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第139話 B29撃墜確実
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S.ハンセン中尉が操縦するB29 「ミス・デボラ」号は、ようやく白い霧を抜け出したと思ったら、機位を失ってしまっていた。
「ヘイ、ジミー。しっかりしろと言っているだろう。俺たちは今、どの辺りを飛んでいるんだ?ナゴヤはどっちだ?」
「本来であれば八丈島辺りのはずですが、島どころか僚機も見当たりません。」
ハンセンが航法員に訊いても、はっきりしない。
「一体、どうしちまったんだ…。」
彼が不運を嘆いた時
「前下方に戦艦と空母発見!そのむこうに陸地と街が見えます。」
と、航法員から報告が入った。
「何ッ!」
ハンセンが下を覗き込むが、陸地は見えるものの、艦船は、はっきり見えない。
「ジミー、味方の艦隊じゃないのか?」
「いえ、日本艦です!パゴダマストが見えます!」
航法員から、驚くべき報告が返って来た。
改装を繰り返し、複雑な形状となった日本戦艦の艦橋を、米軍将兵は「パゴダマスト」と呼んでいたのである。
返事があったのと同時に、戦艦の甲板がパッと光った。
「!?」
何秒かおいて、ハンセンが
「ヤバい!」
と、咄嗟に操縦桿を左へ回し、左足のフットバーを踏むのと、目の前で爆発が起きるのが同時であった。
「クソッ、高射砲弾の炸裂か。」
炸裂した位置からこちらへ向けて弾子が飛んで来るのを、辛うじて左へ回避したように見えたが、右翼端エンジンが、火を噴きかけている。
「1番エンジン停止、燃料供給カット、プロペラ・フルフェザー。」
ハンセンは、次々と命令する。
「B29は、エンジンが一つ止まったくらいで墜ちはしない!みんな頑張れ!」
彼は、クルーたちを励ました。
日本艦からは、盛んに高射砲を撃ち上げて来るため、時折、爆風で機体が揺さぶられるが、飛行に支障はない。
「中尉、11時方向からゼロ!」
「何てこった。今度は迎撃戦闘機か!」
前方から接近した零戦は、左翼3番エンジンンに集中射を浴びせ、火を吹かせた。
「3番エンジン停止、燃料供給カット、プロペラ・フルフェザー。」
これで、残るエンジンは2基となってしまった。
「爆撃手、爆弾を捨てろ!」
今日は、2.5トンの爆弾を積んでいるが、爆弾を抱えたまま、目標まで持ちそうにない。
「了解しました。」
爆撃手の返答があり、直ぐに爆弾倉の扉が開き、爆弾が投下された。
ハンセンの眼下には、城壁に囲まれた街のようなものが見えたが、日本軍艦が停泊していたくらいなので、日本本土か島嶼のどこかの街であろうから、爆弾が命中しても構わないだろう、と彼は考えた。
「続けてオスカーが2時方向から来ます!」
今度は、右斜め前方から突っ込んで来た隼2機が、操縦室目掛けて機銃弾を浴びせて来た。
操縦席前面のガラスが砕け散り、銃弾が、操縦室内を火花を散らして駆け巡った。
この攻撃で、副操縦員が被弾し、操縦桿に圧し掛かったため、機体は大きく右に旋回しながら降下を始めた。
ハンセンは、爆撃手と航法員に命じて副操縦員の身体を操縦席からどかせて、高度5,000フィートの辺りで、ようやく機体の姿勢を取り戻した。
「中尉、今度は正面からニックが来ます!」
報告と同時に、屠龍が衝突寸前で機首砲を放ち、左急旋回で飛び去って行った。
屠龍の機首砲弾は、右主翼の付け根に命中し、激しい炎を吹き出させ始めた。
消火装置も追い付かない。
「みんな、脱出の用意をしろ!」
ハンセン中尉は、クルーに呼び掛け、重傷を負った副操縦員のパラシュート装着を手伝ってやった。
◆◆◆◆
出雲が発射した三式対空弾で損傷したと思われたB29を、まず、野山上等飛行兵曹の零戦が接敵して、南方でB17やB24 と戦った時と同じように、正面攻撃で、エンジン1基から火を吹かせた。
次いで、広尾曹長と大濱伍長の隼が連続して操縦席に射弾を送り込むと、操縦員に当たったらしく、B29の機体が、ガックリと首を垂れる様に降下して行った。
これで撃墜確実か、と思ったが、B29は、高度2,000mを切った辺りで持ち直し、水平飛行に戻った。
そこへ到着した、日高軍曹操縦の屠龍が、やはり正面攻撃から、機首37粍砲弾を、右主翼付け根に撃ち込んだ。
ここでB29は、被弾箇所から大火災を発生させ、今度こそ、撃墜確実と思われるに至った。
◆◆◆◆
大火災が発生したB29の脱出口から、まず、爆撃手が飛び降り、次いで、ハンセンが、重傷の副操縦員を、パラシュートの自動開傘装置のバンドを機体のフレームに引っ掛けた後、機外へ放り出した。
副操縦員のパラシュートが開いたのを見届けて、ハンセンも脱出口から飛び出したが、直後に、右翼が付け根から折れ、機体はバラバラになって墜ちて行った。
ハンセンからは、彼の後に開いたパラシュートは見えなかった。
◆◆◆◆
野山上飛曹たちが、墜ちて行くB29を見ていると、落下傘が3つ、花が咲く様にパッと開いたかと思った直後、機体は、右主翼が根元から折れ、バラバラになって堕ちて行った。
ほかに落下傘は開かなかった。
「B29撃墜確実」
地上から、皆も空戦の様子は見ていたであろうから、改めて報告するまでもなかったが、野山上飛曹は、最近ようやく使えるようになった無線電話で報告した。
「ヘイ、ジミー。しっかりしろと言っているだろう。俺たちは今、どの辺りを飛んでいるんだ?ナゴヤはどっちだ?」
「本来であれば八丈島辺りのはずですが、島どころか僚機も見当たりません。」
ハンセンが航法員に訊いても、はっきりしない。
「一体、どうしちまったんだ…。」
彼が不運を嘆いた時
「前下方に戦艦と空母発見!そのむこうに陸地と街が見えます。」
と、航法員から報告が入った。
「何ッ!」
ハンセンが下を覗き込むが、陸地は見えるものの、艦船は、はっきり見えない。
「ジミー、味方の艦隊じゃないのか?」
「いえ、日本艦です!パゴダマストが見えます!」
航法員から、驚くべき報告が返って来た。
改装を繰り返し、複雑な形状となった日本戦艦の艦橋を、米軍将兵は「パゴダマスト」と呼んでいたのである。
返事があったのと同時に、戦艦の甲板がパッと光った。
「!?」
何秒かおいて、ハンセンが
「ヤバい!」
と、咄嗟に操縦桿を左へ回し、左足のフットバーを踏むのと、目の前で爆発が起きるのが同時であった。
「クソッ、高射砲弾の炸裂か。」
炸裂した位置からこちらへ向けて弾子が飛んで来るのを、辛うじて左へ回避したように見えたが、右翼端エンジンが、火を噴きかけている。
「1番エンジン停止、燃料供給カット、プロペラ・フルフェザー。」
ハンセンは、次々と命令する。
「B29は、エンジンが一つ止まったくらいで墜ちはしない!みんな頑張れ!」
彼は、クルーたちを励ました。
日本艦からは、盛んに高射砲を撃ち上げて来るため、時折、爆風で機体が揺さぶられるが、飛行に支障はない。
「中尉、11時方向からゼロ!」
「何てこった。今度は迎撃戦闘機か!」
前方から接近した零戦は、左翼3番エンジンンに集中射を浴びせ、火を吹かせた。
「3番エンジン停止、燃料供給カット、プロペラ・フルフェザー。」
これで、残るエンジンは2基となってしまった。
「爆撃手、爆弾を捨てろ!」
今日は、2.5トンの爆弾を積んでいるが、爆弾を抱えたまま、目標まで持ちそうにない。
「了解しました。」
爆撃手の返答があり、直ぐに爆弾倉の扉が開き、爆弾が投下された。
ハンセンの眼下には、城壁に囲まれた街のようなものが見えたが、日本軍艦が停泊していたくらいなので、日本本土か島嶼のどこかの街であろうから、爆弾が命中しても構わないだろう、と彼は考えた。
「続けてオスカーが2時方向から来ます!」
今度は、右斜め前方から突っ込んで来た隼2機が、操縦室目掛けて機銃弾を浴びせて来た。
操縦席前面のガラスが砕け散り、銃弾が、操縦室内を火花を散らして駆け巡った。
この攻撃で、副操縦員が被弾し、操縦桿に圧し掛かったため、機体は大きく右に旋回しながら降下を始めた。
ハンセンは、爆撃手と航法員に命じて副操縦員の身体を操縦席からどかせて、高度5,000フィートの辺りで、ようやく機体の姿勢を取り戻した。
「中尉、今度は正面からニックが来ます!」
報告と同時に、屠龍が衝突寸前で機首砲を放ち、左急旋回で飛び去って行った。
屠龍の機首砲弾は、右主翼の付け根に命中し、激しい炎を吹き出させ始めた。
消火装置も追い付かない。
「みんな、脱出の用意をしろ!」
ハンセン中尉は、クルーに呼び掛け、重傷を負った副操縦員のパラシュート装着を手伝ってやった。
◆◆◆◆
出雲が発射した三式対空弾で損傷したと思われたB29を、まず、野山上等飛行兵曹の零戦が接敵して、南方でB17やB24 と戦った時と同じように、正面攻撃で、エンジン1基から火を吹かせた。
次いで、広尾曹長と大濱伍長の隼が連続して操縦席に射弾を送り込むと、操縦員に当たったらしく、B29の機体が、ガックリと首を垂れる様に降下して行った。
これで撃墜確実か、と思ったが、B29は、高度2,000mを切った辺りで持ち直し、水平飛行に戻った。
そこへ到着した、日高軍曹操縦の屠龍が、やはり正面攻撃から、機首37粍砲弾を、右主翼付け根に撃ち込んだ。
ここでB29は、被弾箇所から大火災を発生させ、今度こそ、撃墜確実と思われるに至った。
◆◆◆◆
大火災が発生したB29の脱出口から、まず、爆撃手が飛び降り、次いで、ハンセンが、重傷の副操縦員を、パラシュートの自動開傘装置のバンドを機体のフレームに引っ掛けた後、機外へ放り出した。
副操縦員のパラシュートが開いたのを見届けて、ハンセンも脱出口から飛び出したが、直後に、右翼が付け根から折れ、機体はバラバラになって墜ちて行った。
ハンセンからは、彼の後に開いたパラシュートは見えなかった。
◆◆◆◆
野山上飛曹たちが、墜ちて行くB29を見ていると、落下傘が3つ、花が咲く様にパッと開いたかと思った直後、機体は、右主翼が根元から折れ、バラバラになって堕ちて行った。
ほかに落下傘は開かなかった。
「B29撃墜確実」
地上から、皆も空戦の様子は見ていたであろうから、改めて報告するまでもなかったが、野山上飛曹は、最近ようやく使えるようになった無線電話で報告した。
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