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第1章 パーティー結成編
45、空間ごとの特性
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『この世界と似たような物質で構成されている空間を選んだから、心配はいらないぞ。しっかりと別の空間に存在している』
こんなに一瞬で収納できるとは、本当に驚いた。もっといろんな制限があったりするのだと思っていた。
「凄いな……ん、というか、空間っていくつもあるの?」
「私もそれが気になったよ」
空間を選んだという言い回しが引っ掛かり問いかけると、フィーネも俺の疑問に同調してくれた。
『わしが干渉できる空間は全部で十ほどじゃな。ただ使えない空間もあるので、実質使用しているのは三つほどじゃが』
そんなにたくさんの空間に干渉できるのか。この世界と似たような物質で構成された空間を選んだってことは、この世界とは全く違う空間もあるってことだよな。
なんだか凄く興味を惹かれる。色々と質問したいことが浮かんでくる。
「その使ってる三つはどういう空間なんだ?」
『その三つは全てこの世界と構成物質が似通っていて、三つの空間の違いは気温じゃな。常に氷点下を大きく下回っている空間と、十度ほどの気温を維持している空間、それから五十度ほどの暑さを維持している空間じゃ』
「今回の鞄を収納したのはどこなの?」
『二つ目じゃ。基本的に使用するのは二つ目の空間じゃな。一つ目は何かを凍らせて長期保存したい時、三つ目は高温状態での保存が適しているものを収納するときにしか使わん』
確かに氷点下を大幅に下回るのと五十度の気温はかなり厳しい環境だ。でも特に氷点下の方は、かなり使えるな。水をそこに収納してもらって取り出せば氷になってるだろうし、何よりも凍らせて食料を長期保存できるようになる。
「凄い能力だね……とりあえず、さっきの鞄を一度取り出してもらえる? どうなってるか確認してみたいの」
『もちろん構わんぞ』
デュラ爺がフィーネの言葉に頷いた瞬間に、さっきとほぼ同じ場所に鞄が姿を現した。
「ありがとう。確かに……少し冷たくなってるかも。でもそれ以外に変化はないね」
『うむ、先ほど話した三つの空間ならば、収納した物質に特異な変化があることはないだろう』
「……それ以外の七つの空間だと、どうなるんだ?」
好奇心に抗えず質問すると、デュラ爺の口から発された言葉は少し怖いものだった。
『例えばその鞄を収納した瞬間、膨張して爆発するだろう空間があるぞ。それから膨張の逆で、小さく圧縮されて使い物にならなくなる空間もある。また物質がその形状を保てずに溶けたり、全く別の性質のものに変化してしまったり、細かい粒子となって塵となったり……まあそんな感じじゃ』
……どの空間も怖すぎる。
世界が違うってそんなに影響があるのか。なぜそうなるのか全く理解はできないけど、とりあえず他の空間には触れるべきじゃないということは分かった。
「デュラ爺、生きてるものはどうなの? たとえば私たちを異空間に運ぶことはできる?」
俺が何だか寒くなって腕を摩っていると、フィーネが次の疑問を問いかけた。
……確かに、それもできる可能性があるのか。
え、ちょっと待って。それがもしできるという返答だった場合、さっきの別の空間の話と合わせたら怖すぎる。荷物が原型を留められないのなら、俺たちだって留められるわけないよな。
緊張しながらデュラ爺の返答を待っていると――
『無条件にとはいかない』
帰ってきたのは微妙な答えだった。とりあえず『できる』って答えじゃないことは良かったけど、できないわけじゃないってことだな。
『まず大前提として、わしはほとんど生きているものを異空間干渉で別の空間に飛ばしたことはない。したがって少数の経験からしか説明できないんじゃが、意思あるものはわしの能力に抗えるようなのだ。……というよりも、別の空間に向かうことに明確な同意がない限り、異空間干渉は失敗する』
そういうことか……それならあまり心配はいらないな。デュラ爺が俺たちのことを悪意を持って危険な空間に移動させるとは思ってないけど、何かしらの事故で移動してしまう可能性が怖かった。
でもその可能性がないとなれば、心配する必要はない。
「その意思あるものってどの程度なの? 例えば小さな虫とかは?」
『移動させられないじゃろう。わしが無条件に異空間干渉の能力を発動できるのは、無生物に対してのみじゃ』
「そうなんだ……採取した植物とか魔物の素材とか、もう命が刈り取られてしまったものは収納できるってことだよね?」
『うむ、それは問題なく収納できるじゃろう』
「分かった。色々と教えてくれてありがとう」
フィーネは笑顔でそう伝えてデュラ爺の頭を軽く撫でると、残りの荷物もデュラ爺の前に移動させた。
「じゃあ、ここにあるものの収納もお願いしても良い?」
