6 / 6
第5幕 少年時代
しおりを挟む
俺は小山さんと別れた後、署に向かった。
アラン・スミシー……。
一体何者なんだ?
あの事件の真似事なんて何がしたいんだ?
あの事件当時の俺は、高校3年生。
有名な話だったからよく覚えてる。
丁度大学の受験シーズンだったけど、クラス中この話で持ちきりだった。
いや、クラスだけじゃなかったな。
学校全体だ。
それに、小中時代の奴らと久々に会ったらまず話題に上がったのが、その殺人事件だった。
みんなとは仲良くしてたけど、その時はあまりいい気分じゃなかった。
見立て殺人だったからか、謎解き合戦が行われた。
人の内臓が抜き取られたり、骨を粉々にされたり、バラバラにされてるのにも関わらず、みんな和気藹々としていた。
テレビのニュースや配信でもそうだった。
司会やゲスト達、考察系と呼ばれる配信者が面白おかしく謎を解こうとする。
あるお笑い芸人は『脳が無くなってオーノー』っていうネタを披露していた。
炎上するどころか、流行りのワードになって俺は恐ろしかった。
俺にそのネタの面白さがわからなかった。
逆に怒りを覚えてしまった程だった。
たとえ、殺された側がろくでもない奴らだったとしても、殺されてることには変わりがないからな。
他に、人を貶すときにノータリンと言葉を使う人が多くなった。
脳味噌足りないという意味を持った差別用語が、流行ってしまったのだ。
いじめとかじゃなくて、誰かをいじるときによく使われてた。
俺も軽くやめろよぐらいは言ったけど、聞き入れられなかった。
俺も馬鹿だから言われことあったな。
馬鹿とはいえ、いい気はしなかった。
多くのミュージシャンは、2番目の事件でベートーヴェンの運命が流れていたことから、それを元にした曲を演奏していた。
それが意外に流行ったんだ。
確かにどれも曲調は良かったと思うけど……。
事件が起こったからそれを曲にするなんて正気か?って思った。
俺が好きなラッパーもそれをネタにしてたから、少しショックだった。
3番目は金庫、4番目は数学者が元にされたことから、数字を使ったパズルゲームが多くなった。
ボードゲームでもテレビゲームでもその時期から新しいゲームがとても増えた。
特に人気だったのが、テトリスを応用したテトリス23っていうゲームが人気だった。
落ちてくるブロックの形とかは一緒だけど、ブロック1つ1つに1から10の数があって、1列揃える時は必ず、合計を23にすることで消すゲームだ。
かなり難易度の高いゲームだけど、ゲーマー達や数学に強い奴は特にハマってた。
俺もやってみたけど、数字は苦手だ。
多分当時の小学生より出来なかった自信がある。
今のゲームは昔と違って、テレビの画面じゃなく、その場で画面が出てきて出来るようになったから、VRゴーグルも必要無くなったな。
どちらにしろあまりゲームはやらないけど。
それと事件後にできた宗教、23に導きを求める会。
危ない宗教団体って言われてるけど、特に問題も起こしてないし、何かを信じる人を批判するつもりもない。
ただ、4番目の事件で23という数字が使われていたから少し引っかかりはするけど。
5番目の事件現場であるA Balloon Show。
あそこは心霊スポットでもあり、親が子を守りたいっていう気持ちをお祈りする場となった。
元を辿れば、子を守ろうとした親が元凶となった事件だからだ。
噂だと髑髏の模様の羽を生やした夫婦の霊が出ると言われている。
その夫婦が蝿の王、ベルゼブブ夫婦と呼ばれているからだろう。
うちの両親はどちらかというと、放任主義で俺の好きにやればいいっていう感じだった。
家族仲も良いほうだと思う。
だからこそ、当時容疑者として疑われていた小田友和さんが可哀想だった。
その人の家も表向きは家族仲は良かったらしい。
でも自分以外の家族が狂っていたなんて……。
俺だったら耐えられない。
小山さん曰く、事件後行方不明らしいけど、今どうしているんだろうか?
それとも既にもう……。
そう考えているうちに署に着いたが、そこは想像絶する光景が目に映った。
署の前が………。
なんなんだこれは?
アラン・スミシー……。
一体何者なんだ?
あの事件の真似事なんて何がしたいんだ?
