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第3章 黒山編
99、黒山へ
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数日後の午前中。俺たちはついに、黒山行きの馬車に乗っていた。
「やっと黒山に行けるな」
「本当なら、朱鉄と水晶華より早くに向かう予定だったんだよね」
「順番はかなり狂ったけど……まあ、順調だよな」
予想していたよりも早くに必要な素材は集まっている。黒山でも問題なく純黒玉を手に入れられたらいいけど。
『ねぇねぇフィーネ、木の実を食べていい?』
いつも通りマイペースのラトは、フィーネの膝の上に乗せられたクッションでまったりとくつろいでいた。さっきまでは寝てたけど、目が覚めて空腹を感じたらしい。
「一つだけね」
そう言ってフィーネが鞄から木の実を出すと、ラトは嬉しそうに笑って受け取った。
『ありがとう!』
ちなみにリルンとデュラ爺はいつものように馬車の近くを並走していて、スーちゃんは風を感じたいと言って、デュラ爺の背中に乗っている。
「あっ、リルンが森の中に行ったな」
何気なく馬車の窓から外を見てみると、ちょうどリルンが街道を外れていくところだった。多分近くに魔物がいるのだろう。
こうして魔物を討伐してくれるリルンのおかげで、馬車移動で魔物に襲われることが極端に少ないのは、本当にありがたい。
「そろそろ一度休憩で止まるから、追いつくのは楽かもしれないね」
「そうだな。ちょうど良かったかも」
それからもそんな話をしつつ、馬車に揺られることしばらく。俺たちの目に、異様な光景が映った。
街道のまだ少し先に、真っ黒な山が見えてきたのだ。
「……全てが真っ黒な山って、本当だったんだな」
誇張なく完全に真っ黒だ。土も草木も、その山だけが黒以外の色を持ち合わせていない。
「凄く不思議だね……原因は明確に分かってないらしいけど、誰かに解明してほしいね」
「そうだな……確かマグマの影響だとか、発生してるガスによるものだとか、色々と推測はあるって聞いたけど」
「黒山にいる魔物は特に影響を受けてないから、地中の問題だって話らしいね」
「世の中には面白い現象もあるよな~」
フィーネと窓から見える黒山を見つめていると、他の乗客もザワザワと騒がしくなった。
そしてそれから数時間。俺たちが乗る馬車は、問題なく黒山の麓にある街へと到着した。
全てが黒になる影響を受けてない場所にある街なので、温泉の湯気がそこかしこに見られる以外は普通の街だ。観光でかなり賑わっていて、街も大規模だった。
「まさに楽しむための街、って雰囲気で良いね」
「分かる。空気感がすでに賑やかだ」
色んなところから客引きの声が聞こえていたり、屋台がたくさん出ていて、土産物屋も散見される。働く人たちも観光地だからか、皆が笑顔だ。
『まずは宿を探すのじゃろうか』
『パンがあるところにしよう』
『僕は温泉に入ってみたいなぁ~』
『私に相応しい宿にして欲しいわ。綺麗なところよ』
デュラ爺以外三人の要望を聞き、俺とフィーネは苦笑しつつ宿探しを始めた。せっかくの温泉街なので、今回は一軒家を借りるのではなくて宿を探す。
「まずは皆が泊まれる宿を見つけないとね。できれば貸切の露天風呂があると、皆も温泉に入れるかな」
フィーネのその言葉に、ラトが嬉しそうに飛び上がった。
『露天風呂! 貸切!』
ラトが木の実以外でここまで興奮しているところはあまり見ないため、なんだか新鮮だ。
『それは良いな。わしも入れるなら入りたい。山にある自然の温泉に入ったことはあっても、人間が整備したところには入ったことがないんじゃ』
『ふむ、我も一度ぐらいは入ってやるか』
『私も入りたいわ。温泉に入るとより毛並みが美しくなるのでしょう?』
