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超能力捜査官メイミー

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三年間、このゲーム会社で開発に携わっていたゲームアプリがついに発売された。

自分はゲームのプロデューサーとして、開発チームが一つの成果物を創りあげるのに日々起こる問題の芽を早く見つけて摘み取り、より良い環境で仕事が出来るようにするのが仕事だと思い、今日までやってきた。

「ボス、今日まで本当にお世話になりました。こんなにやり易い職場は初めてです!」
ゲームディレクターの高畠氏が握手を求めてきた。

「いやいや、皆さんのおかげでこうして発表の日を迎えられたんだよ、ありがとう。」
私も彼の手をギュッと握り返した。

「とても意義深いプロジェクトに参加できたよ、アリガトゴザイマス。」
のコ・ンポウ・クー氏からも握手を求められて握り返す。
彼はアジア系システムエンジニアで、今回の技術面の責任者として来てもらったのだった。

ゲームアプリはスマッシュヒットした。
とりあえず、表面上は上々の出来だ。


このゲーム会社はアプリゲームの開発というのを隠れ蓑にしているが、裏では世界各国のサイバーセキュリティーを担っている。

しかしその組織の中に、テロ組織のスパイが紛れ込み日本発の大規模サイバーテロを行う計画が進められていた。

超大国のAIがそれをキャッチし、某国の諜報機関が入念に調査していたが、なかなかその尻尾を掴めていなかった。

そこで秘密中の秘密組織、某国の超能力捜査機関に問題が送られ、メイミーが潜入捜査を行うことになったのだ。

表のゲーム開発の責任者として各部署の人と横断的に関係を持てる立場は、スパイの炙り出しにとても重宝した。
そして、とうとうテロ活動の拠点を見つけることができたのだった。

メイミーはゲームの発売日に関係各所への挨拶回りを終えると、そこへと赴いた。

狭い部屋に所狭しと並べられたパソコンの画面、数十名の作業服の男達。
ゲーム会社の地下駐車場脇の小部屋である。

彼らは一見清掃スタッフの様相である、がしかし、彼らが握っているのはモップではなくパソコンのマウス、彼らの頭の中は、

『もうすぐ、都内の都市銀行と証券会社のシステムをダウンさせて、金融不安を起こしてやるのだ、フアハッハッッハッッハ』

という高笑いと共にとんでもない妄想、いや計画が浮かんでいるのをメイミーは駐車場の柱の影から感じ取った。

メイミーの超能力、テレパシー。
メイミーは他者との念話だけでなく、思想盗聴ができるのだ。

どこぞの掲示板なら、頭にアルミホイル巻いとこうと言われるような能力だが、メイミーは注目した者の頭の中を動画を観るような感覚で覗くことができるのだ。

ちなみに、アルミホイル位では防ぐことは出来ない。

むしろ覗かれたくないのなら、頭の中で般若心経を唱え続けた方がマシである。
ある国の諜報部員の思想盗聴をしようとした時、その者はずっとゾンビ映画のシーンを繰り返し想い画いていた。

超能力調査官と言えば思想盗聴と言われるほど、良く知られた超能力なのである。

メイミーはその部屋全体を注視して集中力を高めていく。

数分後、並べられたパソコンの画面がパンパンパンと音を立てて中から爆発し、作業服の男達は慌てふためき、ドアを開けて外へと出ようとしいたが、ドアが開かない。

サイコキネシスである。
物理的なエネルギーを発生させてパソコンの画面を破裂させ、ドアを反対側から押しているのだ。

誰も居ないのに起こった異常事態に室内は騒然となった。

(あとは、諜報部員の方々が捕らえて、データ解析から黒幕を調べてくれたら、この長いミッションもコンプリートだ!)

ここに至り、思ったより簡単に事が済んだので、メイミーは少し気を抜いていたのかもしれない。

「そこまでだ。」

声を聞いて振り向くと、そこには痛め付けられてボコボコにされ血だらけで気絶している高畠氏とクー氏を連れた某国の諜報部長・この会社のCEOがいた。

「諜報部では見つからないハズだ。あなたが握り潰していたのだな。」
メイミーが抑揚の無い声で問う。

「だからなんだ。世界は新しく生まれ変わるべきだ。その第一歩だったのに、計画はめちゃめちゃだ!貴様のせいで!この者達がどうなっても良いのか!嫌だと言うなら」

話も途中なのだが、聞いてやる必要は無い。

高畠氏とクー氏は一般人、しかも三年もの時間を一緒に共有したチームメイトだ。

助けないという選択は無い。

メイミーは裏切り者の諜報部長の後ろにテレポーテーションするとそいつの手を払い、脇に手を入れ二の腕を掴んでもう一度テレポーテーションをしようとした、刹那、突然そいつの体が燃え出したのだ!

(え?こいつパイロキネシスか!)

手を離そうとしたその瞬間に、

「フフン、お前だけがエスパーだと思ったか、死なば諸ともだ!」

そういうと、パーンとスパークして二人は燃え尽き消し炭になったのだった。

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