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第一章 始まり

この世界の創生【3】

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「これがこの世界の創世記の始まりの一部」
「…………それが俺と何の関係があるんだよ」
「ふっ、大丈夫。ここからの話が本題」















 *********















 一部の生物を除いてこの世界の生物のほとんどの魂は、全てカリファデュラ神の子である事は先程話したとおりで。生まれた魂は時が過ぎれば力尽きて消滅することもあるし、再び転生し廻ることもあるけど、創生初期は新たに生まれる魂の方が多かった。

 最初はカリファデュラ神だけで全ての魂を守り管理していたのだが、あまりにも増え続けたいくつかの魂が、カリファデュラ神の腕から溢れて迷子になってしまうという問題が起きてしまう。
 それに気が付いたカリファデュラ神は第二子と第三子である太陽と月に協力を願い、己の代わりに魂を守ってもらっている間に迷子になってしまった大事な魂らを探し出すことに。

 こちらの世界の輪から外れて迷子になってしまった魂の大半は世界と世界の間を彷徨っており、カリファデュラ神は彷徨う魂を拾っては己の世界に帰しを繰り返していた。
 カリファデュラ神は必死に世界を行き来し魂を救い元の世界へ帰していったのだが、ごく僅かの魂は間違って本来生まれるはずである世界の波動にとても近い《地球》という星がある世界に降り立ってしまっていたのだ。

 その世界はカリファデュラ神の魂達にとって生まれるべき世界でないため、間違った世界に生まれてしまった魂はその世界に馴染めず、迫害されたり、不遇な扱いを受けることがほとんどだった。





 カリファデュラ神が残りの魂を探しその《地球》のある世界に行きついた時には、魂達は間違って《地球》に生まれてしまっており。
 なかにはせっかく《地球》の生物として生まれ降りたのに、早くにその命を終わらせてしまいその世界の近くを再び彷徨ってしまっている魂もいれば。合わない環境に生まれ降りてしまったことで、また新しく生を受けて巡る事が出来るはずの魂なのにすり減って消滅してしまう魂もいた。

 悲しい惨状を目にし、涙しながらもカリファデュラ神は生き残っている大事な大事な子らをすぐさま迎えに行き、元の世界に全て連れ帰ったのだった。




 この時の魂達が、この世界初の異世界転移者や転生者となった――――――――。












 *********















「――――――――ちょっと待て、ということはあれか? 俺は……俺の魂は、そのカリファデュラ神の子とでもいうのか?」
「そのとおり。やっぱり君は賢いね、話が早い。君もいろいろと心当たりがあるんじゃないのか?」
「ぃや……あると言われれば、ある、けど!」


 心当たりはある。
 め・ちゃ・く・ちゃ!! ある。

 けど、今話された神話を信じろと言われても、はっきりと実感わかないし急に自分はこの世界の神様の子です。
 なんて言われて、はい! 分かりました! とはならないだろ!!!


「でも、さっき聞いた最後らへんの感じだとその時迷子になった魂は全て――、カリファデュラ神によってこの世界に帰されたんだろう? その神話の話がいつの話かは知らないけど明らかに昔の話っぽいのに、俺がこの世界の魂だとして今転移したらおかしくないか? 全て帰したといいながら俺だけ取り残されてたってこと?」
「ほんと、君賢いね。君の言う通り、この話は一万年以上前の話だ」
「い、いちまんねん! やっぱおかしいだろ!」


 一万年も俺はほったらかしにされてたっていうのか。
 なんともまあ、俺らしいっちゃ俺らしい話でもあるが。


「大丈夫。君は一万年もの間取り残されてたわけじゃない。その時の魂たちはきちんと全て帰されている。じゃあ、なんで君が異世界で生まれてしまったのかというと…………



 実を言うとね、その後も何度か魂たちはカリファデュラ神の腕から溢れてしまうことがあったんだ」
「おいおい」


 そんな管理ずるずるで大丈夫か、この世界。


「一応そんなことが今後起こらないようにと対策はいろいろとされたんだよ? カリファデュラ神だけで魂たちを管理せずに太陽と月と第一子の宇宙も加わり、守りと管理をするようになったり。増え続ける魂をなるべくそれ以上増えないように、守り切れるだけの量に調節するようになったりなどなど。
 でも、カリファデュラ神はとてもおっとりした神様でな。ついつい居眠りしてしまった時や目を離してしまった時にポロっと魂が溢れてしまうんだ」


 随分とまあ、おっちょこちょいな神様がいたもんだな!
 どんな神様だよ!


「とまあそんな感じで数百年、または数年に一度、迷子になり異世界で生まれることがある魂は、その度にカリファデュラ神自らが迎えに行くことがある。
 この世界で異世界転移者や転生者は珍しくないんだ。君は約三年ぶりの異世界転移者だな」
「三年ぶり…………。ん? ちょっと待てよ、カリファデュラ神自ら迎えに行くってことは…………。




 あの時の!ここに来る前に見たこの世のものと思えない綺麗な人はそのカリファデュラ神ってやつか!幻かと思ったけど……。
 へぇー、めちゃくちゃ綺麗な女神だったなあ……」


 どんな神様だよって思わずツッコミ入れたけど、どんなもなにも俺見たことあったわ。
 あれがこの世界の神様で俺の魂の母? になるのか?
 どんなファンタジーだよ。
 そろそろ話についていけなくなるわ。


「ん? カリファデュラ神は女神ではないぞ」
「んっ?」
「カリファデュラ神は男神だ」
「はぁ!?」
「そもそも、この世界の生物、主に獣や植物以外は全てオスだ。まぁ、一部魔力を持つ獣とか例外もあるがな」
「…………はぁあぁあああ!?」


 なんだよ!ファンタジー!!!
 俺もう、ついていけません!!!!!








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