信仰者はVRを突き抜ける。 〜混沌なる世界で 神は微笑む〜

むに

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第三章 愛の形

厄災討伐報酬

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少し不満ではありますが一応投稿。
後々、改稿すれば修正はできますからね、少ししたら今回の話、大筋は変わってないけど少し内容が変わってるかもしれませんがご了承下さい。



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しばらく混沌カオスな状態だったのだがジーニスが

「さて、そろそろ本題に入ろうか。」

と言う、その言葉にカルマは怪訝そうな表情でジーニスに問い掛ける。

「その前に、何でアナタがここにいるんですか、神出鬼没なのは分かってますが出てくる必要なんてなかったでしょうに」

正論である。
ハッキリ言ってジーニス、ニャルの目的は退屈を紛らわすこと、言わば読者でありその本をえがく書き手でもなく登場人物でも無い、だが時折場を乱すようなことはするもののこの事件はクライマックスフェイズを終了しエンディングフェイズへと突入している。
つまりもうニャルの出番などないはずなのだ。


「うーん、そうだね。ボクの役割が今は違うんだよね。いつものトリックスターじゃなくて報酬とかを渡すNPCってところかな」

「………なんだか怪しいですが取り敢えず不問としておきましょう。」

「ねぇねぇ、ジーニス……さん、報酬って何?」

カルマが考えてもこの邪神ひとの心なんぞ読めるわけないと判断しているとユリが報酬と言う言葉に食い付く

「別にさん付けしなくても良いよ堅苦しいしね、おっとそちらのキミも呼び捨てで構わないよ」

「あ、あぁ」

ジーニスはコホンと意味ありげに咳払いをすると

「報酬の件なんだけど、その前に軽くそこにのびている彼女を倒してくれないかい?」

と言う風に今だに消えていない悲劇の災厄アマリスの残骸を指差す、つられて顔を向けるとカルマの決定的な一撃クリティカルヒットにより花弁のドレスが萎れて元気のないアマリスがいた。
どうやらまだトドメがさせていなかったようで鞭がゆらりと揺れていた。

ジーニスに命令されるのは癪だが倒さないければいつ攻撃されるか分からないので武器を構えつつランと共に近づいていく、攻撃する余力も残さらていないらしくカルマとランに気がついているはずなのだが攻撃してくる気配がない

近くまで来て少し眺めているとジーニスが少しイラついたような声で叫んでくる。


「キミ達、彼女はもう人間ではない存分にその刃を胸に突き刺すが良い」

カルマが視線をジーニスに向け「こんな事をやらせて楽しいですか?」と目で問う。返事は口元を歪ませた嫌らしい笑顔だった。
それを見たカルマは「悪趣味な……」と呟くとジーニスの「褒め言葉だね」と言う声が聞こえてきた気がした。


「ラン、私がやりましょう」

「いや、俺が」

「………ラン、これは姿が変わっていても、例えAIであろうと人間には変わりありませんから」

だから汚れ仕事は私に任せろと訴えかけてくる、ランは少し沈黙すると「任せた」と一言だけ呟く
カルマは爪の折れたクローでは無理だと判断して本から一本の短剣を取り出す。
短剣を鞘から抜くと鮮血のような赤に塗れた刃が見える、それをアマリスの胸に突き立て

「(ホントに悪趣味ですねニャルは……少しの間だけだとしても宿を貸して貰った礼です、先程は無理でしたが今回は一撃でやりましょうとも………せめて死後は旦那さんと幸せに暮らせますように)」

カルマの祈りを込められた刃は植物となったアマリスの胸を簡単に貫く、その時パリンと言う何かが割れるような音と共に風が吹き

『助けてくれてありがとう』

という空耳が聞こえた。

「……どうか安らかに」





カルマ達が戻ってくるとジーニスが

「倒したね? じゃあそろそろだ。」

カルマ達は頭に?を浮かべていると腹に響くような鈍い鐘の音が混沌都市に響き渡る。
何事かと辺りを見回していると

《全プレイヤーの皆様に連絡いたします。》

《只今、「SCシークレットクエスト彼岸花が咲き誇る」がクリアされました。》

《それに伴い、SCシークレットクエストが全フィールドにて解禁されますので探してみて下さい》

そう簡潔に締めくくるとワールドアナウンスが終了する。
ユリとランが呆然していると


「という事で厄災討伐おめでとう、キミ達は世界に脅威を与える禍を鎮めた。キミ達は英雄だ!」

と綺麗事を並べ立てるジーニス、その背後に肉体から黒い粒子が溢れ出ているアマリスを見つける、カルマは取り敢えずジーニスの話を聞こうと意識を割くのを止めると目の前にリザルトが表情されていることに気がつく


