獅子唐と油で炒めて、砂糖醤油で甘辛く煮詰めた佃煮は、トラのお気に入りだ。
田舎味噌を湯でのばしておいて、村の駅前の商店で買ったラードを火にかけ砂糖を入れて味噌に細く切った鷹の爪と共に入れて、焦がさないようにしゃもじでかき混ぜながら煮詰めた油味噌も定番だ。
冷まして小壺に入れて蝿帳の中にいつも入れてある。
これは、そのまま温かい飯に乗せて食べても、茄子や獅子唐と一緒に炒めても美味しい常備菜だ。
冷やし茶漬けにかける汁は、朝味噌汁を作る時に多目に取った出し汁に醤油と味醂で薄味をつけ、冷めたほうじ茶で半々に割って冷まして鍋に作り置きしておく。
常備菜や自家製の佃煮や糠漬けなんかと、ノリやネギや茗荷などの薬味を冷飯をよそった丼に各々かけて食べる。
「ああ、糠漬けが美味しい!」
「こんなに暑いのに食べれちゃう。」
「おかわりまでしたんだ、俺は午後も畑仕事頑張ってくるぞ!」
これはそんな、台所の板の間にちゃぶ台を出して、家族三人が冷やし茶漬けを昼から腹一杯食べたというそれだけのお話。
吉竹家では、みな、朝は日が昇る前に起きて、トラとヨネは二人で一緒に田んぼへ行ったり、畑へ出たり。
朝はたくさん収穫して、それを仕分けする。
そうしたら、トラがリアカーを引いて、村の集積所に持って行って、村でまとめて近隣から買い付けに来た人に売る。売上はみんなで折半だ。
ヨネは自分の家で食べる分を背負子かごに入れて坂を登って先に帰る。
そして、ザブザブと井戸で顔を洗い、濡らした手拭いで体を拭いて、服を着替えて台所に行く。
その頃には、七緒が朝飯の仕度をしてくれてあるから、板の間にちゃぶ台だして、台を拭き朝飯を並べる。
朝から七緒が上手にふっくらと飯を炊いてくれてある。
多目に炊いて残った飯が痛まないように、お櫃に入れて風通しのいい涼しい場所に置き、佃煮なんかの壺は蠅帳に入れていた。
トラが帰って来て、三人で朝飯を食べたら、トラはまた田畑に行った。
ヨネは七緒と一緒に、朝飯の片付けを終えたら、掃除と洗濯をする。
暑いから洗濯物はよく乾くけど、その分、汗で敷布もシャツも手拭いも、たくさん汚れ物が出るから、毎日手洗でせっせと洗った。
井戸に手洗を出して、水浴びさながらに、流行歌や唱歌を歌いながら足で踏み踏みたくさんの洗濯をする。
「ネエサン洗濯、楽しそう!」
「空は青いし、井戸の回りは木陰で風が抜けて涼しいし、井戸水は冷たくて気持ちが良いし!私洗濯って好きなのよ、汚れが落ちてきれいになったのをみると、気持ちが良いじゃない?ナナちゃんも歌ってごらん、うんと楽しいわよ。」
そう言って、ヨネが【かえるの合唱】を歌い出した。
それを真似て七緒も歌う。
途中から輪唱をして、があがあと大声で歌った。
「アハハ、とっても楽しい。」
「そうでしょ?楽しいのよ、次はリンゴの唄を歌おうか。」
「え?その唄、全部は知らない。」
「うん、私も知らない、良いの良いの、歌手じゃ無いんだから。」
ヨネはそう言うと、リンゴの唄の出だしの知ってるところだけ繰り返し歌った。
それを真似て、七緒も出だしだけを歌った。
そうして、アハハと笑いながらあっという間に山のような洗濯を終えて、長い物干し竿に二人で干していった。
この頃になると、体もずいぶん田舎暮らしに慣れてきたようで、筋肉痛になることはずいぶん減った。
それでも、三日と空けずに草刈りをしていたのだが。
日中は、暑いのでね、出来るだけ日陰日陰を探しながら草を刈る。
そうは言っても、日向の草も刈るのだけれど。
そこは、朝早く畑から帰って来てからか、夕方洗濯を取り込んだ後に少しずつ刈るのがコツだ。
一気に頑張ってやってもしょうがないから、毎日少しずつコツコツやるのがコツなのだと、ヨネはそう思った。
吉竹家には納戸の棚に並べてある、秘伝の壺がある。
一つは、塩の吹いた梅干しの入った壺。
その梅干しは七緒が亡き父と二人で庭の梅を収穫して漬けた物。
毎年漬けていた梅干しは壺に漬けた日付が書いた紙が貼られており、古い物から小さな壺に移して、台所の蠅帳に入れておいてある。
今年も庭の梅の木に梅がたくさん実った。
大粒の南高梅と、小梅と二種類の木が植えてあって、それをトラとヨネと七緒とで収穫して、梅干しを漬けた。
ヨネの母親も梅干しは毎年漬けていた、それを思い出してヨネは、
(去年は名古屋でおかあちゃんと梅を漬けたのに、今年は芝山で梅を漬けてるのね)
と、少し感傷的になったりした。
