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ヨネ、田植えをする ~冷や麦といなり寿司~
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畑は耕され、田んぼには水が張られ、新緑の季節になった。
ヨネの嫁ぐ前に住んでいた名古屋より田植えは二週間くらい早い気がする。
とはいえ、ヨネは田植えがいつ行うのか詳しく知ってる訳ではないのだが。
戦前、戦中とヨネは街の工場で働いていた。
尋常小学校を出て、近くの鉄鋼場で手元として働きに出て、そのまま筋がいいからと誘われて工員となった。
十四で一人前に仕事を任されるようになり、その後戦争が激しくなって行く過程で、その工場がそのまま軍事工場へと変わっても、ヨネは変わらず旋盤工として働いた。
女伊達らに職人として働いていたヨネは職業婦人の先駆けであり、野良仕事と無縁のお街育ちであった。
だから嫁いで来てからの、どこへ行くにも歩くしかない生活にも、野良仕事にも、戸惑いと筋肉痛の連続であった。
(だって名古屋じゃ、町に出るのも路面電車やバスがあったもの。畑仕事もしたこと無かったわ、やれやれ)
とまあ、こんな感じで心の中でため息交じりに独り愚痴るのであった。
だいたい、野良仕事と言っても、田畑を耕すのはトラと分家の男衆で、ヨネの仕事はもっぱら草取りだ。
ただ、トラの家は敷地が広いから庭も広いし、畑も広い、もちろん田んぼも。
その広い土地の、どこそこ、ありとあらゆるところに、雑草が生える。
昨日取った所も、雨でも降ればまた生える。
取っても取っても、終わらぬ、それはまるで賽の河原の石積みのよう、、、
だんだんと気が滅入ってきて、そんな不吉な例えまで頭を過る。
日がな一日中雑草と向き合い、朝夕と鎌で刈ったり、手で抜いたり。
とにかく初めは慣れないもので、腰は痛いわ、膝は痛いわ、身体中どこもかしこも、常に筋肉痛だったものだ。
ありがたいことに、家事は、七緒が率先して手伝ってくれていたので、なんとかなっていたけれども。
(ああ、今日も快晴が疎ましいわ)
そうヨネが、心の中で舌打ちをするのだった。
うちのトラ兄ちゃんに嫁さんがやって来た!
ネエサンは、体は細っこくて小さいが、いつも明るく元気だ。
食べるのが大好きで、あんな体のどこに入るのかと思うくらいよく食べる。
小児麻痺で足が不自由なアタシは、学校に通えなかった。
お母ちゃんが生きて居た頃は、それでも読み書きや縫い物、料理なんかを教えてもらって過ごしていたけど、十三で亡くなってしまった。
その日、お父ちゃんは一人出稼ぎから帰って来た。
トラ兄ちゃんは葬式の期間は帰って来たけど、すぐに現場に戻って行った。
それからは、無口な父ちゃんとの二人暮らし。
そのお父ちゃんもある朝起きてこなくて、部屋に見に行ったらもう冷たくなってて。
驚いてしばらく呆然と父ちゃんの顔をみてたけど、あ!と気がついて、杖をついて坂道を転がるように叔母ちゃんち行った。
その時は、戦地にいるトラ兄ちゃんには連絡も取れなくて、叔父ちゃんたちが村の衆に頼んでくれて、なんとか葬式を出してもらった。
それから、この広い家に一人、寂しかった。
誰とも話さないなんて日もざらにあった。
暑い夏の日、勝手口の脇にある小さな畑の草取りをしていた時、祥子叔母ちゃんがやって来て終戦だと教えてくれた。
しばらくしたら、トラ兄ちゃんがやっと帰ってきた。
うちを出て、住み込みの出稼ぎに行った時から十三年。
トラ兄ちゃんは、知らない男の人みたいな気がした。
そんな兄ちゃんのお嫁さん、ヨネネエサン。
明るいお日様のようなネエサンがやって来て、この家は温かい場所に変わっていった。
毎日、元気なネエサンとおしゃべりしながら家事をする。
同じことをしてもネエサンとすると、楽しいって思えるから不思議だ。
最近、ネエサンは疲れた疲れたと言っている。
慣れない野良仕事が堪えるらしい。
お街育ちのネエサンには辛いんだろう、どうしたら良いかなと悩んでいる。
「ナナちゃーん、ただいま帰ったよ。すぐ着替えて手伝うよ。」
汗だくのネエサンが勝手口から大きな声で話かけてきた。
外の井戸からザーザーと水が出る音がする、ドタドタと足音が奥に消えてしばらくすると、割烹着に着替えたネエサンが台所にやって来た。
「ネエサン、もう冷や麦茹でてあるよ。」
ザルに盛った冷や麦を指差す。
「まあ、ありがたいよー、ナナちゃん。じゃあ、私は薬味のネギを刻むよ。」
トントンと包丁を響かせる。
早くから作って冷ましてあっためんつゆをお椀によそい、古根生姜を擦って、壺から塩の吹いた梅干しとネギを一緒に薬味皿に盛った。
「ただいまー」
「お帰り、トラちゃん」
下の田んぼから帰ってきたトラ兄ちゃんも台所にやって来て、土間から上がった板の間にちゃぶ台出して三人で昼飯になった。
「ネエサンの嫁入りん時に、たくさん冷や麦もらったから、今年の夏はたんと冷や麦にするよー」
そうアタシが言うと、
「それはどうかねえ・・・」
ネエサンが眉間に皺寄せて答える。
「え?なんでヨネ?冷や麦嫌いか」
トラ兄ちゃんが首を掲げてネエサンを見た。
「ふふふ、それはね、、、私冷や麦大好きだから、腹いっぱい食べちゃって夏まで持たないかもよ。」
ネエサンが箸をふりふりアタシとトラ兄ちゃんの顔を見て、クククと笑いながら言った。
「はは、何だそんなことか。そしたらヨネの両親が居る町まで行って買ってくるさ。でもヨネは米食べないと落ち着かないんじゃなかったかい?」
「そうさ、名古屋の時は冷や麦といなり寿司を食べたんだよ。そうだ!夜はいなり寿司にしようか」
ネエサンが良いことを思い付いた!と、とても嬉しそうな顔をして、そう言った。
「だって、ここにある冷や麦はヨネが腹一杯食べちゃうんだろ?」
トラ兄ちゃんがいたずらっ子みたいな顔でネエサンをからかう。
「残んなかったら、また茹でるわよ。もう。」
イーって怒って兄チャンにもポンポン物を言うネエサンは今日も元気だなー。
約束通り、今夜のご飯には冷や麦といなり寿司。
あの後、ネエサンは駅前の商店まで油揚げを買いに行った。
途中まで田んぼに行く兄チャンと一緒に坂を下って。
ちょっとスキップしているような軽い足取りのネエサンの背中を見送った。
そうして、ネエサンは買い物から帰ってくると、いつもより早くちょっと固めに飯を炊いて、砂糖と塩と酢ですし酢を作った。
油揚げをザルに並べ、沸かした湯を回しかけて油抜きし、半分に切ってから固く絞って鍋に入れた。
そして、残してあった昼のめんつゆを湯でのばして、砂糖と醤油を足して甘辛く油揚げを炊いた。
「ねえ、ナナちゃん。私、お揚げさんは甘しょっぱい濃い目が好きなのよ。揚げの色が黒っぽくてもいい?」
ネエサンがお願いって目で見てきた。
「うん。アタシも甘しょっぱいの好きだから。」
アタシはもちろん、ウンウンって首を振って答えたよ、亡くなったお母ちゃんの稲荷寿司も濃い目の甘めだった。
「トラちゃんもかな?」
「もちろん、兄チャンも濃い口だからダイジョウブだよ、おカアチャンのも甘くて濃かったもの。」
「じゃあ、私たちの稲荷はこれからも、濃い目の甘めになるね、ふふふ」
