ハリネズミ君の不器用な恋

紫苑

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気になる子(犬宮side)

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前を歩いてる貴子くんにこっそり近づき

ドンッ

と背中に手を伸ばし軽く当たってみる


貴子くんは振り返りびっくりした顔をして俺の顔を見て俺だと分かった瞬間に睨みつけてきた


「犬宮…」


嫌そうな顔をしている貴子くんがなんだか面白くて口元が緩んでしまう


「おー!僕の名前を覚えててくれたんだね!嬉しいな」

朝からテンションが高い俺のことを横目で見ながら様子を伺っている貴子くんはまるで…

人馴れしていない野良猫みたいだ

可愛いなぁ…笑

きっと何だコイツ気持ち悪っとか思われているんだろうけど気にしない

貴子くんはほっといて欲しいみたいだけど俺は嫌だから構う


出席自体は少ないのに、登校時間帯にはしっかりと登校してる不思議な不良
出席しないなら学校なんかに来なくてもいいと俺は思うがきっと真面目な貴子くんは学校を休むという行動自体はきっと好きではないのだろう。

本当に掴めなくてそんなところが面白いなぁなんて考えながら彼の後ろをついて行く

そんなこんなしていると勿論周りも騒ぎ出す

そりゃぁそうだ
全く関わっている姿を見ていないのに、いきなり生徒会長が不良と仲良くしだすなんて考えもしないだろう。
まして、彼はそっけない態度で俺がしつこく声をかけているのだから尚更他の登校している生徒はパニックだろう

【何で犬宮様とあんな不良が…?】
【ありえない…!!】
【何であんなやつと!!??】
【嘘よ!?】

なんて声が聞こえてくる
女子の声も多いが中には男子からの声も聞こえる

この学校は共学ではあるが、男女比は8:2ほどでほとんどが男子だ
生徒会や風紀などの役員は歴代、お坊ちゃんや社長など将来が安定している人が多いからなのか、なぜか男女どちらにも人気があり、隠れ親衛隊などがいるようだ(公式ではなく勝手に立ち上げられている)
顔が好きだから、格好良いから、玉の輿を狙っているから、何か助けてもらった思い出があるからなど理由は人それぞれだ

俺は正直好きでいてくれるのは嬉しいが勝手に神格化されたり崇められるのはうざいし、近づいた人を勝手に制裁と称してストレスの捌け口にしているような奴らはキモいし大嫌いだ。
純粋に好いてくれる人だけで良いのだ

そしてその俺の嫌いな人種の奴らが俺らの様子を見て聞こえる声で話している。

その声は貴子くんにも聞こえたらしく…
とても、不機嫌そうな…それでいて申し訳なさそうな顔をしていた

「俺といて得なんかしねぇぞ?お前の目的は何だよ」
「用があるなら早く済ませろ」

なんてわざわざ俺に言ってくれる彼


本当に優しく繊細な子なんだとわかる
俺のことを気にかけるなんていい子だなぁ…


俺はそんな貴子くんの目を見ながら

「嫌、特に用はないよ」

と伝えた




「は?」


理解ができないと言いたげな彼の表情を見ながら俺は続けて
「歩いていたら貴子くんを見つけたから気になって声をかけただけ」

そう説明すると彼はしばらくポカンとした顔でこちらを見つめた後に、呆れたように

「…変なやつ」

と呟いた



変なやつに好かれた可哀想な貴子くん
そんな変な奴にまともに会話をしようと思う君もまた変な奴だよ

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