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出会い
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しおりを挟む「っ!!触んじゃねぇ!」
俺は犬宮が気を緩めた少しの隙に両足を上に持ち上げ、隙間から足を引き抜き犬宮の腹に蹴りを入れた…
と思ったら、足が当たる前に腰を摩っていた手によって足を掴まれてしまった…
「…っ」
何なんだよ…コイツ…
反射神経どうなってるんだよ…
「お、お前!二重人格かよ!?」
「…え?…あー、どうだろうね?」
そう言って犬宮は不敵な笑みを浮かべる
「ていうか…」
グイッ
掴まれた片足を顔の近くまで持ってきて折り曲げられた
「こんな状況で話してていいの?…この格好…何だか卑猥だね…ははっ」
っ!!
「っ!離せ変態っ!気持ち悪いんだよお前っっ!!!」
「えー?だって俺が手を離したら絶対蹴ったり殴りかかってくるでしょう?」
「貴子くん意外と力強いから痛いんだよ?」
何当たり前のこと言ってんだコイツ…
こんな状況で反撃しないわけねぇだろ
誰が好き好んでこんな事されんだよ
くそっ…
久しぶりに人と話せて、別に友達だと思ってた訳じゃないけど少し嬉しい気分になってた自分に腹が立つ
もしかしたら仲良くなれるかもなんて…
そんな淡い期待を抱いていた自分に気づいた
毎回勝手に期待してしまういつまでも変われない情けない俺
なんだか急に胸が苦しくなって…
ダメだ…
視界がゆがんできた
こんなやつの前で…
泣きたくなんかないのにっ…
「ぅっ…」
「え…泣いてるの?」
「っ!泣いてねぇよ!」
「ごめんよ!…でも、泣かれると僕余計興奮しちゃうんだよね?」
「っ!?」
「なんてね!ごめんごめん…冗談だよ」
「…」
コイツ性悪すぎないか?
笑えない冗談だ
「貴子くんが負けをいつまでも認めないから少し意地悪しちゃった…怖い思いさせちゃってごめんね?」
「っ…別に怖い思いなんてしてねぇよ!!」
「初めて会った時から綺麗な顔してるなぁって思っててさ、少し問題児みたいな話を聞いたから余計興味が出てきちゃって…ほら、好きな子をいじめちゃうとかよくあるでしょ?そんな感じだよ」
「でもまさか泣いちゃうと思わなかったから…」
「泣いてねぇし!!」
「あー…うん、そうだね…」
何だその納得してない何か言いたげな顔は…
くそっ!
恥ずかしい…
こんなやつの前で泣きそうになったのも、なんかよくわからないことを言い出すコイツの言葉にも
「顔赤いよ?可愛いね」
「!?きもっ!」
「うわ!ひっどーい!」
ひどいと言う割には笑顔で楽しそうな犬宮
「とりあえず、僕の勝ちってことで僕と遊んでくれるよね?」
「~っ!!誰が遊ぶか!この変態っ!!」
そう言って俺は犬宮を突き飛ばし裏庭に走った
チッ…
不覚にもあいつに可愛いって言われて少しドキッとしてしまった…
俺は女じゃねぇ!!
俺は心臓の心拍数が上がっているのを走るので紛らわせていた
この気持ちに気づくのはもっともっと先の話
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