『RESULT』

戦闘時間:531秒

入手アイテム
【厄災討伐報酬・悲×5】

入手スキル
【曲芸】

能力アップ
【STR+3】【MND+1】【AGL+4】【DEX+3】【LUK+3】【格闘+2】【神聖+1】【識別+2】【武道+1】【身軽+2】【筋力+2】【消音+3】【気功+2】【陽炎+1】【五感+2】【速読+1】【気配探知+2】


「うぉ!?」

「え!?」

「はぁ!?」

どうやら三者とも能力が凄まじく伸びているようだ、このゲームの仕様として自身のステータスよりも掛け離れた敵と戦うと成長しやすくなるというものがあり本来は複数人で戦うはずの災厄を3人という少人数で倒したのだからこのくらいのボーナスはあって然るべきだろう。


「さて、自分のリザルトを見て貰ったかな? では入手アイテムの“厄災討伐報酬”というのを見てもらおうか」

カルマが鑑定を発動させると説明欄が表記される。

【名前:厄災討伐報酬・悲】
【悲劇の厄災を討伐した者に与えられる報酬。使用する事で対応した武具やアイテム、スキルなどが入手出来る。】

これはカルマが現在愛用しているルーキー装備の交換券と同種のアイテムで特定のアイテムやスキルに交換できる交換券の上位に値するものだ。
“悲”と付いているように種類がありその戦いなどに応じたものが手に入るのだとか


「それでこれだけのためにここにやってきたのですか?」

「うん? 勿論これだけじゃないよ、ボクとしてはこれだけでも十分だと思うんだけど……ま、貰えるものは貰っておきなよ」

そう言って差し出してくるのは3つの勲章のような物、紫色の布と金色の金具が高級感を醸し出す、勲章はエンブレムなのだろうか、薔薇の花がモチーフだと分かる極印が成されている。
カルマが受け取ると恐る恐るラン達も受け取る、すると勲章は光の粒子となって胸に吸い込まれていく
これに驚きカルマが目を見開いているとするが目の前に本が飛び出してくる、そこには

【名前:厄災討伐者】
【アナタは世界に脅威を与える禍を鎮圧した。厄災に対し+10%の特攻。】

【名前:悲劇に終止符を打つ者】
【アナタは悲劇の厄災を倒し彼女の未練を断ち切った。LUK+50%の補正。】

と言う新たな称号タイトルを示す表記があった、ジーニスが手渡してきた勲章はタイトルを獲得するイベントアイテムのようなものだったのだろう。
本を閉じてジーニスの方を見ると、してやったりと言うような顔をしていたために取り敢えず無駄に洗練された無駄のない動きでデコピンをする。

「あだっ」

中身が化け物ニャルとは言え外部は人間、さらに戦闘態勢ではなかったことが幸いしジーニスにダメージを与えていた。
ジーニスが睨み付けているのを流しつつ

「もう良いですか?」

と言った。
ここだけを見るとカルマが健気に接してくれている後輩を厄介払いしているように見えるが大体その通りである。

その対応にやれやれと肩をすくめ

「じゃ、ボクはここら辺でいなくなるとしようか、大切な信者から疎まれているみたいだし」

と嫌味のように言いつつ何処かへ消えていった。
それを見て目を擦っているユリとランにカルマは微笑みつつ、今回の誘拐事件は無事に終了した。















いやぁ中々に面白いものが見れたね。
まさか彼の弟妹があんなにスペックが高かったなんて見落としてたよ
これからは彼女達にも目を向けないと…………あぁ本当に彼の周りでは面白いことが起きるな

次は都市防衛イベントか………ふーん、普通より少し強いやつらだけか、これだと面白くないし少し手を加えよっと

アイツらが煩いだろうけど、まぁその時はその時だね。



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ということで第三章が終了となります。
今回の章、とあるシナリオをモデルとしたものなのですが分かりますか?
まぁクトゥルフに館やら屋敷のシナリオはありふれてるので分かりにくいと思いますが……

次の第四章は二章で書いたイベントの話となります。本編の最後で何者かが何かをしていたようですがそれは次章になったら分かるでしょう。

数本、SSやらを投稿するので次章はしばしお待ちを


最後に、何か質問したいことやら感想があったならくださると嬉しいです。
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