あの事件当時の俺は、高校3年生。
有名な話だったからよく覚えてる。
丁度大学の受験シーズンだったけど、クラス中この話で持ちきりだった。
いや、クラスだけじゃなかったな。
学校全体だ。
それに、小中時代の奴らと久々に会ったらまず話題に上がったのが、その殺人事件だった。
みんなとは仲良くしてたけど、その時はあまりいい気分じゃなかった。
見立て殺人だったからか、謎解き合戦が行われた。
人の内臓が抜き取られたり、骨を粉々にされたり、バラバラにされてるのにも関わらず、みんな和気藹々としていた。
テレビのニュースや配信でもそうだった。
司会やゲスト達、考察系と呼ばれる配信者が面白おかしく謎を解こうとする。
あるお笑い芸人は『脳が無くなってオーノー』っていうネタを披露していた。
炎上するどころか、流行りのワードになって俺は恐ろしかった。
俺にそのネタの面白さがわからなかった。
逆に怒りを覚えてしまった程だった。
たとえ、殺された側がろくでもない奴らだったとしても、殺されてることには変わりがないからな。
他に、人を貶すときにノータリンと言葉を使う人が多くなった。
脳味噌足りないという意味を持った差別用語が、流行ってしまったのだ。
いじめとかじゃなくて、誰かをいじるときによく使われてた。
俺も軽くやめろよぐらいは言ったけど、聞き入れられなかった。
俺も馬鹿だから言われことあったな。
馬鹿とはいえ、いい気はしなかった。
多くのミュージシャンは、2番目の事件でベートーヴェンの運命が流れていたことから、それを元にした曲を演奏していた。
それが意外に流行ったんだ。
確かにどれも曲調は良かったと思うけど……。
事件が起こったからそれを曲にするなんて正気か?って思った。
俺が好きなラッパーもそれをネタにしてたから、少しショックだった。
3番目は金庫、4番目は数学者が元にされたことから、数字を使ったパズルゲームが多くなった。
ボードゲームでもテレビゲームでもその時期から新しいゲームがとても増えた。
特に人気だったのが、テトリスを応用したテトリス23っていうゲームが人気だった。
落ちてくるブロックの形とかは一緒だけど、ブロック1つ1つに1から10の数があって、1列揃える時は必ず、合計を23にすることで消すゲームだ。
かなり難易度の高いゲームだけど、ゲーマー達や数学に強い奴は特にハマってた。
俺もやってみたけど、数字は苦手だ。
多分当時の小学生より出来なかった自信がある。
今のゲームは昔と違って、テレビの画面じゃなく、その場で画面が出てきて出来るようになったから、VRゴーグルも必要無くなったな。
どちらにしろあまりゲームはやらないけど。
それと事件後にできた宗教、23に導きを求める会。
危ない宗教団体って言われてるけど、特に問題も起こしてないし、何かを信じる人を批判するつもりもない。
ただ、4番目の事件で23という数字が使われていたから少し引っかかりはするけど。
5番目の事件現場であるA Balloon Show。
あそこは心霊スポットでもあり、親が子を守りたいっていう気持ちをお祈りする場となった。
元を辿れば、子を守ろうとした親が元凶となった事件だからだ。
噂だと髑髏の模様の羽を生やした夫婦の霊が出ると言われている。
その夫婦が蝿の王、ベルゼブブ夫婦と呼ばれているからだろう。
うちの両親はどちらかというと、放任主義で俺の好きにやればいいっていう感じだった。
家族仲も良いほうだと思う。
だからこそ、当時容疑者として疑われていた小田友和さんが可哀想だった。
その人の家も表向きは家族仲は良かったらしい。
でも自分以外の家族が狂っていたなんて……。
俺だったら耐えられない。
小山さん曰く、事件後行方不明らしいけど、今どうしているんだろうか?
それとも既にもう……。
そう考えているうちに署に着いたが、そこは想像絶する光景が目に映った。
署の前が………。
なんなんだこれは?
0
お気に入りに追加
1
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説

夜の動物園の異変 ~見えない来園者~
メイナ
ミステリー
夜の動物園で起こる不可解な事件。
飼育員・えまは「動物の声を聞く力」を持っていた。
ある夜、動物たちが一斉に怯え、こう囁いた——
「そこに、"何か"がいる……。」
科学者・水原透子と共に、"見えざる来園者"の正体を探る。
これは幽霊なのか、それとも——?

