青いsquall

黒野 ヒカリ

文字の大きさ
上 下
16 / 26

颯太と高島さん

しおりを挟む



 休みの日を忙しくしていた方が翌日の出勤を充実させる。
 このことを理解してくれる人、いるかな?

 昨日は秋冬物の新しいショップ開拓をしてきた。

 元カノカップルを車に乗せて臨時専属ドライバーになって。郊外のショッピングモールのターゲットは家族連れと思った。

 でも攻めている店舗がちゃんとあって、穴場になっている。
 僕は運転手として働いた賃金代に三着も手に入れた。

 良い休日だった。

 別れた彼女とは趣味友としてリニューアルしてもらえたし、ドライブ気分で気に入った服が見つかった…ということを語る。

 だいたいの人は、

 「元カノだけでも信じられないのに彼氏まで?」

 と驚くよりも嫌悪感を醸し出しているのに

 「良かったですね」

 そう言ってくれるのは高島さん、君だけだよ。

 高島さんの一言がきっかけだから、こうなることを望んでいたということは、ないだろうか。

 「別れた原因が曖昧な人は、また曖昧に戻ったりしますよね」

 「え、聞いてたでしょ?もう彼氏いるんだから、あちらは」

 「それは本物の彼氏?そんなすぐ出来るものかな?」

 「確認したわけじゃないけど、僕を同時進行からの振り落としだよ」

 「同時進行…」

 言葉にしただけで脳内の理解キャパが焼き付いたという顔になった。

 「恋人作るどころか、好きになることも困難だからもうついていけないな」

 高島さんは優しい眼差しのまま笑う。

 「高島さんの休日はどうしているの?」

 休日どころか、普段から何を考えているのか知りたかった。
 でも、それはきっとこれから付き合っていけばわかる。

 ふと、ナミちゃんの夜道の街灯に煌めく黒い瞳が浮かんだ。
 大丈夫だよ、僕がたくさん情報を仕入れてあげるからね。

 高島さんはある日の休日を語ってくれた……
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

「南風の頃に」~ノダケンとその仲間達~

kitamitio
青春
合格するはずのなかった札幌の超難関高に入学してしまった野球少年の野田賢治は、野球部員たちの執拗な勧誘を逃れ陸上部に入部する。北海道の海沿いの田舎町で育った彼は仲間たちの優秀さに引け目を感じる生活を送っていたが、長年続けて来た野球との違いに戸惑いながらも陸上競技にのめりこんでいく。「自主自律」を校訓とする私服の学校に敢えて詰襟の学生服を着ていくことで自分自身の存在を主張しようとしていた野田賢治。それでも新しい仲間が広がっていく中で少しずつ変わっていくものがあった。そして、隠していた野田賢治自身の過去について少しずつ知らされていく……。

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

無敵のイエスマン

春海
青春
主人公の赤崎智也は、イエスマンを貫いて人間関係を完璧に築き上げ、他生徒の誰からも敵視されることなく高校生活を送っていた。敵がいない、敵無し、つまり無敵のイエスマンだ。赤崎は小学生の頃に、いじめられていた初恋の女の子をかばったことで、代わりに自分がいじめられ、二度とあんな目に遭いたくないと思い、無敵のイエスマンという人格を作り上げた。しかし、赤崎は自分がかばった女の子と再会し、彼女は赤崎の人格を変えようとする。そして、赤崎と彼女の勝負が始まる。赤崎が無敵のイエスマンを続けられるか、彼女が無敵のイエスマンである赤崎を変えられるか。これは、無敵のイエスマンの悲哀と恋と救いの物語。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

ほつれ家族

陸沢宝史
青春
高校二年生の椎橋松貴はアルバイトをしていたその理由は姉の借金返済を手伝うためだった。ある日、松貴は同じ高校に通っている先輩の永松栗之と知り合い仲を深めていく。だが二人は家族関係で問題を抱えており、やがて問題は複雑化していく中自分の家族と向き合っていく。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

隣の優等生は、デブ活に命を捧げたいっ

椎名 富比路
青春
女子高生の尾村いすゞは、実家が大衆食堂をやっている。 クラスの隣の席の優等生細江《ほそえ》 桃亜《ももあ》が、「デブ活がしたい」と言ってきた。 桃亜は学生の身でありながら、アプリ制作会社で就職前提のバイトをしている。 だが、連日の学業と激務によって、常に腹を減らしていた。 料理の腕を磨くため、いすゞは桃亜に協力をする。

play ball

輝夜
青春
窪塚莉奈。 好きなことなし。得意なことなし。 こんな小学生。 「ほんと毎日つまらないなあ」 そんな彼女が生まれて初めて虜になったのは、”ソフトボール”だったー 「莉奈、君は大物になれる。 僕の球に反射的に反応し捕ろうとしたなんて、これは才能かもしれない…」 「莉奈、一緒にソフトボールをやらないか?」 ソフトボールを通して彼女は大切なことを学び成長していくー 莉奈を初め、小学生にして天才とされるエースの神崎亜衣や愉快な仲間たちが繰り広げる爽やかな青春ストーリー! ※この話はフィクションです。 実在の人物ではありません。 ※誤字・脱字が多々あるかと思いますがご了承下さい。 ※ソフトボールを知らない方でも読みやすいようになっています。

処理中です...