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第四章 都市防衛戦の波乱
可哀想すぎるボス戦
しおりを挟む今、この作品って日曜日に集中して投稿してますけど分散して投稿した方がいいんですかね?
流石にいつも3本投稿するのは難しいですがもし分散投稿するなら火曜日と木曜日は片方か両方投稿。
日曜日は確定で投稿する予定です。
ご意見を下さると幸いです。
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◇
カルマ一行は黄色なゴブリンを呪殺した後に見事な快進撃を見せ全二十層ある内の十五層まで到達していた。
カルマは緑豚鬼の姿を五体確認すると「火炎属性付与」と呟くとカルマの手に黒い炎が這ってゆく。
この黒い炎は黒呪ノ手套の黒呪属性付与と火炎属性付与が合わさり出来た状態。
呪炎とも言える焔を纏わせたカルマは先手必勝と言わんばかりに縮地を使いオークに接近すると縮地の勢いのままオークの醜い頭部を殴り飛ばすゴキッという骨が折れた感触がしつつも拳を振り切ると様々な威力補正がかかったストレートを食らったオークは凄まじい勢いで吹き飛びながら光となって霧散した。
その光景にモンスターのAIはかなり動揺したようで硬直していたがそれを見逃すリアルチート共ではない。
ランは彼岸花の鞘絵がある刀の鯉口を切りながら駆け足でオークの元まで向かう。
ランが近づくのに対し正気を取り戻したオーク達は侵入者を撃退せんと各々持っている武器をカルマや駆け寄ってくるランに向ける。
鎧を着たオーク、オークナイトとでも言おうか。そのオークは持っているバスターソードのような見た目をした大剣を横薙ぎしカルマを斬り裂こうとする。
冷静に徐々に近づいてくる2mはあるであろう巨大な剣をあろうことかハイキックで剣の腹を蹴り飛ばし上に弾き飛ばしてしまった。
衝撃でバンザイの体制を取ってしまったオークナイトの首元に紅蓮のダガーが飛来し光となる。
少し時を遡り。
ランは3匹のオークに囲まれていた。右から槍を持ったオークランサー、盾を持ったオークシールド、後衛にぶっとい杖を持ったオークマジシャン。
この状況、普通のプレイヤーならばかなりピンチである。シールドの背後からチャンスとばかりに突き刺してくるランサーに暑苦しい炎の魔術を放ってくるマジシャン、本当に普通ならばデスペナを食らっているところだがこの男は普通ではない。
「肆の太刀“幻刄”」
そう呟くと構えていた刀を勢い良く抜刀する。もはやカルマですら捉えきれない閃光の刃は光を反射しながらランサーやシールドはともかくどう考えても射程距離外のマジシャンまでも一刀両断する。
先程の刀術アビリティ“幻刄”は刀の当たる範囲を二倍にするというものでランはこれと斬撃を飛ばす“飛影”を使えばかなりの広範囲攻撃が可能となった。
戦闘が終了すると戦闘に参加出来なかったユリ達が駆け寄ってくる。
「もう、お兄ちゃん達ってば私達の取り分も残してよ。お兄ちゃんのお情け1匹だけじゃん」
「ん、二人のサーチアンドデストロイのせいで私達全く闘ってない」
「そうですわ。せっかくユリにわたくしの実力を見せる時だと言うのに少しは自重して下さる?」
ここまで戦えず仕舞いだった女子三人の圧力を感じ取った二人は先程の戦闘での高揚感がすっかり薄れてしまい顔を見合わせて少しがっかりしたような表情だった。
この場所には戦闘狂しかいないのだろうか?という疑問を抱くのは仕方ないことだろう。閑話休題。
カルマ達は十八層のボス部屋まで辿り着く。
残念なのか幸運なのか道中、全く敵と遭遇せず、いたとしても気配探知ではかなり遠くにいるという女性陣にストレスを与える結果となってしまった。
それをぶつけられるボスモンスターにはご愁傷様としか言えないとカルマは思いつつも扉を眺める。
白亜に金の装飾が成された扉で閉ざされているので中身は見えないが中にいるモンスターの名前は分かっていた。
緑豚鬼大佐。オークの上位種とも言える存在でHPが凄まじく高い上に取り巻き緑豚鬼・守護者のせいでさらに持久戦に持ち込まれる上に緑豚鬼・魔術士の火力によりこちらは苦戦を強いられさらに下位のシールドやマジシャンは無限湧きである。
勝てる気がしないがリアルチートとストレスマッハな女性陣達のせいで何故だか勝てるような気がするが気のせいである。
カルマが振り向くとアリスが杖を両手で持ち火炎魔術と同時に暴風魔術の詠唱をしていた。
普通ならば1つの魔術しか詠唱不可なのだがアリスの持つユニークスキル“二枚舌”によりそれを可能としている。
詠唱が終わったらしく「扉を開けて下さい」と言う、その言葉に頷くと軽く扉を押すと見た目の重厚感とは裏腹に石を引きずるような音を出しつつも容易に開いて行く。
完全に扉が開き切るがその空間には誰もいなかった。
とんでもなく広いボス部屋に何の抵抗も無く入るカルマに続き他のメンバーも部屋に入ると大きな音を立てながら扉は閉ざされてしまう。
広大な部屋にその音が響くと部屋の中央に召喚用の紫に光る魔法陣が出現しそこから這い上がるように豚のような醜い顔に2mはある上に重厚そうな鎧と肉厚すぎてもはや金属の塊としか言えない大剣を持ったオーク。オーク・カーネルが現れた。
