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第1章・始まりの森

八話・蜂と蜘蛛

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この異世界の世界イレベリアの旅に
最初に出会ったフェンリルのボルドーに加えて
新しく来た、フェニックスのカーディナルが加わった。

オレは、いつも通りボルドーの背に跨っている。
カーディナルは、オレとボルドーの上を飛んでいる。
森の中を旅をして丁度、半分くらい過ぎた頃
カーディナルが話しかけてきた。

『アイ様ボルドー、この先に、魔物の巣がありますわ』

何?魔物の巣⁉︎
何だか、危険な匂いがするよ?
オレは二人に相談する。

「それって、迂回した方がいいんじゃないか?」

オレの問いに
カーディナルが答える

『アイ様、既に私達は、対象の魔物の領域テリトリーに入っていますわよ?』

え?それって、魔物の縄張りに入っちゃったって事⁉︎

「それって、マズくない?大丈夫なの⁉︎」

その問いにボルドーが答える

『アイ様、大丈夫です!!あの程度の魔物に私達は、遅れを取りません!!』

ボルドー君、鼻高らかに自信満々に、言って来ましたよ。
大丈夫かな…
オレ魔物に遭遇した事ないんだけど?

『アイ様に敵対したら、退治すればいいんですわよね~~』

カーディナルもボルドー同様に自信満々だった。
はぁ~~
ダメだ、コレは迂回とかする気ないな…。
仕方ない。
魔物かぁ…どんな生き物だろうか?

「ボルドー、カーディナル、その魔物って何?」

質問するっと、直ぐに答えが返って来た

『『蜂と蜘蛛です』わ』

二人の声が揃ったよ。
蜂と蜘蛛?
魔物って、虫のヤツか?

「虫?」
『『そうです』わ』

また、二人の声が揃って返って来た。

「その魔物って強いの?」
『う~ん。人間の冒険者には、恐れられてるらしいですよ?』
『そうよね?冒険者に、とか、呼ばれてるって話でしたわ』

死の前触れ⁉︎
何それ、コワ!!

「それってやっぱり、マズくないの?」
『『アイ様、私達が居れば、大丈夫です』わ』

不安になり、二人聞くけど…
全く、その魔物の事を気にしていないんだけど?
それどころか、ボルドーは、ニヤっと口元に笑みを浮かべている。
それには、理由がある。

『アイ様、蜂蜜ですよ?蜂蜜!!』
『そうそう、あの蜂の蜂蜜って、美味しいって話よね~』

蜂蜜…
蜂蜜について、念話で話し合って二人とも、ウキウキのご機嫌だった。
コレは、もうダメだな…。
二人とも…
完全に蜂の巣にある、って話の蜂蜜をゲットするのに夢中だった。
はぁ~~
夢中になると人の話を聞かないとは、この先困るんじゃないか?
そう思いながらも、走り出したボルドーの背の上で揺られながら
もうこうなったら、っと諦める事にした。
オレだった。

~~・~~・~~・~~・~~

しばらく、ボルドーが軽やかに、森の中を駆け抜けてくと

『もう、そろそろのはずですよ』
『近いですわね』

どうやら目的の魔物の巣に近くまで来たようだ。
大丈夫なのだろうか?

「いきなり、襲って来ないかな?」
『そしたら、即ぶっ飛ばしますから大丈夫ですよ』
『そうですわ、情けは無用ですね~』
「そ、そうだな」

襲ってきたら、情け無用でぶっ飛ばすとか
何やら、物騒な言い方だけど
襲われたなら、それでもいいかな?
そんな事を考えていたら、少しだけだが
森が開けているのに気づかなかった。
そして、ボルドーに声をかけられた。

『アイ様見えましたよ!』
「え?どれ⁉︎」

変え事してると周り見てないからな…
仕方ない。
前を見ると、一面の花畑
大小様々、彩り鮮やかな花畑。
植物園のようで、見事なものだ。
っと、いけない!!
花畑に見惚れていた。
魔物の巣って、どこにあるんだろう?
うん⁉︎分かんない。
マジで、見つけられないんだけど?

「何処⁉︎」
『アイ様花畑の奥ですよ』
『目の前の木がそうですわよ?』
「花畑の奥で、目の前の木っと」

オレは、必死に目を凝らして探す。
ボルドー達が言う花畑の奥の木とは
120メートル以上先の反対側の森の木だ
その木に付いてる蜂の巣なんて、見える訳がない…
そう思ったんだけど
実際は、違った。

「ひょっとして、アレか?あのデカイの⁉︎」
『『そうです』わ』

オレは、見つけてしまった。
とんでもない物を
驚異的なサイズの巣だった。
この森の木々は、3メートル超えが普通…
大木と言っていいレベルの大きさだけど
その木と同じサイズの巣が形成されていた。
ぱっと見ただけでは、木にしか見えない。
だがよく見れば、何処と無く違和感がある。
その巣のある方にボルドー達は、気にせずに進む
そして、オレは更に、ある事に気付いた。

「ち、ちょっと、ボルドー、カーディナル待ってくれ!!」
『どうしました?何かありました?』
「デカイの巣だけじゃない⁉︎」
『そうですわよ?コレが、この魔物のサイズで普通ですわ』

そう、デカイのは、巣だけじゃなかったんだ。
その巣の住人つまり、蜂もかなりの大きさだった。

地球で大きい蜂、スズメバチだ
大きさが大体40ミリ位、十分に巨大なサイズだが

こちらの世界イレベリアでは、その知識が適応外だった。
そのサイズが見ただけでも、軽く10センチ位…
いかに巨大か、お分かりだろうか?

さすが異世界の生物しかも、魔物…
それがワラワラと、十数匹
巣の周りに張り付いている。

「あの蜂の巣から蜂蜜を取るの?」
『『そうです』わ』

やっぱり、この子達平然と言ったよ…
無理じゃない?
そう言えば、って、言ってなかった⁉︎
蜘蛛何処よ⁉︎

「ボルドー、蜂と蜘蛛って聞いたんだけど?蜘蛛は⁉︎」
『アハハ、アイ様、蜘蛛なら、あそこにいるじゃないですか』

ボルドーが笑いながら、蜘蛛がいるって言ったよ?
ボルドーには、普通に見えてるって事か⁉︎
ヤバい!!言われても、言われなくても、オレには、全く見つけられない!!
オレは、もう必死に探した!!
でも、蜂と蜂の巣以外見つけられなかった。

「ボルドー見つけられないよ!!」
『ふふ、そうですか?』

イタズラっ子ぽく、ボルドーが笑ってる。
見かねたカーディナルがボルドーの頭を翼で叩いた。

『バカ、人間のアイ様に見つけられる訳がないでしょう!!』
「へ?」

カーディナルの発言にオレは
まさしく、豆鉄砲を食らった鳩になった気がした…
人間に見つけられない⁉︎

『カーディナル悪かったって、』
『バカね!アイ様を困らせてどうするのよ?』
「ちょっと待って、二人とも、どういう事⁉︎」

ボルドー達が種明かしをした。
ボルドー達が言う蜘蛛はある能力スキルを使っていた
っという事、それは擬態の能力スキルだった…。
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