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第五章 都市旅行の魔力
【生産都市】溢れ出す興奮と動き出す歯車3
しおりを挟む最近この作品に飽きてきていますね。だってなんか他作品の設定を考えまくってますもん。
まぁ短編でも書いて息抜きします。
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一寸先も見ることが出来ない暗闇の中、ぼぉっと辺りを照らすカンテラの光が現れる。
ここは【フュエル洞窟】と呼ばれるフィールド。その名の通り、洞窟なのだが普通の洞窟と違う点がある。
それは一寸先も見えない暗闇と、何よりも壁から垂れてくる──
「うわっ! なにこれ!?」
「これ、オイル?」
オイルである。それもエンジンオイルという品だ。こんな洞窟で炎なんか放ったら引火して自分ごと焼き払うことになるため、アリスは別行動である。
「ユリが受けた依頼ってオイル採取だからこれ持っていけばいいんじゃね?」
その言葉に呆れた様子でカルマが訂正する。
「正確にはオイル“スライム”ですね。なんでも地下深くの上澄みオイルのみを溜め込んだ特殊な種族みたいで、さらに物理攻撃に対して高い耐性を持っていて私の天敵みたいなやつです。」
「しかも一番攻撃がでるのが火炎系の攻撃で使ったら素材落とさないから使えない」
そんなスライム対策としていつも物理攻撃で無双する彼らの手には光線銃が握られている。カルマはリボルバー二丁、ランはアサルトライフル、ユリはハンドガン、クリムはギミックウェポンである。
クリムが無言でギミックウェポンのレバーを引いて変形させる。さまざまなところから歯車が出現し、あっという間に箱型の銃となる。
「おお! これがギミックウェポンか!」
「見た目はP90に似てますね」
「でもそれって一回使ったら使えないんじゃ?」
「初撃必殺モードとアサルトモードがある」
「アサルト……え、突撃銃だったの?」
どうやらアサルトライフルも兼用していたらしい、どんだけ機能があるんだと言いたくなる。
唐突に洞窟の奥を見ていたユリが発砲し、暗い洞窟に光が生まれる。皆が驚き目で辿ると銃口の先にはオイルに混じって黒いスライムがいた。
オイルの保護色と暗闇が相まり、かなり分かりづらい。しかも音もなく、気配も薄いため、話に夢中になっていたカルマも気がつかなかった。
「うわっ!?」
「まだ相手は生きてます! 気を抜かないで」
気持ち悪い動きをしながらスライムがぐぐっと収縮、力を溜めて、近くにいたユリの顔に飛び付こうとしてくるが連続で光弾が発射され、倒してしまう。
「うっわ! SP消費エッグい」
「奥からまだまだ来てます! 迎撃しますよ!」
そう言いながら2丁リボルバーでスライムを撃ち抜いていく。
「これ、明るい場所で見たら気持ち悪いだろうなぁ」
「気持ち悪いこと想像させないで!」
それぞれの武器で敵を倒すもまるで洪水かのように流れてくるスライムは止まってくれない。時折、SPポーションを飲んでSPを補充するが数が減っているどころか、減っていない気がした。
「その内、ポーション飲みすぎて、中毒にでもなりそうですね!」
「実際、ポーションの効き目が悪くなってきてる! これ以上の長期戦は不味いよ!」
「これ本当に入口か!? 強すぎだろ!!」
よくよく観察してみると光線銃から放たれる光の弾丸に当たって体の一部が飛び散るが周りのオイルを吸収して回復していた。
「この洞窟にいる限り無敵じゃん、あれ!」
「さすがに撤退しましょう! そろそろアイテムも心細い、戻って対策を立てましょう!!」
あまりにも高い防御力と再生能力の前にさすがの脳筋、もとい戦闘狂どもも逃げずにはいられなかったようだ。
◇
「ううぅ、あれは予想外だよ」
「反則だろ……」
「足は遅いし、攻撃も痛くない。けれど防御力だけはとんでもない……実に面倒な相手ですね」
「……洞窟の奥に行きたいだけなら逃げればいい、だけど必要なのはスライムが持つオイル」
「それが厄介なんですよね」
現在、宿にて反省会兼対策会議中である。だがいい案は中々浮かばないようで──。
「魔術は?」
「そもそも私たちの魔術は、攻撃に向いてないのばっかですね」
「神聖はアンデット以外に効果が薄い。暴風は吹き飛ばすだけ、複製や支援系は意味ない。」
「もう物理攻撃でやる?」
「私、近づいてきたスライムを蹴りましたが全く効いてる様子がなかったですね」
「ほんと、どうすればいいんだ?」
みんな頭を抱える中、何かヒントがないかと掲示板を眺めていたクリムが顔を上げる。
「氷結爆弾って知ってる?」
「氷結爆弾?」
「これ」
クリムが見せる氷結爆弾とやらは球体の中に冷気を閉じ込めたもので衝撃を与えると辺りを氷漬けにしてしまうアイテムなのだとか。
「こんなのあったんだ」
「多分、属性攻撃が使えない人用ですね」
「ああ! なるほど、スライムってのは液状だから物理攻撃が効かないのであって凍らせてしまえば!」
「固体となって物理攻撃が効く」
「これなら攻略できる! どこでも売ってるの?」
「ん」
「というか、結局物理攻撃なんですね……銃とは一体」
【Tips】属性攻撃
属性には相手を変化させ、耐性を変えてしまうものが存在する。物理攻撃が全く効かないウォータースライムは火炎属性を受けまくると蒸発し、氷結属性を食らえば物理攻撃が通るようになる。
逆を言えば強化してしまうこともあるということだ。先程例に出したウォータースライムに毒属性の攻撃をすると攻撃に毒属性が追加され、苦戦を強いることになるだろう。
––––––––––––––––––––––––––––––––––––––––––––––––––––––––
【スケジュール】
4月9日18時以降
【ニャルの語り】
どもどもニャルと申す者だよ。
最近、モンスターをハントするゲームにハマってクソデカいモンスターをカルマくんにけしかけようかと思ってるんだけど……何がいいかな?
それはそうと前回募集した【カルマくん達がどんな目にあってほしいか】だけどね?
それによってifストーリーを書くことが決定したよ。ランが主人公だった場合とか、もしもこの作品がGL作品だったらとかをその内、書いていこうかと思っているみたいだね。
今回のお題は【誰のifストーリーが見たい?】、一応言うけど自由でいいからね。
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