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第2章 王都編
56、星屑石と変質
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ホワイトビーとの戦闘を終えてからまた不毛な大地に近づいた俺たちは、一夜明けた今日。やっと不毛な大地に辿り着いていた。
時間はまだ昼前で、目の前には何もない荒野が先が見えないほどに広がっている。
「こんなに広いのか……」
「凄い場所だね。何でずっと植物が生えないんだろう」
「何かがあるんだろうな……そうだ、星屑石を見つけないと。デュラ爺、星屑石ってどういう見た目なんだ?」
『少し青っぽい石じゃな。そこまで大きな特徴はないから、気をつけて見つけないと見逃すぞ』
「了解」
デュラ爺の忠告を聞いて、俺は地面をじっと見つめながら不毛な大地に足を踏み入れた。地面はゴツゴツとした岩場だったり、草が生えていない硬い地面だったりして、思っていたよりも歩きづらい場所だ。
『すぐに見つかるものじゃないのか?』
『いや、そこまで希少でもないはずじゃ』
『うーん、あっ! もしかしてこれじゃない?』
地面に降りて小さな隙間などを確認していたラトが、嬉しそうな声をあげて隙間を指差した。
「どれどれ……」
隙間を覗き込んでみると、確かに僅かに青く光る何かがある。
「フィーネ、取り出してもらってもいい?」
「もちろん良いよ」
しゃがみ込んだフィーネが隙間に手を入れて、引き出した手のひらの上には拳大サイズのゴツゴツとした青い石が載っていた。
『おっ、それじゃよ』
「地味だけど綺麗な石だね」
これが星屑石なのか……ついにスキル封じの石を作る第一歩だな。
「これを錬金で使うんだよね。……でもさ、エリクが触れられないと錬金するのはかなり難しくない?」
「うん。だから誰か信頼できる人に頼むか、何とか俺が触れない方法で……例えばピンセットや火挟に何重も布を巻いて何とか変質を防げるようにしたりとか、色々と考えてる」
スキル封じの石の錬金なんて普通にやっても難しいだろうに、俺だと何倍にも難易度が跳ね上がるんだ。でもやり切るしかない。やり切れたらもうこのスキルに悩まされることは無くなるのだから。
「大変だね」
「そうだろうな……だからたくさん失敗する前提で、素材はたくさん手に入れておきたい。幸いデュラ爺のおかげでいくらでも持ち運べるしな」
「そうだね。じゃあ星屑石をできる限り見つけようか」
フィーネのその言葉に俺が頷いて星屑石探しを始めたところで、ラトが不思議そうな表情で首を傾げながら口を開いた。
『ねえ、エリク。星屑石は変質させたら何になるの?』
「……確かに。何になるんだろうな」
変質させて無駄にしちゃいけないってことばかりを考えて、変質後のことまで頭が回っていなかった。
ファムの実が同程度の希少性である同質のものに変化したのを考えると……星屑石と同程度の希少性のもの、例えばスキル封じの石の別の素材なんかに変質する可能性もあるのだろうか。
「一つだけ触ってみるか」
俺のその言葉に皆が頷いてくれたので、新たに発見した星屑石は俺が拾い上げることになった。星屑石の近くにしゃがみ込んで、意を決して手を伸ばすと――
――手が触れた瞬間、星屑石は何の変化も示さなかった。
「どういう、ことだ?」
「変化しないの?」
『ふむ、興味深いな。星屑石はこの世界で最上位のグループに属する希少性じゃ。上のものに変化することはないとして、ファムの実の例を考えると同程度の希少性のものに変化してもおかしくはない。しかし変化しないことを考えると……同質のもの以外に変化することはないのかもしれないな』
「星屑石と同質のものってないの?」
『うむ、星屑石は唯一無二の素材じゃ』
ということは、俺のスキルは最上位の希少性で、かつ同質のものが存在しない場合は変質しないってことか。それはかなりの朗報だ。
あとは……採取後の星屑石が劣化しないかどうかだな。
「デュラ爺、さっき採取した星屑石を出してくれない? それにも触れてみたい」
『採取後のものってことじゃな。フィーネ、両手を出してくれ』
「分かった。これで良い?」
『大丈夫じゃ』
デュラ爺が頷いた瞬間に、フィーネの掌の上にさっきの星屑石が現れた。俺はそれに恐る恐る手を伸ばし……軽く触れたが、特に何の変化もない。
「劣化しないな」
「上位のものに変質しない素材は、劣化もしないってことだよね」
マジか……嬉しすぎる発見だ。触れても素材が変化しないという事実に感動するし、何よりもこれでスキル封じの石を錬金する際の懸念がかなり減らせる。
「デュラ爺、スキル封じの石に必要な他の素材はどう思う? 変質しないかな」
『うむ、そうじゃな……どれも似たようなものが存在しない素材じゃから、変質しない可能性が高いと思うぞ』
よしっ! 俺は内心で大きくガッツポーズをした。これでスキル封じの石は素材さえ集めれば成功する可能性が高くなった。あとは素材だ……頑張って早く集めよう。
