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第1章・始まりの森
十一話・セーフスペースの祠
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セーフスペースの中に入るのが怖い…
あの木がどんな事になってるのか?
想像力を働かせるのが怖い…
何故って?
あの木の成長速度をこの目にしたから
オレとボルドーは、二人で頭を抱えながら外に出て
入り口と一緒にあの木への思考を閉ざしたからだ。
しかし、いずれは…
いや、早急にだった
夜には、セーフスペースに入らないといけない理由がある。
入り口を開け中を確認せねばならない。
先延ばしは止めよう。
オレは、ボルドーに告げる決意をした。
「ボルドー、覚悟を決めて中に入ろう」
ボルドーがオレの方に勢いよく、こっちに振り向いた。
『アイ様⁉︎正気ですか?』
明らかに動揺している。
「オレは、セーフスペースに夜には、入らないとダメなんだよ?」
夜にはっという言葉に
ボルドーも、大事な事を思い出したようだ。
『そうでした。イレ様に言われましたね…。』
そう…
オレは、この世界の主神のイレさんに、別れ際言われたのだ。
神界から去る少し前の事だ。
~~・~~・~~・~~・~~
「そろそろ、旅立たれるのですか?」
「そうですね。この世界で生きるなら、旅をして、傷を治さないといけないですから」
そう、オレには、召喚の際に負った傷がある。
それを治さないなければ、ならないんだ。
「分かりました。ですが、この旅をする上で逢さんに、絶対に注意してもらいたい点が1つあります。」
オレが絶対に注意するべき点?
何だろう?
強盗とかの犯罪系かな?
けど、それって地球でも、普通な事じゃないか?
だったら何だろうか?
ダメだ、分からない。
そう思って、考えていると
イレさんに声をかられた。
「やはり、分かりませんか?」
オレが分からないのを見透かされたようだ。
やはり、神様には隠し事は出来ないな。
「そうですね。イレさん、オレが旅する上で注意するべき点とは、何でしょうか?」
そのオレの問いに対して、イレさんの顔が曇った。
とても言いにくそうに口を開く。
「逢さん」
オレ名を呼び、目を見つめて来た。
「それには、私が貴方に隠していた事を告げねばなりません。」
「隠していた事?」
言いにくそうだけど、一体何だろう?
「実は、私が貴方に掛けた術は、完全なものではありません。一日しか保ちません。」
「はい?」
その時のオレの顔は、さぞ間抜け顔だった事だろう。
神様の術が不完全⁉︎
イレさんが話の続きをしてくれた。
「貴方は、不完全な異世界召喚術のせいで、私達の加護と言った。ものがありません。」
そう、オレには、神様の加護やスキルとかの異世界召喚術をされた者が当然のように受ける物がない。
それは、前に聞いたけど?
それと関係あるのかな?
イレさんの話が続く
「私達の術は、この世界にいる方を対象に発動します。ですが、貴方は、そうであって、そうではない。」
そうであって、そうではない。
そうだ。
この世界に居るが、召喚が不完全で、完全には召喚されていない。
それが、オレが傷を負った原因だ。
神様の加護やスキルといった物を持っていない理由でもある。
「神である私達の力が届く場所の近くに貴方が居れば、術を継続し続ける事が出来ますが、その範囲から出でしまうと貴方を見つけられないんです。」
申し訳なさそうに、オレにそう告げた。
「見つけられない?」
オレには、疑問にしか思えなかった。
この世界を管理している神様に、同じこの世界に居るオレを見つけられない
なんて、事があるのだろうか?
