青いsquall

黒野 ヒカリ

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高島さんと颯太

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   「そうだったね、タマゴサンドといえばナミちゃんだ」

 高島さんが高らかに笑ったよ、そんなに可笑しいのか?

 「朝はいつも来ている感じじゃないの?僕は覚えているよ」

 「俺も、もちろんわかっている。繋げたらすぐわかった」
 
 「繋げたら?」
 
 「朝、ナミちゃん、タマゴサンドのスリーカードで。タマゴサンドの子、だけではわからないものだよ」

 「んん?高島さんアンドロイドかよ」

 今度は僕が笑った。

 「じゃ、高島さんにはナミちゃんってその程度?いつもすごく脈アリ目線なのに」
 
 高島さんはコーヒーを口いっぱいに流しゴクリと一気に飲み込んだ。
 喉仏が長い喉をゆっくりさすり、意思を持つように動きを止める。

 「どうやらナミちゃんは俺を気に入っているらしい」

 ゆっくり、切なさを湛えた瞳をこちらに向けた。

 よせよ、やめてください、謝ります!!

 僕はゲラじゃない、けど、なにこれ鈍感というよりは、石?高島さんの脳内が少し見えてきた。
 
 「颯太くんは人を好きになるのはどんな時?」

 高島さんからの突然の質問は曖昧で難しい。

 「好きにも色々あるからね~」

 「俺はね、職場恋愛とか一目惚れとか合コンとかよく聞く現象で生まれる恋愛がわからないんだよ」

    「ナンパは?」

   「生物的に無理だ。子供欲しくないのに作る行為だけしたいなんて人間だけだろ」

   「そう?生き物達も子供が欲しいと考えて性行為するわけじゃないよね? 本能行動だけ、子供はその結果、全て成り行きだとしたらナンパは1番生物的だよね。むしろ子供が欲しいからやります、の方が不自然で辛そうだ」

   「颯太くん!!」

    おぉ、突然だけど高島さんに肩を掴まれ一瞬手刀で払いそうになる
 
   「颯太くんは凄いな、その通りだよ」

   「え、反論してくれないの?」

   「しないよ、納得しているのに」
 
 「そう」

   「でも」

   「なに?」
 
   「道案内したくらいで人は人を好きになれるものかな?ナミちゃんは上京したてで心細くてたまたま親切にしてくれた人に懐いているだけだろう、と俺は考えている」 

   「ナミちゃんに道案内したのがきっかけなのか?コンビニで運命の一目惚れかと思っていたよ」
 
   「どっちもあり得ない、考えられない現象だ」

   高島さんは恋愛に関しては〝石〟認定でいいかな。
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