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第3章 黒山編
82、朱鉄島
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リルンの風魔法によって凄い速度で動き出した植物の船に乗る俺たちは、風圧と叩きつける雨や波に翻弄されて、酷い状態だ。
「も、もう少し速度を……」
何とかそう声を発すると、リルンの口角がニヤリと上がった。
『ほう、まだいけるか。では少し速めよう』
「ち、違う! 速めるんじゃなくてゆっくり……!」
俺の叫びはリルンに届かず、植物の船はさらに速度を上げて動き出す。
な、何でこんな速度で移動して、植物が形を保っていられるんだ! デュラ爺の魔法によるものだとしたら、さすが神獣の魔法だと感心するけど……今はそれどころじゃない。ちょっと速度を緩めてくれ!
そんなことを内心で叫びながら、絶対に生き残りたいと船にしがみつき続けてしばらく。突然リルンが船の進む速度を緩めた。
『あそこに島があるぞ? 上陸するか?』
「お願い……!」
リルンの言葉にフィーネが必死な声音で答え、俺たちは小島に向かう。そしてなんとか意識がある状態で、綺麗な砂浜へと上陸した。
砂浜に乗り上げたところで全員がいるかどうかだけを確認して、全員が無事だと分かると力なく砂浜に寝転がる。
「はぁ、はぁ、はぁ」
助かった――。
荒い息遣いしか聞こえてこない時間が流れ、しばらくして重い体をなんとか起こした。
するとデュラ爺たち神獣四人が、砂浜でのんびりとくつろいでいるのが視界に入る。
神獣って、やっぱり規格外だな……。
「お前たち、凄いな」
『エリク、砂浜の砂が気持ちいいよ!』
いつも通りの呑気なラトの声を聞いたら、なんだか力が抜けた。スーちゃんは毛繕いに忙しそうだし、リルンは寝ていて、デュラ爺は近くの植物を観察している。
そんな四人の様子をぼーっと眺めていたら、海上で浮かんだ疑問を思い出した。
「そういえばリルンは、あんなことができるなら船を動かせなかったのか?」
ポツリと独り言のように問いかけると、寝ていたはずのリルンは少し目を開いて説明してくれる。
『あれは、デュラ爺の植物魔法で強化された植物だからこそ出来たことだ。船だったらすぐに大破している』
そうなのか……やっぱりデュラ爺の魔法、というよりも神獣の魔法は凄いんだな。
リルンとの話を終わらせて今度は島を振り返ると、砂浜の先にはすぐに木々が生い茂る森があった。そしてその奥には、かなり標高が高そうな山も見える。
小島だと思ったけど、こうして上陸すると結構広いのかもしれないな。というか俺たち、ここからどうやって帰るんだ?
――またさっきみたいに二人の魔法でなんて、言わないよな?
そんな恐怖すぎる想像に愕然としていると、起き上がれたらしいフィーネが俺の隣にやってきた。
「大変だったね……」
そう言って笑うフィーネは疲れてそうだけど、案外瞳は輝いている。フィーネって見た目よりも肝が据わってるというか、好奇心旺盛なんだよな。
「そうだな。でもとりあえず、助かって良かった」
「そこは本当に皆に感謝だね」
フィーネが四人の方に視線を向けると、ちょうどデュラ爺がこちらにやってくるところだったらしく、視線が交わった。
「デュラ爺、どうしたの?」
フィーネの問いかけに、デュラ爺は島の奥にある山を鼻先で示すようにして、衝撃的な言葉を口にした。
『フィーネ、エリク、ここは朱鉄島じゃ。あの山で朱鉄が手に入るぞ』
「……え!?」
俺は思わず叫んでしまい、その声が思いの外響いたことから、森の中から多くの鳥が飛び立つ。それに驚いて、思わず身を竦めてしまった。
「そ、それ本当なのか?」
今度は声を小さくして問いかけると、デュラ爺はしっかりと頷いてくれた。
凄いな……不幸中の幸いだ。こんな幸運があるなんて驚いた。これでとりあえず一つの目標は達成になるけど……アルフさんのことはどうすればいいのか。
「フィーネ、これからどうする?」
諸々の意味を込めて問いかけると、フィーネは悩みながら口を開いた。
「とりあえず、大陸に帰ることはできるよね? デュラ爺とリルンの魔法で」
『うむ。この島には植物がたくさんあるからな。先ほどのよりも素晴らしい船を作れるじゃろう』
「それなら良かった」
おぅ……やっぱり帰りも二人の魔法なのか。いや、帰る方法があることは凄くありがたいんだけど、せめてもう少し速度を落としてほしい。
「じゃあ帰る方法の心配はいらないとなれば、朱鉄を採取して大陸に戻れば、私たちとしては目的達成だね。後はアルフさんだけど……」
そう言ってフィーネがリグルさんたちに視線を向けると、ちょうど砂浜から起き上がり始めたところだった。
そこで俺たちはこの島が目的の島だということ、朱鉄の採取に向かいたいこと、大陸にはデュラ爺とリルンの魔法で帰れることを説明し、アルフさんの捜索をどうするのかについて尋ねた。
するとリグルさんは鎮痛な面持ちで、躊躇いながらも口を開く。
「船がなくなってしまった以上、これ以上の捜索は諦めるしかないでしょう。……私たちはお二人に従います。大陸に帰る際には、私たちも連れていただけますか?」
「それはもちろんです。では私たちは、朱鉄の採取をしてきますね。皆さんはここで待ちますか?」
フィーネのその言葉に少しだけ躊躇いながらも、リグルさんたちは俺たちと一緒に来ることを選んだ。
まあこの島に何がいるのか分からないし、強いリルンやデュラ爺たちの近くにいたいよな。俺も皆から離れるのは怖くてできない。
「では行きましょう」
そうして俺たちは全員で、小島に広がる森に入った。
「も、もう少し速度を……」
何とかそう声を発すると、リルンの口角がニヤリと上がった。
『ほう、まだいけるか。では少し速めよう』
「ち、違う! 速めるんじゃなくてゆっくり……!」
俺の叫びはリルンに届かず、植物の船はさらに速度を上げて動き出す。
な、何でこんな速度で移動して、植物が形を保っていられるんだ! デュラ爺の魔法によるものだとしたら、さすが神獣の魔法だと感心するけど……今はそれどころじゃない。ちょっと速度を緩めてくれ!
そんなことを内心で叫びながら、絶対に生き残りたいと船にしがみつき続けてしばらく。突然リルンが船の進む速度を緩めた。
『あそこに島があるぞ? 上陸するか?』
「お願い……!」
リルンの言葉にフィーネが必死な声音で答え、俺たちは小島に向かう。そしてなんとか意識がある状態で、綺麗な砂浜へと上陸した。
砂浜に乗り上げたところで全員がいるかどうかだけを確認して、全員が無事だと分かると力なく砂浜に寝転がる。
「はぁ、はぁ、はぁ」
助かった――。
荒い息遣いしか聞こえてこない時間が流れ、しばらくして重い体をなんとか起こした。
するとデュラ爺たち神獣四人が、砂浜でのんびりとくつろいでいるのが視界に入る。
神獣って、やっぱり規格外だな……。
「お前たち、凄いな」
『エリク、砂浜の砂が気持ちいいよ!』
いつも通りの呑気なラトの声を聞いたら、なんだか力が抜けた。スーちゃんは毛繕いに忙しそうだし、リルンは寝ていて、デュラ爺は近くの植物を観察している。
そんな四人の様子をぼーっと眺めていたら、海上で浮かんだ疑問を思い出した。
「そういえばリルンは、あんなことができるなら船を動かせなかったのか?」
ポツリと独り言のように問いかけると、寝ていたはずのリルンは少し目を開いて説明してくれる。
『あれは、デュラ爺の植物魔法で強化された植物だからこそ出来たことだ。船だったらすぐに大破している』
そうなのか……やっぱりデュラ爺の魔法、というよりも神獣の魔法は凄いんだな。
リルンとの話を終わらせて今度は島を振り返ると、砂浜の先にはすぐに木々が生い茂る森があった。そしてその奥には、かなり標高が高そうな山も見える。
小島だと思ったけど、こうして上陸すると結構広いのかもしれないな。というか俺たち、ここからどうやって帰るんだ?
――またさっきみたいに二人の魔法でなんて、言わないよな?
そんな恐怖すぎる想像に愕然としていると、起き上がれたらしいフィーネが俺の隣にやってきた。
「大変だったね……」
そう言って笑うフィーネは疲れてそうだけど、案外瞳は輝いている。フィーネって見た目よりも肝が据わってるというか、好奇心旺盛なんだよな。
「そうだな。でもとりあえず、助かって良かった」
「そこは本当に皆に感謝だね」
フィーネが四人の方に視線を向けると、ちょうどデュラ爺がこちらにやってくるところだったらしく、視線が交わった。
「デュラ爺、どうしたの?」
フィーネの問いかけに、デュラ爺は島の奥にある山を鼻先で示すようにして、衝撃的な言葉を口にした。
『フィーネ、エリク、ここは朱鉄島じゃ。あの山で朱鉄が手に入るぞ』
「……え!?」
俺は思わず叫んでしまい、その声が思いの外響いたことから、森の中から多くの鳥が飛び立つ。それに驚いて、思わず身を竦めてしまった。
「そ、それ本当なのか?」
今度は声を小さくして問いかけると、デュラ爺はしっかりと頷いてくれた。
凄いな……不幸中の幸いだ。こんな幸運があるなんて驚いた。これでとりあえず一つの目標は達成になるけど……アルフさんのことはどうすればいいのか。
「フィーネ、これからどうする?」
諸々の意味を込めて問いかけると、フィーネは悩みながら口を開いた。
「とりあえず、大陸に帰ることはできるよね? デュラ爺とリルンの魔法で」
『うむ。この島には植物がたくさんあるからな。先ほどのよりも素晴らしい船を作れるじゃろう』
「それなら良かった」
おぅ……やっぱり帰りも二人の魔法なのか。いや、帰る方法があることは凄くありがたいんだけど、せめてもう少し速度を落としてほしい。
「じゃあ帰る方法の心配はいらないとなれば、朱鉄を採取して大陸に戻れば、私たちとしては目的達成だね。後はアルフさんだけど……」
そう言ってフィーネがリグルさんたちに視線を向けると、ちょうど砂浜から起き上がり始めたところだった。
そこで俺たちはこの島が目的の島だということ、朱鉄の採取に向かいたいこと、大陸にはデュラ爺とリルンの魔法で帰れることを説明し、アルフさんの捜索をどうするのかについて尋ねた。
するとリグルさんは鎮痛な面持ちで、躊躇いながらも口を開く。
「船がなくなってしまった以上、これ以上の捜索は諦めるしかないでしょう。……私たちはお二人に従います。大陸に帰る際には、私たちも連れていただけますか?」
「それはもちろんです。では私たちは、朱鉄の採取をしてきますね。皆さんはここで待ちますか?」
フィーネのその言葉に少しだけ躊躇いながらも、リグルさんたちは俺たちと一緒に来ることを選んだ。
まあこの島に何がいるのか分からないし、強いリルンやデュラ爺たちの近くにいたいよな。俺も皆から離れるのは怖くてできない。
「では行きましょう」
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