どうやら生まれる世界を間違えた~異世界で人生やり直し?~

黒飴細工

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第一章 始まり

破壊神【2】

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「お前達、このことは誰にも言ってはいけない! 絶対に!」
「「なんで??」」

「お前達はリン君が危ない目に合ってもいいというの? お前たちの好奇心旺盛でお喋りなところが全部ダメとは言わないけど。そのせいで大きな怪我をするだけじゃなくて、リン君がもしかしたら消えていなくなっちゃうかもしれないんだよ!」
「っひ! ……や、やだ」
「……リン、消えちゃうって、死んじゃうの…………?」


 初めは何が悪いか分かっていない双子お兄ちゃんズ達であったが、凄い剣幕で子供に言うには刺激の強い言葉を言うパルフェット様に事が大きな事だと分かったみたいで。
 怯えて泣きそうだ。

 そ、そこまで言わなくても……パルフェット様。
 でも今は口を挟むべきではないと分かるから言わないけど……。


「そうならないように、しっかりとリン君をお前達が守ってあげるんだよ。プティのように」
「「……っ!! 守る!! 俺達、お兄ちゃん!!!」」
「うん。いい子!」


 パルフェット様は最後にそう言うと双子お兄ちゃんズをギュッと抱きしめた。

 双子お兄ちゃんズが事を理解したのは良かったが。
 パルフェット様。
 俺、プティ君と同じ立ち位置って……。
 一応双子お兄ちゃんズよりも年上で俺の方がお兄ちゃんだと思うのですが…………。


「よし、じゃあリン君。この魔力収めようか」


 ………………え。


「あの……収めるって、どうすれば?」
「そこはゼン君先生に任せます。あとよろしくね」


 私は仕事に戻るからー!
 そう言うとパルフェット様はセリューさんを連れて颯爽と屋敷に戻ってしまった。


「…………行ってしまった」
「母上は前からああいうところがあるので、気にしないでください」


 ベルトラン君や双子お兄ちゃんズは慣れたモノなのだな。


「じゃあ、これをどうにか収めようか」
「「俺達が教えようか??」」
「俺も兄弟の中では魔力操作得意な方なので協力します」


 その後、俺は眠っちゃっているプティ君をベルトラン君に変わって抱っこしてもらい、魔力操作をイケメンを主軸に双子お兄ちゃんズ、ベルトラン君にも協力してもらって教えてもらうのだ。

 …………………………が。







「リン」
「お前」
「「やっぱりどんくさいな」」
「ぅぐっ……」
「これは……、ちょっと」
「さすがのベルトラン君でもフォローが難しいな」


 俺は魔力操作で魔力を収めるよう努めたのだが、全くもって収まらず魔力がダダ洩れだった。

 イケメンが魔力解放の時のように自分の魔力で魔力の操作の補助をしてくれたり、双子お兄ちゃんズが見本を見せてくれたり。ベルトラン君もコツやイメージを教えてくれたりしてくれたので、感覚やイメージはできていると思うのだが。
 どんなに魔力を収めようと皆のアドバイスの通り試みても、俺の魔力が収まる様子はなかったのだ。

 俺の魔力の匂いは少し収まった気がすると、ベルトラン君が苦し紛れに言ってはくれたけど正直そんなに変わってないと思う。

 しかもだ。
 俺の魔力がダダ洩れのせいか、俺がちょっと歩くたびに新しい草花がどんどん動く先々で生えてしまい、牧草地だったはずなのにちょっとしたお花畑ができてしまった。
 あと、草花が生えるだけでなく、やっぱり遠目で見た牧草地が生き生きとしていたのは見間違いじゃなかったらしく本当にエネルギッシュに漲っていた。

 俺、今まで大体の事はすぐにできる方だったんだけどな……。
 

「これだけの魔力を出したままというのも、魔力が枯渇してしまって危険な状態になるはずなのですが…………」
「リンタロウは魔力の量も人族の平均よりも多いようだな。枯渇する気配がない」
「どーすんだよ!? これ!?」


 ダダ洩れとかなんかちょっと響きも嫌だし、歩けば草花生えてくるとか俺何処にも行けないじゃん!


「リーン! あっちにも花生やそう!」
「もっと生やそう!」


 双子お兄ちゃんズはもう俺に魔力操作を教えることに飽きたらしい。
 そっちのけで花畑を広げるのを勧めてくる。


「困りましたねえ。これを止めない事には…………」
「これは、俺も予想外だったからなあ…………」
「俺が一番思ってるよ!!!!」


 このどうしようもない状況に俺は誰よりも頭を抱えた。
 その時――――――――








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