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ヨネとトラの初デート ~山菜摘み~
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祝言を終え、彼岸も過ぎて桜がもう咲くかもう咲くかとジリジリしている春の晴れた日、トラが早朝から声をかけてヨネを起こした。
「ヨネ、よけりゃぁ、天気も良いし、山の方行って山菜でも採りに行かざぁ?」
「え?山?うんうん。行く行く!行ってみたーい!」
ヨネはその言葉にパチリと目覚めて、すぐに元気良く起き上がって答えた。
「じゃあ、早く仕度して行かざぁ。あ、アブやらマダニやらに刺されんように、肌出ない格好してな。手拭いと背負子はヨネも持ってな。」
「はーい!」
ヨネはササッと布団を畳み、長袖シャツにモンペを着て、庭に下りて井戸水で顔を洗う。
手拭いを持ってくるのを忘れて、犬みたいにプルルルと首を振るが、顔から流れた水のシミが長袖のシャツを濡らした。
「ああ、ヨネ、そんな犬じゃあるまいし。」
雨戸を開けていたトラがそれを見て、手拭いを手にして走って持ってきてくれた。
「あら、トラちゃんありがとう!」
にっこり笑う新妻に弱いトラである。
「いや、良いけどな。服の首元濡れてるぞ。」
「ああ、このくらいすぐ乾くから大丈夫よおー!」
トラの家には舅姑が居ない、農家の嫁と言えども気楽なもんである。
朝飯に、昨夜の冷飯に味噌汁をかけた猫まんまを二人でかっ食って、勢い勇んで裏山を登っていく。
「ナナちゃん、お土産に山菜いっぱい取って来るからねー!」
ヨネが裏山の入口の竹藪辺りで振り返って、見上げている義妹の七緒に手を振った。
「ネエサン、気をつけてー。転ばないようにねー」
七緒も手を振っていた。
そこからどんどんと、裏山の獣道を入っていく。
トラがヨネがついて来ているかを気にしながら山道を登る。
ヨネは張り切って、ヨイショヨイショとトラのすぐ後ろをついて上っていった。
「よし、まだ採られてないぞ!」
トラが喜色帯びた、はしゃいだ声を上げた。
「ヨネ、これなんだかわかるかい?」
トラが指す枝をみたがヨネには葉の落ちた枯れ木にしか見えない。
「これなぁに?これが山菜?」
思っていた山菜は緑色の葉っぱ、そんなボンヤリしたイメージのヨネには枯れ木が山菜と結び付かない。
「そうさ、これがタラの芽だよ!ほーら、枝先にたんと芽がついてるぞ、これは上等だ!」
トラがそう言って、枝の先の若芽を摘んで見せてくれた。
「え?これが、タラの芽?あの天ぷらで食べるやつ!?」
ヨネがトラから渡されたたらの芽をみてそう言った。
「そうそう、そのタラの芽だよ。このタラの芽の天ぷらは旨いよな、ハハハ、タラの芽は山菜の王様だぞ!」
トラが喜んでヨネの顔をみながら答えた。
ヨネはトラに教わりながら、枯れ枝の先に出ている緑の芽を摘む。
「あ、ヨネそこまで、そこまで。全部摘んじゃだめだよ、木が枯れちまうからな。」
トラがヨネに優しく山菜摘みのルールを教える。
「そうなのね、はい。わかったわ。」
ヨネは言われたことを覚えてようと、胸で反芻して答えた。
タラの芽は、だいたい手の届く範囲の若芽を摘んで、ポンポンと背負子かごに入れた。
「今日は、幸先いいなぁ。じゃあ次に行かざぁ。」
トラがヨネに声をかけて、先を促しながら山道を登って行く。
「はーい。」
ヨネもまだまだ元気なもので、トラのすぐ後ろをついて登っていった。
細い山道を進んだ先に、バッと拓けた場所があった。
そこで、トラがアイコという山菜を見つけた。
「ヨネ、これアイコっていう山菜だぞ。」
トラが採ってヨネに渡して教える。
