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学園祭二日目が始まった件②

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 体育館は沢山の生徒達で溢れていた。

 ここに来るとあゆたんを思い出してニヤニヤしてしまう。

 僕と北澤さんは空いている場所を探して座った。

 『それでは三年生三組の演劇、ロミオとジュリエトの開演です』

 司会の声に合わせて幕が上がる。

 「なんか緊張するね」

 「そうだね」

 軽く北澤さんと言葉を交わすと滝川さんが舞台に姿を見せ、僕は唾を飲んだ。

 僕の用意した衣装に身を包む滝川さんはとても綺麗だった。

 「ロミオ、貴方はどうしてロミオなの?」

 演技をする滝川さんの綺麗な声が体育館に広がっていく。

 「凄い……」

 「本当ね……」

 滝川さんの演技はとても感情が入っていて見入ってしまった。
 
◇◇◇

 舞台に出るとすぐに賢の姿が目に入った。
 でも隣には美織がいる。

 私はそれを見て自分の気持ちを抑えた。

 (演技に集中しなくちゃ!)

 「ロミオ、貴方はどうしてロミオなの」

 賢と一緒にいられない悲しさと賢への気持ちをぶつけるように私は感情を台詞に込めた。

 その感情が大きくなって行き、私の中で溢れ出していく。

 「ロミオ、貴方は行ってしまうのね(賢……)」

 「どうしてロミオは死んでしまったの?(賢……)」

 「ロミオ、ロミオ……(大好き)」

 私は賢が作った小瓶を口にすると舞台に倒れた。

◇◇◇

 私は杏の演技に見入ってしまった。

 すごく感情がこもっていて目が話せなかった。

 でも杏の感情が賢に向いている気がして胸がチクリと痛くなる。

 隣を見ると賢も私と同じで杏の演技に集中していた。

 賢も杏の想いに気がついているのか気になってしまう。

 杏が毒を飲み、演劇はいよいよクライマックス。

 私は賢の横顔を見つめた。
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