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第2章 王都編
55、道中の魔物討伐
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次の日の昼過ぎ、俺たちは森の中で魔物と対峙していた。目の前にいるのは依頼を受けた魔物、ブラックビートルだ。
ブラックビートルはカブトムシが何十倍にも大きくなった魔物で、とにかく硬いことが特徴らしい。ツノによる攻撃は容易に大木を切り倒すほどに強く、空も飛べるし動きは素早い。
『久しぶりに骨のある魔物だな』
『楽しみじゃな。一緒に倒すか?』
『そうだな』
俺とフィーネ、ラトが後ろで見学している中で、リルンとデュラ爺は楽しそうにそんな会話をしてから、ブラックビートルに向かって駆け出した。
素早いツノでの突進を二人で別の方向に飛んで避けたら、デュラ爺が植物魔法でブラックビートルの動きを止めようと近くの蔦を操る。
しかし蔦の動きよりもブラックビートルの動きの方が僅かに早く、逃げられてしまっているようだ。
『素早いな……リルン、そちらにブラックビートルを追い込むぞ』
『分かった。こっちに頼む』
デュラ爺はブラックビートルの拘束ではなく、誘導に攻撃の方向性を切り替えたらしい。
蔦や木の枝、時には木の葉がブラックビートルを巧みに誘導し、リルンが待機している方向にブラックビートルが飛んでいく。
そしてブラックビートルが大木の横を通り過ぎたその瞬間、リルンが大木の陰から飛び掛かった。
鋭い爪の攻撃は狙い済ましたように硬い外殻の隙間を捉え、さらに風魔法がその傷に追い打ちをかけた。
その二つの攻撃で動きを鈍らせたブラックビートルは、今度こそ蔦に捕えられて動きを止めた。
『トドメだ』
リルンのそんな声が聞こえてきた瞬間、ブラックビートルの胴体が羽の切れ目で真っ二つに切り裂かれ、完全に動かなくなった。
「二人とも、本当に凄いな」
「倒してくれてありがとう」
『このぐらい当然だ』
『リルンと一緒だと楽勝じゃな』
俺が触ったら変質してしまうので、触れないように気をつけて近づくと、思っていたよりも大きいことが分かる。
こんなに大きくて素早くて硬い魔物、二人がいなかったらどれほど苦戦するか分からないな。
というか俺だったら、苦戦するというよりも瞬殺されるだろう。どれほどの冒険者がこの魔物を倒せるのだろうか。
「これは硬くて解体も大変かも……リルン、ちょっと爪で手伝ってくれない?」
『良いぞ。どうすれば良い?』
それからフィーネとリルンが協力してブラックビートルの解体をしてくれて、それが終わってからまた不毛な大地に向けて森の奥へ向かった。
さらに森の中を歩くこと丸一日、一晩野営をして今は午後の早い時間だ。
『ん? 何か聞こえるな……』
『本当だね。僕にも聞こえたよ!』
『たくさんの羽音じゃな』
「たくさんのってことは、何かの群れってこと?」
『これは……蜂型の魔物じゃな』
おっ、それならついにホワイトビーかもしれないな。依頼を受けたのにここまで遭遇できずに困っていたんだ。
「早く行ってみるか」
「ホワイトビーだったらできる限り逃げられないように、たくさん倒そうね。確か討伐証明部位である針が二十個以上で達成だよ」
『針は残るように倒さないといけないんだな』
「うん。できれば針だけは綺麗に残して欲しいかな。お願いできる?」
『もちろんだ』
『我らなら楽勝じゃよ』
そんな会話をしながらもリルンが先頭で森の奥に進んでいき、ついには俺の耳にも羽音が聞こえてきた。
『おっ、見えてきたぞ。――ホワイトビーだな』
『依頼の魔物じゃな』
『やったね!』
「二人ともよろしくね」
「頼んだぞ」
目視できるようになったホワイトビーは拳大サイズで、数は数十……もしかしたら数百はいるかもしれないという雰囲気だ。
ホワイトビーのことは錬金工房で見たことがあったけど、実際に飛んでるのを見るとより大きく見える。
『針を残すとなると、広範囲の風魔法は使わない方が良いか……ラト、もしそっちにホワイトビーが向かったらフィーネたちを結界で守れるか?』
『もちろん守れるよ。僕に任せて!』
ラトはリルンに頼られたことが嬉しいのか、瞳を輝かせて大きく頷いた。そういえば、ラトには結界なんて能力があったんだったな。
『じゃあ頼んだぞ』
『リルン、お主は奥から倒してくれ。わしはこっちからいく』
『分かった』
それからはたまに俺たちの下へ飛んでくるホワイトビーをラトが結界で追い払ってくれて、リルンとデュラ爺は危なげなくホワイトビーの胴体を攻撃して地面に落としていった。
数分間の戦いはとても順調に進んでいき、最後の一匹が木の枝の突きによって絶命したところで、飛んでるホワイトビーは一匹もいなくなった。
『終わったぞ』
「二人とも本当に凄いな。ラトもありがとう。助かったよ」
『うん。これからも守るよ』
「ふふっ、ラトありがとう。リルンとデュラ爺もありがとね。……じゃあ、針を拾おうか」
それからはフィーネが主体となって針を集め、俺もラトやリルン、デュラ爺に手伝ってもらいながら袋の中に針を集めた。
そして全部合わせて百個ほどの針が集まったところで、ホワイトビーとの戦闘は完全に終了となった。
ブラックビートルはカブトムシが何十倍にも大きくなった魔物で、とにかく硬いことが特徴らしい。ツノによる攻撃は容易に大木を切り倒すほどに強く、空も飛べるし動きは素早い。
『久しぶりに骨のある魔物だな』
『楽しみじゃな。一緒に倒すか?』
『そうだな』
俺とフィーネ、ラトが後ろで見学している中で、リルンとデュラ爺は楽しそうにそんな会話をしてから、ブラックビートルに向かって駆け出した。
素早いツノでの突進を二人で別の方向に飛んで避けたら、デュラ爺が植物魔法でブラックビートルの動きを止めようと近くの蔦を操る。
しかし蔦の動きよりもブラックビートルの動きの方が僅かに早く、逃げられてしまっているようだ。
『素早いな……リルン、そちらにブラックビートルを追い込むぞ』
『分かった。こっちに頼む』
デュラ爺はブラックビートルの拘束ではなく、誘導に攻撃の方向性を切り替えたらしい。
蔦や木の枝、時には木の葉がブラックビートルを巧みに誘導し、リルンが待機している方向にブラックビートルが飛んでいく。
そしてブラックビートルが大木の横を通り過ぎたその瞬間、リルンが大木の陰から飛び掛かった。
鋭い爪の攻撃は狙い済ましたように硬い外殻の隙間を捉え、さらに風魔法がその傷に追い打ちをかけた。
その二つの攻撃で動きを鈍らせたブラックビートルは、今度こそ蔦に捕えられて動きを止めた。
『トドメだ』
リルンのそんな声が聞こえてきた瞬間、ブラックビートルの胴体が羽の切れ目で真っ二つに切り裂かれ、完全に動かなくなった。
「二人とも、本当に凄いな」
「倒してくれてありがとう」
『このぐらい当然だ』
『リルンと一緒だと楽勝じゃな』
俺が触ったら変質してしまうので、触れないように気をつけて近づくと、思っていたよりも大きいことが分かる。
こんなに大きくて素早くて硬い魔物、二人がいなかったらどれほど苦戦するか分からないな。
というか俺だったら、苦戦するというよりも瞬殺されるだろう。どれほどの冒険者がこの魔物を倒せるのだろうか。
「これは硬くて解体も大変かも……リルン、ちょっと爪で手伝ってくれない?」
『良いぞ。どうすれば良い?』
それからフィーネとリルンが協力してブラックビートルの解体をしてくれて、それが終わってからまた不毛な大地に向けて森の奥へ向かった。
さらに森の中を歩くこと丸一日、一晩野営をして今は午後の早い時間だ。
『ん? 何か聞こえるな……』
『本当だね。僕にも聞こえたよ!』
『たくさんの羽音じゃな』
「たくさんのってことは、何かの群れってこと?」
『これは……蜂型の魔物じゃな』
おっ、それならついにホワイトビーかもしれないな。依頼を受けたのにここまで遭遇できずに困っていたんだ。
「早く行ってみるか」
「ホワイトビーだったらできる限り逃げられないように、たくさん倒そうね。確か討伐証明部位である針が二十個以上で達成だよ」
『針は残るように倒さないといけないんだな』
「うん。できれば針だけは綺麗に残して欲しいかな。お願いできる?」
『もちろんだ』
『我らなら楽勝じゃよ』
そんな会話をしながらもリルンが先頭で森の奥に進んでいき、ついには俺の耳にも羽音が聞こえてきた。
『おっ、見えてきたぞ。――ホワイトビーだな』
『依頼の魔物じゃな』
『やったね!』
「二人ともよろしくね」
「頼んだぞ」
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ホワイトビーのことは錬金工房で見たことがあったけど、実際に飛んでるのを見るとより大きく見える。
『針を残すとなると、広範囲の風魔法は使わない方が良いか……ラト、もしそっちにホワイトビーが向かったらフィーネたちを結界で守れるか?』
『もちろん守れるよ。僕に任せて!』
ラトはリルンに頼られたことが嬉しいのか、瞳を輝かせて大きく頷いた。そういえば、ラトには結界なんて能力があったんだったな。
『じゃあ頼んだぞ』
『リルン、お主は奥から倒してくれ。わしはこっちからいく』
『分かった』
それからはたまに俺たちの下へ飛んでくるホワイトビーをラトが結界で追い払ってくれて、リルンとデュラ爺は危なげなくホワイトビーの胴体を攻撃して地面に落としていった。
数分間の戦いはとても順調に進んでいき、最後の一匹が木の枝の突きによって絶命したところで、飛んでるホワイトビーは一匹もいなくなった。
『終わったぞ』
「二人とも本当に凄いな。ラトもありがとう。助かったよ」
『うん。これからも守るよ』
「ふふっ、ラトありがとう。リルンとデュラ爺もありがとね。……じゃあ、針を拾おうか」
それからはフィーネが主体となって針を集め、俺もラトやリルン、デュラ爺に手伝ってもらいながら袋の中に針を集めた。
そして全部合わせて百個ほどの針が集まったところで、ホワイトビーとの戦闘は完全に終了となった。
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