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第一章 始まり
初体験の日々【1】
しおりを挟むそれから数日、俺は子供達の朝夕の仕事を手伝いつつ、魔力操作の特訓ばかりをしていた。
他の子供達はというと。
魔法のお勉強会二日目のその日に、イケメンによってどの程度魔力が扱えて、どんな魔法が使えるのかを確認された。
初日が、俺のせいで俺の魔力操作の特訓のみで終わってしまったからな。
すると、ベルトラン君は初日にちょっと言っていた通り、兄弟の中で魔力操作が上手いらしく。自分の性質特化の魔力操作以外にも、基本的な生活魔法や五大魔法の初歩は上手にできていた。
ただ、問題にするほどでもないが強いて言うなら家族の中では魔力量がそこまで多くないほうに入るとのこと。
逆に双子お兄ちゃんズはパルフェット様が言っていた通り、魔力量は多いが魔力操作が苦手で試しにいろんな魔法を見せてもらったが何回か加減ができておらずちょっと暴発していたり。
君達、やっぱり人の事、破壊神とか言えないんじゃないの。と言うと、時と場所はわきまえてるから違うと反論された。
嘘つけ、初日にベルトラン君にわきまえろって言われてたろ。
ベルトラン君も俺の言葉に激しく頷いてるぞ。
プティ君はというと、意外にも魔力量が多いそうだが、魔力を出そうとするとちょっとしか出せないから魔法を使おうとするとほんのちょっとしか出せないのだという。
かと言って、普段魔力が必要な物を動かす際には適量を出せているので、全くもって魔力操作が出来ないわけではなく。無意識に魔法などを使おうとすると、自分で制限してしまっているのではないか、というのがイケメンの見解だ。
というわけで、その日のうちにイケメンにより個人個人課題などを出されて、それをこなしていくことになった。
「はい。じゃあ、今からベルトラン君以外の皆には鬼ごっこしてもらいます」
「「「はーい!」」」
「え、鬼ごっこ? ……鬼ごっこって、鬼ごっこ?」
ほぼ鬼ごっこしか言わなかったが、こちらの世界での鬼ごっこが前の世界と同じか分からないので疑心暗鬼になる俺。
そんな俺に、もちろん進んで教えてくれる双子お兄ちゃんズ。
「鬼ごっこっていうのは、鬼役がいて」
「その他が鬼から逃げて、鬼が追いかけて捕まえるっていう遊びだぞ」
あ、普通の鬼ごっこだった。
「今回は鬼ごっこは鬼ごっこでも、魔力を使った鬼ごっこをしてもらいます。身体に魔力を巡らせて、足を強化して脚力をアップさせて走るんだ」
…………全然普通の鬼ごっこじゃなかった。
どうやら魔力で身体強化ができるらしく、身体に適量の魔力を特定の場所に巡らせることで魔力操作の練習にもなるらしい。
なるほどね。
試しに俺はイケメン監視下の元、ブレスレットを外して鬼ごっこをすることになったのだが。
これまた大変だった。
俺の魔力はダダ洩れで走ったそばから俺の周りが花畑になっていくだけで、なかなか足に魔力を巡らせられず脚力が上がらなくて勝負にほぼならなかった。
そんな俺を、双子お兄ちゃんズは遠慮なく追いかけて来るわ来るわ。
魔力が上手く使えない俺は、すぐに追いつかれてまるで軽い交通事故を起こすように吹き飛ばされたりして、ちょっと命の危険を感じたよ。
イケメンが危なすぎる場合は助けてくれたり、ちょっと擦り傷が出来たりすればパルフェット様が降臨されて治してくれた。
たまに双子お兄ちゃんズが走る力加減を間違えて踏み込む瞬間に地面を凹ませたり、ヒビ入れたりしてたけど、その場合は大体ベルトラン君が綺麗に地面を直す。
ベルトラン君の魔力量で足りない場合はドゥース様がというチームワークの良さ。
プティ君は。
「リンにいちゃ、タッチ!」
「あちゃあ、捕まったなあ」
俺が魔力操作あまりできないので、足が速くなるといっても魔力強化ほぼ無し状態で普通に走っている感覚に近く、プティ君は、その速さに頑張ればギリギリ追いつけるくらい。
子供の足で、プティ君より大人で、ほぼ雀の涙程度の魔力強化で走る俺に追いつけるなら十分早いし凄いと思う。何より体当たりされても痛くないし、怖くないしで俺の癒しだった。
ベルトラン君は俺達とは別メニューで、魔力量を増やす特訓をしつつ、なんとイケメンに剣を習うというのだ。
どうやらベルトラン君の夢は冒険者になることらしい。
「へぇ、冒険者になりたいんだ」
「はい! 母上も結婚する前は上級冒険者だったんですけど、昔からその時の話を聞いていて一度でいいから旅をしてみたくて!」
「パルフェット様って冒険者だったんだ!?」
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