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第47幕 A Balloon Show
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俺は今、八王子に向かってる。
実家に戻って鍵を開けた。
どこにも父さんや母さんはいなかった。
争った形跡も荒らされた形跡もなく、いつもと変わらない我が家だったのだ。
2人が行きそうなところへ手当たり次第行った。
家族でよく行った映画館にも…。
何も手がかりは無かった。
流石に映画館にいるわけないと思ったが、2人が心配だった。
ほんの少しでも手かがりはないかと……。
その時に頭をよぎったのが、昨日ポストの中に入っていたチケット…。
A Balloon Show……。
廃墟になった遊園地のチケットがポストに入っていたタイミングで、父さん達が何処かへ消えてしまった。
これは偶然なんだろうか?
俺は居ても立っても居られなくなり、そこに向かうことにしたのだ。
入り口に着いたが、かなり老朽化している。
入り口の上に風船を持った大きいピエロがいて、その下に風船で作ったようなA Balloon Showの文字がある。
俺は必死に探し回った。
ジェットコースター、メリーゴーランド、お化け屋敷、マジックショーの舞台等、多くの場所を探した。
だが、誰もいない。
人の気配すらない。
もう使われなくなった古びたアトラクションがあるだけ。
最後に気球があったところに向かった。
事故が起きた時からそのままだったようだ。
以前はカラフルな色だったらしいが、かなり汚れているし穴が空いている。
'ピンポーンパンポーン'
気球を見ているとチャイム音が鳴った。
閉鎖されている筈なのに……。
何故チャイム音が?
「お知らせです。大沢綾葉さん、里部翔馬さん、小田友和さんがお待ちでした。」
かなりエフェクトがかかった声のアナウンスだ。
男なのか、女なのかわからない。
なんで殺された2人と俺の名前が……。
そして俺の名前……。
どこから発信してるんだ?
入り口付近のところかもしれない。
何かのいたずらか?
それとも………。
事件の犯人がいる……?
俺は急いで入り口のところまで向かう。
'ピンポンパンポーン'
「お知らせです。木原美喜男さん、木原魚月さん、小田友和さんがお待ちでした。」
ふざけたことをしやがって。
こんなこと…………すぐに終わらせてやる。
ここはそこまで広いところではない。
すぐに戻れる。
息切れする。
普段からタバコ吸って、運動なんて全くしてないからだ。
俺は少しだけ休んで、また走った。
ずっと休んでなんかいられない。
'ピンポンパンポーン'
「お知らせです。佐藤学さん、小田友和さんがお待ちでした。」
入り口近くに着いた。
周囲を探す
ここは……迷子センターか?
鍵は開いており、中に入れた。
迷子の子供が親を待てるように、おもちゃやテレビが置いてある。
このテレビ……。
ブラウン管だが、少し綺麗じゃないか?
何か写っている
大きな文字で
fin
右下には小さく
監督・脚本 Asmodeus
finは……映画が終わったときに使われる画面だ。
それに監督名は……。
アスモデウスと読むのか?
そんな監督聞いたことないが……。
'ピンポンパンポーン'
「お知らせです。草尾晃香さん、小田友和さんがお待ちでした。」
アナウンスがまた流れ始めて、俺はアナウンス室に入った。
だが、誰もいなかった。
自動再生されていたのか?
どうやって?
それに……壺?
大きな壺が2つある。
しかも椅子の上に。
壺がまるでアナウンスしてたかのように置いてある。
蓋がしてあるが……。
この中に何が入っているのか?
俺は恐る恐る左側の蓋を開ける。
そこには……。
「うわ!?」
俺はあまりの悍ましさに蓋を投げてしまった。
虫だ…。
しかも壺の中一杯に。
直視できない。
虫は苦手だ。
'ピンポーンパンポーン'
「お知らせです。小田友三さん、小田友和さんがお待ちでした。」
「え?」
なんで母さんの名前が………。
さっきから名前を呼ばれていたのは殺された人達だ。
何故母さんの名前が……。
俺は少しだけ壺を見る。
虫とは違うものが見える
まるで人の指のような……。
母さん……。
「うわぁぁぁぁぁ……。」
俺は必死になって虫をかき分けた。
ムカデや毛虫、名前もわからない虫がいる
虫だけじゃない。
カエルや蛇、カタツムリも。
そんなのどうだっていい!
