45 / 93
第三章 愛の形
厄災討伐報酬
しおりを挟む少し不満ではありますが一応投稿。
後々、改稿すれば修正はできますからね、少ししたら今回の話、大筋は変わってないけど少し内容が変わってるかもしれませんがご了承下さい。
––––––––––––––––––––––––––––––––––––––––––––––––––––––––
しばらく混沌な状態だったのだがジーニスが
「さて、そろそろ本題に入ろうか。」
と言う、その言葉にカルマは怪訝そうな表情でジーニスに問い掛ける。
「その前に、何でアナタがここにいるんですか、神出鬼没なのは分かってますが出てくる必要なんてなかったでしょうに」
正論である。
ハッキリ言ってジーニス、ニャルの目的は退屈を紛らわすこと、言わば読者でありその本を描く書き手でもなく登場人物でも無い、だが時折場を乱すようなことはするもののこの事件はクライマックスフェイズを終了しエンディングフェイズへと突入している。
つまりもうニャルの出番などないはずなのだ。
「うーん、そうだね。ボクの役割が今は違うんだよね。いつものじゃなくて報酬とかを渡すNPCってところかな」
「………なんだか怪しいですが取り敢えず不問としておきましょう。」
「ねぇねぇ、ジーニス……さん、報酬って何?」
カルマが考えてもこの邪神の心なんぞ読めるわけないと判断しているとユリが報酬と言う言葉に食い付く
「別にさん付けしなくても良いよ堅苦しいしね、おっとそちらのキミも呼び捨てで構わないよ」
「あ、あぁ」
ジーニスはコホンと意味ありげに咳払いをすると
「報酬の件なんだけど、その前に軽くそこにのびている彼女を倒してくれないかい?」
と言う風に今だに消えていない悲劇の災厄の残骸を指差す、つられて顔を向けるとカルマの決定的な一撃により花弁のドレスが萎れて元気のないアマリスがいた。
どうやらまだトドメがさせていなかったようで鞭がゆらりと揺れていた。
ジーニスに命令されるのは癪だが倒さないければいつ攻撃されるか分からないので武器を構えつつランと共に近づいていく、攻撃する余力も残さらていないらしくカルマとランに気がついているはずなのだが攻撃してくる気配がない
近くまで来て少し眺めているとジーニスが少しイラついたような声で叫んでくる。
「キミ達、彼女はもう人間ではない存分にその刃を胸に突き刺すが良い」
カルマが視線をジーニスに向け「こんな事をやらせて楽しいですか?」と目で問う。返事は口元を歪ませた嫌らしい笑顔だった。
それを見たカルマは「悪趣味な……」と呟くとジーニスの「褒め言葉だね」と言う声が聞こえてきた気がした。
「ラン、私がやりましょう」
「いや、俺が」
「………ラン、これは姿が変わっていても、例えAIであろうと人間には変わりありませんから」
だから汚れ仕事は私に任せろと訴えかけてくる、ランは少し沈黙すると「任せた」と一言だけ呟く
カルマは爪の折れたクローでは無理だと判断して本から一本の短剣を取り出す。
短剣を鞘から抜くと鮮血のような赤に塗れた刃が見える、それをアマリスの胸に突き立て
「(ホントに悪趣味ですねニャルは……少しの間だけだとしても宿を貸して貰った礼です、先程は無理でしたが今回は一撃でやりましょうとも………せめて死後は旦那さんと幸せに暮らせますように)」
カルマの祈りを込められた刃は植物となったアマリスの胸を簡単に貫く、その時パリンと言う何かが割れるような音と共に風が吹き
『助けてくれてありがとう』
という空耳が聞こえた。
「……どうか安らかに」
カルマ達が戻ってくるとジーニスが
「倒したね? じゃあそろそろだ。」
カルマ達は頭に?を浮かべていると腹に響くような鈍い鐘の音が混沌都市に響き渡る。
何事かと辺りを見回していると
《全プレイヤーの皆様に連絡いたします。》
《只今、「SC彼岸花が咲き誇る」がクリアされました。》
《それに伴い、SCが全フィールドにて解禁されますので探してみて下さい》
そう簡潔に締めくくるとワールドアナウンスが終了する。
ユリとランが呆然していると
「という事で厄災討伐おめでとう、キミ達は世界に脅威を与える禍を鎮めた。キミ達は英雄だ!」
と綺麗事を並べ立てるジーニス、その背後に肉体から黒い粒子が溢れ出ているアマリスを見つける、カルマは取り敢えずジーニスの話を聞こうと意識を割くのを止めると目の前にリザルトが表情されていることに気がつく
『RESULT』
戦闘時間:531秒
入手アイテム
【厄災討伐報酬・悲×5】
入手スキル
【曲芸】
能力アップ
【STR+3】【MND+1】【AGL+4】【DEX+3】【LUK+3】【格闘+2】【神聖+1】【識別+2】【武道+1】【身軽+2】【筋力+2】【消音+3】【気功+2】【陽炎+1】【五感+2】【速読+1】【気配探知+2】
「うぉ!?」
「え!?」
「はぁ!?」
どうやら三者とも能力が凄まじく伸びているようだ、このゲームの仕様として自身のステータスよりも掛け離れた敵と戦うと成長しやすくなるというものがあり本来は複数人で戦うはずの災厄を3人という少人数で倒したのだからこのくらいのボーナスはあって然るべきだろう。
「さて、自分のリザルトを見て貰ったかな? では入手アイテムの“厄災討伐報酬”というのを見てもらおうか」
カルマが鑑定を発動させると説明欄が表記される。
【名前:厄災討伐報酬・悲】
【悲劇の厄災を討伐した者に与えられる報酬。使用する事で対応した武具やアイテム、スキルなどが入手出来る。】
これはカルマが現在愛用しているルーキー装備の交換券と同種のアイテムで特定のアイテムやスキルに交換できる交換券の上位に値するものだ。
“悲”と付いているように種類がありその戦いなどに応じたものが手に入るのだとか
