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第四章 都市防衛戦の波乱
新年記念SS『元旦』
しおりを挟むあけましておめでとうございます。今年もこの作品と作者をよろしくお願いします。
新年の目標は、この物語の完結……しかしまだまだ終わらなさそうなんですよねぇ。
エンドやこの先の展開は、もうある程度決まってるんですけどなにぶん自分の面倒くさがり屋が発動して中々進まないんですよね……。
ま、そんなことはともかく本編をどうぞ、今回は現実世界での話です。
––––––––––––––––––––––––––––––––––––––––––––––––––––––––
1月1日とは元日と呼ばれる新たな年となる日であり、新たな年を祝う日である。
技術が発展したこの世界でも未だに初詣というのはなくなってはおらず、中々に根強く残っていた。
◇
そんな元日の数時間前、私は実家に帰ってユリとランとフワフワした雰囲気を持つ豊満な美人、スミレ姉さんと一緒に炬燵に入りながら年越し蕎麦を食べていた。
「うう、俺あんま蕎麦好きじゃねぇんだよなぁ。味薄いし」
「ランって毎年同じこと言ってますね。この薄さの中にある風味がいいんじゃないですか。ユリ、一味取ってください」
「はいっ、この味が分からないなんてまだまだランは、子供だね。」
一味を私に渡して小馬鹿にするかのような口調でユリは、言うがランは気にした様子は無く。
「ふんっ、別に良いさ。俺は代わりにうどんを食べるからな。」
「ふ~ん。」
「もにゅもにゅこくんっ。ユリ~? あまり人を馬鹿にしちゃいけないよぉ~?」
「はぁい」
その後、大晦日の定番な紅白が歌合戦するやつか、笑ったらダメなやつの戦争を勃発させつつ穏やかに時間が過ぎていき、時刻はついに23:59を指していた。
テレビにカウントダウンが表示され、あっという間に残り5秒。
折角なので一緒にカウントダウンすることにした。
「4!」
元気良くユリが言い
「3ッ!」
この後のことに期待してるのかキラキラした目で言い
「2」
私が呟き
「1」
同じくスミレ姉さんがぼやくように言い
「「「「0!!」」」」
最後に全員で言い新たな年を迎えた。
炬燵に入りながら、顔を見合わせて仲良く同時に──
「「「「あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。」」」」
と恒例行事を果たしたところで鞄から二つのポチ袋を取り出して、目を輝かすユリとランの2人に差し出す。
「はい、私からのお年玉です。」
「流石兄貴だ! 俺たちの期待に応えてくれるぅ!」
「そこに痺れる憧れるー!」
「はいはい、全く調子が良いですね。」
ユリとラン達の行動に思わず苦笑してしまう。
「では~、私からも~」
そう言って机に置かれたのは、とても分厚いポチ袋だった……。
「「「!?」」」
私達が驚く最中でもほわほわした雰囲気というか、笑顔を崩さずに
「まぁ、もちろん中身は~、百均で買った札束メモ帳だよぉ~」
と言い口元を手で覆いながらクスクスと笑う。
「な、なぁんだ。もしかして本当に札束を持ってきたのかと……」
「あ、そちらの方がよかったですか?」
「イヤイイデス。」
スミレ姉さんの顔が本気に見えたのだろう、ランがカタコトになりつつ返答していた。
無事にお年玉を渡したところで予定通り近所にある神社に初詣に行くことになった。
神社に行く道中にて
「──お姉ちゃんってばああ言うドッキリ辞めてよね。お姉ちゃんの職業が職業だから本当に持ってきたのかと思ったじゃん。」
「ふふ、どうしようかなぁ~?」
スミレ姉さんの顔が次はどんなイタズラを仕掛けようかと企んでいたのを私は決して見ていない。それに気が付かれたスミレ姉さんに目で「ダメよ?」と威圧されとかではない、決してない。ワタシウソ、ツカナイ。
神社に着いて甘酒を飲んだりしつつしてると空いていたので参拝することにした。
「あー、お賽銭に使うお金どれにしよ」
「無難に五円玉でいいと思いますがね。」
「いやでも硬貨毎に意味があるんだろ? 五円玉だったら『御縁がありますように』とか」
「ええ、他にも二重に御縁がありますようにと二十円だったり、始終御縁という意味の四十五円もありますね。硬貨として一番高い五百円玉は、『これ以上、効果がない』とされます。」
最後に「まぁただの語呂合わせですし、結局気持ち的な問題ですね。」と付け替えることも忘れない。
ちなみにこのお賽銭というのは、お金のルーツであった貝には穴が開いており、この世とあの世の出入り口と考えられていたらしい。
そして貝の表がこの世、裏があの世として貝の穴を通って穢れ(病や災いなど)を吸い取ってくれると考えられていたのだとか。
そこから、厄を吸い取ったお金をお賽銭として投げ入れることにより、身を清めると言う意味があったのだそう。
元々は、お願いではなく厄を払うためだったということです。
初詣というか、賽銭の作法は、まず最初に軽くお辞儀をしてから鈴があったら鳴らしてお賽銭を丁寧にいれる。
私は、四十五円を優しく入れて次に二礼二拍手一礼をし、軽く目を瞑って願う。願うと言っても神様強請りではなく、目標などをするといいらしい。
その後、御神籤をしていくと中吉だった。良くも悪くもない、つまり平均して良いことが起こるかもと考えると言いものです。
ちなみに私の御神籤には、願事『叶う』、待人『来る』などなど良さそうなことがあった一方、争事『備えよ』、障り『別れが来るが同時に再開をあり。決断すべし』などなど物騒なことが書いてあった。
今年は、どうか面倒くさいことは起こらないで欲しいですね。
去年は色々面倒くさかったですから
……でも夢はでっかく持っておきましょう。
一人感傷に浸っているとユリが騒がしくこちらを呼んでくる。
「ふふっ」
さぁて、新しい年の幕開けです。
––––––––––––––––––––––––––––––––––––––––––––––––––––––––
【スケジュール】
1月8日 18時
【ニャルの語り】
あけおめ、ことよろ……もっと丁寧にやれ? 別にいいじゃないか。
そんなことよりも、ついに名前だけだったカルマくんの姉、スミレが出てきたね。
口調がなんだかボーイッシュな雰囲気がするね。それでいてドSの気もあるとか……あ、ちなみに作中では出なかったけどスミレの職業は、医者だよ。
そりぁ高収入だからあんな冗談言えたわけだね……え? ホントに出す気だったの?
ほはぁ、凄いね……。
気が向いたら【カオスな神様の記録帳】の方にアリスのと一緒に載るから投稿したときは、前書きに書いとくらしいよ。
ま、今回はこのくらいだね。次回までに質問をくれるとありがたいね。それじゃまた次回に会おうじゃないか!
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