俺は必死だった。
そして………。
手が見えた。
左手……。
薬指にある指輪は……。
「母さん……。」
母さんの手だった。
指輪を肌身離さずつけていた母さんの手……。
もしかしてもう一つの壺は……。
同じように虫で一杯になっていた。
だが俺はその中も必死にかき分けた。
何か丸いものに触れた。
俺はそれを掴み、両手で持ち上げた。
それは………。
'ピンポーンパンポーン'
「お知らせです。小田和虎さん、小田友和さんがお待ちでした。」
父さんの頭だった……。
実家に戻って鍵を開けた。
どこにも父さんや母さんはいなかった。
争った形跡も荒らされた形跡もなく、いつもと変わらない我が家だったのだ。
2人が行きそうなところへ手当たり次第行った。
家族でよく行った映画館にも…。
何も手がかりは無かった。
流石に映画館にいるわけないと思ったが、2人が心配だった。
ほんの少しでも手かがりはないかと……。
その時に頭をよぎったのが、昨日ポストの中に入っていたチケット…。
A Balloon Show……。
廃墟になった遊園地のチケットがポストに入っていたタイミングで、父さん達が何処かへ消えてしまった。
これは偶然なんだろうか?
俺は居ても立っても居られなくなり、そこに向かうことにしたのだ。
入り口に着いたが、かなり老朽化している。
入り口の上に風船を持った大きいピエロがいて、その下に風船で作ったようなA Balloon Showの文字がある。
俺は必死に探し回った。
ジェットコースター、メリーゴーランド、お化け屋敷、マジックショーの舞台等、多くの場所を探した。
だが、誰もいない。
人の気配すらない。
もう使われなくなった古びたアトラクションがあるだけ。
最後に気球があったところに向かった。
事故が起きた時からそのままだったようだ。
以前はカラフルな色だったらしいが、かなり汚れているし穴が空いている。
'ピンポーンパンポーン'
気球を見ているとチャイム音が鳴った。
閉鎖されている筈なのに……。
何故チャイム音が?
「お知らせです。大沢綾葉さん、里部翔馬さん、小田友和さんがお待ちでした。」
かなりエフェクトがかかった声のアナウンスだ。
男なのか、女なのかわからない。
なんで殺された2人と俺の名前が……。
そして俺の名前……。
どこから発信してるんだ?
入り口付近のところかもしれない。
何かのいたずらか?
それとも………。
事件の犯人がいる……?
俺は急いで入り口のところまで向かう。
'ピンポンパンポーン'
「お知らせです。木原美喜男さん、木原魚月さん、小田友和さんがお待ちでした。」
ふざけたことをしやがって。
こんなこと…………すぐに終わらせてやる。
ここはそこまで広いところではない。
すぐに戻れる。
息切れする。
普段からタバコ吸って、運動なんて全くしてないからだ。
俺は少しだけ休んで、また走った。
ずっと休んでなんかいられない。
'ピンポンパンポーン'
「お知らせです。佐藤学さん、小田友和さんがお待ちでした。」
入り口近くに着いた。
周囲を探す
ここは……迷子センターか?
鍵は開いており、中に入れた。
迷子の子供が親を待てるように、おもちゃやテレビが置いてある。
このテレビ……。
ブラウン管だが、少し綺麗じゃないか?
何か写っている
大きな文字で
fin
右下には小さく
監督・脚本 Asmodeus
finは……映画が終わったときに使われる画面だ。
それに監督名は……。
アスモデウスと読むのか?
そんな監督聞いたことないが……。
'ピンポンパンポーン'
「お知らせです。草尾晃香さん、小田友和さんがお待ちでした。」
アナウンスがまた流れ始めて、俺はアナウンス室に入った。
だが、誰もいなかった。
自動再生されていたのか?
どうやって?
それに……壺?
大きな壺が2つある。
しかも椅子の上に。
壺がまるでアナウンスしてたかのように置いてある。
蓋がしてあるが……。
この中に何が入っているのか?
俺は恐る恐る左側の蓋を開ける。
そこには……。
「うわ!?」
俺はあまりの悍ましさに蓋を投げてしまった。
虫だ…。
しかも壺の中一杯に。
直視できない。
虫は苦手だ。
'ピンポーンパンポーン'
「お知らせです。小田友三さん、小田友和さんがお待ちでした。」
「え?」
なんで母さんの名前が………。
さっきから名前を呼ばれていたのは殺された人達だ。
何故母さんの名前が……。
俺は少しだけ壺を見る。
虫とは違うものが見える
まるで人の指のような……。
母さん……。
「うわぁぁぁぁぁ……。」
俺は必死になって虫をかき分けた。
ムカデや毛虫、名前もわからない虫がいる
虫だけじゃない。
カエルや蛇、カタツムリも。
そんなのどうだっていい!
俺は必死だった。
そして………。
手が見えた。
左手……。
薬指にある指輪は……。
「母さん……。」
母さんの手だった。
指輪を肌身離さずつけていた母さんの手……。
もしかしてもう一つの壺は……。
同じように虫で一杯になっていた。
だが俺はその中も必死にかき分けた。
何か丸いものに触れた。
俺はそれを掴み、両手で持ち上げた。
それは………。
'ピンポーンパンポーン'
「お知らせです。小田和虎さん、小田友和さんがお待ちでした。」
父さんの頭だった……。
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