「それでこれだけのためにここにやってきたのですか?」
「うん? 勿論これだけじゃないよ、ボクとしてはこれだけでも十分だと思うんだけど……ま、貰えるものは貰っておきなよ」
そう言って差し出してくるのは3つの勲章のような物、紫色の布と金色の金具が高級感を醸し出す、勲章はエンブレムなのだろうか、薔薇の花がモチーフだと分かる極印が成されている。
カルマが受け取ると恐る恐るラン達も受け取る、すると勲章は光の粒子となって胸に吸い込まれていく
これに驚きカルマが目を見開いているとするが目の前に本が飛び出してくる、そこには
【名前:厄災討伐者】
【アナタは世界に脅威を与える禍を鎮圧した。厄災に対し+10%の特攻。】
【名前:悲劇に終止符を打つ者】
【アナタは悲劇の厄災を倒し彼女の未練を断ち切った。LUK+50%の補正。】
と言う新たな称号を示す表記があった、ジーニスが手渡してきた勲章はタイトルを獲得するイベントアイテムのようなものだったのだろう。
本を閉じてジーニスの方を見ると、してやったりと言うような顔をしていたために取り敢えず無駄に洗練された無駄のない動きでデコピンをする。
「あだっ」
中身が化け物とは言え外部は人間、さらに戦闘態勢ではなかったことが幸いしジーニスにダメージを与えていた。
ジーニスが睨み付けているのを流しつつ
「もう良いですか?」
と言った。
ここだけを見るとカルマが健気に接してくれている後輩を厄介払いしているように見えるが大体その通りである。
その対応にやれやれと肩をすくめ
「じゃ、ボクはここら辺でいなくなるとしようか、大切な信者から疎まれているみたいだし」
と嫌味のように言いつつ何処かへ消えていった。
それを見て目を擦っているユリとランにカルマは微笑みつつ、今回の誘拐事件は無事に終了した。
◇
いやぁ中々に面白いものが見れたね。
まさか彼の弟妹があんなにスペックが高かったなんて見落としてたよ
これからは彼女達にも目を向けないと…………あぁ本当に彼の周りでは面白いことが起きるな
次は都市防衛イベントか………ふーん、普通より少し強いやつらだけか、これだと面白くないし少し手を加えよっと
アイツらが煩いだろうけど、まぁその時はその時だね。
––––––––––––––––––––––––––––––––––––––––––––––––––––––––
ということで第三章が終了となります。
今回の章、とあるシナリオをモデルとしたものなのですが分かりますか?
まぁクトゥルフに館やら屋敷のシナリオはありふれてるので分かりにくいと思いますが……
次の第四章は二章で書いたイベントの話となります。本編の最後で何者かが何かをしていたようですがそれは次章になったら分かるでしょう。
数本、SSやらを投稿するので次章はしばしお待ちを
最後に、何か質問したいことやら感想があったならくださると嬉しいです。
0
お気に入りに追加
18
あなたにおすすめの小説

ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
静寂の星
naomikoryo
SF
【★★★全7話+エピローグですので軽くお読みいただけます(^^)★★★】
深宇宙探査船《プロメテウス》は、未知の惑星へと不時着した。
そこは、異常なほど静寂に包まれた世界── 風もなく、虫の羽音すら聞こえない、完璧な沈黙の星 だった。
漂流した5人の宇宙飛行士たちは、救助を待ちながら惑星を探索する。
だが、次第に彼らは 「見えない何か」に監視されている という不気味な感覚に襲われる。
そしてある日、クルーのひとりが 跡形もなく消えた。
足跡も争った形跡もない。
ただ静かに、まるで 存在そのものが消されたかのように──。
「この星は“沈黙を守る”ために、我々を排除しているのか?」
音を発する者が次々と消えていく中、残されたクルーたちは 沈黙の星の正体 に迫る。
この惑星の静寂は、ただの自然現象ではなかった。
それは、惑星そのものの意志 だったのだ。
音を立てれば、存在を奪われる。
完全な沈黙の中で、彼らは生き延びることができるのか?
そして、最後に待ち受けるのは── 沈黙を破るか、沈黙に飲まれるかの選択 だった。
極限の静寂と恐怖が支配するSFサスペンス、開幕。


Sランク昇進を記念して追放された俺は、追放サイドの令嬢を助けたことがきっかけで、彼女が押しかけ女房のようになって困る!
仁徳
ファンタジー
シロウ・オルダーは、Sランク昇進をきっかけに赤いバラという冒険者チームから『スキル非所持の無能』とを侮蔑され、パーティーから追放される。
しかし彼は、異世界の知識を利用して新な魔法を生み出すスキル【魔学者】を使用できるが、彼はそのスキルを隠し、無能を演じていただけだった。
そうとは知らずに、彼を追放した赤いバラは、今までシロウのサポートのお陰で強くなっていたことを知らずに、ダンジョンに挑む。だが、初めての敗北を経験したり、その後借金を背負ったり地位と名声を失っていく。
一方自由になったシロウは、新な町での冒険者活動で活躍し、一目置かれる存在となりながら、追放したマリーを助けたことで惚れられてしまう。手料理を振る舞ったり、背中を流したり、それはまるで押しかけ女房だった!
これは、チート能力を手に入れてしまったことで、無能を演じたシロウがパーティーを追放され、その後ソロとして活躍して無双すると、他のパーティーから追放されたエルフや魔族といった様々な追放少女が集まり、いつの間にかハーレムパーティーを結成している物語!
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる