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第1章 パーティー結成編
46、植物魔法
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全ての荷物を収納し終えてもあまり時間は経過していなく、俺たちは予定通り街の外へ向かうことになった。
依頼は受けずに森へ行き、人があまりいない場所でデュラ爺の植物を操る能力を見せてもらう予定だ。
「植物を操る能力って、成長促進とかもできたりする?」
『いや、それは無理じゃな。あくまでも現在そこにある植物を自在に動かせるというだけじゃ』
「そうなんだ。じゃあさ、植物の性質を変えたり落ち葉を操ったりは?」
『そうじゃな……例えば葉を鉄のように固くするなどということはできないが、あくまでも植物というものの範囲内で鋭くしたりすることは可能じゃ。それから落ち葉なども、木から落ちて数時間以内であれば操れる。基本的に枯れてしまったものは操れんな』
こっちの能力も無条件にというわけにはいかないんだな。ただそれにしても、植物なんてどこにでもあるものを自在に操れるなんて、かなり便利な能力だろう。
「この辺で良い?」
街から歩いて三十分程度の場所で足を止めて、フィーネがデュラ爺を振り返った。
『もちろん構わんぞ。では軽く動かしてみよう』
デュラ爺がそう言って一歩前に出ると、俺たちの目の前にある植物が明らかに自然ではない動きを見せた。木に絡まっていた蔦が意思を持つように動いて蔦同士が絡まり合い、森の中に椅子のようなものを作っていく。
さらにその近くにあった大木の枝が、たくさんの葉が擦れる音を響かせながら椅子の上まで移動した。日除けの役割をしてくれるようだ。
『こんな感じじゃな』
「凄いな……」
植物が意思を持つように動いている光景は、何だか不思議で幻想的で、思わず目を奪われる。
「確かにこれは、野営の時に凄くありがたいかも。木々を密集させれば雨も完全に凌げるかな?」
『もちろんじゃ。それに魔物から襲われぬよう、こうして木の上に野営場所を作ることも可能じゃぞ』
デュラ爺が木の上に視線を向けると、今度はさっきまで椅子の形をしていた蔦が木の上に向かってハンモックを作り出した。
さらに木の枝が複雑に組み合わさり、床のような部分もできていく。
『うわぁ、凄いね! あの上に行ってみてもいい!?』
『良いぞ。ラトならばそのまま登れるか?』
『うん!』
ラトはフィーネの肩から地面に飛び降りると、木の幹をタタッと軽快に登っていった。そしてハンモックの上で嬉しそうに飛び跳ねながら、こちらを見下ろしてくる。
『皆~、楽しいよ!』
「ラト、はしゃぎ過ぎて落ちないようにね」
フィーネは楽しそうなラトに苦笑を浮かべて、それからデュラ爺に視線を戻した。
「デュラ爺、私たちが登る時はどうすれば良いの? 階段も作ってもらえる?」
『もちろんじゃ。しかし階段よりも、一気に登る方法があるぞ』
その言葉のすぐ後に、近くの木の枝がぐいっとしなって俺たちの前に止まった。
『これに乗ると良い』
「……枝があそこまで運んでくれるってこと?」
『そうじゃ』
それって危なくないのだろうか。そう恐怖心も湧くけれど、それよりも好奇心が勝る。
「俺が先に乗ってみてもいいか?」
フィーネはまだ躊躇っている様子だったので手を挙げると、枝が少しだけ動いて俺の目の前に止まった。
『もちろん良いぞ。落ちないよう葉に掴まると良い。それから足は、枝分かれしている部分に置くと安定するじゃろう』
「分かった。……こんな感じだな」
「エリク、気をつけてね」
心配そうなフィーネに笑いかけてからデュラ爺に頷いて見せると、木の枝がぐいっと上に向かって動き始めた。
「おわっ……凄いな」
動き出した瞬間は体が強張ったけど、予想以上に安定している枝の上はそこまで怖さを感じない。
ぐんぐん上がっていく景色を楽しんでいると、すぐにラトのところに到着した。
『エリク! こっちこっち!』
枝から木の上に作られた広いスペースに降りてみると、そっちもかなり頑丈で全く危なげない作りだ。枝や葉、蔦などが上手く組み合わさり平らになっているので、歩きづらさも感じない。
「ラト、落ちるなよ」
『大丈夫だよ。僕は木の上でよく生活してたから。それよりもこのハンモック、凄く楽しいよ!』
「俺が乗っても壊れないかな」
『多分大丈夫じゃない?』
ラトの曖昧な返事を信じることはできず、まずは手で強度を確かめるために押してみることにした。すると俺の力ではびくともしないほど頑丈に作られているのが分かる。
これなら寝ても大丈夫かな……そう思い全体重を預けてみると、全身を心地よく包んでくれたハンモックは、ゆらゆらとわずかに揺れただけでかなり安定しているようだ。
これは最高だな……ただ少し葉や蔦のチクチクが気になるから、一枚布を敷いたらもっと快適になるだろう。これなら野営でもぐっすりと寝られそうだ。
「エリク、どうー?」
「最高ー!」
下からフィーネに呼びかけられたので、腕を上げて一言だけ返しておいた。俺はしばらくこのハンモックから動けない。
それから皆が上に登ってきて、落下防止の柵を付け足したりテーブルや椅子を作ったり、木の上のスペースを快適にして楽しんだ。
依頼は受けずに森へ行き、人があまりいない場所でデュラ爺の植物を操る能力を見せてもらう予定だ。
「植物を操る能力って、成長促進とかもできたりする?」
『いや、それは無理じゃな。あくまでも現在そこにある植物を自在に動かせるというだけじゃ』
「そうなんだ。じゃあさ、植物の性質を変えたり落ち葉を操ったりは?」
『そうじゃな……例えば葉を鉄のように固くするなどということはできないが、あくまでも植物というものの範囲内で鋭くしたりすることは可能じゃ。それから落ち葉なども、木から落ちて数時間以内であれば操れる。基本的に枯れてしまったものは操れんな』
こっちの能力も無条件にというわけにはいかないんだな。ただそれにしても、植物なんてどこにでもあるものを自在に操れるなんて、かなり便利な能力だろう。
「この辺で良い?」
街から歩いて三十分程度の場所で足を止めて、フィーネがデュラ爺を振り返った。
『もちろん構わんぞ。では軽く動かしてみよう』
デュラ爺がそう言って一歩前に出ると、俺たちの目の前にある植物が明らかに自然ではない動きを見せた。木に絡まっていた蔦が意思を持つように動いて蔦同士が絡まり合い、森の中に椅子のようなものを作っていく。
さらにその近くにあった大木の枝が、たくさんの葉が擦れる音を響かせながら椅子の上まで移動した。日除けの役割をしてくれるようだ。
『こんな感じじゃな』
「凄いな……」
植物が意思を持つように動いている光景は、何だか不思議で幻想的で、思わず目を奪われる。
「確かにこれは、野営の時に凄くありがたいかも。木々を密集させれば雨も完全に凌げるかな?」
『もちろんじゃ。それに魔物から襲われぬよう、こうして木の上に野営場所を作ることも可能じゃぞ』
デュラ爺が木の上に視線を向けると、今度はさっきまで椅子の形をしていた蔦が木の上に向かってハンモックを作り出した。
さらに木の枝が複雑に組み合わさり、床のような部分もできていく。
『うわぁ、凄いね! あの上に行ってみてもいい!?』
『良いぞ。ラトならばそのまま登れるか?』
『うん!』
ラトはフィーネの肩から地面に飛び降りると、木の幹をタタッと軽快に登っていった。そしてハンモックの上で嬉しそうに飛び跳ねながら、こちらを見下ろしてくる。
『皆~、楽しいよ!』
「ラト、はしゃぎ過ぎて落ちないようにね」
フィーネは楽しそうなラトに苦笑を浮かべて、それからデュラ爺に視線を戻した。
「デュラ爺、私たちが登る時はどうすれば良いの? 階段も作ってもらえる?」
『もちろんじゃ。しかし階段よりも、一気に登る方法があるぞ』
その言葉のすぐ後に、近くの木の枝がぐいっとしなって俺たちの前に止まった。
『これに乗ると良い』
「……枝があそこまで運んでくれるってこと?」
『そうじゃ』
それって危なくないのだろうか。そう恐怖心も湧くけれど、それよりも好奇心が勝る。
「俺が先に乗ってみてもいいか?」
フィーネはまだ躊躇っている様子だったので手を挙げると、枝が少しだけ動いて俺の目の前に止まった。
『もちろん良いぞ。落ちないよう葉に掴まると良い。それから足は、枝分かれしている部分に置くと安定するじゃろう』
「分かった。……こんな感じだな」
「エリク、気をつけてね」
心配そうなフィーネに笑いかけてからデュラ爺に頷いて見せると、木の枝がぐいっと上に向かって動き始めた。
「おわっ……凄いな」
動き出した瞬間は体が強張ったけど、予想以上に安定している枝の上はそこまで怖さを感じない。
ぐんぐん上がっていく景色を楽しんでいると、すぐにラトのところに到着した。
『エリク! こっちこっち!』
枝から木の上に作られた広いスペースに降りてみると、そっちもかなり頑丈で全く危なげない作りだ。枝や葉、蔦などが上手く組み合わさり平らになっているので、歩きづらさも感じない。
「ラト、落ちるなよ」
『大丈夫だよ。僕は木の上でよく生活してたから。それよりもこのハンモック、凄く楽しいよ!』
「俺が乗っても壊れないかな」
『多分大丈夫じゃない?』
ラトの曖昧な返事を信じることはできず、まずは手で強度を確かめるために押してみることにした。すると俺の力ではびくともしないほど頑丈に作られているのが分かる。
これなら寝ても大丈夫かな……そう思い全体重を預けてみると、全身を心地よく包んでくれたハンモックは、ゆらゆらとわずかに揺れただけでかなり安定しているようだ。
これは最高だな……ただ少し葉や蔦のチクチクが気になるから、一枚布を敷いたらもっと快適になるだろう。これなら野営でもぐっすりと寝られそうだ。
「エリク、どうー?」
「最高ー!」
下からフィーネに呼びかけられたので、腕を上げて一言だけ返しておいた。俺はしばらくこのハンモックから動けない。
それから皆が上に登ってきて、落下防止の柵を付け足したりテーブルや椅子を作ったり、木の上のスペースを快適にして楽しんだ。
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