悪役令嬢のビッチ侍従

梅乃屋

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本編

27:噛むヴィラードと

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 乱暴に扱っても良いってのは、ストレートの貴族を落とす定番の口説き文句だ。
 そう言って豹変したのはヴィラードで二人目だな。なんて考える余裕があったのは最初だけだった。



「っあ!んんっ、んっ!……ヴィラード、な、ちょ、あっ!激し!はぁっ、アッーーー!」

 凶悪な逸物を持つ強靭な肉体は俺を激しく打ち付ける。
 乱暴に扱っても良いと言ったのは俺だが箍が外れた獣は容赦なく俺の奥へと激しく貫いた。

 正常位でゆっくりと突き上げていた身体は次第に興奮を増し、俺がくるりと四つん這いになるとそのまま獣のように覆い被さり荒い息を吐き出し俺を嬲った。
 激しい睦み合いは俺の好みだが、時折体を撫で付けてくる指先が唇が、そして舌が慎重で柔らかくて卑猥で……

「あ、も、ダメ。俺、イキそう♡」
 荒々しさの中に優しい気遣いが俺を蕩かせて来やがる!

「ん、セバスティアン!俺は、まだ……!」
「んんん、無理ぃぃぃぃん♡」

 俺好みの身体と予想外の扱いにすっかり参ってしまい、脳みそが蕩けてしまう。なにこの飴とムチ的なセックス♡
 不本意ながら先にイッてしまった俺。

 がくりと弛緩した体を支えられて、まだまだ元気なヴィラードは俺を打ち付ける。

 誰だよ不能っていったの!
 全然萎えねーじゃん!
 いつ萎えるの?

「はぁっセバスティアンっ!すまないっでもまだっ……く、気持ちいい♡」
「んんっ!あはははっ!萎えるまで突けよ♡あんっ」

 俺はイった後に突かれても全然平気だ。
 俺は喜んでヴィラードの激しい責めを受け入れ愉悦の声を上げて涎を垂らす。
 次第に俺の中心も元気を取り戻し、また脳が揺れる。

 ヴィラードに掴まれている腰が熱く、そろそろ跡がつきそうだと感じながらもそれも気持ちよくて夢中で俺も腰を振った。
 体力お化けの騎士様は勢いが衰えることなく俺を揺さぶり俺を突き上げ汗を垂らし時折背中を舐め上げる。

「ん、んっ、なぁ、背中、噛んでもいいぞ?」
「っは、え?噛む?」

 腰を動かしながら理解できない様子で俺を覗くヴィラード。
 俺は背中越しに彼の目を見て笑うと、軽く唇にキスをくれた。

 ヴィラードはそのまま唇を背中に這わせ、ガリと肩甲骨を噛み付ける。

「っぁあっ!」
「すまない。い、痛かったか?」
「いや?いい♡」
「…………!」

 本能剥き出しの行為に興奮したのか、ヴィラードの鼻息は荒くなり更に俺を追い詰める。
 背後から肉壁を擦り付けるように穿ち、時折俺の背中を舐めたり齧ったりしながら激しく突き上げる。さっきイったばかりの俺の身体は齎される刺激に責められ益々感度が上がり腰が揺れた。

 肉を打ちナカを抉られる音が部屋に響き、それに同調して俺の声も卑猥に上がる。
 俺の肉体がヴィラードの硬くて大きな陰茎を記憶し形作ろうとせんばかりに脳を刺激し身体を震わせる快感に俺は喘ぐ。
 彼が腰を引くとずるりとエラが引っ掻き肉壁が悦び、腰を強く突き上げると亀頭が奥を貫き全身が痺れて堪えきれずに俺は大きく啼き声を上げる。

「んっ、ん、あっ!あぁっ…ヴィ、ラード♡ソコ、いいっ、あ、んんっ」
「はっ、セバスティアンっ!ココがいい?お前のナカがっ、ん、俺を締め付けて………イけそう…………」

 マジか?
 インポ治ったか!

 俺を抱くヴィラードの顔は興奮で上気し、恐ろしいほどの色気を纏わせ俺を揺さぶる。
 ヴィラードの息も荒ぶり達しそうになると更に律動を早め、背中を舐めていた体を起こして全身で貫こうとした瞬間……

「…………あ」

 低く唸ったヴィラード。


 あ?


 その声と同時に、ヴィラードの熱が一気に冷めたのを感じた。


 振り向くと、ゆるゆると腰を動かしそして、

 …はち切れんばかりの硬さを誇った剛直は、俺のナカでみるみる勢いを無くしてしまった。


「セバスティアン…すまない……」



 中折れしたらしい。

 どうやら治らなかったようで。


 叱られた犬のように肩を落とし眉を下げ、項垂れるヴィラード。
 残念そうに陰茎を引き抜き、許しを乞うように俺を優しく背後から抱きしめて来た。

 その仕草があまりにも可愛すぎて思わず吹き出した俺。

「く、くくくっ!もうちょっとだったのにな?惜しかったな?」

 俺も体を起こして向き合う体勢になると、下を向き激しく消沈している大型犬がいた。

「こんなにも長く保てたのは初めてで、………もしかしていけるかもと思ったが、すまない…」
「謝ることはないよ。そもそも最初に良いって言ったの俺だし。何より俺はイケたし♡」

 項垂れているヴィラードには悪いが俺は満足している。
 元気付けるつもりで彼の乱れたハニーブラウンの髪の毛にチュッチュとキスを落とすと、彼は少し震えてバスルームへ駆け込んだ。

 あ、成る程。独りでは出来るって言ってたからな。

 暫くして、バスルームから出てきたヴィラードはスッキリした顔をしていた。…難儀なやつだ。

 俺は裸のままベッドでだらしなく寛ぎ煙草を燻らせ、バスローブ姿のヴィラードを目一杯愉しむ。
 試しにもう一回やるか尋ねると、彼はいつもの無表情で首を振った。

「だがこんなにも長く続いたのは初めてだ…」
 ベッドの端に腰を下ろし、顔を赤らめ呟くヴィラード。
「じゃあ何回か俺とすればそのうちイケるようになるんじゃね?」
「それは…、どうだろうか…」

 完全な下心で誘ってみたが、根本的な解決策がなければ治らないだろう。
 だから俺はちょっと踏み込んでみた。


「なぁ、その症状はいつから?」

「………三年前、くらいだ」

「その三年前に何があったんだ?」

 あまりこういう事に首を突っ込むのは良くないとは思ったが、聞かずにはいられなかった。
 ヴィラードは沈黙し、特に何も…と答える。

「まぁ言いたくなければ良いよ。ただソレって精神的なショックが原因だろ。身体は頑丈でも心はまた別の話だ。心が何かに傷ついて癒されていないから股間に出てしまってんじゃないのか?」

 煙を吐き出しながら言うと、ヴィラードも煙草を催促してきたので一本渡す。
 煙草を咥えた彼に火を見せると体を捩り、ヂリと音を立てて吸い込む。伏せた睫毛が長い。

 ヴィラードは煙を勢いよく吐き出し、重い口を開いた。

「三年前、久々に帰省した実家で寝ていたら、父の後妻が俺の上に乗っていて……。気が付いて慌てて押し返したら、俺のアレを彼女の顔へ掛けてしまった……」

 は?
 顔射したのか!


「AVかよ!」


 何その羨まけしからんシチュエーションは!

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