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第一章 始まり
初体験の日々【4】
しおりを挟む一度も相談とかもした事もなく、どう言えばいいかなんて考えながら話したのでたどたどしい話し方だっただろう。
聞き取りにくい話し方であったはずだろうに、ドゥース様や皆はきちんと聞いてくれた。
「…………とまあ、こんな感じで、俺は親はいないと思ってましたし、友達も作れませんでした」
「そうか、そんなことが」
「人に好かれすぎるというのも、困りものですね……」
俺の話しを真剣に受け取ってくれたドゥース様。
ベルトラン君も俺の境遇に真剣に向き合ってくれているみたい。
「ねえ、それならちょっと前から思ってたんだけど…………」
「……? なんでしょうか」
「リン君、うちの子にでもなる?」
「え? うちの子?」
突然なパルフェット様の提案に俺はついていけていなかったのだが。
周りの反応はというと。
「「リン! うちの子になるのか!?」」
「いい考えですね! 母上!」
「いいじゃないか! リン君! うちの子になるといい!この子達も兄弟が増えて喜ぶ」
「良かったじゃないかリンタロウ。家族ができたな」
なんともまあ、大歓迎されました。
「そのお言葉は嬉しいですが、俺なんかが家族になっても…………」
「なーにー? リン君は私たちの家族になるのが嫌だっていうの? ほら、あっちを見てごらんよ」
パルフェット様に言われて見てみると。
「リンが俺たちの新しい兄弟になるってことは一番下の弟になるんだな!」
「弟だ!」
「アホども! リンタロウ様は年上でいらっしゃるから兄上だろ!」
「いやあ、新しい息子もこんなに可愛いとやはり家の守りを更に上げねばなあ。あっはっは! ゼン殿、今度警備の相談に乗ってくれまいか」
「もちろんです、ドゥース様」
「ほら、あんなに嬉しそうなのに嫌だっていうの?」
……………………なんかこういうのちょっと前にもあったよな……。
「あの…………前向きに、検討させてください……」
「ふむ、しょうがないなあ。今はそれで許してあげよう」
と言っても、俺の心の中ではこの家族の中に入りたいと思っている自分がいるのだが…………。
なかなかどうにも臆病になっている自分がいるわけで……。
今回は保留にしてもらえたので、いい答えで返せたらいいな…………。
「リン! 俺の事はシャルル兄上と呼べ!」
「サロモン兄上だぞ!」
「だから、リンタロウ兄上とお呼びしろ!」
もう子供たちの中で俺は兄弟になっているみたいだけどな…………。
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