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第3章 黒山編
77、初めての海上へ!
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アクアシャーク祭りの次の日。俺たちはまた港にやってきていた。今日は釣りではなく、さっそく昨日の依頼を受けて海に出るのだ。
「海の上なんて、大丈夫かな。皆もさすがに海では力を発揮できないだろうし」
「ちょっと不安だよな……」
俺たちは依頼を受けたのは良かったが、いつもよりかなり緊張している。神獣たちがいつも通り呑気なのが少し救いだ。
『そんなに心配する必要はない。我の風魔法ならば、船を自在に動かせる』
『わしの植物魔法も使えるように、異空間にたくさんの鉢に植えた植物を持ってきておる』
『僕は何かあったら、瞬間移動で大陸に戻って他の神獣に助けてって言いに行けるよ!』
『私も空中歩行を使ってちょっとした魔物なら倒せるわ』
皆が順番にそう言って、俺たちの不安を和らげようとしてくれた。そんな皆の気持ちが嬉しくて、俺は思わずふいっと顔を背けているスーちゃんを抱き上げる。
「ありがとな」
『なっ、何よ!』
「ちょっとギュッてしたくなった」
『ふ、ふんっ、まあ、ちょっとぐらいなら許してあげてもいいわ』
スーちゃんのその言葉にフィーネも笑顔になり、フィーネはラトを手のひらに乗せた。
『フィーネ、船の上で食べる木の実はあるよね?』
いつも通り木の実のことを気にしているラトに、俺は思わず吹き出してしまう。
「ははっ、ラトは本当に木の実が好きだな」
そうして皆のおかげで緊張が和らいだところで、港の約束していた場所に着いた。そこにはマーサさんの他に数人の男性がいて、船に荷物を積み込んでいる。
「おはようございます」
「あっ、皆さん。おはようございます。来てくださって本当にありがとうございます。昨日あの後、皆さんにも予定があったんじゃないかと思い至ったのですが……大丈夫でしたか? 強引に頼んでしまってすみません」
そう言って頭を下げるマーサさんに、俺たちは笑顔で答えた。
「大丈夫ですよ」
「観光馬車で黒山に行こうかって言ってたぐらいですから」
黒山への観光馬車はとりあえずチケットを買ったままだけど、最悪間に合わなければ、次の便を買い直そうという話をした。
「それならば良かったです。エリクさん、フィーネさん、主人のことをよろしくお願いします」
「はい。全力で捜索します」
「ありがとうございます……。では船を動かしてくれる船員を紹介させてください」
それから紹介してもらった船員は全部で五人で、この五人が俺たちの示した方向へと船を動かしてくれるらしい。
「船員たちの取りまとめをするのは、リグルです」
「リグルと言います。俺はいつもアルフさんの船に乗ってるんですが、あの日はたまたま休みをもらってて……絶対にアルフさんを見つけたいと思ってます。よろしくお願いします」
日に焼けてまさに海の男という出立ちのリグルさんは、沈痛な面持ちで決意を滲ませた。
旦那さんの名前は聞いてなかったけど、アルフさんって言うんだな。どこかで生きてくれればいいけど……
「今日から数日間、よろしくお願いします」
そうして互いに挨拶を済ませたら、さっそく出航することになった。マーサさんは自分は足手纏いになるだけだからと、港で待機をするようだ。
「ではマーサさん、行ってきます」
「はい。お気をつけください」
リグルさんの指示の下で船員たちが動き回ると、すぐに船は動き出す。思っていたよりも速いスピードだ。
「エリクさんとフィーネさん、まずはどこに向かいますか?」
「とりあえず、アルフさんが向かった漁場を目指していただきたいです。そこに手掛かりがなければ、また方針を考えます」
「分かりました」
船が問題なく海に出たところで、俺とフィーネ、そして神獣の皆は一ヶ所に集まった。リグルさんたちが椅子を準備してくれたので、俺たちはそこに腰掛ける。
「それでデュラ爺、朱鉄ってどの島にあるか分かるのか?」
『大体の方角なら分かる。しかし明確にこの島というのは分からないのだ』
「じゃあその方角に向かって、アルフさんを探しつつ進むしかないか」
「そうだね……ちなみに方角は?」
フィーネの問いかけにデュラ爺が鼻先で示したのは、ちょうど俺たちが向かっている方向とほとんど変わらなかった。
これならアルフさん探しとも両立できそうで良かった。
「海の上なんて、大丈夫かな。皆もさすがに海では力を発揮できないだろうし」
「ちょっと不安だよな……」
俺たちは依頼を受けたのは良かったが、いつもよりかなり緊張している。神獣たちがいつも通り呑気なのが少し救いだ。
『そんなに心配する必要はない。我の風魔法ならば、船を自在に動かせる』
『わしの植物魔法も使えるように、異空間にたくさんの鉢に植えた植物を持ってきておる』
『僕は何かあったら、瞬間移動で大陸に戻って他の神獣に助けてって言いに行けるよ!』
『私も空中歩行を使ってちょっとした魔物なら倒せるわ』
皆が順番にそう言って、俺たちの不安を和らげようとしてくれた。そんな皆の気持ちが嬉しくて、俺は思わずふいっと顔を背けているスーちゃんを抱き上げる。
「ありがとな」
『なっ、何よ!』
「ちょっとギュッてしたくなった」
『ふ、ふんっ、まあ、ちょっとぐらいなら許してあげてもいいわ』
スーちゃんのその言葉にフィーネも笑顔になり、フィーネはラトを手のひらに乗せた。
『フィーネ、船の上で食べる木の実はあるよね?』
いつも通り木の実のことを気にしているラトに、俺は思わず吹き出してしまう。
「ははっ、ラトは本当に木の実が好きだな」
そうして皆のおかげで緊張が和らいだところで、港の約束していた場所に着いた。そこにはマーサさんの他に数人の男性がいて、船に荷物を積み込んでいる。
「おはようございます」
「あっ、皆さん。おはようございます。来てくださって本当にありがとうございます。昨日あの後、皆さんにも予定があったんじゃないかと思い至ったのですが……大丈夫でしたか? 強引に頼んでしまってすみません」
そう言って頭を下げるマーサさんに、俺たちは笑顔で答えた。
「大丈夫ですよ」
「観光馬車で黒山に行こうかって言ってたぐらいですから」
黒山への観光馬車はとりあえずチケットを買ったままだけど、最悪間に合わなければ、次の便を買い直そうという話をした。
「それならば良かったです。エリクさん、フィーネさん、主人のことをよろしくお願いします」
「はい。全力で捜索します」
「ありがとうございます……。では船を動かしてくれる船員を紹介させてください」
それから紹介してもらった船員は全部で五人で、この五人が俺たちの示した方向へと船を動かしてくれるらしい。
「船員たちの取りまとめをするのは、リグルです」
「リグルと言います。俺はいつもアルフさんの船に乗ってるんですが、あの日はたまたま休みをもらってて……絶対にアルフさんを見つけたいと思ってます。よろしくお願いします」
日に焼けてまさに海の男という出立ちのリグルさんは、沈痛な面持ちで決意を滲ませた。
旦那さんの名前は聞いてなかったけど、アルフさんって言うんだな。どこかで生きてくれればいいけど……
「今日から数日間、よろしくお願いします」
そうして互いに挨拶を済ませたら、さっそく出航することになった。マーサさんは自分は足手纏いになるだけだからと、港で待機をするようだ。
「ではマーサさん、行ってきます」
「はい。お気をつけください」
リグルさんの指示の下で船員たちが動き回ると、すぐに船は動き出す。思っていたよりも速いスピードだ。
「エリクさんとフィーネさん、まずはどこに向かいますか?」
「とりあえず、アルフさんが向かった漁場を目指していただきたいです。そこに手掛かりがなければ、また方針を考えます」
「分かりました」
船が問題なく海に出たところで、俺とフィーネ、そして神獣の皆は一ヶ所に集まった。リグルさんたちが椅子を準備してくれたので、俺たちはそこに腰掛ける。
「それでデュラ爺、朱鉄ってどの島にあるか分かるのか?」
『大体の方角なら分かる。しかし明確にこの島というのは分からないのだ』
「じゃあその方角に向かって、アルフさんを探しつつ進むしかないか」
「そうだね……ちなみに方角は?」
フィーネの問いかけにデュラ爺が鼻先で示したのは、ちょうど俺たちが向かっている方向とほとんど変わらなかった。
これならアルフさん探しとも両立できそうで良かった。
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