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第3章・炎帝龍の山

三話・ボルドーたちの介入

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盾の男と人間至上主義の男の会話は、ボルドーたちも伝わっていた。
カーディナルは、上空から全ての人物の行動や会話を掌握。
ボルドーもまた、耳を使って、会話を聞いていたのだ。
しかし、その事を主人であるアイには、伝えようと思っていなかった。
自分の召喚に、大量に生贄を使っていたなんて、話を聞かせたくはないからだ。
本当ならば、召喚に関わった人物との接触なんてさせたくない。
だが、アイは、彼らを助けると決めた
自分の主人の意思に従うのが、契約守護獣の使命だが
それは主人の身の安全を確保した上っというのが前提だった。

彼らの間に割って入るタイミングも、自分たちに委ねてくれている
それは、アイが自分たちへの信頼の証だと思っていた。
もしも、盾の男が人間至上主義の男の提案を受け入れたならば
熊の連中を、助けずに排除して
避難した者だけを助ければいいだけの話
それ位にしか、思っていなかったらだ。
よって、彼がこの後にどう出るか見届けてから
でしか自分たちは、行動には移さない。
それは、ボルドーとカーディナル双方の意見の一致しての判断だった。

~~・~~・~~・~~・~~

↓リオside↓

リオは、追っ手の男の話を聞いていたが
やはり、コイツの軍門に下るつもりは無かった。
なぜなら、自分たちは、人間至上主義の思考…はない
獣人たちに対して、差別意識なんて
微塵も持っていなかったからだ
ならば、自分たちがすることは一つだ。

「お前の提案は断る、何があっても、お前の部下になんてなるつもりはない!!」

その返答に、人間至上主義の男は、激昂した。

「ほ~、お前は、獣ごときのために死にたいらしいな?」
「その通りだ。俺たちには、お前のくだらない人間至上主義の思考なんて無いんでね」

その言葉に、完全に頭に血が上った男は、大剣を振り回し始めた。

ガキン!

「くだらないだと⁉︎ふざけるな!!人間こそが最高の種族だ!!それ以外の存在なんて価値はない!!」

ガキン!

リオは、その大剣を盾でもろに受けないようにしながら
この男の隙を伺っていた。
わざと、怒らせるような返答して、揺さぶりをかけた。
だが…それは、失策だった。
男の一撃一撃が先ほどに比べて重く早くなった。
とてもじゃないが、受け切れない!!
そう思った直後だった。
男の放った一撃が盾にもろに入ってしまった。

ガッキン!ベッリン!

その大剣の一撃で、盾が壊れた。

「くっ!!」

壊れた盾を見て、男は笑った。

「ついに、盾が壊れたな!!次で最後だな!!」

周囲の取り巻きに怒鳴った。

「おい!!お前ら、何をボサッとしてるんだ?さっさと終わらせて次だ!!次!!」

その言葉に男の仲間が武器を構えた。
さすがに、盾がない状況でこの人数差は無理だ
だが…どうにかしないと
そうやって、頭をフルに回転させて、打開策を考えたが
中々早々には出ない。
そうしている間に男の仲間の一人が背後に回り込み
弓を構えて素早く、背中に狙いを定めると矢を放った

シュッーー!

矢がリオに向かって、飛んで行く
だが…その矢がリオに届く前に誰かが間に割って入った。

ドスッ!

リオは、背中に触れる感覚で何かが…
いや誰かがいることに気づいた。
リオが背後を見ると…
その目に映るのは、絶望だった。
そう…そこに居たのは、居るはずじゃない人物だった。

「…ヴァン…ど、どうして…お前がここに?」

リオを庇って割って入ったのは、リオの息子のヴァンだったのだ。
息子ヴァンは、馬車に居たはずだった
だが…今まさに、ここに居る

おそらく、義父に伝えた言葉を聞いて、馬車から飛び降りたのだろう。
普通ならば、只では済まないはず
だが…彼は、義父から戦闘訓練を受けていて、その程度のことは容易だった。
そして、矢を向けられていた父親リオを庇うためにとっさに割って入ったのだ
そして、矢は彼の胸を射抜いた。
矢の刺さったヴァンを腕に抱いた
まだ、息はあった。
だが、致命傷には違いない…

ザン!!

息子を前に動揺しているリオを大剣の刃が襲った。
背中を襲う衝撃…その後の熱さにも似た痛み
みるみる血に染まる身体
薄れゆく意識…

そこで自体は動いた。

~~・~~・~~・~~・~~

リオを切り捨て、大剣を振って

ビューン!

刃に付いた血を振り落とす
その傷と出血から死は確実だ
次を始末しなければならない

そして、忌ま忌ましいケモノを皆殺しにせねば
そう思いその場を立ち去ろうとしたその時だった。

その場の雰囲気がガラリて変わったのだ
自分たちの周囲の空間全体に途轍もないプレッシャーを感じる
それは、膨大な魔力と強烈な殺気だった
とんでもない存在が居るのが分かる

ガサ!

茂みの奥から何かが…
いや…それは、現れた。
暗闇の中、溢れるオーラを纏い黒い影が動き近寄ってくる
そして、その存在の外見が露わになった

「なん…なんだ?」
「上位種のウルフ…か?」
「いや…違…」

未知の存在が目の前に居て
強烈な殺気を放っている
自身の身にかかるプレッシャーに戸惑っていた。
するといきなり、辺りに威圧的な声が響いてきた。

『我をウルフだと?お前たちの目は節穴か?』

皆一様に、その声に驚き体を震わせた。
その声がする方へに仲間の視線が集まった。
だが誰一人として、その声を耳では聞いていなかった。
その威圧的な声は、念話だったのだ。

その事にリーダーの男は驚き、慌てふためいた。
念話が出来る魔物のは、この世界でも多数存在するが
それは、一対一の会話が出来るだけの存在だ
同時に複数人に念話ができる存在は限られている

そして、同時に膨大な魔力と強烈な殺気を放つ存在
それらは、明らかに彼らの大半にとって
相手ができる存在ではない事を物語っていた。

そんな中でも、リーダーの男は、その存在に対して
まだ戦意を失ってはいなかった。

そして、自身が手にしている大剣の柄を強く握りしめた。

 一方のボルドーは、っと言うと…
自分のプレッシャーを目の当たりにして
なお戦意をまだ失わない。
そんな男に、こう思っていた

(『自分との力量の差を測れないとは愚かな』)
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