16 / 29
気になる子(犬宮side)
15
しおりを挟む前を歩いてる貴子くんにこっそり近づき
ドンッ
と背中に手を伸ばし軽く当たってみる
貴子くんは振り返りびっくりした顔をして俺の顔を見て俺だと分かった瞬間に睨みつけてきた
「犬宮…」
嫌そうな顔をしている貴子くんがなんだか面白くて口元が緩んでしまう
「おー!僕の名前を覚えててくれたんだね!嬉しいな」
朝からテンションが高い俺のことを横目で見ながら様子を伺っている貴子くんはまるで…
人馴れしていない野良猫みたいだ
可愛いなぁ…笑
きっと何だコイツ気持ち悪っとか思われているんだろうけど気にしない
貴子くんはほっといて欲しいみたいだけど俺は嫌だから構う
出席自体は少ないのに、登校時間帯にはしっかりと登校してる不思議な不良
出席しないなら学校なんかに来なくてもいいと俺は思うがきっと真面目な貴子くんは学校を休むという行動自体はきっと好きではないのだろう。
本当に掴めなくてそんなところが面白いなぁなんて考えながら彼の後ろをついて行く
そんなこんなしていると勿論周りも騒ぎ出す
そりゃぁそうだ
全く関わっている姿を見ていないのに、いきなり生徒会長が不良と仲良くしだすなんて考えもしないだろう。
まして、彼はそっけない態度で俺がしつこく声をかけているのだから尚更他の登校している生徒はパニックだろう
【何で犬宮様とあんな不良が…?】
【ありえない…!!】
【何であんなやつと!!??】
【嘘よ!?】
なんて声が聞こえてくる
女子の声も多いが中には男子からの声も聞こえる
この学校は共学ではあるが、男女比は8:2ほどでほとんどが男子だ
生徒会や風紀などの役員は歴代、お坊ちゃんや社長など将来が安定している人が多いからなのか、なぜか男女どちらにも人気があり、隠れ親衛隊などがいるようだ(公式ではなく勝手に立ち上げられている)
顔が好きだから、格好良いから、玉の輿を狙っているから、何か助けてもらった思い出があるからなど理由は人それぞれだ
俺は正直好きでいてくれるのは嬉しいが勝手に神格化されたり崇められるのはうざいし、近づいた人を勝手に制裁と称してストレスの捌け口にしているような奴らはキモいし大嫌いだ。
純粋に好いてくれる人だけで良いのだ
そしてその俺の嫌いな人種の奴らが俺らの様子を見て聞こえる声で話している。
その声は貴子くんにも聞こえたらしく…
とても、不機嫌そうな…それでいて申し訳なさそうな顔をしていた
「俺といて得なんかしねぇぞ?お前の目的は何だよ」
「用があるなら早く済ませろ」
なんてわざわざ俺に言ってくれる彼
本当に優しく繊細な子なんだとわかる
俺のことを気にかけるなんていい子だなぁ…
俺はそんな貴子くんの目を見ながら
「嫌、特に用はないよ」
と伝えた
「は?」
理解ができないと言いたげな彼の表情を見ながら俺は続けて
「歩いていたら貴子くんを見つけたから気になって声をかけただけ」
そう説明すると彼はしばらくポカンとした顔でこちらを見つめた後に、呆れたように
「…変なやつ」
と呟いた
変なやつに好かれた可哀想な貴子くん
そんな変な奴にまともに会話をしようと思う君もまた変な奴だよ
0
お気に入りに追加
61
あなたにおすすめの小説
ヤンデレだらけの短編集
八
BL
ヤンデレだらけの1話(+おまけ)読切短編集です。
全8話。1日1話更新(20時)。
□ホオズキ:寡黙執着年上とノンケ平凡
□ゲッケイジュ:真面目サイコパスとただ可哀想な同級生
□アジサイ:不良の頭と臆病泣き虫
□ラベンダー:希死念慮不良とおバカ
□デルフィニウム:執着傲慢幼馴染と地味ぼっち
ムーンライトノベル様に別名義で投稿しています。
かなり昔に書いたもので、最近の作品と書き方やテーマが違うと思いますが、楽しんでいただければ嬉しいです。
あなたの隣で初めての恋を知る
ななもりあや
BL
5歳のときバス事故で両親を失った四季。足に大怪我を負い車椅子での生活を余儀なくされる。しらさぎが丘養護施設で育ち、高校卒業後、施設を出て一人暮らしをはじめる。
その日暮らしの苦しい生活でも決して明るさを失わない四季。
そんなある日、突然の雷雨に身の危険を感じ、雨宿りするためにあるマンションの駐車場に避難する四季。そこで、運命の出会いをすることに。
一回りも年上の彼に一目惚れされ溺愛される四季。
初めての恋に戸惑いつつも四季は、やがて彼を愛するようになる。
表紙絵は絵師のkaworineさんに描いていただきました。
いっぱい命じて〜無自覚SubはヤンキーDomに甘えたい〜
きよひ
BL
無愛想な高一Domヤンキー×Subの自覚がない高三サッカー部員
Normalの諏訪大輝は近頃、謎の体調不良に悩まされていた。
そんな折に出会った金髪の一年生、甘井呂翔。
初めて会った瞬間から甘井呂に惹かれるものがあった諏訪は、Domである彼がPlayする様子を覗き見てしまう。
甘井呂に優しく支配されるSubに自分を重ねて胸を熱くしたことに戸惑う諏訪だが……。
第二性に振り回されながらも、互いだけを求め合うようになる青春の物語。
※現代ベースのDom/Subユニバースの世界観(独自解釈・オリジナル要素あり)
※不良の喧嘩描写、イジメ描写有り
初日は5話更新、翌日からは2話ずつ更新の予定です。
鬼上司と秘密の同居
なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳
幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ…
そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた…
いったい?…どうして?…こうなった?
「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」
スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか…
性描写には※を付けております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる