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第四章 都市防衛戦の波乱

神殿の攻略6【カルマ編】

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今日は文化の日なので初投稿です。

○○なので初投稿です。をやってみたかったのでやった厨二病です。
日曜日はモチベがゼロで全然進捗しなかったので今日投稿しました。

……戦闘描写って難しいですね。



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『我が名はボルガルト・ロード!試練を与えるロードにして鬼を従える者である!勇敢なる探索者よ!武器を構え、強大なる我輩を討ち取ってみせよ。』


 その言葉を言い切るとボルが趣味の悪い骨杖の石突で地面を2回ほど叩く、そこから半透明の赤い球体が膨らんでいき、次に半透明の青い球体が広がっていく。
二つの球体は壁や地面に張り付くと紫色のエフェクトが発生する。

『これは我輩が開発した魔術。訓練用結界トレーニングルームである!』

自慢するかのように胸を張って宣言するボルに私は疑問を投げかける。

「えっと、それがどうしたのですか?」

『よくぞ、聞いてくれた!この結界魔術は訓練用と名が付く通り我輩がモンスターを訓練させるために開発したものでこの結界がある場所では幾らダメージを受けようが死んだとしても結界を解けば全てが元通りになるという経験を積むには持ってこいのものなのだ。この魔術は、幻を見せる幻影結界と世界を断つ次元結界を組み合わせてだな……』

「なるほど、つまりはとても凄い魔術なんですね。」

『その通りだ!流石良く分かってるな、我が友よ』

 うん。話が長くなりそうだから断ち切ったなんて言えないですね。
ボルは仰々しいポーズを取りながら戦いを宣言し直す。

『では、始めるぞ勇敢なる探索者よ!』

 先手必勝とばかりに赤い魔法陣が5つ展開されると炎の槍が一瞬の間に作り出され今にもこちらに飛びそうな様子だった。

「ちょ、ま!」

ランが何かを言い出しそうだったがそれに被せるように魔術発動の宣言をする。

『“追尾式五連炎投槍ホーミングジャベリン”』

 凄まじい勢いで迫ってくる炎の槍を避けるとまさかの追尾してきたためにアリスの方に行きアリスに追尾している炎の槍と相殺させる。

「た、助かりましたわ!」

その言葉を流しつつ他のメンツが防いでいるかを確認するとランは抜刀の風圧で吹き飛ばし、ユリはなんと見えざる手を使い炎の槍を掴んでそのまま握り潰していた。
クリムはというといつの間にかボルの近くに移動しており、ボルに炎の槍を当てるという荒技で回避していた。

『ぐむっ、流石だな。ではこれならば避けられまい』

「アリスッ!」

 私がそう叫ぶともうアリスは用意していたのか、快く返事をして魔術の行使をする。

「了解しましたわ!“ファイアランス” “ゲイルエッジ”」

赤い魔法陣と緑色の魔法陣を重ね合わせるように設置した魔術は炎を纏った疾風の刃と風により勢いを増した炎の槍が何本にも分かれてボルを切り刻み貫こうと迫るが伊達に長生き?はしていないのだろうか、発動しようとした魔術をキャンセルして即座に新たな魔術を発動させる。

『“防御強化術式ハイ・シールド”』

 六角形の半透明の盾が作り出されアリスが放った攻撃を全て防いでしまう。

「わたくしの渾身の魔術が!?」

『フハハハ、確かに良い火力だったが練度が足りんわ!極めたら凄まじいことになるな!』

 最初は肯定から入って否定しつつまた肯定するとかいう好感度調整をしながらも魔法陣を展開して骨杖の石突でまた地面を突くと4体のオーク・ガーディアンが現れる。

『そちらは暇だろうからな。』

 金属鎧を身に纏いタワーシールドとロングソードを持つオークは近くにいたランに攻撃しようとするが一条の紅色の光が走ったと思うと縦真っ二つにされてしまった。
召喚されたオークはそれぞれの相手に突っ込んでアリスと合流するのを阻んでくる。

オークが私の行手を阻もうとするがスライディングで股を通り抜けて駆け出す。
 勢い良く走り魔術対決がなされている戦場に辿り着く。ボルはとても余裕そうだがアリスはSPが尽きかけているのか、少し顔色が悪く見える。

「加勢しに来ましたよ、っと」

そのままボルに接近しようとしたらファイアランスを放ってきたのでそれを避けつつ縮地でボルとの距離を無くす。
単純なる脚力で移動した速度を利用して格闘アビリティ“正拳”使った正拳突きを胸の辺りに食らわせると再び地面を蹴って距離を取る。私が先程まで居たところには冷気を放つ槍が刺さっていた。

『むう。運が良いのか、感覚が鋭いのか。それはともかく──』

『刺し穿て聖なる槍よ・刺穿槍ストライク

ボルが喋っている途中で神聖アビリティ“パニッシュメント”を詠唱付きで放つが避けられてしまう。

『な、人が喋っている時は攻撃しないのがマナーだろうに!』

「ふむ。では“脚撃” “水源属性付与アクアエレメント”」

 流れる水が体に纏わり付くとなんだかよりスムーズに体が動く気がした。
ボルは私が数え切れないほどの赤い魔法陣を展開していた。どうやら怒ってしまったらしいが私には関係無いので縮地で動き回る。
前方に炎の槍が刺さっていたらギリギリで回避して後ろから槍が迫ってきたらバク宙をして回避などなどどんどん回避して行くがボルに近づくごとに炎の槍の勢いは増して刺さった場所で小規模の火花を撒き散らす効果がついてしまった。

 何だか師匠クソジジイとの試合を思い出しますね。あの人、嵐のような凄い数の技を繰り出しながらその技術が一つ一つ高水準というヤバいことをしてきたんですよね。まぁそれに比べればこんなのは楽勝ですね。

「そろそろ決めましょうか。」

炎の豪雨とも言えるような場所を抜けると杖を構えているボルが不敵な笑みを浮かべて半径1mはあるであろう巨大な赤い魔法陣を浮かべていた。

『流石だな。我が友よ、だがこれで終わりだ。
来れ我が最強の力よ・全てを蹂躙したまえ・怒り狂うアンガーァ!』

私は魔術が発動する前に縮地で接近する。私が放つは私が使える奥義の一つ。師匠クソジジイが教えた名無しの流派が使える技である。

神のヨグ

頭の中で常人が聞けば発狂するような言葉を呟きつつ右手に力が集中しているのを感じる。発光しているようだが気のせいである。

『それはっ!?──ふむ、まぁ良い行くぞ!』

劫火ボルケーノ』(鉄拳パンチ

 熟練の魔術師が放った火炎と光り輝く拳が対峙した。普通ならば私の拳が負けるが、なぜだか拮抗している。さらに本気で拳を振るうと何処からか何かがひび割れるような音が耳の中に飛び込んでくる。

『い、いかん!結界が!』

 その言葉で火炎は無くなり力の行き場を失った拳はそのままの勢いで振ってしまう。
ただの拳ならば良かった、それならばなにも起こらなかったのだがこれは常識外れな師匠が弟子に教えたものだ。そんなことで終わるはずがない。

 私が拳を振り抜くとそこから衝撃波のようなものが飛んでゆき紫のエフェクトを発するドロップ型の宝石に当たってしまう。
バチバチという電気のような音を発すると紫色のエフェクトは消滅して宝石に直行する。

『な、なななな何をしてくれるとのだ!あれを早く止めんか!』

「……いや、無理ですけど」

妙に怠い体を向けつつその原因究明してみるとどうやらSPが一気に15消費されて残りが3になっていた。前の詠唱の時もそうだったがSPは一気に消費すると気怠くなるようだ。
懐から気力の丸薬をパクリと食べる。苦っ……けどだんだん癖になってる自分がいるのですよね。

『あれは!ダンジョンの核なのだ!我輩の心臓とも言えるもので壊れたりしたら大変なことに!』

「でひゃら、さほどの次元結界とやらひゃらを使えば良いのでは?」

『食べてから喋れ!ではなくてだな、あれはかなりの気力SPを消費する魔術でしかも大魔術と呼ばれる魔術を使ったせいで使うことが不可能なのだ!』

 絶望的じゃないですか。私の不始末ですし友達と言うならば助けてあげたいのは山々なのですが如何せんどうしようもないんですよね。
というか、肩を掴んで揺らすのをやめて頂きたい、気分が……。

『てかなんであんな拮抗してるのだ!?我輩の核には相当結界魔術を張り巡らしたはずなのに!』

「さっき使った神の鉄拳ヨグパンチって師匠クソジジイ曰く見えないものにも通用する上にそのものが壊さない場合は周囲の力を集めてより強くなるとか言ってましたけど……」

『何なのだ!その師匠とやらは!しかもあれって魔術の一種だぞ!?最極の空虚という異界の邪神の魔術だったはずだが?』

「まぁそんなことはどうだっていいじゃないですか。それよりも結界がそろそろ壊れそうですよ?」

『なっ!我輩の核が!!!!』

 手を伸ばして宝石を取ろうとするボルに対して現実は非情らしくもう一歩のところで虹色に輝く宝石にヒビが入って

──パキンッ。

と割れてしまった。
恐る恐るボルの方を見ると呆然とした表情で佇んでいた。と思ったら膝を突いて全てを諦めた人みたいな目をしていた。

「……ごめん。」

『いや、いいのだ。いずれはこうなっていた運命だからな、少しそれが早まっただけのこと。それにこれは我輩の不注意だからな。お主の力を見誤ったわ!』

 カラカラカラと笑うボルに、ボルガルトに申し訳なってくる。彼とは数時間の付き合いだがとても面白い人物なのは分かっている。
何とも残念な終わりだが私が終わらせてしまった命だ。少なくともここがゲームであれ、それは変わらないのだ。だから永遠に覚えていなければならない。
それをボルに伝えると嬉しそうに目を細めて

『そうだな。お主ほどの者に覚えてもらうのは光栄かもしれんな。』

「……最期ですしちゃんと別れでもしましょうか。」

私が立たせようと手を伸ばすと『それもそうか。』
と言い掴んでくれる。私がボルを引っ張り上げようとする前にボルの肉体?骨身が淡く光って消えてしまう。

「なっ!ボルが!」

『ど、どうなっとる!?』

私が混乱していると私の手から声が聞こえた。手を見てみると黒呪の手套に五芒星の魔法陣が描かれていた。
私が不思議に思っていると本が目の前に現れてこんな表記をしてくる。

《“黒呪の手套”が成長しました。》

【名前:魔呪ノ手套】【品質:?】
【制限:MND25以上】
【能力:魔呪属性付与 破壊不能 呪詛強化吸収 擬似人格】
【捨てても持ち主の元に戻ってくる強力な呪詛がかけられた革製の手袋、どんなに雑に扱っても絶対にボロボロになることがない。同質の呪詛を吸収し成長するのいう性質がありその力は止まることを知らない。とあるロードの呪いを取り込んだ結果。人格を獲得した。】

『「は?」』

それを見た私とボルは同時に叫んでしまったのは仕方がないことだろう。

『「はあぁぁぁぁぁぁぁ!?」』


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【スケジュール】
11月6日金曜日投稿

【作者の語り】

現在ニャルが笑い過ぎて使い物にならないので自分が語ることになりました。

今回はよりカルマくんが師匠と呼ぶ人物の謎が深まる会でしたね。
しかもヨグパンチが使えますし不思議ですね。ちなみにニャルではありませんよ?

最近、コメディ要素が多すぎるけど次の話もコメディ要素が多くなりそうです。

さてさて今回は色々と設定が開示できたので満足です。質問や感想、評価はいつでもお待ちしてるのでよろしくお願いします。
では金曜日にまた会いましょう。
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