そう言って笑うネエサンを見て、アタシもフフフと笑った。
そうして作ったちょっと茶色い稲荷寿司。
居間の机には昼と同じ薬味とザルいっぱいの冷や麦。
お椀に入っためんつゆを持って、トラ兄ちゃんが驚いた顔をして、
「まあ、でっかい稲荷だなぁ、こりゃこりゃ。」
と言いながら、箸でヨイショと大きな稲荷をつまんだ。
「そうなの、うちのお母ちゃんも、そうだったものだから。私のぼた餅も、いなり寿司、握り飯も、みんなおっきくなっちゃうのよ、食べにくいでしょ?ごめんなさいね。」
ネエサンが眉を下げて、謝った。
「なんも謝らんで。でっかい寿司も握り飯も良いじゃないか。ぼた餅だって、満腹だったし、うん、うまいな、こりゃあいい。おっきくて食いでがあるよ、腹一杯に絶対なる。こりゃあいい!ヨネ、旨いよ、ほらお食べよ。七緒も食べた食べた、うんまいぞ!」
トラ兄ちゃんが大きな口を開けて、稲荷にかぶりついてそう言った。
アタシも大きな稲荷をつまんで、大きな口を開けてガブッと噛みついた。
「ああー、甘くてウマイ。ネエサン、稲荷寿司ホントにおいしいよー」
そう言って、三口で食べてしまった。
「そう?良かったー、二人の口にあって。甘くて濃くて、腹にズシンと貯まって美味しいよね。でもさ、冷や麦も稲荷寿司も食べれるなんて、ほんと贅沢だね。」
ネエサンはそう言って、大きな稲荷寿司にかぶりついた。
それから三人で、何が旨い、何を食べたい、何が好きだ、あれも食べたいと、ああだこうだと食べ物の話を徒然話ながら、大皿いっぱいの稲荷寿司とザルいっぱいの冷や麦を、それこそ腹一杯三人で食べた。
これはそんな暑い夏の日の夕飯時の美味しいお話。
ヨネの嫁ぐ前に住んでいた名古屋より田植えは二週間くらい早い気がする。
とはいえ、ヨネは田植えがいつ行うのか詳しく知ってる訳ではないのだが。
戦前、戦中とヨネは街の工場で働いていた。
尋常小学校を出て、近くの鉄鋼場で手元として働きに出て、そのまま筋がいいからと誘われて工員となった。
十四で一人前に仕事を任されるようになり、その後戦争が激しくなって行く過程で、その工場がそのまま軍事工場へと変わっても、ヨネは変わらず旋盤工として働いた。
女伊達らに職人として働いていたヨネは職業婦人の先駆けであり、野良仕事と無縁のお街育ちであった。
だから嫁いで来てからの、どこへ行くにも歩くしかない生活にも、野良仕事にも、戸惑いと筋肉痛の連続であった。
(だって名古屋じゃ、町に出るのも路面電車やバスがあったもの。畑仕事もしたこと無かったわ、やれやれ)
とまあ、こんな感じで心の中でため息交じりに独り愚痴るのであった。
だいたい、野良仕事と言っても、田畑を耕すのはトラと分家の男衆で、ヨネの仕事はもっぱら草取りだ。
ただ、トラの家は敷地が広いから庭も広いし、畑も広い、もちろん田んぼも。
その広い土地の、どこそこ、ありとあらゆるところに、雑草が生える。
昨日取った所も、雨でも降ればまた生える。
取っても取っても、終わらぬ、それはまるで賽の河原の石積みのよう、、、
だんだんと気が滅入ってきて、そんな不吉な例えまで頭を過る。
日がな一日中雑草と向き合い、朝夕と鎌で刈ったり、手で抜いたり。
とにかく初めは慣れないもので、腰は痛いわ、膝は痛いわ、身体中どこもかしこも、常に筋肉痛だったものだ。
ありがたいことに、家事は、七緒が率先して手伝ってくれていたので、なんとかなっていたけれども。
(ああ、今日も快晴が疎ましいわ)
そうヨネが、心の中で舌打ちをするのだった。
うちのトラ兄ちゃんに嫁さんがやって来た!
ネエサンは、体は細っこくて小さいが、いつも明るく元気だ。
食べるのが大好きで、あんな体のどこに入るのかと思うくらいよく食べる。
小児麻痺で足が不自由なアタシは、学校に通えなかった。
お母ちゃんが生きて居た頃は、それでも読み書きや縫い物、料理なんかを教えてもらって過ごしていたけど、十三で亡くなってしまった。
その日、お父ちゃんは一人出稼ぎから帰って来た。
トラ兄ちゃんは葬式の期間は帰って来たけど、すぐに現場に戻って行った。
それからは、無口な父ちゃんとの二人暮らし。
そのお父ちゃんもある朝起きてこなくて、部屋に見に行ったらもう冷たくなってて。
驚いてしばらく呆然と父ちゃんの顔をみてたけど、あ!と気がついて、杖をついて坂道を転がるように叔母ちゃんち行った。
その時は、戦地にいるトラ兄ちゃんには連絡も取れなくて、叔父ちゃんたちが村の衆に頼んでくれて、なんとか葬式を出してもらった。
それから、この広い家に一人、寂しかった。
誰とも話さないなんて日もざらにあった。
暑い夏の日、勝手口の脇にある小さな畑の草取りをしていた時、祥子叔母ちゃんがやって来て終戦だと教えてくれた。
しばらくしたら、トラ兄ちゃんがやっと帰ってきた。
うちを出て、住み込みの出稼ぎに行った時から十三年。
トラ兄ちゃんは、知らない男の人みたいな気がした。
そんな兄ちゃんのお嫁さん、ヨネネエサン。
明るいお日様のようなネエサンがやって来て、この家は温かい場所に変わっていった。
毎日、元気なネエサンとおしゃべりしながら家事をする。
同じことをしてもネエサンとすると、楽しいって思えるから不思議だ。
最近、ネエサンは疲れた疲れたと言っている。
慣れない野良仕事が堪えるらしい。
お街育ちのネエサンには辛いんだろう、どうしたら良いかなと悩んでいる。
「ナナちゃーん、ただいま帰ったよ。すぐ着替えて手伝うよ。」
汗だくのネエサンが勝手口から大きな声で話かけてきた。
外の井戸からザーザーと水が出る音がする、ドタドタと足音が奥に消えてしばらくすると、割烹着に着替えたネエサンが台所にやって来た。
「ネエサン、もう冷や麦茹でてあるよ。」
ザルに盛った冷や麦を指差す。
「まあ、ありがたいよー、ナナちゃん。じゃあ、私は薬味のネギを刻むよ。」
トントンと包丁を響かせる。
早くから作って冷ましてあっためんつゆをお椀によそい、古根生姜を擦って、壺から塩の吹いた梅干しとネギを一緒に薬味皿に盛った。
「ただいまー」
「お帰り、トラちゃん」
下の田んぼから帰ってきたトラ兄ちゃんも台所にやって来て、土間から上がった板の間にちゃぶ台出して三人で昼飯になった。
「ネエサンの嫁入りん時に、たくさん冷や麦もらったから、今年の夏はたんと冷や麦にするよー」
そうアタシが言うと、
「それはどうかねえ・・・」
ネエサンが眉間に皺寄せて答える。
「え?なんでヨネ?冷や麦嫌いか」
トラ兄ちゃんが首を掲げてネエサンを見た。
「ふふふ、それはね、、、私冷や麦大好きだから、腹いっぱい食べちゃって夏まで持たないかもよ。」
ネエサンが箸をふりふりアタシとトラ兄ちゃんの顔を見て、クククと笑いながら言った。
「はは、何だそんなことか。そしたらヨネの両親が居る町まで行って買ってくるさ。でもヨネは米食べないと落ち着かないんじゃなかったかい?」
「そうさ、名古屋の時は冷や麦といなり寿司を食べたんだよ。そうだ!夜はいなり寿司にしようか」
