マリーゴールド

第40幕 恩義のない七光り

あいつ…。
こんな時間帯に呼び出しやがって。
もう23時15分だぞ
休みだっていうのに会社に来なきゃいけないんだ。
なんでわざわざ会社で待ち合わせにしたんだ？意味が分からん。
大した話じゃなきゃぶっ飛ばしてやる。
最近たださえろくなことがないのに……。

俺は社内を見回した。
もうこの会社は終わりだ。
さっさとここからおさらばするか。
社長ももう使いもんならんしな。
社長ってだけで本当に役に立たない。
俺の人生計画がパァだ。

どいつもこいつも人が死んだぐらいで騒ぎすぎなんだよ。
既存の小汚ねぇババァ共も、うちの商品で多少はまともなツラになったくせに、手の平返しやがって……。

「………。」
それにしても寒いな。　
クーラーつけっぱなしなのか？

リモコンを見てみるか。

16℃？
馬鹿じゃねえのか？
誰だ？
消し忘れたの。
役立たずはすぐ帰ったから蝿川か？
あの役立たずですら出来ることをあいつはできないのか？
本当にどいつもこいつも使えねぇ。


そういえばあの役立たずがあのアサちゃんの元彼だったとはな……。
くっそー。
羨ましい。
まあ十分楽しんだからいいんだけどな。
あいつは奥手そうだからほとんど何も出来なさそうだな。
マグロ状態か？
それとも付き合ってたけど何もしてませんでしたってパターンか？
後者だったら笑えるぜ！
あんなべっぴんさんをよ。
まああいつも「あたし彼氏いないよ！」とかほら拭いてた虚言女だがな。
いくら見た目が良くても中身がゴミ。
俺も遊ばれたみたいな感じだし、死んで清々した。

「………」
それにしても遅いな。
人を待たすなんて良い度胸してんじゃねえか。


'ガチャ'
「お！やっときたな。」

「………」

「おせぇんだよ。どんだけ待ったと思ってんだ。」
　
「………」

「ん？」
「それは…………。」