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第3章 黒山編
116、美味しすぎる夕食
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夕食がずらっと並んだ広い客室内には、リルンとデュラ爺も含めて全員がいる。皆が入れる広い部屋があるなんて、さすが最高級宿だ。
『これは美味そうだ』
じゅるりと涎を垂らしそうになりながら、リルンが焼きたてパンの入った籠の前でお座りをしている。
『ねぇ、もう食べていい? 食べていいよね!?』
大興奮のラトの前にあるのは、木の実のケーキと空炒りされた木の実の盛り合わせだ。味変のために塩や砂糖なども置かれている。
『私の好みが分かっているじゃない』
ゆらゆらと尻尾が揺れているスーちゃんには、魚のフライがメインで準備されていた。上にかかっているタルタルソースが艶々と輝いている。
『わしもこの肉を前にしては、がっついてしまいそうじゃな』
デュラ爺の前にあるステーキは、多分最高級肉のステーキだと思う。上質な脂がのっていて、絶対に美味しいやつ。
ソースは何種類かあって、岩塩や辛味の強い薬味などで食べるのも美味しいらしい。
『まずはこの岩塩で……』
そう呟くデュラ爺の口元は、珍しく緩んでいる。そしてそんな四人の隣には、俺とフィーネの食事が並んでいた。
一言で言うと、圧巻だ。見るだけで高いと分かる料理の数々が、とてもセンスのいいお皿に少しずつ載っていて、どこから食べればいいのか分からないほどだ。
魚料理に肉料理、野菜に果物、それから俺の教養じゃなんなのか分からない料理まである。
「本当に凄いな……」
「ちょっと、食べるのが勿体ないね」
そうは思いつつ、神獣四人の圧が凄いので、さっそく皆で食べ始めることにした。
「じゃあ、食べるか」
『うむ!』
待ち望んでいたリルンが尻尾をブンブン振りながらパンに飛びつき、それにラトたちも続く。そんな皆の様子を見てたら少し力が抜け、俺もフォークとナイフを手に取った。
「まずは、このよく分からないやつから食べてみる」
なんだかカラフルで丸い料理だ。上に載ってるのは魚っぽく見える。下は野菜……?
疑問に思いつつ口に運ぶと――。
「美味っ!!」
とにかく美味かった。なんかもう言葉には表せない。俺が使える言葉じゃ表現できないほどに美味い。
「んっ。本当に美味しいね……お魚と野菜なのかな。旨みが強いし、味付けも絶妙。それになんだろう、食べたことがない香辛料? みたいなものが味付けに使われてるよね」
「分かる。今まで感じたことのない味がするな」
そんな感想を言い合っていたら、あっという間に食べ終えてしまった。次は分かりやすいやつということで、ステーキにする。
多分ジュラ爺のステーキと同じ肉だ。俺たちにも多様なソースが準備されていたので、まずはデュラ爺を真似して岩塩だけで食べてみることにした。
一口サイズに切るためにナイフを入れると、あまりの柔らかさにびっくりした。さらに肉を口に入れて噛んだ瞬間、つい固まってしまう。
「なんだこれ……」
肉汁が、溢れ出してくるのだ。噛めば噛むほどにじゅわっと溢れてくる。
「うわぁ~、肉汁を飲んでるみたい。でも全然くどくないよね」
「ああ、甘いし美味い」
岩塩だけだからこそ、この美味しさを引き立ててるのかもしれない。でもちょっと物足りなくて、濃そうなソースをかけてみると……。
「このソース凄い!」
今まで食べたソースの中で一番美味しいかもしれない。濃い味付けが好きな俺には最高のソースだ。これを野菜にかけて食べたいし、絶対パンにも合う。
そう思って焼きたてのパンを一切れ取り、そこにソースを塗った。さらに生野菜を載せて、ステーキも何枚か載せる。
全てを一緒に口へ運ぶと……口の中が幸せになった。
「俺、生きてて良かった――」
あまりの感動にそんな言葉が溢れると、フィーネが笑いながらも賛同してくれる。
「ふふっ、それはちょっと大袈裟だけど、その気持ちは分かるよ。またこういう料理を楽しめるぐらい、冒険者として活躍したいね」
「ああ、頑張るよ」
『我も賛成だ。もっと魔物を倒すぞ!』
『僕も手伝うよ~!』
『まあ私も、手伝ってあげるわ。美味しいご飯はいつでも食べたいもの』
『もちろん、わしも引き続き頑張ろう』
そうして皆でこれからへの決意を固めながら、美味しすぎる夕食を堪能した。特に気に入った料理はおかわりまでして、お腹がはち切れそうなほどだ。
でもその日の夜は、今までの人生でも最高に楽しくて幸せだった。
『これは美味そうだ』
じゅるりと涎を垂らしそうになりながら、リルンが焼きたてパンの入った籠の前でお座りをしている。
『ねぇ、もう食べていい? 食べていいよね!?』
大興奮のラトの前にあるのは、木の実のケーキと空炒りされた木の実の盛り合わせだ。味変のために塩や砂糖なども置かれている。
『私の好みが分かっているじゃない』
ゆらゆらと尻尾が揺れているスーちゃんには、魚のフライがメインで準備されていた。上にかかっているタルタルソースが艶々と輝いている。
『わしもこの肉を前にしては、がっついてしまいそうじゃな』
デュラ爺の前にあるステーキは、多分最高級肉のステーキだと思う。上質な脂がのっていて、絶対に美味しいやつ。
ソースは何種類かあって、岩塩や辛味の強い薬味などで食べるのも美味しいらしい。
『まずはこの岩塩で……』
そう呟くデュラ爺の口元は、珍しく緩んでいる。そしてそんな四人の隣には、俺とフィーネの食事が並んでいた。
一言で言うと、圧巻だ。見るだけで高いと分かる料理の数々が、とてもセンスのいいお皿に少しずつ載っていて、どこから食べればいいのか分からないほどだ。
魚料理に肉料理、野菜に果物、それから俺の教養じゃなんなのか分からない料理まである。
「本当に凄いな……」
「ちょっと、食べるのが勿体ないね」
そうは思いつつ、神獣四人の圧が凄いので、さっそく皆で食べ始めることにした。
「じゃあ、食べるか」
『うむ!』
待ち望んでいたリルンが尻尾をブンブン振りながらパンに飛びつき、それにラトたちも続く。そんな皆の様子を見てたら少し力が抜け、俺もフォークとナイフを手に取った。
「まずは、このよく分からないやつから食べてみる」
なんだかカラフルで丸い料理だ。上に載ってるのは魚っぽく見える。下は野菜……?
疑問に思いつつ口に運ぶと――。
「美味っ!!」
とにかく美味かった。なんかもう言葉には表せない。俺が使える言葉じゃ表現できないほどに美味い。
「んっ。本当に美味しいね……お魚と野菜なのかな。旨みが強いし、味付けも絶妙。それになんだろう、食べたことがない香辛料? みたいなものが味付けに使われてるよね」
「分かる。今まで感じたことのない味がするな」
そんな感想を言い合っていたら、あっという間に食べ終えてしまった。次は分かりやすいやつということで、ステーキにする。
多分ジュラ爺のステーキと同じ肉だ。俺たちにも多様なソースが準備されていたので、まずはデュラ爺を真似して岩塩だけで食べてみることにした。
一口サイズに切るためにナイフを入れると、あまりの柔らかさにびっくりした。さらに肉を口に入れて噛んだ瞬間、つい固まってしまう。
「なんだこれ……」
肉汁が、溢れ出してくるのだ。噛めば噛むほどにじゅわっと溢れてくる。
「うわぁ~、肉汁を飲んでるみたい。でも全然くどくないよね」
「ああ、甘いし美味い」
岩塩だけだからこそ、この美味しさを引き立ててるのかもしれない。でもちょっと物足りなくて、濃そうなソースをかけてみると……。
「このソース凄い!」
今まで食べたソースの中で一番美味しいかもしれない。濃い味付けが好きな俺には最高のソースだ。これを野菜にかけて食べたいし、絶対パンにも合う。
そう思って焼きたてのパンを一切れ取り、そこにソースを塗った。さらに生野菜を載せて、ステーキも何枚か載せる。
全てを一緒に口へ運ぶと……口の中が幸せになった。
「俺、生きてて良かった――」
あまりの感動にそんな言葉が溢れると、フィーネが笑いながらも賛同してくれる。
「ふふっ、それはちょっと大袈裟だけど、その気持ちは分かるよ。またこういう料理を楽しめるぐらい、冒険者として活躍したいね」
「ああ、頑張るよ」
『我も賛成だ。もっと魔物を倒すぞ!』
『僕も手伝うよ~!』
『まあ私も、手伝ってあげるわ。美味しいご飯はいつでも食べたいもの』
『もちろん、わしも引き続き頑張ろう』
そうして皆でこれからへの決意を固めながら、美味しすぎる夕食を堪能した。特に気に入った料理はおかわりまでして、お腹がはち切れそうなほどだ。
でもその日の夜は、今までの人生でも最高に楽しくて幸せだった。
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