ネエサンが良いことを思い付いた!と、とても嬉しそうな顔をして、そう言った。
「だって、ここにある冷や麦はヨネが腹一杯食べちゃうんだろ?」
トラ兄ちゃんがいたずらっ子みたいな顔でネエサンをからかう。
「残んなかったら、また茹でるわよ。もう。」
イーって怒って兄チャンにもポンポン物を言うネエサンは今日も元気だなー。
約束通り、今夜のご飯には冷や麦といなり寿司。
あの後、ネエサンは駅前の商店まで油揚げを買いに行った。
途中まで田んぼに行く兄チャンと一緒に坂を下って。
ちょっとスキップしているような軽い足取りのネエサンの背中を見送った。
そうして、ネエサンは買い物から帰ってくると、いつもより早くちょっと固めに飯を炊いて、砂糖と塩と酢ですし酢を作った。
油揚げをザルに並べ、沸かした湯を回しかけて油抜きし、半分に切ってから固く絞って鍋に入れた。
そして、残してあった昼のめんつゆを湯でのばして、砂糖と醤油を足して甘辛く油揚げを炊いた。
「ねえ、ナナちゃん。私、お揚げさんは甘しょっぱい濃い目が好きなのよ。揚げの色が黒っぽくてもいい?」
ネエサンがお願いって目で見てきた。
「うん。アタシも甘しょっぱいの好きだから。」
アタシはもちろん、ウンウンって首を振って答えたよ、亡くなったお母ちゃんの稲荷寿司も濃い目の甘めだった。
「トラちゃんもかな?」
「もちろん、兄チャンも濃い口だからダイジョウブだよ、おカアチャンのも甘くて濃かったもの。」
「じゃあ、私たちの稲荷はこれからも、濃い目の甘めになるね、ふふふ」
そう言って笑うネエサンを見て、アタシもフフフと笑った。
そうして作ったちょっと茶色い稲荷寿司。
居間の机には昼と同じ薬味とザルいっぱいの冷や麦。
お椀に入っためんつゆを持って、トラ兄ちゃんが驚いた顔をして、
「まあ、でっかい稲荷だなぁ、こりゃこりゃ。」
と言いながら、箸でヨイショと大きな稲荷をつまんだ。
「そうなの、うちのお母ちゃんも、そうだったものだから。私のぼた餅も、いなり寿司、握り飯も、みんなおっきくなっちゃうのよ、食べにくいでしょ?ごめんなさいね。」
ネエサンが眉を下げて、謝った。
「なんも謝らんで。でっかい寿司も握り飯も良いじゃないか。ぼた餅だって、満腹だったし、うん、うまいな、こりゃあいい。おっきくて食いでがあるよ、腹一杯に絶対なる。こりゃあいい!ヨネ、旨いよ、ほらお食べよ。七緒も食べた食べた、うんまいぞ!」
トラ兄ちゃんが大きな口を開けて、稲荷にかぶりついてそう言った。
アタシも大きな稲荷をつまんで、大きな口を開けてガブッと噛みついた。
「ああー、甘くてウマイ。ネエサン、稲荷寿司ホントにおいしいよー」
そう言って、三口で食べてしまった。
「そう?良かったー、二人の口にあって。甘くて濃くて、腹にズシンと貯まって美味しいよね。でもさ、冷や麦も稲荷寿司も食べれるなんて、ほんと贅沢だね。」
ネエサンはそう言って、大きな稲荷寿司にかぶりついた。
それから三人で、何が旨い、何を食べたい、何が好きだ、あれも食べたいと、ああだこうだと食べ物の話を徒然話ながら、大皿いっぱいの稲荷寿司とザルいっぱいの冷や麦を、それこそ腹一杯三人で食べた。
これはそんな暑い夏の日の夕飯時の美味しいお話。
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