「へえ!これが山菜なの。愛知のね、私が働いていた工場の社長さんが山を持ってて、行楽でキノコ狩りに行ったことがあるのよ。そこにも生えてたかしら?」
「ああ、あったかもしんねえな。けっこうどこにもある山菜だ。」
「フフフ、知らないと草にしか見えないわね。」
ヨネは笑いながら、渡されたアイコの葉をみた。
「そうだ、アイコはさ、ミヤマイラクサって言う名も有る、葉にちょっと棘があるから気ぃつけろな。」
トラが、今にも手で葉を掴もうとしているヨネの手を持って止めて、注意した。
「わかった、軍手して採るから大丈夫だよ。あら、アイコがいっぱいあるー!」
ヨネが軍手をはめて、その手をトラに見せてからアイコを採り始めた。
「こっちにシドケもあるぞ、モミジガサっていうやつだ。」
少し離れたところに別の山菜を見つけて、トラがヨネに大きな声で話しかけた。
「へぇ、すごいすごい!これも食べられるのね!」
そう言って、トラの傍に走ってきてそのシドケを教えてもらいながら摘んでみた。
すると、また別の岩肌に張り付いている蔦の葉を採ってトラがヨネに声をかけた。
「ヨネー!こっちこっち。こっちに山ブドウの若葉があるよ。これは旨いからさ、これもヨネ一緒に摘もう!」
「はーい!」
しばらく二人で山ブドウの若葉を摘んでいたが、ちょっとあっち見てくるよと言って、トラが草むらへ入って行った。
「あったあった!おーい、ヨネ、ヨネ早くこっち来てみ!早く早く!ここ」
突然大きな声でトラがヨネを呼んだ。
それを聞いて、ヨネも小走りで草むらを分け入り、トラの元へと駆けてくと
「あ、それ、ウドね!ウドだ!スゴいスゴい、一、二、三・・・十本もあるわ!本当に今日ご馳走だわ。」
ウドがニョキニョキと顔を出していた。
「ほんとになぁ、あ、こっちにもタラの木がまたある!タラの芽もまた摘もう。」
トラは高い場所に有るタラの芽の若芽をどんどんと摘んでいった。
「あー、この辺って春の山の匂いがするわー。美味しそうな匂い。」
ヨネがそういうと、胸一杯息を吸って、深呼吸をした。
(まるで春の空気を食べているようね、美味しそうな春の空気、ああ今晩も楽しみだわ)
ヨネは天ぷらを思い浮かべて、うっとりとしていた。
その後も、ふわふわの綿毛をまとったゼンマイを見つけたり、
「いいかい、ヨネ。この丸く厚みのあるのが男ゼンマイ、こっちの平なのが女ゼンマイって言って女ゼンマイを摘むんだよ」
「はい。あ、でも私ゼンマイのアク抜きの仕方ってわからないわ。トラちゃんできる?」
「・・・大丈夫だ。祥子叔母ちゃんに聞けばいいさ、その方が確実だ。」
ワラビを見つけたり、
「ほらほら、こっちにはワラビもいっぱいだぁ。ワラビは上からスーっと茎を滑らせてポキって折れるとこで採るんだよ。」
「はい。ねえ、トラちゃん、こっちのワラビは茶色くなってるよ。なんで?」
「ああ、山はまだ寒い晩には霜が降りるね、そうするとせっかく芽が出たワラビも溶けちゃうんだよ。でも地下茎は生きてるから、そこはまた出てくるよ。」
アケビを見つけたり、
「あ、これはね、ヨネ、この木に巻き付いてるのアケビの蔓だよ。アケビの蔓の先もおひたしで食べたら、うめーぞ。ヨネは食べたことあるかい?」
「ううん、私、食べたことないわ。美味しいと聞いちゃったらたくさん摘まなきゃね。」
ニコニコ笑顔で、二人して、蔓の先をポキポキと折っていく。
すぐに両手一杯採れた。
「秋になったら実を採りに来よう。熟したアケビもうめーぞ。」
「うん、アケビって食べたこと無い。トラちゃんまた連れてきてね。」
「ああ、もちろん何度だって連れてくるさ。」
食いしん坊な二人である、似た者夫婦といったところ。
背負いかごいっぱいの山菜に大満足で、もう秋の話をし始めた。
