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第1章 パーティー結成編
40、神獣召喚
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昨日は早い時間に眠りについたことで、今日は日が昇る頃に気持ちよく目が覚めた。大きな依頼が達成できて緊張感から解放されたからか、清々しい気分だ。
いつもより丁寧に朝の準備を済ませストレッチをして、朝食の時間が始まる頃に食堂へ下りると、ちょうどフィーネとラトが席に座るところだった。
「おはよう」
「あっ、エリク。おはよう。もう起きて大丈夫なの?」
「昨日は早く寝たから、結構早くに目が覚めたんだ」
「そうだったんだ。じゃあ朝ご飯を食べて少し休んだら、さっそく森に行こうか」
『やったー!』
ラトはよほどデュラ爺に会えるのが嬉しいのか、昨日の高いテンションがまだ継続しているみたいだ。
「神獣同士って仲がいいんだな」
『そうだね……あんまり反発しあったりはしないかな。気が合わないから顔を合わせないようにしてるって人たちもいるけどね』
「そうなのか?」
『うん。でも基本的には会えば普通に話すし仲良しだよ! 僕は特にデュラ爺が好きなんだ~。優しくていろんな話をしてくれるから!』
コルンの実を両手に持って瞳を輝かせているラトに癒されていると、宿の従業員である男性が朝食を運んできてくれた。
今日の朝食は野菜と肉がたくさん入ったスープと、チキンステーキみたいだ。パンも一つ付いていて、朝から贅沢な食事に気分が上がる。
「このスープ、かなり美味いな」
「本当だね。この宿は部屋も良いし食事も良いし、離れるのが惜しくなるよ。特に朝ご飯がたくさん出てくるのがいいよね」
「朝食は軽く済ませることが多いからな」
錬金工房に住んでた時の朝食は同僚と一緒に食べてたけど、パン一つだけということが圧倒的に多かった。孤児院でも朝ご飯はスープだけ、パンだけ、芋だけ、という感じでとにかく一品しか出なかったのだ。
「うぅ~ん! このチキンステーキ美味しいよ。味付けが絶品かも。リルンに少し持っていってあげようかな」
「おおっ、本当だな。これはいくらでも食べられそうだ」
それからものんびりと朝食を楽しんだ俺たちは、少し休憩してから森の奥に向かうために宿を出た。
外門を通ってから街道をしばらく進み、街から離れたところで草原に入る。そして草原を横切ったらさっそく森の中だ。
「どの辺で召喚するんだ?」
「そうだね……もう少し奥に行こうかな。万が一にも見られたくないから」
襲ってくる魔物をたまに倒して魔石だけを布袋に仕舞いながら進むことしばらく、森の奥に小川を発見した。その小川の辺りは背が低い草が生えているだけで、木々がほとんどないみたいだ。
「ここがちょうど良いかも」
「召喚陣ってどのぐらいの大きさなんだ?」
「えっと……二人が両手を広げたぐらいの大きさかな」
「それならここで十分だな」
「うん。じゃあ召喚陣を出すから、エリクは合図したら陣の中に入ってね」
「分かった」
俺とリルンがフィーネの後ろに下がり、ラトも俺の肩の上に移動してきたところで、フィーネは両手を胸の前で組んで祈るような仕草をした。
するとすぐにフィーネの体が光に包まれ始め、周辺の地面も輝いていき――
――数秒後には、地面に複雑な模様が刻まれていた。
「凄いな……」
「エリク、この中に入ってくれる? そして地面に生えてる草を触ってみて欲しい」
「了解」
緊張しつつ召喚陣の中に一歩足を踏み入れると、地面を踏み締める感触はいつもと変わらなかった。特に体に変化がないことを確認して、もう一歩中に入る。
そしてゆっくりと召喚陣の中心に向かい、その場にしゃがみ込んだ。
「触るぞ」
すぐ近くにあった雑草に触れると、雑草はキラキラといつもの光を纏わせながらヒール草に変質し……変質が終わった瞬間、俺の隣に何かが姿を現した。
緊張しつつもそちらに視線を向けると、そこにいたのは鹿型の魔物――いや、魔物じゃない。多分この人がデュラ爺だ。
『デュラ爺ー!!』
ラトが大声で叫びながら大ジャンプをし、デュラ爺の顔に飛び移った。
『ラタトスクではないか。フェンリルもいるのか? わしは突然どこかに呼ばれる感覚がしてな、最初は無視していたんじゃが、面白いスキルが見えたので来てみたんだ。ここはどこじゃ?』
『フィーネのところだよ! フィーネが神獣召喚のスキルを持ってるんだ』
『ほう、それは珍しいスキルじゃな。しかしそれよりも、わしが初めて見るスキルを使った者がいたのだが……おおっ、そこの者だ』
デュラ爺は俺に視線を向けると、好奇心を隠しもせずにぐいっと顔を近づけてきた。立派なツノがある顔を近づけられると少し怖い。