結局全員が温泉に興味があるらしく、俺たちは皆が温泉に入れるという難しい条件での宿探しになった。リルンのパンは別の店に買いに向かうということで、宿では食べられなくてもいいと了承してもらう。
「あっ、エリク。あの宿は貸切露天風呂って書かれてない?」
「おっ、本当だな。ちょっと話を聞いてくる」
フィーネが示した宿の客引きに声を掛けると、若い女性は笑顔で対応してくれた。
「すみません。従魔がいるのですが、一緒に泊まって温泉にも入ることってできますか?」
「従魔とは……」
女性は俺の後ろにいるデュラ爺たちを見て、その大きさに少しだけ考え込む。しかし、すぐに断られることはないみたいだ。
「ちょっと聞いてきますので、ここで待っていてもらえますか?」
「もちろんです。ありがとうございます」
それからしばらく待っていると、女性が笑顔で宿から出てきた。
「本館じゃなくて離れがあるのですが、そっちなら泊まっていただけますよ。ただ大きな従魔は露天風呂と、離れの近くにある屋根付きの荷物置き場のような場所にしか入れないのですが、それでも構いませんか? 室内はそこまで広くないんです」
申し訳なさそうに告げてくれた女性の言葉に後ろを振り返ると、デュラ爺とリルンはすぐに頷いてくれる。
『わしは問題ないぞ』
『我もだ。露天風呂に入れて屋根があるなら文句はない』
そんな二人の言葉に頷いてから、女性に向き直った。
「それで問題ないので、宿泊をお願いします」
「かしこまりました! 何泊なさいますか?」
「あー、フィーネどうする? 三泊ぐらいにしとくか?」
「そうだね。まずはそのぐらいで良いかも。あっ、延長とかってできますか?」
「もちろんできますよ~」
女性が笑顔で頷いてくれたところで、とりあえずの宿泊日数は決まった。
「じゃあ三泊で、延長を考えた時は早めに伝えますね」
「分かりました。ありがとうございます。では手続きをしてから、離れまでご案内します!」
それから女性の案内で向かった離れは、とてもいいところだった。部屋はそこまで狭くなく、露天風呂は大きくて見るだけで気持ち良さそうだ。
ベッドも綺麗で快適そうで……と、そこまで確認したところで、俺は信じられない事実に気づいた。
「やっと黒山に行けるな」
「本当なら、朱鉄と水晶華より早くに向かう予定だったんだよね」
「順番はかなり狂ったけど……まあ、順調だよな」
予想していたよりも早くに必要な素材は集まっている。黒山でも問題なく純黒玉を手に入れられたらいいけど。
『ねぇねぇフィーネ、木の実を食べていい?』
いつも通りマイペースのラトは、フィーネの膝の上に乗せられたクッションでまったりとくつろいでいた。さっきまでは寝てたけど、目が覚めて空腹を感じたらしい。
「一つだけね」
そう言ってフィーネが鞄から木の実を出すと、ラトは嬉しそうに笑って受け取った。
『ありがとう!』
ちなみにリルンとデュラ爺はいつものように馬車の近くを並走していて、スーちゃんは風を感じたいと言って、デュラ爺の背中に乗っている。
「あっ、リルンが森の中に行ったな」
何気なく馬車の窓から外を見てみると、ちょうどリルンが街道を外れていくところだった。多分近くに魔物がいるのだろう。
こうして魔物を討伐してくれるリルンのおかげで、馬車移動で魔物に襲われることが極端に少ないのは、本当にありがたい。
「そろそろ一度休憩で止まるから、追いつくのは楽かもしれないね」
「そうだな。ちょうど良かったかも」
それからもそんな話をしつつ、馬車に揺られることしばらく。俺たちの目に、異様な光景が映った。
街道のまだ少し先に、真っ黒な山が見えてきたのだ。
「……全てが真っ黒な山って、本当だったんだな」
誇張なく完全に真っ黒だ。土も草木も、その山だけが黒以外の色を持ち合わせていない。
「凄く不思議だね……原因は明確に分かってないらしいけど、誰かに解明してほしいね」
「そうだな……確かマグマの影響だとか、発生してるガスによるものだとか、色々と推測はあるって聞いたけど」