「さ、じゃあ、今日かこのくらいにするかい。」
「うん、帰って料理するね!」
二人は来た道を戻って行くのであった。
「ヨネ、よけりゃぁ、天気も良いし、山の方行って山菜でも採りに行かざぁ?」
「え?山?うんうん。行く行く!行ってみたーい!」
ヨネはその言葉にパチリと目覚めて、すぐに元気良く起き上がって答えた。
「じゃあ、早く仕度して行かざぁ。あ、アブやらマダニやらに刺されんように、肌出ない格好してな。手拭いと背負子はヨネも持ってな。」
「はーい!」
ヨネはササッと布団を畳み、長袖シャツにモンペを着て、庭に下りて井戸水で顔を洗う。
手拭いを持ってくるのを忘れて、犬みたいにプルルルと首を振るが、顔から流れた水のシミが長袖のシャツを濡らした。
「ああ、ヨネ、そんな犬じゃあるまいし。」
雨戸を開けていたトラがそれを見て、手拭いを手にして走って持ってきてくれた。
「あら、トラちゃんありがとう!」
にっこり笑う新妻に弱いトラである。
「いや、良いけどな。服の首元濡れてるぞ。」
「ああ、このくらいすぐ乾くから大丈夫よおー!」
トラの家には舅姑が居ない、農家の嫁と言えども気楽なもんである。
朝飯に、昨夜の冷飯に味噌汁をかけた猫まんまを二人でかっ食って、勢い勇んで裏山を登っていく。
「ナナちゃん、お土産に山菜いっぱい取って来るからねー!」
ヨネが裏山の入口の竹藪辺りで振り返って、見上げている義妹の七緒に手を振った。
「ネエサン、気をつけてー。転ばないようにねー」
七緒も手を振っていた。
そこからどんどんと、裏山の獣道を入っていく。
トラがヨネがついて来ているかを気にしながら山道を登る。
ヨネは張り切って、ヨイショヨイショとトラのすぐ後ろをついて上っていった。
「よし、まだ採られてないぞ!」
トラが喜色帯びた、はしゃいだ声を上げた。
「ヨネ、これなんだかわかるかい?」
トラが指す枝をみたがヨネには葉の落ちた枯れ木にしか見えない。
「これなぁに?これが山菜?」
思っていた山菜は緑色の葉っぱ、そんなボンヤリしたイメージのヨネには枯れ木が山菜と結び付かない。
「そうさ、これがタラの芽だよ!ほーら、枝先にたんと芽がついてるぞ、これは上等だ!」
トラがそう言って、枝の先の若芽を摘んで見せてくれた。
「え?これが、タラの芽?あの天ぷらで食べるやつ!?」
ヨネがトラから渡されたたらの芽をみてそう言った。
「そうそう、そのタラの芽だよ。このタラの芽の天ぷらは旨いよな、ハハハ、タラの芽は山菜の王様だぞ!」
トラが喜んでヨネの顔をみながら答えた。
ヨネはトラに教わりながら、枯れ枝の先に出ている緑の芽を摘む。
「あ、ヨネそこまで、そこまで。全部摘んじゃだめだよ、木が枯れちまうからな。」
トラがヨネに優しく山菜摘みのルールを教える。
「そうなのね、はい。わかったわ。」
ヨネは言われたことを覚えてようと、胸で反芻して答えた。
タラの芽は、だいたい手の届く範囲の若芽を摘んで、ポンポンと背負子かごに入れた。
「今日は、幸先いいなぁ。じゃあ次に行かざぁ。」
トラがヨネに声をかけて、先を促しながら山道を登って行く。
「はーい。」
ヨネもまだまだ元気なもので、トラのすぐ後ろをついて登っていった。
細い山道を進んだ先に、バッと拓けた場所があった。
そこで、トラがアイコという山菜を見つけた。
「ヨネ、これアイコっていう山菜だぞ。」
トラが採ってヨネに渡して教える。
「へえ!これが山菜なの。愛知のね、私が働いていた工場の社長さんが山を持ってて、行楽でキノコ狩りに行ったことがあるのよ。そこにも生えてたかしら?」
「ああ、あったかもしんねえな。けっこうどこにもある山菜だ。」
「フフフ、知らないと草にしか見えないわね。」