黴無いように、湯煎した壺に梅を入れて塩をうんと振って、しばらく納戸の棚に並べて置くと、そのうち梅酢が上がってくる。
そうしたら、庭の端で育てていたというか、勝手に毎年出てくる自生している赤紫蘇を塩で揉んでアクを出した物を壺に入れてまた並べて置いた。
この壺の出番は、まだまだ遠そうだ。
トラが達筆で日付と一緒に、『ヨネと七緒と初めて漬けた梅』と一言を書き添えた。
それをみて、感傷的な気持ちなどどこかへと飛んで行って、温かなものがヨネの胸を満たしたのだった。
納戸の多くの壺のもう一方は、吉竹家の代々が大切にしていた糠床が入っていて、床下の風の通る涼しい所においてあった。
この糠床はけっこう大変なもので、梅雨から夏のこの時期は、毎日手で混ぜ余分な水はきれいな布巾で、吸い取っておかないとすぐにカビてダメになってしまう。
いつから継ぎ足ししてるか、もうわからないくらい前からある吉竹家代々の糠床、それを大切に大切に手を入れる。
時々、鷹の爪を入れたり、削り節の小さくなったものをガーゼに包んで入れたり。
糠床が柔らかくなったら、炒った糠に塩を混ぜた物に少し種糠を少し足して別の壺に入れくず野菜を漬けた新しい糠床を作って元の糠床に足したりする。
とにかく、繊細なお世話が必要なお坊ちゃまだ。
「このお坊ちゃまは本当に、手がかかること。」
ヨネはそんな風に糠床にあだ名をつけて、呼んでいた。
「フフフお坊ちゃまなんて、ネエサンってば面白い。」
七緒はなんでも楽しく変えてしまう兄嫁のヨネが大好きだった。
七緒は子供の頃から母に教わって、糠床のお世話をしていたから、とても上手に手を入れる。
けれど、糠床にあだ名をつけるなんて思いもよらなかった。
味気ない日常が、ヨネを通すと楽しいことに変わって行くのを七緒は嬉しく思った。
ヨネは嫁いできてから、糠床の世話の仕方を七緒から教わった。
まあ、だいたいの手入れは七緒がやっているのだけれど、ヨネもぬちゃっとした感触の糠床をかき混ぜたり、水と吸い取ったりといった作業は嫌いじゃなかったから、手が空いていれば一緒にやった。
その代々受け継がれてきた、大切なお坊ちゃん糠床に、畑で採れた瓜や茄子、大根なんか葉も漬けた。
この糠漬けが本当に美味しいのだ。
実家で母が漬けていた糠漬けより、何が違うのか旨味が全然違った。
元来、食いしん坊のヨネである。
(この坊ちゃん糠床を大切にしなくては!)
と、人知れず心に誓っていたのである。
糠漬けは、ほぼ毎食食べる。
浅漬けで食べる日も多いけど、下の方に入っていて、うっかり出し忘れて茶色くなった古漬けの瓜のちょっと酸味が効いているものも、本当にしみじみ美味しい。
やっぱり、今まで食べた糠漬けで吉竹家の糠漬けが一番美味しいとヨネは毎回思うのだった。
今日の昼は、というか、最近はもっぱら昼は冷やし茶漬けだ。
さっぱりしていて、夏バテで食欲が無いなと思っていてもスルスル食べれてしまう。
お櫃の冷飯を丼によそって、糠漬けや梅干し、佃煮や油味噌なんかを各々のせて汁をかける。
佃煮は、出汁をとった後のかつお節や昆布と畑で採れたインゲンや茄子や獅子唐なんかを細かく刻んで醤油と砂糖で甘辛く煮付けたものだったり、お揚げの切れはしや竹輪が少しでもあればそれも入れたりして自家製である。
ちりめんじゃこを獅子唐と油で炒めて、砂糖醤油で甘辛く煮詰めた佃煮は、トラのお気に入りだ。
田舎味噌を湯でのばしておいて、村の駅前の商店で買ったラードを火にかけ砂糖を入れて味噌に細く切った鷹の爪と共に入れて、焦がさないようにしゃもじでかき混ぜながら煮詰めた油味噌も定番だ。
冷まして小壺に入れて蝿帳の中にいつも入れてある。
これは、そのまま温かい飯に乗せて食べても、茄子や獅子唐と一緒に炒めても美味しい常備菜だ。
冷やし茶漬けにかける汁は、朝味噌汁を作る時に多目に取った出し汁に醤油と味醂で薄味をつけ、冷めたほうじ茶で半々に割って冷まして鍋に作り置きしておく。
常備菜や自家製の佃煮や糠漬けなんかと、ノリやネギや茗荷などの薬味を冷飯をよそった丼に各々かけて食べる。
「ああ、糠漬けが美味しい!」
「こんなに暑いのに食べれちゃう。」
「おかわりまでしたんだ、俺は午後も畑仕事頑張ってくるぞ!」
これはそんな、台所の板の間にちゃぶ台を出して、家族三人が冷やし茶漬けを昼から腹一杯食べたというそれだけのお話。
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