「黒山にいる魔物は特に影響を受けてないから、地中の問題だって話らしいね」
「世の中には面白い現象もあるよな~」
フィーネと窓から見える黒山を見つめていると、他の乗客もザワザワと騒がしくなった。
そしてそれから数時間。俺たちが乗る馬車は、問題なく黒山の麓にある街へと到着した。
全てが黒になる影響を受けてない場所にある街なので、温泉の湯気がそこかしこに見られる以外は普通の街だ。観光でかなり賑わっていて、街も大規模だった。
「まさに楽しむための街、って雰囲気で良いね」
「分かる。空気感がすでに賑やかだ」
色んなところから客引きの声が聞こえていたり、屋台がたくさん出ていて、土産物屋も散見される。働く人たちも観光地だからか、皆が笑顔だ。
『まずは宿を探すのじゃろうか』
『パンがあるところにしよう』
『僕は温泉に入ってみたいなぁ~』
『私に相応しい宿にして欲しいわ。綺麗なところよ』
デュラ爺以外三人の要望を聞き、俺とフィーネは苦笑しつつ宿探しを始めた。せっかくの温泉街なので、今回は一軒家を借りるのではなくて宿を探す。
「まずは皆が泊まれる宿を見つけないとね。できれば貸切の露天風呂があると、皆も温泉に入れるかな」
フィーネのその言葉に、ラトが嬉しそうに飛び上がった。
『露天風呂! 貸切!』
ラトが木の実以外でここまで興奮しているところはあまり見ないため、なんだか新鮮だ。
『それは良いな。わしも入れるなら入りたい。山にある自然の温泉に入ったことはあっても、人間が整備したところには入ったことがないんじゃ』
『ふむ、我も一度ぐらいは入ってやるか』
『私も入りたいわ。温泉に入るとより毛並みが美しくなるのでしょう?』
結局全員が温泉に興味があるらしく、俺たちは皆が温泉に入れるという難しい条件での宿探しになった。リルンのパンは別の店に買いに向かうということで、宿では食べられなくてもいいと了承してもらう。
「あっ、エリク。あの宿は貸切露天風呂って書かれてない?」
「おっ、本当だな。ちょっと話を聞いてくる」
フィーネが示した宿の客引きに声を掛けると、若い女性は笑顔で対応してくれた。
「すみません。従魔がいるのですが、一緒に泊まって温泉にも入ることってできますか?」
「従魔とは……」
女性は俺の後ろにいるデュラ爺たちを見て、その大きさに少しだけ考え込む。しかし、すぐに断られることはないみたいだ。
「ちょっと聞いてきますので、ここで待っていてもらえますか?」
「もちろんです。ありがとうございます」
それからしばらく待っていると、女性が笑顔で宿から出てきた。
「本館じゃなくて離れがあるのですが、そっちなら泊まっていただけますよ。ただ大きな従魔は露天風呂と、離れの近くにある屋根付きの荷物置き場のような場所にしか入れないのですが、それでも構いませんか? 室内はそこまで広くないんです」
申し訳なさそうに告げてくれた女性の言葉に後ろを振り返ると、デュラ爺とリルンはすぐに頷いてくれる。
『わしは問題ないぞ』
『我もだ。露天風呂に入れて屋根があるなら文句はない』
そんな二人の言葉に頷いてから、女性に向き直った。
「それで問題ないので、宿泊をお願いします」
「かしこまりました! 何泊なさいますか?」
「あー、フィーネどうする? 三泊ぐらいにしとくか?」
「そうだね。まずはそのぐらいで良いかも。あっ、延長とかってできますか?」
「もちろんできますよ~」
女性が笑顔で頷いてくれたところで、とりあえずの宿泊日数は決まった。
「じゃあ三泊で、延長を考えた時は早めに伝えますね」
「分かりました。ありがとうございます。では手続きをしてから、離れまでご案内します!」
それから女性の案内で向かった離れは、とてもいいところだった。部屋はそこまで狭くなく、露天風呂は大きくて見るだけで気持ち良さそうだ。
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