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第3章 黒山編
75、圧倒的な強さとアクアシャーク祭り
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まず攻撃を仕掛けたのはリルンだ。飛んできた水弾を風魔法で相殺すると、軽やかにアクアシャークの背中に飛び乗り、爪による攻撃で致命傷を与えていく。
「おおっ、凄いな」
「でもちょっと心配だね。いつもより足場が悪いし」
「そうだな」
俺とフィーネがそんな話をしていると、今度はデュラ爺が動いた。港に生える植物や、水草を操ってリルンのための足場を作ったようだ。
さらに足場だけでなく、息絶えたアクアシャークを草を使って一本釣りのようにして、港の上に回収していく。
「うわっ、こんなにデカいのか」
俺の背丈より明らかに大きい。中には俺が二人分、縦に並んだぐらいのやつもいるみたいだ。そして太さは両手を広げても抱えきれないどころか、樹齢何百年の大木レベルのやつもいる。
『デュラ爺さすが!』
『リルンもやるじゃない』
ラトとスーちゃんは呑気なもので、俺たちの肩の上でのんびりと観戦だ。
逃げ惑っていた人たちも二人がアクアシャークの討伐を始めたことに気付いたようで、少しだけ離れたところから呆然と戦いを見つめていた。
『デュラ爺、あいつら逃げるぞ。止められないのか?』
『ふむ、では草を網のようにして……』
『おおっ、これは良い』
二人は時折会話をしながら、楽しそうにアクアシャークを倒していった。対等な戦闘というよりも、もはや一方的な狩りだ。
いつものことだけど、だんだんとアクアシャークが不憫で可哀想に思えてくる。
「そろそろ終わるみたいだね」
「そうだな」
数分後には海にアクアシャークの姿は見えなくなり、港には積み重なった何十匹ものアクアシャークが残った。
『終わったぞ』
『そこまで強くなかったようだ』
「二人ともお疲れ様。ありがとう」
「本当に凄いな」
俺たちが戻ってきたリルンとデュラ爺と話をしていると、俺たちの下に凄い勢いで近づいてくる人がいた。いや、人というか人たちだ。
何十人ものガタイがいい男たちが、こっちに駆け寄ってくる。
「お前ら……! ありがとう!」
「お前らのおかげで船が助かったぜ」
「もうダメかと……本当にありがとな!」
「港もほとんど壊れてない、本当に凄いことだ」
「お前らがいなかったら仕事を失うところだった!」
「従魔、すげぇ強いんだな!」
次々と声を掛けられ、誰から対処をすればいいのか分からない。
しばらくもみくちゃにされ、やっと解放された時には、港でアクアシャーク祭りが開かれることが決定していた。
皆の、そして港や船の無事を祝って、アクアシャーク料理をたくさん作るのだそうだ。俺たちは港の救世主ということで、ほぼ強制的に参加らしい。
『アクアシャーク祭りなんて最高ね』
まあ、スーちゃんが喜んでるからいいか。俺もアクアシャーク料理は楽しみだ。
それから一時間ほど、準備されたテーブルセットに腰掛けて待っていると、港はお祭り会場に様変わりした。そこかしこに鉄板や網が準備され、屈強な男たちが頭にタオルを巻いて料理をしている。
女性もたくさん集まってきているので、多分港で働いてる男性たちの家族なんだろう。
「美味しそうな匂いがしてきたね」
「そうだな。もうお腹が空いてヤバい」
「ふふっ、私もさっきからお腹が鳴ってる」
俺たちがそんな会話をしている横でデュラ爺とリルンが並んで座り、テーブルの上にはスーちゃんとラトが待機していた。
リルンとラトはさっき渡したパンと木の実に夢中だけど、デュラ爺とスーちゃんは準備されているアクアシャークに釘付けだ。
『そろそろ食べられるんじゃない? ほら、あそこの鉄板で焼かれてるのはどうかしら』
「確かに……そろそろかもな。でも焼けたら持ってきてくれるだろうから、もう少し待とう」
『もうっ、遅いわ!』
『スー、あちらの網焼きの方はどうだ?』
デュラ爺が告げた言葉に、スーちゃんは不満げな表情を浮かべた。
『私はスーちゃんよ』
『……分かった、スーちゃんだな』
スーちゃんは案外このあだ名が気に入っているようで、可愛い呼び方に抵抗があるらしいリルンとデュラ爺にも、この呼び名を徹底させている。
リルンとデュラ爺がスーちゃんと呼ぶのは、ちょっと面白いというか可愛いので、俺的にはスーちゃんの味方だ。あだ名で呼ばれて嬉しそうなスーちゃんも可愛いし。
「待たせたな!」
デュラ爺がスーちゃんと呼んだところで、一人の男性がアクアシャーク料理を手にしてやって来た。
「うちのところで作ったアクアシャークの串焼きだ。トロの部分を串に刺して、余分な油を落としながら炭焼きした。味付けは塩だけだ」
まだ焼き立てでジュウジュウと音が鳴っている串焼きは、見た目だけで最高に美味しそうだ。アクアシャークの白い身が、僅かに焦げて茶色くなっている。
「ありがとうございます!」
「いただきますね」
「おうっ、好きなだけ食べてくれ! あんたらのための祭りなんだからな」
「おおっ、凄いな」
「でもちょっと心配だね。いつもより足場が悪いし」
「そうだな」
俺とフィーネがそんな話をしていると、今度はデュラ爺が動いた。港に生える植物や、水草を操ってリルンのための足場を作ったようだ。
さらに足場だけでなく、息絶えたアクアシャークを草を使って一本釣りのようにして、港の上に回収していく。
「うわっ、こんなにデカいのか」
俺の背丈より明らかに大きい。中には俺が二人分、縦に並んだぐらいのやつもいるみたいだ。そして太さは両手を広げても抱えきれないどころか、樹齢何百年の大木レベルのやつもいる。
『デュラ爺さすが!』
『リルンもやるじゃない』
ラトとスーちゃんは呑気なもので、俺たちの肩の上でのんびりと観戦だ。
逃げ惑っていた人たちも二人がアクアシャークの討伐を始めたことに気付いたようで、少しだけ離れたところから呆然と戦いを見つめていた。
『デュラ爺、あいつら逃げるぞ。止められないのか?』
『ふむ、では草を網のようにして……』
『おおっ、これは良い』
二人は時折会話をしながら、楽しそうにアクアシャークを倒していった。対等な戦闘というよりも、もはや一方的な狩りだ。
いつものことだけど、だんだんとアクアシャークが不憫で可哀想に思えてくる。
「そろそろ終わるみたいだね」
「そうだな」
数分後には海にアクアシャークの姿は見えなくなり、港には積み重なった何十匹ものアクアシャークが残った。
『終わったぞ』
『そこまで強くなかったようだ』
「二人ともお疲れ様。ありがとう」
「本当に凄いな」
俺たちが戻ってきたリルンとデュラ爺と話をしていると、俺たちの下に凄い勢いで近づいてくる人がいた。いや、人というか人たちだ。
何十人ものガタイがいい男たちが、こっちに駆け寄ってくる。
「お前ら……! ありがとう!」
「お前らのおかげで船が助かったぜ」
「もうダメかと……本当にありがとな!」
「港もほとんど壊れてない、本当に凄いことだ」
「お前らがいなかったら仕事を失うところだった!」
「従魔、すげぇ強いんだな!」
次々と声を掛けられ、誰から対処をすればいいのか分からない。
しばらくもみくちゃにされ、やっと解放された時には、港でアクアシャーク祭りが開かれることが決定していた。
皆の、そして港や船の無事を祝って、アクアシャーク料理をたくさん作るのだそうだ。俺たちは港の救世主ということで、ほぼ強制的に参加らしい。
『アクアシャーク祭りなんて最高ね』
まあ、スーちゃんが喜んでるからいいか。俺もアクアシャーク料理は楽しみだ。
それから一時間ほど、準備されたテーブルセットに腰掛けて待っていると、港はお祭り会場に様変わりした。そこかしこに鉄板や網が準備され、屈強な男たちが頭にタオルを巻いて料理をしている。
女性もたくさん集まってきているので、多分港で働いてる男性たちの家族なんだろう。
「美味しそうな匂いがしてきたね」
「そうだな。もうお腹が空いてヤバい」
「ふふっ、私もさっきからお腹が鳴ってる」
俺たちがそんな会話をしている横でデュラ爺とリルンが並んで座り、テーブルの上にはスーちゃんとラトが待機していた。
リルンとラトはさっき渡したパンと木の実に夢中だけど、デュラ爺とスーちゃんは準備されているアクアシャークに釘付けだ。
『そろそろ食べられるんじゃない? ほら、あそこの鉄板で焼かれてるのはどうかしら』
「確かに……そろそろかもな。でも焼けたら持ってきてくれるだろうから、もう少し待とう」
『もうっ、遅いわ!』
『スー、あちらの網焼きの方はどうだ?』
デュラ爺が告げた言葉に、スーちゃんは不満げな表情を浮かべた。
『私はスーちゃんよ』
『……分かった、スーちゃんだな』
スーちゃんは案外このあだ名が気に入っているようで、可愛い呼び方に抵抗があるらしいリルンとデュラ爺にも、この呼び名を徹底させている。
リルンとデュラ爺がスーちゃんと呼ぶのは、ちょっと面白いというか可愛いので、俺的にはスーちゃんの味方だ。あだ名で呼ばれて嬉しそうなスーちゃんも可愛いし。
「待たせたな!」
デュラ爺がスーちゃんと呼んだところで、一人の男性がアクアシャーク料理を手にしてやって来た。
「うちのところで作ったアクアシャークの串焼きだ。トロの部分を串に刺して、余分な油を落としながら炭焼きした。味付けは塩だけだ」
まだ焼き立てでジュウジュウと音が鳴っている串焼きは、見た目だけで最高に美味しそうだ。アクアシャークの白い身が、僅かに焦げて茶色くなっている。
「ありがとうございます!」
「いただきますね」
「おうっ、好きなだけ食べてくれ! あんたらのための祭りなんだからな」
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