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第3章 黒山編
96、危機と夜
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「……っ!」
あまりにも突然の出来事に動くことも声を発することもできず、俺は自分に向けて倒れてくる巨大な壁を、ただ呆然と眺めていた。
これ、助かるのか? もしかして、死ぬ?
その言葉が思い浮かんだ瞬間、身体中にゾワっと強い恐怖が駆け巡る。反射的に目を瞑って少しでも恐怖から逃れようと足掻くと――その瞬間、思いっきり後ろに引っ張られた。
「うえっ」
服を引っ張られたことで襟が首に食い込み、反射的に変な声が出る。しかしそのおかげで、辛うじて倒れてきた壁からは逃れられたようだ。
強い安堵感と共に体から力を抜こうとしたけど、俺はすぐに自分を襲っている次の危機に気づいた。
このままだと、地面に叩きつけられるんじゃ……!
しかし気づいたところで、俺に対処の術はない。体をグッと固くして、壁に潰されるよりはマシだと自分に言い聞かせながら衝撃に構えていると――背中に感じたのは、ボフッという柔らかい感触だった。
恐る恐る目を開けて振り返ると、
「リ、リルン……っ!」
そこにいたのは、呆れた表情のリルンだった。俺は思わずリルンの体にギュッと抱きつく。
「お、お前は、命の恩人だ!」
そう伝えて抱きしめる腕の力を強くすると、リルンからは呆れたようなため息が降ってきた。
『はぁ、それはいつものことだが、それよりも。エリクは鈍臭すぎるぞ。そして鈍臭いことが自分で分かっているのなら、壁が倒れてくる範囲に立っているような愚を犯すな。本当に世話が焼ける』
リルンの言葉はあまりにも正論で、返す言葉がない。
「仰るとおりです……これからは気をつけます」
リルンからそっと離れて、正座をしながら敬語で反省を述べた。するとリルンはニヤッと口角を上げる。
『ではエリク、我に詫びとしてパンを百個買うように』
パン百個……いつもなら食べすぎだって言うところだけど、今の俺は百個でも千個でも買いたい気分だ。
「もちろん買う。買わせてください!」
『本当か? エリク、忘れるなよ』
嬉しそうに瞳を輝かせたリルンは、尻尾をゆらゆらと動かしながら俺の下を離れていき、どのパン屋がいいのか吟味する声が僅かに聞こえてきた。
リルンって本当にパンが大好きだよな……。
ぼーっとリルンの後ろ姿を見送っていると、慌てた様子のフィーネがこちらに来てくれる。
「エリク、大丈夫!?」
「……うん、怪我はないよ。ただ本当にびっくりした」
リルンがいなかったら高確率で死んでただろう。やっぱり俺も少しは鍛え直そう。そしてリルンたちがいるからって油断せず、危険を察知する力も身につけないと。
『エリク、この壁を持ち帰るのか?』
フィーネに続いてこちらにやってきたデュラ爺が、大きな壁を不思議そうに見つめた。
「ああ、持ち帰りたい。スーちゃんが言うにはこの壁自体が水晶華の根や茎みたいな役割らしくて、これを持ち帰れば栽培できるかもしれないんだ」
『ほう、それは面白いな』
デュラ爺は興味深げな表情で、リルンがくり抜いてくれた壁を検分する。
『力技でくり抜いたとは思えぬほど、断面が平らだな。この特殊な材質の壁は、ある一定の深さで終わりなのか』
「そうみたいだな」
どんな仕組みかは分からないけど、普通の土壁とこの特殊な材質の壁は離れやすくなってるのかもしれないな。だからくり抜いた壁が、予想外のタイミングで倒れてきたんだ。
「これ異空間に仕舞える? 大きすぎるなら、何個かに分けて収納して欲しいんだけど……」
『分かった。このまま収納できるはずだ。異空間に移しておこう』
「良かった。ありがとな」
大きなトラブルは発生したけど、これでとりあえず壁の取得も終わりだ。残ってる水晶華の数を確認しようと周囲を見回すと、すでに十分な数が採取し終えているようだった。
ラトやスーちゃんたちも、すでに休憩モードだ。
「これで水晶華の採取も終わりかな」
そう呟くと、隣にいたフィーネが同意してくれた。
「そうだね。でももう時間帯的に薄暗くなってると思うけど、これからどうする? 今から帰るのはちょっと危ないよね」
「確かにそうだな……いくら皆がいるとはいえ、夜の海は危険な気がする」
「そうだよね。じゃあ、今日はここで野営かな」
フィーネのその言葉は、ラトたちにも聞こえたらしい。三人で固まって休んでいたラト、スーちゃん、リルンは、全員がこちらを向いた。
『今日は野営なの!?』
まず口を開いたのはラトだ。ラトは瞬間移動で俺たちの近くにいたデュラ爺の背中の上に現れると、キラキラと輝く瞳で見上げてきた。
「ああ、そうなるな」
楽しそうなラトの様子に思わず苦笑してしまう。前は野営にここまで反応しなかったんだけど、デュラ爺が仲間に加わって野営が快適になってからは、ラトにとって野営は楽しいキャンプになったのだ。
『やったー!』
『どんな料理をするのかしら。たくさん獲った魚を食べるのはどう?』
『この洞窟の中で野営をするのか?』
スーちゃんとリルンもラトほどじゃないにしても乗り気で、こちらへと優雅に歩いてくる。そんな皆にフィーネが声を掛けた。
「食事は洞窟の出入り口で、寝るのは洞窟の奥にしようか。夕食のメニューは魚を焼いたものと、木の実、それからデュラ爺の異空間にあるビスケットや堅パンかな。堅パンは、バターを塗って火で炙るのはどう?」
『それは素晴らしい。すぐに作ろう』
パンならなんでも好きなリルンは一気に前のめりだ。スーちゃんは魚に満足そうで、ラトは木の実に頬を緩めている。
「じゃあ入り口まで戻ろう。デュラ爺は夕食の要望があるか?」
『そうじゃな……わしはスープが飲みたいぞ』
「おっ、いいな。いくつか野菜を入れてスープを作ろう。確か異空間に入れてきたよな?」
『うむ、入っておる』
「じゃあ野菜と魚介のスープだな」
そんな話をしながら入り口に戻ったところで、俺たちは手分けして野営の準備を進めた。
あまりにも突然の出来事に動くことも声を発することもできず、俺は自分に向けて倒れてくる巨大な壁を、ただ呆然と眺めていた。
これ、助かるのか? もしかして、死ぬ?
その言葉が思い浮かんだ瞬間、身体中にゾワっと強い恐怖が駆け巡る。反射的に目を瞑って少しでも恐怖から逃れようと足掻くと――その瞬間、思いっきり後ろに引っ張られた。
「うえっ」
服を引っ張られたことで襟が首に食い込み、反射的に変な声が出る。しかしそのおかげで、辛うじて倒れてきた壁からは逃れられたようだ。
強い安堵感と共に体から力を抜こうとしたけど、俺はすぐに自分を襲っている次の危機に気づいた。
このままだと、地面に叩きつけられるんじゃ……!
しかし気づいたところで、俺に対処の術はない。体をグッと固くして、壁に潰されるよりはマシだと自分に言い聞かせながら衝撃に構えていると――背中に感じたのは、ボフッという柔らかい感触だった。
恐る恐る目を開けて振り返ると、
「リ、リルン……っ!」
そこにいたのは、呆れた表情のリルンだった。俺は思わずリルンの体にギュッと抱きつく。
「お、お前は、命の恩人だ!」
そう伝えて抱きしめる腕の力を強くすると、リルンからは呆れたようなため息が降ってきた。
『はぁ、それはいつものことだが、それよりも。エリクは鈍臭すぎるぞ。そして鈍臭いことが自分で分かっているのなら、壁が倒れてくる範囲に立っているような愚を犯すな。本当に世話が焼ける』
リルンの言葉はあまりにも正論で、返す言葉がない。
「仰るとおりです……これからは気をつけます」
リルンからそっと離れて、正座をしながら敬語で反省を述べた。するとリルンはニヤッと口角を上げる。
『ではエリク、我に詫びとしてパンを百個買うように』
パン百個……いつもなら食べすぎだって言うところだけど、今の俺は百個でも千個でも買いたい気分だ。
「もちろん買う。買わせてください!」