イレさんが更に話を続けた。
「貴方の負った傷は、この世界に歪みを与えています。極めて、局所的にですがその歪みの中心に居る貴方は、神界から全く、見えません。」
そう、いくら神様でも自分の目に見えない者に対して
その力を届かせるのは、至難の技だった。
神界や聖域といった、神様の領域ならばまだ見える。
「なら、オレに掛かってる術は、いずれ解ける?」
「そうです。そして、解けたらまた掛け直せる保証はありません。」
それって、もし一度でも解けたら
オレの命はないって事か…
ヤバい、現実味がないけどさ
そう思うと怖い…
視線が下がってしまう。
視線に自分の手が見えた
オレの手が震えていた。
その手にさっと、誰かの手が触れた。
イレさんの手だ…
オレの手を優しく、包み込んでくれている。
「大丈夫です。一度でも術が解けたらダメなら、この術が解けないようにすればいいんです。」
「でも、旅をしながら、ずっと神界や聖域に居る事なんて、できるんでしょうか?」
そうだ。
聖域に居たり、神界にいたら
世界を旅なんてとても、出来ない。
「大丈夫。定期的に聖域に居なきゃいけないならば、旅に持っていけばいいんですよ。」
「聖域を持って行く?」
オレの目を見つめて頷いて答えた。
旅に聖域を持って行く?
聖域っていうと神殿とか?
そもそも、神殿なんてないし
どうするんだ?
「厳密に言えば、聖域を聖域にしている物を持って行くんですよ。」
「聖域を聖域にしている物?それは、一体?」
聖域にする物って言ったら御神体かな?
神の奇跡とかの伝承とかが、あるいわれのある物とかかな?
「近くにあります。この神界に来るために使っている祠です。」
「あの祠?」
祠って、あの苔生しているあの祠?
けど、あの祠って太陽の光を浴びてないと
神界と行き来が出来ないからなぁ~
って、よく考えたら
あの祠、スゴイな!!
普通なら行けないハズの神界へ行けるんだから
「そうでしょう?あの祠の周りを聖域にして、貴方に私の力が届くようにしましょう?そうすれば、貴方の術は解けません。」
「イレさん、ありがとうございます。」
~~・~~・~~・~~・~~
そんなこんなで、セーフスペースに祠を入れたのだ。
そして、念のために、一日一回は必ず
祠の前で、神様であるイレさんに祈りを捧げなきゃいけないんだ。
だからこそ、何があっても、セーフスペースに入らないと!!
そうして、オレの指示に従って、ボルドーがセーフスペースの入り口を開けた。
オレ達は、今、セーフスペースに入る。
あの木がどんな事になってるのか?
想像力を働かせるのが怖い…
何故って?
あの木の成長速度をこの目にしたから
オレとボルドーは、二人で頭を抱えながら外に出て
入り口と一緒にあの木への思考を閉ざしたからだ。
しかし、いずれは…
いや、早急にだった
夜には、セーフスペースに入らないといけない理由がある。
入り口を開け中を確認せねばならない。
先延ばしは止めよう。
オレは、ボルドーに告げる決意をした。
「ボルドー、覚悟を決めて中に入ろう」
ボルドーがオレの方に勢いよく、こっちに振り向いた。
『アイ様⁉︎正気ですか?』
明らかに動揺している。
「オレは、セーフスペースに夜には、入らないとダメなんだよ?」
夜にはっという言葉に
ボルドーも、大事な事を思い出したようだ。
『そうでした。イレ様に言われましたね…。』
そう…
オレは、この世界の主神のイレさんに、別れ際言われたのだ。
神界から去る少し前の事だ。
~~・~~・~~・~~・~~
「そろそろ、旅立たれるのですか?」
「そうですね。この世界で生きるなら、旅をして、傷を治さないといけないですから」
そう、オレには、召喚の際に負った傷がある。
それを治さないなければ、ならないんだ。
「分かりました。ですが、この旅をする上で逢さんに、絶対に注意してもらいたい点が1つあります。」
オレが絶対に注意するべき点?
何だろう?
強盗とかの犯罪系かな?
けど、それって地球でも、普通な事じゃないか?
だったら何だろうか?
ダメだ、分からない。
そう思って、考えていると
イレさんに声をかられた。
「やはり、分かりませんか?」
オレが分からないのを見透かされたようだ。
やはり、神様には隠し事は出来ないな。
「そうですね。イレさん、オレが旅する上で注意するべき点とは、何でしょうか?」
そのオレの問いに対して、イレさんの顔が曇った。
とても言いにくそうに口を開く。
「逢さん」
オレ名を呼び、目を見つめて来た。
「それには、私が貴方に隠していた事を告げねばなりません。」
「隠していた事?」
言いにくそうだけど、一体何だろう?
「実は、私が貴方に掛けた術は、完全なものではありません。一日しか保ちません。」
「はい?」
その時のオレの顔は、さぞ間抜け顔だった事だろう。
神様の術が不完全⁉︎
イレさんが話の続きをしてくれた。
「貴方は、不完全な異世界召喚術のせいで、私達の加護と言った。ものがありません。」
そう、オレには、神様の加護やスキルとかの異世界召喚術をされた者が当然のように受ける物がない。
それは、前に聞いたけど?
それと関係あるのかな?
イレさんの話が続く
「私達の術は、この世界にいる方を対象に発動します。ですが、貴方は、そうであって、そうではない。」
そうであって、そうではない。
そうだ。
この世界に居るが、召喚が不完全で、完全には召喚されていない。
それが、オレが傷を負った原因だ。
神様の加護やスキルといった物を持っていない理由でもある。
「神である私達の力が届く場所の近くに貴方が居れば、術を継続し続ける事が出来ますが、その範囲から出でしまうと貴方を見つけられないんです。」
申し訳なさそうに、オレにそう告げた。
「見つけられない?」
オレには、疑問にしか思えなかった。
この世界を管理している神様に、同じこの世界に居るオレを見つけられない
なんて、事があるのだろうか?
イレさんが更に話を続けた。
「貴方の負った傷は、この世界に歪みを与えています。極めて、局所的にですがその歪みの中心に居る貴方は、神界から全く、見えません。」
そう、いくら神様でも自分の目に見えない者に対して
その力を届かせるのは、至難の技だった。
神界や聖域といった、神様の領域ならばまだ見える。
「なら、オレに掛かってる術は、いずれ解ける?」
「そうです。そして、解けたらまた掛け直せる保証はありません。」
それって、もし一度でも解けたら
オレの命はないって事か…
ヤバい、現実味がないけどさ
そう思うと怖い…
視線が下がってしまう。
視線に自分の手が見えた
オレの手が震えていた。
その手にさっと、誰かの手が触れた。
イレさんの手だ…
オレの手を優しく、包み込んでくれている。
「大丈夫です。一度でも術が解けたらダメなら、この術が解けないようにすればいいんです。」
「でも、旅をしながら、ずっと神界や聖域に居る事なんて、できるんでしょうか?」
そうだ。
聖域に居たり、神界にいたら
世界を旅なんてとても、出来ない。
「大丈夫。定期的に聖域に居なきゃいけないならば、旅に持っていけばいいんですよ。」
「聖域を持って行く?」
オレの目を見つめて頷いて答えた。
旅に聖域を持って行く?
聖域っていうと神殿とか?
そもそも、神殿なんてないし
どうするんだ?
「厳密に言えば、聖域を聖域にしている物を持って行くんですよ。」
「聖域を聖域にしている物?それは、一体?」
聖域にする物って言ったら御神体かな?
神の奇跡とかの伝承とかが、あるいわれのある物とかかな?
「近くにあります。この神界に来るために使っている祠です。」
「あの祠?」
祠って、あの苔生しているあの祠?
けど、あの祠って太陽の光を浴びてないと
神界と行き来が出来ないからなぁ~
って、よく考えたら
あの祠、スゴイな!!
普通なら行けないハズの神界へ行けるんだから
「そうでしょう?あの祠の周りを聖域にして、貴方に私の力が届くようにしましょう?そうすれば、貴方の術は解けません。」
「イレさん、ありがとうございます。」
~~・~~・~~・~~・~~
そんなこんなで、セーフスペースに祠を入れたのだ。
そして、念のために、一日一回は必ず
祠の前で、神様であるイレさんに祈りを捧げなきゃいけないんだ。
だからこそ、何があっても、セーフスペースに入らないと!!
そうして、オレの指示に従って、ボルドーがセーフスペースの入り口を開けた。
オレ達は、今、セーフスペースに入る。
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