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第3章 黒山編
112、決着
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フィーネがサラマンダーと戦っている皆のことを従魔だと伝えると、兵士の男性が眉間の皺を深くした。
「従魔にできるような魔物が、サラマンダーを倒せるのか……?」
サラマンダーを倒してくれるというフィーネの言葉が、信じられなかったようだ。一般的にテイマースキルを用いての従魔化というのは、本人の強さ以上の魔物は従魔にすることができない。
よって従魔がサラマンダーを倒せるということは、フィーネがサラマンダーを倒せるという意味になってしまう。
困惑している様子の兵士に向けて、フィーネが誤魔化すように笑みを浮かべた。
「私の従魔はちょっと特殊で、私よりも強い子たちばかりなんです。なんだか運良く、いろんな偶然が重なって従魔になってくれて……」
あはは、とわざとらしく笑ったフィーネにまだ兵士は困惑しつつも、とりあえず信じることにしたのか一度大きく頷く。
そして表情を真剣なものに変えると、腰に差していた剣を抜いて宣言した。
「……分かった。サラマンダー討伐への助力、大変感謝する。しかし通りすがりの冒険者にばかり負担をかけるわけにはいくまい。少しでも討伐できる可能性を高めるため、我らも共に戦おう」
そこで一度言葉を切った兵士は、近くにいた兵士を鼓舞するように剣を突き上げた。
「皆、兵士として街に住む皆のために命をかける覚悟はできているな!」
「はっっ!!!」
他の兵士たちが一斉に声を上げ、その場の雰囲気がピリッと引き締まる。サラマンダーは一般的に、多大な犠牲を覚悟して相手をする魔物だ。ここにいる兵士たちは、ここで死ぬことも覚悟しているのだろう。
でも神獣四人がいれば、そんな覚悟は必要ない。ただ兵士たちは、従魔がサラマンダーと戦えることは信じても、サラマンダーを倒せるとは信じていないようだ。
俺がフィーネに視線を向けるとちょうど目が合い、フィーネが苦笑を浮かべた。そして立ち上がって声を張る。
「皆さん、もう少しだけ待っていてもらえますか? あの子たちが討伐に失敗したら、その時には助力をお願いします」
そんなフィーネの言葉に、兵士たちはまた困惑の表情を浮かべた。
「いや、しかし……君たちの従魔がせっかく作ってくれている機会を逃すわけには……」
「あと少しだけで良いんです。多分そろそろ……」
そう言ってフィーネが四人へ視線を向けた瞬間、ついにリルンが叫んだ。
『デュラ爺いまだ!』
その言葉は俺たちの耳にも届き、次の瞬間にはデュラ爺が周囲にある植物を無数に集めて巨大な足場を作る。
天に向かってどんどん伸びていく足場は上空を飛ぶサラマンダーに届く高さになり、その足場をリルンが飛ぶように駆け上がった。
『きゃー!! 楽しいね!!』
ラトの楽しそうな声が、緊張感を掻き消してくる。
しかしさすがのサラマンダー、それだけでやられる存在ではない。植物で作られた足場に最も効く攻撃、炎のブレスを最大火力で吐き、足場と共にリルンたちを丸焦げにしようとした。
リルンはそんな攻撃を余裕で避け、横に飛んだ先に足場を作るのは、今度はラトだ。ラトのバリアを足場にしたリルンは風魔法も使ってサラマンダーに向かって飛ぶと、鋭い爪を振り下ろした。
ガキンッッ!!
リルンとサラマンダーの爪がぶつかり、火花が散る。そんな中でスーちゃんがリルンの背中から飛び出した。空中歩行を使って宙を蹴ると、身軽にサラマンダーの目を切り裂き、ふわりとリルンの背に戻ってくる。
この場所からじゃほとんど見えないけど、絶対にスーちゃんドヤ顔してるんだろうな。
そんなことを考えていたら、目を潰されたサラマンダーが体勢を崩したようだ。ガクッと体が傾き、そこを見逃すリルンじゃない。
また思いっきり爪を振り下ろすと、今度はサラマンダーの胴体を深く切り裂いた。真っ赤な血が吹き出す中、サラマンダーが必死の抵抗で炎のブレスを吐いたが……リルンはそのブレスごと、風魔法を使ってサラマンダーを地面に向かって吹き飛ばした。
「ギャアァゥッッ!!」
地面に激突したサラマンダーは、悲痛な叫び声をあげて倒れ込む。そんなサラマンダーに向かって、デュラ爺が作り直した足場を駆け下りたリルンは――
トドメとして、サラマンダーの首をその爪で切り落とした。頭と胴体が離れたサラマンダーは、そのまま息絶える。
「さすが皆だな」
「後で褒めてあげなくちゃ」
俺たちがそんな呑気な会話をしていると、呆然と戦いの様子を眺めていた兵士たちの方から、どよめきが聞こえてきた。
「従魔にできるような魔物が、サラマンダーを倒せるのか……?」
サラマンダーを倒してくれるというフィーネの言葉が、信じられなかったようだ。一般的にテイマースキルを用いての従魔化というのは、本人の強さ以上の魔物は従魔にすることができない。
よって従魔がサラマンダーを倒せるということは、フィーネがサラマンダーを倒せるという意味になってしまう。
困惑している様子の兵士に向けて、フィーネが誤魔化すように笑みを浮かべた。
「私の従魔はちょっと特殊で、私よりも強い子たちばかりなんです。なんだか運良く、いろんな偶然が重なって従魔になってくれて……」
あはは、とわざとらしく笑ったフィーネにまだ兵士は困惑しつつも、とりあえず信じることにしたのか一度大きく頷く。
そして表情を真剣なものに変えると、腰に差していた剣を抜いて宣言した。
「……分かった。サラマンダー討伐への助力、大変感謝する。しかし通りすがりの冒険者にばかり負担をかけるわけにはいくまい。少しでも討伐できる可能性を高めるため、我らも共に戦おう」
そこで一度言葉を切った兵士は、近くにいた兵士を鼓舞するように剣を突き上げた。
「皆、兵士として街に住む皆のために命をかける覚悟はできているな!」
「はっっ!!!」
他の兵士たちが一斉に声を上げ、その場の雰囲気がピリッと引き締まる。サラマンダーは一般的に、多大な犠牲を覚悟して相手をする魔物だ。ここにいる兵士たちは、ここで死ぬことも覚悟しているのだろう。
でも神獣四人がいれば、そんな覚悟は必要ない。ただ兵士たちは、従魔がサラマンダーと戦えることは信じても、サラマンダーを倒せるとは信じていないようだ。
俺がフィーネに視線を向けるとちょうど目が合い、フィーネが苦笑を浮かべた。そして立ち上がって声を張る。
「皆さん、もう少しだけ待っていてもらえますか? あの子たちが討伐に失敗したら、その時には助力をお願いします」
そんなフィーネの言葉に、兵士たちはまた困惑の表情を浮かべた。
「いや、しかし……君たちの従魔がせっかく作ってくれている機会を逃すわけには……」
「あと少しだけで良いんです。多分そろそろ……」
そう言ってフィーネが四人へ視線を向けた瞬間、ついにリルンが叫んだ。
『デュラ爺いまだ!』
その言葉は俺たちの耳にも届き、次の瞬間にはデュラ爺が周囲にある植物を無数に集めて巨大な足場を作る。
天に向かってどんどん伸びていく足場は上空を飛ぶサラマンダーに届く高さになり、その足場をリルンが飛ぶように駆け上がった。
『きゃー!! 楽しいね!!』
ラトの楽しそうな声が、緊張感を掻き消してくる。
しかしさすがのサラマンダー、それだけでやられる存在ではない。植物で作られた足場に最も効く攻撃、炎のブレスを最大火力で吐き、足場と共にリルンたちを丸焦げにしようとした。
リルンはそんな攻撃を余裕で避け、横に飛んだ先に足場を作るのは、今度はラトだ。ラトのバリアを足場にしたリルンは風魔法も使ってサラマンダーに向かって飛ぶと、鋭い爪を振り下ろした。
ガキンッッ!!
リルンとサラマンダーの爪がぶつかり、火花が散る。そんな中でスーちゃんがリルンの背中から飛び出した。空中歩行を使って宙を蹴ると、身軽にサラマンダーの目を切り裂き、ふわりとリルンの背に戻ってくる。
この場所からじゃほとんど見えないけど、絶対にスーちゃんドヤ顔してるんだろうな。
そんなことを考えていたら、目を潰されたサラマンダーが体勢を崩したようだ。ガクッと体が傾き、そこを見逃すリルンじゃない。
また思いっきり爪を振り下ろすと、今度はサラマンダーの胴体を深く切り裂いた。真っ赤な血が吹き出す中、サラマンダーが必死の抵抗で炎のブレスを吐いたが……リルンはそのブレスごと、風魔法を使ってサラマンダーを地面に向かって吹き飛ばした。
「ギャアァゥッッ!!」
地面に激突したサラマンダーは、悲痛な叫び声をあげて倒れ込む。そんなサラマンダーに向かって、デュラ爺が作り直した足場を駆け下りたリルンは――
トドメとして、サラマンダーの首をその爪で切り落とした。頭と胴体が離れたサラマンダーは、そのまま息絶える。
「さすが皆だな」
「後で褒めてあげなくちゃ」
俺たちがそんな呑気な会話をしていると、呆然と戦いの様子を眺めていた兵士たちの方から、どよめきが聞こえてきた。
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