俺は探してあいつは食べる
堅他不願(かたほかふがん)
ミステリー
主人公・矢磯 十吾(やいそ じゅうご)は、小学校の遠足でとある山奥にいった際、友人と隠れんぼをしていて朽ちかけた社(やしろ)を壊してしまう。
社に安置されていた箱を、好奇心から開けてしまった彼は、中に封印されていた悪霊に取りつかれてしまった。
悪霊は、見た目には巫女の姿をした美少女だが、取りついた人間と縁のある人間が死んだとき、その霊魂を食べることで生活していた。
十数年後。大人になった矢磯は、表では個人の運輸業、裏では逃がし屋を生業とする二十代中盤の青年となった。そして、ネコの鳴き声と渚の波音に安らぎを感じる人間でもあった。さらには、あいかわらず『彼女』に取りつかれてもいた。
二○二四年五月の晩。
夜逃げを希望する顧客の指定に応じて、彼は静岡県北東部にある廃倉庫に一人できていた。
しかし、そこには死体が一つあったきりだった。死体は五十代くらいの男性としかわからず、外傷や肌の傷みはなかった。合流するはずの顧客は、ついに現れなかった。
死体を改めてから、矢磯は、スマホに登録した自作アプリを起動した。そこで猫の鳴き声と波音を聞き、心を落ちつけた。彼女はさっそく死体の魂を食べ、それが今回の仕事にかかわっていると矢磯に告げた。
ともかく、面子を潰されたからには、徹底的に元顧客のあとを追って落とし前をつけねばならない。それは死体の真相をつきとめることを意味する。
山と海にまたがるエビス伝説は、現地の人間達によってなんとも生臭い話になっていた。否応なしに、矢磯は欲にまみれた因縁へと巻きこまれていった。
ARIA(アリア)
残念パパいのっち
ミステリー
山内亮(やまうちとおる)は内見に出かけたアパートでAR越しに不思議な少女、西園寺雫(さいおんじしずく)と出会う。彼女は自分がAIでこのアパートに閉じ込められていると言うが……

幽霊探偵 白峰霊
七鳳
ミステリー
• 目撃情報なし
• 連絡手段なし
• ただし、依頼すれば必ず事件を解決してくれる
都市伝説のように語られるこの探偵——白峰 霊(しらみね れい)。
依頼人も犯人も、「彼は幽霊である」と信じてしまう。
「証拠? あるよ。僕が幽霊であり、君が僕を生きていると証明できないこと。それこそが証拠だ。」
今日も彼は「幽霊探偵」という看板を掲げながら、巧妙な話術と論理で、人々を“幽霊が事件を解決している”と思い込ませる。
『信長は「本能寺の変」で死ななかった?バチカンに渡り「ジョルダーノ・ブルーノ」になった?「信長始末記」歴史ミステリー!」
あらお☆ひろ
ミステリー
大阪にある、緒狩斗家の4人兄妹による異世界旅行を専門に行う「株式会社オカやんツアーズ」で巻き起こる、「珍事件」、「珍道中」を、新米JKツアコンのミスティーが兄達と協力し知恵と工夫と超能力で、『お客様の希望を満足させます!』のキャッチコピーを守るため、各自の特技と能力をフルに活かしてサービス提供!
「あの人が生きていたら!」、「なぜ、そうなったの?」と歴史マニアだけで無くても、ちょっと気になる「歴史上の人物と事件の「たら」、「れば」を異世界に出かけて事実を確認!
今回の客は、織田信長を追っかける二人のヤング歴女!「本能寺で信長が死なないハッピーエンドの世界が見たい!」との希望にミスティーたちは答えられるのか?
塗り壁バリヤー、式神使いの長男「好耶」、遠隔投資のできるテレパシストでタイムワープ可能な「物質K」を扱う次男「フリーク」、アスポート、パイロキネス能力を持つウォッカ大好きの3男の「メチャスキー」の3人の兄と現役JKプロレスラーの「ミスティー」が、「夏子」、「陽菜」を連れて、信長の謎を解き明かしていく!信長は、本能寺で死ぬのか?はたまた生き残るのか?そしてその結論は?
ちょっと笑って、ちょっと納得、ちょっとホロっとする、歴史好きが読んでも楽しい歴史的証拠を積み重ねた「歴史ミステリーワールド」へようこそ!
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
薬師シェンリュと見習い少女メイリンの後宮事件簿
安珠あんこ
キャラ文芸
大国ルーの後宮の中にある診療所を営む宦官の薬師シェンリュと、見習い少女のメイリンは、後宮の内外で起こる様々な事件を、薬師の知識を使って解決していきます。
しかし、シェンリュには裏の顔があって──。
彼が極秘に進めている計画とは?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる