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第一章 始まり
びっくりキラキラ市場【4】
しおりを挟む「リンタロウ様、セリューも戻ってきましたので俺達兄弟は一度別行動をしてもいいでしょうか?」
「「へ!? なんで!」」
「お前達、出かける前に話したことをもう忘れたのか!」
「はっ!」
「そうだった!!」
「別行動ってなあに?」
「リンタロウ様とはちょっと離れて俺達だけで買い物に行くんだよ、プティ」
「ふぇ? そーなの?」
どうやらプティ君には心当たりがないみたいだが、双子お兄ちゃんズは心当たりがあるらしく、ベルトラン君に敬礼をしてどうやら従うようだ。
「何か買いたいものがあるんだ? 俺は別行動じゃなくても皆が買いたい所について行けるけど……」
「リンタロウ様は、ほら! ゼン様と旅支度のお買い物をしなくてはいけないでしょう? ちょうどいいタイミングですので、ここで一度分かれて買い物に行くというのはどうでしょうか? ね!」
「「うんうんうんうん!」」
「双子もこう言ってますし、お供にはセリューを連れますので俺達の心配はせずに済みますし!」
「そう? じゃあ……」
「……プティ、リンにいちゃと一緒がいい…………」
俺はゼンの様子を見て問題なさそうであったので別行動をしようと言おうとしたが、俺に抱っこされたままのプティ君が別行動を拒否し、ギュッと抱き着いている手の力を強めた。
「プティ、買い出し先でさっき食べたいって言っていたキャンディを買ってあげるから、一緒においで」
「……むぅ」
困った様子のベルトラン君と魅惑のキャンディとの誘惑で悩んでいるプティ君。
プティ君の可愛い様子に俺はついついその状況を永遠と眺めそうになるが、ベルトラン君が困っているので手助けすることにした。
「プティ君、俺、プティ君が選んでくれるキャンディが食べたいなあ。でも、どんなキャンディ選んでくれるのか今は内緒の方があとで渡された時にびっくりして大喜びすると思うんだけどなあ?」
「プティ、リンタロウ様に内緒でとびっきり美味しいキャンディを選んで驚かせよう?」
もうこういう話をしている時点で内緒ではないじゃないか。と無粋なこともちょっとは思うが、プティ君の様子を見ると大丈夫のようだ。
「プティ、リンにいちゃに美味しいキャンディ選ぶ」
「よし、じゃあおいでプティ」
そう言うベルトラン君に俺はプティ君を渡した。
「では、リンタロウ様! また後ほど!」
「「リーン! あとでなー」」
「リンにいちゃー、あとでねー」
「それでは、リンタロウ様、ゼン様。坊ちゃま方はわたくしにお任せ頂き、お二人でお買い物を楽しまれてください。では」
元気よく俺とゼンに手を振りながら子供達は目的の出店へと足を進めてセリューさんもそれについて行った。
その姿を俺も手を振り返しながら、人ごみに消えてしまうまで眺めていた。
「…………子供達にフラれて少し寂しいだろ。リンタロウ」
「うるっせえ! さっさと買い出し行くぞ!」
本当にいらない言葉をよく言う口だな!
図星を指された俺は、どこから見て回ったらいいのかも分からないのにスタスタとゼンより先に進んでいく。
ゼンはクスクス笑いながらも俺についてきて、まず最初はあそこから見ようかと後ろからアドバイスをくれた。
さあ、経験のない人生初の旅支度だ!
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