というかデュラ爺、予想以上に大きいな。俺たちが普通に立って、目線があまり変わらないぐらいだ。ブラウンホースと同じぐらいの大きさかもしれない。
いつもより丁寧に朝の準備を済ませストレッチをして、朝食の時間が始まる頃に食堂へ下りると、ちょうどフィーネとラトが席に座るところだった。
「おはよう」
「あっ、エリク。おはよう。もう起きて大丈夫なの?」
「昨日は早く寝たから、結構早くに目が覚めたんだ」
「そうだったんだ。じゃあ朝ご飯を食べて少し休んだら、さっそく森に行こうか」
『やったー!』
ラトはよほどデュラ爺に会えるのが嬉しいのか、昨日の高いテンションがまだ継続しているみたいだ。
「神獣同士って仲がいいんだな」
『そうだね……あんまり反発しあったりはしないかな。気が合わないから顔を合わせないようにしてるって人たちもいるけどね』
「そうなのか?」
『うん。でも基本的には会えば普通に話すし仲良しだよ! 僕は特にデュラ爺が好きなんだ~。優しくていろんな話をしてくれるから!』
コルンの実を両手に持って瞳を輝かせているラトに癒されていると、宿の従業員である男性が朝食を運んできてくれた。
今日の朝食は野菜と肉がたくさん入ったスープと、チキンステーキみたいだ。パンも一つ付いていて、朝から贅沢な食事に気分が上がる。
「このスープ、かなり美味いな」
「本当だね。この宿は部屋も良いし食事も良いし、離れるのが惜しくなるよ。特に朝ご飯がたくさん出てくるのがいいよね」
「朝食は軽く済ませることが多いからな」
錬金工房に住んでた時の朝食は同僚と一緒に食べてたけど、パン一つだけということが圧倒的に多かった。孤児院でも朝ご飯はスープだけ、パンだけ、芋だけ、という感じでとにかく一品しか出なかったのだ。
「うぅ~ん! このチキンステーキ美味しいよ。味付けが絶品かも。リルンに少し持っていってあげようかな」
「おおっ、本当だな。これはいくらでも食べられそうだ」
それからものんびりと朝食を楽しんだ俺たちは、少し休憩してから森の奥に向かうために宿を出た。
外門を通ってから街道をしばらく進み、街から離れたところで草原に入る。そして草原を横切ったらさっそく森の中だ。
「どの辺で召喚するんだ?」
「そうだね……もう少し奥に行こうかな。万が一にも見られたくないから」
襲ってくる魔物をたまに倒して魔石だけを布袋に仕舞いながら進むことしばらく、森の奥に小川を発見した。その小川の辺りは背が低い草が生えているだけで、木々がほとんどないみたいだ。
「ここがちょうど良いかも」
「召喚陣ってどのぐらいの大きさなんだ?」
「えっと……二人が両手を広げたぐらいの大きさかな」
「それならここで十分だな」
「うん。じゃあ召喚陣を出すから、エリクは合図したら陣の中に入ってね」
「分かった」
俺とリルンがフィーネの後ろに下がり、ラトも俺の肩の上に移動してきたところで、フィーネは両手を胸の前で組んで祈るような仕草をした。
するとすぐにフィーネの体が光に包まれ始め、周辺の地面も輝いていき――
――数秒後には、地面に複雑な模様が刻まれていた。
「凄いな……」
「エリク、この中に入ってくれる? そして地面に生えてる草を触ってみて欲しい」
「了解」
緊張しつつ召喚陣の中に一歩足を踏み入れると、地面を踏み締める感触はいつもと変わらなかった。特に体に変化がないことを確認して、もう一歩中に入る。
そしてゆっくりと召喚陣の中心に向かい、その場にしゃがみ込んだ。
「触るぞ」
すぐ近くにあった雑草に触れると、雑草はキラキラといつもの光を纏わせながらヒール草に変質し……変質が終わった瞬間、俺の隣に何かが姿を現した。
緊張しつつもそちらに視線を向けると、そこにいたのは鹿型の魔物――いや、魔物じゃない。多分この人がデュラ爺だ。
『デュラ爺ー!!』
ラトが大声で叫びながら大ジャンプをし、デュラ爺の顔に飛び移った。
『ラタトスクではないか。フェンリルもいるのか? わしは突然どこかに呼ばれる感覚がしてな、最初は無視していたんじゃが、面白いスキルが見えたので来てみたんだ。ここはどこじゃ?』
『フィーネのところだよ! フィーネが神獣召喚のスキルを持ってるんだ』
『ほう、それは珍しいスキルじゃな。しかしそれよりも、わしが初めて見るスキルを使った者がいたのだが……おおっ、そこの者だ』
デュラ爺は俺に視線を向けると、好奇心を隠しもせずにぐいっと顔を近づけてきた。立派なツノがある顔を近づけられると少し怖い。
というかデュラ爺、予想以上に大きいな。俺たちが普通に立って、目線があまり変わらないぐらいだ。ブラウンホースと同じぐらいの大きさかもしれない。
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