『もちろんじゃ』
それからデュラ爺にいくつかの重い荷物を収納してもらい、異空間干渉についての話は終わりとなった。
こんなに一瞬で収納できるとは、本当に驚いた。もっといろんな制限があったりするのだと思っていた。
「凄いな……ん、というか、空間っていくつもあるの?」
「私もそれが気になったよ」
空間を選んだという言い回しが引っ掛かり問いかけると、フィーネも俺の疑問に同調してくれた。
『わしが干渉できる空間は全部で十ほどじゃな。ただ使えない空間もあるので、実質使用しているのは三つほどじゃが』
そんなにたくさんの空間に干渉できるのか。この世界と似たような物質で構成された空間を選んだってことは、この世界とは全く違う空間もあるってことだよな。
なんだか凄く興味を惹かれる。色々と質問したいことが浮かんでくる。
「その使ってる三つはどういう空間なんだ?」
『その三つは全てこの世界と構成物質が似通っていて、三つの空間の違いは気温じゃな。常に氷点下を大きく下回っている空間と、十度ほどの気温を維持している空間、それから五十度ほどの暑さを維持している空間じゃ』
「今回の鞄を収納したのはどこなの?」
『二つ目じゃ。基本的に使用するのは二つ目の空間じゃな。一つ目は何かを凍らせて長期保存したい時、三つ目は高温状態での保存が適しているものを収納するときにしか使わん』
確かに氷点下を大幅に下回るのと五十度の気温はかなり厳しい環境だ。でも特に氷点下の方は、かなり使えるな。水をそこに収納してもらって取り出せば氷になってるだろうし、何よりも凍らせて食料を長期保存できるようになる。
「凄い能力だね……とりあえず、さっきの鞄を一度取り出してもらえる? どうなってるか確認してみたいの」
『もちろん構わんぞ』
デュラ爺がフィーネの言葉に頷いた瞬間に、さっきとほぼ同じ場所に鞄が姿を現した。
「ありがとう。確かに……少し冷たくなってるかも。でもそれ以外に変化はないね」
『うむ、先ほど話した三つの空間ならば、収納した物質に特異な変化があることはないだろう』
「……それ以外の七つの空間だと、どうなるんだ?」
好奇心に抗えず質問すると、デュラ爺の口から発された言葉は少し怖いものだった。
『例えばその鞄を収納した瞬間、膨張して爆発するだろう空間があるぞ。それから膨張の逆で、小さく圧縮されて使い物にならなくなる空間もある。また物質がその形状を保てずに溶けたり、全く別の性質のものに変化してしまったり、細かい粒子となって塵となったり……まあそんな感じじゃ』
……どの空間も怖すぎる。
世界が違うってそんなに影響があるのか。なぜそうなるのか全く理解はできないけど、とりあえず他の空間には触れるべきじゃないということは分かった。
「デュラ爺、生きてるものはどうなの? たとえば私たちを異空間に運ぶことはできる?」
俺が何だか寒くなって腕を摩っていると、フィーネが次の疑問を問いかけた。
……確かに、それもできる可能性があるのか。
え、ちょっと待って。それがもしできるという返答だった場合、さっきの別の空間の話と合わせたら怖すぎる。荷物が原型を留められないのなら、俺たちだって留められるわけないよな。
緊張しながらデュラ爺の返答を待っていると――
『無条件にとはいかない』
帰ってきたのは微妙な答えだった。とりあえず『できる』って答えじゃないことは良かったけど、できないわけじゃないってことだな。
『まず大前提として、わしはほとんど生きているものを異空間干渉で別の空間に飛ばしたことはない。したがって少数の経験からしか説明できないんじゃが、意思あるものはわしの能力に抗えるようなのだ。……というよりも、別の空間に向かうことに明確な同意がない限り、異空間干渉は失敗する』
そういうことか……それならあまり心配はいらないな。デュラ爺が俺たちのことを悪意を持って危険な空間に移動させるとは思ってないけど、何かしらの事故で移動してしまう可能性が怖かった。
でもその可能性がないとなれば、心配する必要はない。
「その意思あるものってどの程度なの? 例えば小さな虫とかは?」
『移動させられないじゃろう。わしが無条件に異空間干渉の能力を発動できるのは、無生物に対してのみじゃ』
「そうなんだ……採取した植物とか魔物の素材とか、もう命が刈り取られてしまったものは収納できるってことだよね?」
『うむ、それは問題なく収納できるじゃろう』
「分かった。色々と教えてくれてありがとう」
フィーネは笑顔でそう伝えてデュラ爺の頭を軽く撫でると、残りの荷物もデュラ爺の前に移動させた。
「じゃあ、ここにあるものの収納もお願いしても良い?」
『もちろんじゃ』
それからデュラ爺にいくつかの重い荷物を収納してもらい、異空間干渉についての話は終わりとなった。
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