信仰者はVRを突き抜ける。 〜混沌なる世界で 神は微笑む〜

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第三章 愛の形

迷いの路地裏のその先に……

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ランが目覚める数十分前、カルマとユリは……

「ああ!もう!出口が!見つからない!!」

完全に迷っていた。


◇scene ~カルマ~


……かれこれ迷う事20分弱、ユリには集中力の限界が来て先程からストレスを発散するためか叫んでいた。


「ユリ、そう叫んだって出口は来ませんよ?」

「分かってるけどさぁ……周りの景色が壁だらけで飽きちゃったんだよぉ……」


実は気配探知で風の吹く方に進んでいるので進んで入るはずなのだがいかんせん長い、この【迷いの路地裏】が迷路のように入り組んでいるのもあるが景色が変わらないのも長く感じる原因だろう。
ん?少しに風が強くなった?……もしかしたら

私は歩く速度を少し早める、ユリが慌てて駆け寄るのを尻目に角を曲がるとそこには立派な屋敷が建っていた。見事な造りで黒い建材を使っている為暗く感じるがそれを除いてもその道のプロから見れば称賛に値するものだというのは素人目でも分かる。


「おぉ!何アレ凄い!」

「西洋館と呼ばれる建物ですね、よく聞くものだと洋館がそれです。」

「へぇ、それにしてもラン見当たらないね……周りにあるのはあの洋館だけだし」


そう、この洋館は壁に囲まれた中にポツンと一人寂しく佇んでおり少し違和感を感じる。まるで時代に取り残されているような………まぁ気のせいでしょう。
その後、ランの姿を見ていないか屋敷の方に聞き込みしてみることにした。



「近づけ近づくほど立派な屋敷……」

「そうですね」

感動しているユリを置いて洋館を眺めているとやはり違和感を感じた、まるで【ガラクタ堂】を見つけた時のような……この違和感は憶えた方がいいかもしれませんね。


洋館の敷地に入るとそこには薔薇の庭園があった、自分を見ろと言わんばかりに紅く美しく咲く薔薇を横目に私達は海外の扉に付いている金具を鳴らす、少ししてからドタバタと走ってくるような音がするとドアが開けられた。
そこに立っていたのはゆったりとした服を着たこれこそお嬢様、と思うような容姿の女性だった。
その女性は急な来客に驚いたのか、何度かまばたきをすると私達に話しかけてくる。


「ええと、何の様でしょうか?」

「あ、すみません……私達は」

目的を喋ろうしたユリの服を引っ張り止めさせ、チラリと顔を見る。私の視線に気がついたユリがニコリと微笑む、私に任せるということだろう、その信頼がありごたい。
さて、このゲームはクトゥルフをモチーフとしたものだ。そしてクトゥルフ神話において屋敷は大抵が神話生物と関わり合いのある人物が住んでいるのだ、何故だか嫌な予感もするし警戒をしておいて損は無い。


「実は私達、知人の家に泊まっているのですが、この子が路地裏に入ってみたいと言って気がついたらここにいまして、道案内を頼みたいのですが……」

ランがいるかもしれない屋敷に突入するにはこの理由が最適だと思う、力押しは出来なくは無いけど彼女が無害な可能性があるためにそれを実行するにはまだ早いだろう。

「そんなことが……道案内をして差し上げたいのですが……」

彼女は空を見上げる、私も釣られて見ると茜色に染まった空が見える。

「そう…ですか、分かりました……では大通りに帰る道を教えてくれませんか?」

「……女の子二人でこんな時間に出歩くのは危ないですし今夜はウチに泊まりませんか?」

来た!どうやら私に運が向いてきている様だ、このまま良い感じに進んで欲しいものだが、そう簡単に物事は進まないんですよねぇ




屋敷に入るとそこはホールとなっており、上は吹き抜けとなっている。正面には階段と絵画があり、両端には道が伸びており右には大きな扉と2つの扉が、左には扉が2つあるのが見える。
そう言えば屋敷の中に入るとそう言えば屋敷に入る理由を考えていて自己紹介を忘れていた。

「すみません、泊めてもらうというのに自己紹介を忘れてました。私はカルマ、この子はリリィです。」

「あぁ、わたくしも忘れていました。わたくしの名前はローズ・アマリス、アマリスともローズともどちらで呼んでも構いません」

「では、アマリスさんに改めて感謝を」

「構いませんわ、泊まる部屋は鍵の開いてる1階の部屋に、それと2回には上がらないでください」

「なんでですか?」

「実はわたくしオカルトライターをやっておりますの、その今夜はその仕上げに入りますので静かしてもらいたいのです。」

「なるほど、食事は何処で?」

「ホールを右に曲がったところにあります、食事は各自で作ってくださって結構です。」

「ありがとうございます、それでは」

私が感謝の言葉を送るとアマリスさんはいそいそと階段を上って行った。


さて、と探索開始ですね。




【Tips】プレイヤーは自身から訪問者プレイヤーであることを伝えないと住人達NPCは一部例外を除き気が付かない。


––––––––––––––––––––––––––––––––––––––––––––––––––––––––

【かなり適当に書いた文字の屋敷マップ】
   ? 階段  絵画 ? ?
   |  \  |  | |
   ----ホール-----
   |    |     |
   ?   出入口   食堂





今回からこんな風で行こうと思います。
回数の方が分かりやすいと思っただけです、別に面倒くさいとかじゃありませんよ?

【カルマ】
普通の成功:0
普通の失敗:0
決定的成功クリティカル:0
致命的失敗ファンブル:0

【ユリ】
普通の成功:0
普通の失敗:0
決定的成功クリティカル:0
致命的失敗ファンブル:0

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