マリーゴールド

Auguste

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第49幕 昔のように……

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警察の現場検証が終わったようだ。
その間、俺は沙和子に連絡をした。
沙和子は言葉にならないぐらいの泣き声を上げていた。
今ここに向かっているそうだ。
俺は2人から尋問を受けている。

「ポストに入っていたチケットとお父さんの部下から連絡があって、ここに来てみたと?」

「はい…………。そうです。」
もうあまり声が出ない。

「なるほど……。」
今回小山はあまり突っ込まない。

「迷子センターにあったテレビはブラウン管で古いタイプですが、元々あったものでは無いことが分かりました。」
わざわざ用意してあれを見せたかったのか……。
finと……。
終わりか……。
それに監督……。

「あと放送室の機械は改造された形跡がありました。」
「それとスピーカーに各場所に小型カメラが設置され……。」
「あなたが来たタイミングで遠隔操作し、放送を流した……ってことになりますな。」


「…………。」

「死亡推定時刻は先週の8月3日の21時頃。」
「この時は何してました?」

「…………。」
「家にいたと思います………。」

「証明できる人は?」

「………いません。」

「……………。」
「わかりました。ご協力ありがとうございます。」
「また何かわかったら連絡しますので。」

「はい………。」

「友和……。」
俺の後ろで声がした。
振り向くと沙和子が立っていた。

「お母さんとお父さんは?」
俺は迷子センターの方を見る。

「そこにいるの?」
沙和子が入ろうとする。

大鷲が止めた。
「今はあまり………見ないほうがいいと思います。」

沙和子が大鷲の手を振り払い、
「なんでよ!会わせてよ!」
「お父さんとお母さんに!」

「お嬢さん、落ち着いてください。」
無理にでも入ろうとする沙和子を小山が止める。

「なんでよ………。なんでよ!」
「お父さん!お母さん!」
沙和子が泣きながら扉を叩きながら叫んだ。


その泣き声は虚しく響いた。


しばらく泣き叫んだ後、沙和子は落ち着き、
2人で駅に向かった。
沙和子は俺の袖をぎゅっと掴んで離さない。
昔はよく寂しいときに掴んで離れなかった。

父さんと母さんが死んで……。
親戚もいない。
たった2人だけの家族となってしまった。
これからどう生きていけばいいんだろう。
俺はいい…。
でも沙和子の心にはきっと深い傷がついてしまっただろう。
沙和子のこれからが心配になる。
兄としてどう導いてあげればいいのか?

それだけじゃない。
沙和子が事件に巻き込まれるかもしれない。
殺されてしまうかもしれない。
沙和子を守れるのは……。
俺しかいない。

「友和……。」
「今日……家泊まっていい?」
年頃の妹を泊めていいか少し悩んだが、こんな状況だ。

「いいよ……。」
「女物の服はないけど。」

「途中で代わりの物買う…。」

「わかった…。」
2人で俺の家に向かった。
昔のように……。
袖を離さない妹と一緒に。
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