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1話 目覚め
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花の匂いがする…透き通るようなきれいな百合の花の匂い。
どこかで嗅いだことのある匂い。
…そうだ。母さんの匂いだ。
懐かしい。母さんの優しい匂い。優しい温もり。
その匂いと同時に母さんが遠ざかっていく気がする。
待ってくれ、母さん。
俺を、おいてかないでくれ。
俺を…一人にしないでくれ…
母さん…
━━━━━━━━━━━━━━━━━━
目が覚めると目の前は知らない天井で広がっていた。
白い…天井。白い壁。花柄の布団…。
身体を起こすと自分の身体がだるく、頭が痛いことに気がついた。
これが二日酔いってやつか。
ってそうじゃなくて…ここ、どこだ?
回らない頭で思い出そうとしてみるも…だめだ。思い出せない…。
ベッドの横にある机の上を見ると飲みかけの水が入ったコップが1つ置いてある。
誰か、俺を介抱してくれたのだろうか?
部屋中を軽く見回してみるとぬいぐるみや花が添えられた花びんなどがおいてあり、きれいに整えられていた。
部屋の感じからして、もしかして女性が俺を介抱してくれたのか?
…だとしたら悪いな…。
俺を運ぶ時、きっと重かっただろう。
ありがたいが、申し訳ないな。
何か、お礼をしなくては…
とりあえず動くことにした俺はベッドから立ち上がり、ドアを開けた。
すると、食べ物のいい匂いがした。
目玉焼きとウインナーだろうか。
匂いがする方を見ると綺麗な人がフリフリのエプロンを着てキッチンにたっていた。
ここからキッチンまで少し距離があるが、それでもわかる、ピンクブロンドのきれいな髪を一つに束ね、紫っぽい色の瞳をし、顔がかなり整っている。
美しいとはまさにこのような人のことを言うのだろう。
思わず息を呑んだ。
今までに見たことがないほどにその男は日の光にさらされ、美しく輝いていた。
思わず見とれてしまい、ドアの取っ手を握ったまま棒立ちしていると相手がこちらに気づいたようで、目があった。
そのままぼーっとしていると、相手はこちらに近づいてきて
「おはよう。昨日たくさんお酒飲んでいたけれど、大丈夫?」
と心配そうな顔で話しかけてきた。
この人は声までも綺麗なんだな…。
それに、体格からして…男の人か。
身長も俺より高い…って、そうじゃなくて、多分この人が俺を介抱してくれたんだろうな…まずは謝罪しなければ
「あ…大丈夫です。ご迷惑をおかけしてしまったようで…申し訳ないです。」
「あら、気にしなくていいのよ。それより、朝ごはん作ったから、食べてちょうだい♪」
「あ、はい。いただきま…す」
この人…オネエなのか⁉つい驚きの声が出そうになったが、なんとかぎりぎり止められた…よかった。
いや、しかし、驚いてしまった…
でも、驚くのもだめだよな…この人にとって失礼になってしまう気がするし…気にしたら負けだよな。
偏見になってしまうからな。
朝食が置いてあるテーブルのそばにある椅子に座り、朝食を見るとそれはとても美味しそうでオシャレだった。
野菜が細かく刻まれている味噌汁、焼かれた食パン、豆腐やレタスなどが入っているサラダ、そしてきれいに切られているオレンジがそれぞれ木製のお皿にそれぞれきれいに添えられていた。
めっちゃ美味しそうだ…。
ジュルリ…
「…いただきます」
息を呑んでまず、サラダから手を付ける。
「!…うまい…。」
なんだこれは…味付けは塩ダレでされてるっぽいが、うまい。
豆腐と野菜と塩ダレがいいコンビネーションをかなでて…うまい。うますぎる。
次に味噌汁に手を付けると、またこれもうまい。
中に俺の好きな茄子が入っている。
最高だ…。
そしてウインナー、外はパリッ、中はジューシーな美味しいやつだった。
これらのものと一緒にご飯を食べると…
めっちゃうまい。
「喜んでもらえたみたいでよかったわ」
顔に出ていたのだろうか…
そんなことを言われ、俺は少し恥ずかしくなった。
どこかで嗅いだことのある匂い。
…そうだ。母さんの匂いだ。
懐かしい。母さんの優しい匂い。優しい温もり。
その匂いと同時に母さんが遠ざかっていく気がする。
待ってくれ、母さん。
俺を、おいてかないでくれ。
俺を…一人にしないでくれ…
母さん…
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目が覚めると目の前は知らない天井で広がっていた。
白い…天井。白い壁。花柄の布団…。
身体を起こすと自分の身体がだるく、頭が痛いことに気がついた。
これが二日酔いってやつか。
ってそうじゃなくて…ここ、どこだ?
回らない頭で思い出そうとしてみるも…だめだ。思い出せない…。
ベッドの横にある机の上を見ると飲みかけの水が入ったコップが1つ置いてある。
誰か、俺を介抱してくれたのだろうか?
部屋中を軽く見回してみるとぬいぐるみや花が添えられた花びんなどがおいてあり、きれいに整えられていた。
部屋の感じからして、もしかして女性が俺を介抱してくれたのか?
…だとしたら悪いな…。
俺を運ぶ時、きっと重かっただろう。
ありがたいが、申し訳ないな。
何か、お礼をしなくては…
とりあえず動くことにした俺はベッドから立ち上がり、ドアを開けた。
すると、食べ物のいい匂いがした。
目玉焼きとウインナーだろうか。
匂いがする方を見ると綺麗な人がフリフリのエプロンを着てキッチンにたっていた。
ここからキッチンまで少し距離があるが、それでもわかる、ピンクブロンドのきれいな髪を一つに束ね、紫っぽい色の瞳をし、顔がかなり整っている。
美しいとはまさにこのような人のことを言うのだろう。
思わず息を呑んだ。
今までに見たことがないほどにその男は日の光にさらされ、美しく輝いていた。
思わず見とれてしまい、ドアの取っ手を握ったまま棒立ちしていると相手がこちらに気づいたようで、目があった。
そのままぼーっとしていると、相手はこちらに近づいてきて
「おはよう。昨日たくさんお酒飲んでいたけれど、大丈夫?」
と心配そうな顔で話しかけてきた。
この人は声までも綺麗なんだな…。
それに、体格からして…男の人か。
身長も俺より高い…って、そうじゃなくて、多分この人が俺を介抱してくれたんだろうな…まずは謝罪しなければ
「あ…大丈夫です。ご迷惑をおかけしてしまったようで…申し訳ないです。」
「あら、気にしなくていいのよ。それより、朝ごはん作ったから、食べてちょうだい♪」
「あ、はい。いただきま…す」
この人…オネエなのか⁉つい驚きの声が出そうになったが、なんとかぎりぎり止められた…よかった。
いや、しかし、驚いてしまった…
でも、驚くのもだめだよな…この人にとって失礼になってしまう気がするし…気にしたら負けだよな。
偏見になってしまうからな。
朝食が置いてあるテーブルのそばにある椅子に座り、朝食を見るとそれはとても美味しそうでオシャレだった。
野菜が細かく刻まれている味噌汁、焼かれた食パン、豆腐やレタスなどが入っているサラダ、そしてきれいに切られているオレンジがそれぞれ木製のお皿にそれぞれきれいに添えられていた。
めっちゃ美味しそうだ…。
ジュルリ…
「…いただきます」
息を呑んでまず、サラダから手を付ける。
「!…うまい…。」
なんだこれは…味付けは塩ダレでされてるっぽいが、うまい。
豆腐と野菜と塩ダレがいいコンビネーションをかなでて…うまい。うますぎる。
次に味噌汁に手を付けると、またこれもうまい。
中に俺の好きな茄子が入っている。
最高だ…。
そしてウインナー、外はパリッ、中はジューシーな美味しいやつだった。
これらのものと一緒にご飯を食べると…
めっちゃうまい。
「喜んでもらえたみたいでよかったわ」
顔に出ていたのだろうか…
そんなことを言われ、俺は少し恥ずかしくなった。
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