『本当か? エリク、忘れるなよ』
嬉しそうに瞳を輝かせたリルンは、尻尾をゆらゆらと動かしながら俺の下を離れていき、どのパン屋がいいのか吟味する声が僅かに聞こえてきた。
リルンって本当にパンが大好きだよな……。
ぼーっとリルンの後ろ姿を見送っていると、慌てた様子のフィーネがこちらに来てくれる。
「エリク、大丈夫!?」
「……うん、怪我はないよ。ただ本当にびっくりした」
リルンがいなかったら高確率で死んでただろう。やっぱり俺も少しは鍛え直そう。そしてリルンたちがいるからって油断せず、危険を察知する力も身につけないと。
『エリク、この壁を持ち帰るのか?』
フィーネに続いてこちらにやってきたデュラ爺が、大きな壁を不思議そうに見つめた。
「ああ、持ち帰りたい。スーちゃんが言うにはこの壁自体が水晶華の根や茎みたいな役割らしくて、これを持ち帰れば栽培できるかもしれないんだ」
『ほう、それは面白いな』
デュラ爺は興味深げな表情で、リルンがくり抜いてくれた壁を検分する。
『力技でくり抜いたとは思えぬほど、断面が平らだな。この特殊な材質の壁は、ある一定の深さで終わりなのか』
「そうみたいだな」
どんな仕組みかは分からないけど、普通の土壁とこの特殊な材質の壁は離れやすくなってるのかもしれないな。だからくり抜いた壁が、予想外のタイミングで倒れてきたんだ。
「これ異空間に仕舞える? 大きすぎるなら、何個かに分けて収納して欲しいんだけど……」
『分かった。このまま収納できるはずだ。異空間に移しておこう』
「良かった。ありがとな」
大きなトラブルは発生したけど、これでとりあえず壁の取得も終わりだ。残ってる水晶華の数を確認しようと周囲を見回すと、すでに十分な数が採取し終えているようだった。
ラトやスーちゃんたちも、すでに休憩モードだ。
「これで水晶華の採取も終わりかな」
そう呟くと、隣にいたフィーネが同意してくれた。
「そうだね。でももう時間帯的に薄暗くなってると思うけど、これからどうする? 今から帰るのはちょっと危ないよね」
「確かにそうだな……いくら皆がいるとはいえ、夜の海は危険な気がする」
「そうだよね。じゃあ、今日はここで野営かな」
フィーネのその言葉は、ラトたちにも聞こえたらしい。三人で固まって休んでいたラト、スーちゃん、リルンは、全員がこちらを向いた。
『今日は野営なの!?』
まず口を開いたのはラトだ。ラトは瞬間移動で俺たちの近くにいたデュラ爺の背中の上に現れると、キラキラと輝く瞳で見上げてきた。
「ああ、そうなるな」
楽しそうなラトの様子に思わず苦笑してしまう。前は野営にここまで反応しなかったんだけど、デュラ爺が仲間に加わって野営が快適になってからは、ラトにとって野営は楽しいキャンプになったのだ。
『やったー!』
『どんな料理をするのかしら。たくさん獲った魚を食べるのはどう?』
『この洞窟の中で野営をするのか?』
スーちゃんとリルンもラトほどじゃないにしても乗り気で、こちらへと優雅に歩いてくる。そんな皆にフィーネが声を掛けた。
「食事は洞窟の出入り口で、寝るのは洞窟の奥にしようか。夕食のメニューは魚を焼いたものと、木の実、それからデュラ爺の異空間にあるビスケットや堅パンかな。堅パンは、バターを塗って火で炙るのはどう?」
『それは素晴らしい。すぐに作ろう』
パンならなんでも好きなリルンは一気に前のめりだ。スーちゃんは魚に満足そうで、ラトは木の実に頬を緩めている。
「じゃあ入り口まで戻ろう。デュラ爺は夕食の要望があるか?」
『そうじゃな……わしはスープが飲みたいぞ』
「おっ、いいな。いくつか野菜を入れてスープを作ろう。確か異空間に入れてきたよな?」
『うむ、入っておる』
「じゃあ野菜と魚介のスープだな」
そんな話をしながら入り口に戻ったところで、俺たちは手分けして野営の準備を進めた。
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