カーネルは腰につけてある螺貝を口に付けて息を吹き込む。
すると1m強くらいの魔法使いの格好をしたオークと3mはあるであろう体付きの鎧とタワーシールドと呼ばれる盾を持ったオークが現れる。
戦闘開始の合図は3匹のけたたましい雄叫びにより戦闘の火蓋が切って落とされた。
開始の合図と共にアリスが詠唱完了している火炎魔術と暴風魔術を放つ。
「“ファイアブレス”」「“エッジトルネード”」
その言葉がアリスの口から同時に囁かれると赤の魔法陣からは火炎が放射され緑の魔法陣からは渦巻く刃の風を纏う小さな竜巻がその二つの魔法陣は向かい合うように設置されており二つの魔術は混ざり合う。
火炎放射を巻き取るように吸い上げた竜巻は尋常ではない熱気と風を巻き起こしておりとても近付けたものではない。これはユニゾンと呼ばれる相性の良い魔術同士を同時に放つと発生する魔術の威力を底上げする技術である。
ゆっくりとしかし着実に大きくそして近づく炎の竜巻に危機を感じたのか、カーネルは再び螺貝を吹き込むと紫に輝く魔法陣から大量のマジシャンとシールドを召喚する。
マジシャンとウィザードは水源魔術を放ち炎の竜巻を消化しようとするがそれは悪手だったようだ。威力の弱い水は竜巻に接近する前に蒸発する、そして水蒸気が熱され熱気はさらに酷くなってしまう。
成長した竜巻はカーネル達、オークを巻き込んだ竜巻は相手を焼き尽くしつつ熱風の刃で切り裂いて行く。
それだけでも過剰なのだがガーディアンやシールド達は金属製の鎧の熱伝導ですっかり蒸されてしまっていた。
この惨状ではカルマ達も酷いことになっていそうだが本人達は傷一つなく入口付近で傍観していた。
そもそもカオスにはフレンドリーファイアがない上にカルマがSPを5消費してドーム型の見えざる盾を生成しているお陰で熱気も来ないというかなり一方的な状況となっている。
「……凄いですね」
「……あぁ、そうだな」
男二人が地獄のキャンプファイアを眺めている横でアリスはとてもスッキリした顔で
「ふふふふふ!豚がゴミのようですわー!」
おっほっほっほと悪役の如く高笑いをしていた。その背後にストレスを持て余し何やら鬼と龍を背負っている二人がアリスを妬ましい瞳で見ているとアリスが視線に気がついたのか
「あら、もちろんお二人の分もございますわ。わたくしの計算だとオーク・カーネルは生き残りますもの」
そう告げたアリスは部屋の中央に目を向ける。それに釣られてユリとクリムも目を向けるとそこには熱されて焦げ付いた白かった床と竜巻に耐えきれずに光となって霧散するオーク達がいた。その中で生き残っていたのがカーネルである。
負けてたまるかと瞳に闘志を宿しながら体中から芳ばしい香りと煙を上げつつも燃え残っていた螺貝に息を全力で吹き込む。
野太い音が鳴り響くと無数の紫の魔法陣からマジシャンとシールドが現れる。
それを見たユリとクリムは目を輝かせながら同時に駆け出して行った。
それを見たカルマは見えざる盾を不可視の盾剣に変形させて盾剣をサーフボードのように乗り凄まじい勢いで突撃して行く。ランも追従し走り出す。
ユリは盾を構えているシールドに向けて複製した紅蓮の刃を投擲する。これはクリムゾンダガーと言い厄災討伐の報酬である。
効果は武器攻撃値+75という短剣には高すぎるものと報酬特有の破壊不能が付いている。
ステップを踏みつつ複製したダガーをスナップを効かせて投擲して行く。
刃の包囲網を突破して来たシールドに対しては複製ダガーを片手に持ち、小柄な体を活かして背後に回り込むと首筋を切る。
一方、クリムは何故かオークの目の前を通っても気が付かれず、器用に目をエストックと呼ばれる“刺す”ということに特化した剣を突き刺す。
自身の目に異物が混入していたことに気が付き声をあげようとするオークだがその前に弱点である脳に辿り着きダメージで死亡してしまう。
目は脳に近い上に柔らかい臓器である為に武器で刺せば簡単に脳にまで到達し容易に敵を倒すことが可能である。
しかし攻撃可能範囲が狭い為に狙ったとしてもほぼ当たらないだろう、当たったとしてもそれはまぐれでしかないはずなのだがこの少女はまるでそれが当たり前のように目を攻撃していた。
この娘は一応お嬢様なはずなのだが一体何処でこんな技術を学んだのだろうか、本当に不思議である。
そうして30分ほどおかわりしながら敵を倒し続けたカルマ御一行はかなり肌が艶々していたという。
【Tips】弱点とは。弱点は全生物に存在するダメージが倍になる場所である。大抵の生物は脳や心臓が弱点でありそこを攻撃することにより状態異常が発生することがある。
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最近思うんですよね。
カルマ達って所謂リアルチートじゃね?って、ということなのでタグに追加しときます。
まぁそんなリアルチート達でも理不尽の化身である邪神には勝てないんですけど
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