「エリク、良かったね」
「ああ、本当に良かった。ここからは俺もたくさん星屑石を採取するよ」
「一緒に頑張ろうか」
時間はまだ昼前で、目の前には何もない荒野が先が見えないほどに広がっている。
「こんなに広いのか……」
「凄い場所だね。何でずっと植物が生えないんだろう」
「何かがあるんだろうな……そうだ、星屑石を見つけないと。デュラ爺、星屑石ってどういう見た目なんだ?」
『少し青っぽい石じゃな。そこまで大きな特徴はないから、気をつけて見つけないと見逃すぞ』
「了解」
デュラ爺の忠告を聞いて、俺は地面をじっと見つめながら不毛な大地に足を踏み入れた。地面はゴツゴツとした岩場だったり、草が生えていない硬い地面だったりして、思っていたよりも歩きづらい場所だ。
『すぐに見つかるものじゃないのか?』
『いや、そこまで希少でもないはずじゃ』
『うーん、あっ! もしかしてこれじゃない?』
地面に降りて小さな隙間などを確認していたラトが、嬉しそうな声をあげて隙間を指差した。
「どれどれ……」
隙間を覗き込んでみると、確かに僅かに青く光る何かがある。
「フィーネ、取り出してもらってもいい?」
「もちろん良いよ」
しゃがみ込んだフィーネが隙間に手を入れて、引き出した手のひらの上には拳大サイズのゴツゴツとした青い石が載っていた。
『おっ、それじゃよ』
「地味だけど綺麗な石だね」
これが星屑石なのか……ついにスキル封じの石を作る第一歩だな。
「これを錬金で使うんだよね。……でもさ、エリクが触れられないと錬金するのはかなり難しくない?」
「うん。だから誰か信頼できる人に頼むか、何とか俺が触れない方法で……例えばピンセットや火挟に何重も布を巻いて何とか変質を防げるようにしたりとか、色々と考えてる」
スキル封じの石の錬金なんて普通にやっても難しいだろうに、俺だと何倍にも難易度が跳ね上がるんだ。でもやり切るしかない。やり切れたらもうこのスキルに悩まされることは無くなるのだから。
「大変だね」
「そうだろうな……だからたくさん失敗する前提で、素材はたくさん手に入れておきたい。幸いデュラ爺のおかげでいくらでも持ち運べるしな」
「そうだね。じゃあ星屑石をできる限り見つけようか」
フィーネのその言葉に俺が頷いて星屑石探しを始めたところで、ラトが不思議そうな表情で首を傾げながら口を開いた。
『ねえ、エリク。星屑石は変質させたら何になるの?』
「……確かに。何になるんだろうな」
変質させて無駄にしちゃいけないってことばかりを考えて、変質後のことまで頭が回っていなかった。
ファムの実が同程度の希少性である同質のものに変化したのを考えると……星屑石と同程度の希少性のもの、例えばスキル封じの石の別の素材なんかに変質する可能性もあるのだろうか。
「一つだけ触ってみるか」
俺のその言葉に皆が頷いてくれたので、新たに発見した星屑石は俺が拾い上げることになった。星屑石の近くにしゃがみ込んで、意を決して手を伸ばすと――
――手が触れた瞬間、星屑石は何の変化も示さなかった。
「どういう、ことだ?」
「変化しないの?」
『ふむ、興味深いな。星屑石はこの世界で最上位のグループに属する希少性じゃ。上のものに変化することはないとして、ファムの実の例を考えると同程度の希少性のものに変化してもおかしくはない。しかし変化しないことを考えると……同質のもの以外に変化することはないのかもしれないな』
「星屑石と同質のものってないの?」
『うむ、星屑石は唯一無二の素材じゃ』
ということは、俺のスキルは最上位の希少性で、かつ同質のものが存在しない場合は変質しないってことか。それはかなりの朗報だ。
あとは……採取後の星屑石が劣化しないかどうかだな。
「デュラ爺、さっき採取した星屑石を出してくれない? それにも触れてみたい」
『採取後のものってことじゃな。フィーネ、両手を出してくれ』
「分かった。これで良い?」
『大丈夫じゃ』
デュラ爺が頷いた瞬間に、フィーネの掌の上にさっきの星屑石が現れた。俺はそれに恐る恐る手を伸ばし……軽く触れたが、特に何の変化もない。
「劣化しないな」
「上位のものに変質しない素材は、劣化もしないってことだよね」
マジか……嬉しすぎる発見だ。触れても素材が変化しないという事実に感動するし、何よりもこれでスキル封じの石を錬金する際の懸念がかなり減らせる。
「デュラ爺、スキル封じの石に必要な他の素材はどう思う? 変質しないかな」
『うむ、そうじゃな……どれも似たようなものが存在しない素材じゃから、変質しない可能性が高いと思うぞ』
よしっ! 俺は内心で大きくガッツポーズをした。これでスキル封じの石は素材さえ集めれば成功する可能性が高くなった。あとは素材だ……頑張って早く集めよう。
「エリク、良かったね」
「ああ、本当に良かった。ここからは俺もたくさん星屑石を採取するよ」
「一緒に頑張ろうか」
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