ヨネは笑いながら、渡されたアイコの葉をみた。
「そうだ、アイコはさ、ミヤマイラクサって言う名も有る、葉にちょっと棘があるから気ぃつけろな。」
トラが、今にも手で葉を掴もうとしているヨネの手を持って止めて、注意した。
「わかった、軍手して採るから大丈夫だよ。あら、アイコがいっぱいあるー!」
ヨネが軍手をはめて、その手をトラに見せてからアイコを採り始めた。
「こっちにシドケもあるぞ、モミジガサっていうやつだ。」
少し離れたところに別の山菜を見つけて、トラがヨネに大きな声で話しかけた。
「へぇ、すごいすごい!これも食べられるのね!」
そう言って、トラの傍に走ってきてそのシドケを教えてもらいながら摘んでみた。
すると、また別の岩肌に張り付いている蔦の葉を採ってトラがヨネに声をかけた。
「ヨネー!こっちこっち。こっちに山ブドウの若葉があるよ。これは旨いからさ、これもヨネ一緒に摘もう!」
「はーい!」
しばらく二人で山ブドウの若葉を摘んでいたが、ちょっとあっち見てくるよと言って、トラが草むらへ入って行った。
「あったあった!おーい、ヨネ、ヨネ早くこっち来てみ!早く早く!ここ」
突然大きな声でトラがヨネを呼んだ。
それを聞いて、ヨネも小走りで草むらを分け入り、トラの元へと駆けてくと
「あ、それ、ウドね!ウドだ!スゴいスゴい、一、二、三・・・十本もあるわ!本当に今日ご馳走だわ。」
ウドがニョキニョキと顔を出していた。
「ほんとになぁ、あ、こっちにもタラの木がまたある!タラの芽もまた摘もう。」
トラは高い場所に有るタラの芽の若芽をどんどんと摘んでいった。
「あー、この辺って春の山の匂いがするわー。美味しそうな匂い。」
ヨネがそういうと、胸一杯息を吸って、深呼吸をした。
(まるで春の空気を食べているようね、美味しそうな春の空気、ああ今晩も楽しみだわ)
ヨネは天ぷらを思い浮かべて、うっとりとしていた。
その後も、ふわふわの綿毛をまとったゼンマイを見つけたり、
「いいかい、ヨネ。この丸く厚みのあるのが男ゼンマイ、こっちの平なのが女ゼンマイって言って女ゼンマイを摘むんだよ」
「はい。あ、でも私ゼンマイのアク抜きの仕方ってわからないわ。トラちゃんできる?」
「・・・大丈夫だ。祥子叔母ちゃんに聞けばいいさ、その方が確実だ。」
ワラビを見つけたり、
「ほらほら、こっちにはワラビもいっぱいだぁ。ワラビは上からスーっと茎を滑らせてポキって折れるとこで採るんだよ。」
「はい。ねえ、トラちゃん、こっちのワラビは茶色くなってるよ。なんで?」
「ああ、山はまだ寒い晩には霜が降りるね、そうするとせっかく芽が出たワラビも溶けちゃうんだよ。でも地下茎は生きてるから、そこはまた出てくるよ。」
アケビを見つけたり、
「あ、これはね、ヨネ、この木に巻き付いてるのアケビの蔓だよ。アケビの蔓の先もおひたしで食べたら、うめーぞ。ヨネは食べたことあるかい?」
「ううん、私、食べたことないわ。美味しいと聞いちゃったらたくさん摘まなきゃね。」
ニコニコ笑顔で、二人して、蔓の先をポキポキと折っていく。
すぐに両手一杯採れた。
「秋になったら実を採りに来よう。熟したアケビもうめーぞ。」
「うん、アケビって食べたこと無い。トラちゃんまた連れてきてね。」
「ああ、もちろん何度だって連れてくるさ。」
食いしん坊な二人である、似た者夫婦といったところ。
背負いかごいっぱいの山菜に大満足で、もう秋の話をし始めた。
「さ、じゃあ、今日かこのくらいにするかい。」
「うん、帰って料理するね!」
二人は来た道を戻って行くのであった。
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