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変わった紗枝の件
しおりを挟む賢くんから離れて一ヶ月が経った。
一人過ごす日々はとても寂しくて、賢くんに逢いたい気持ちは強くなるばかり。
でも私は一ヶ月ただ過ごしたわけじゃない。
杏ちゃんや美織ちゃんにすこしでも近づけるように、化粧、美容、ファッション、料理と調べたり聞いたりして今よりも素敵な自分になるために努力をした。
私は一ヶ月の成果を確かめるように鏡に映る自分を見つめる。
「少しは変われたかな?」
ほんのりと薄いピンク色にリップを変えただけで周りの反応が変わったのには驚いたけど、それは私に自信を持たせてくれた。
見た目の変わった私に近寄ってくる男子も増えたけど、私は賢くん一筋縄なので全て断っている。
変わった自分に少し自信を持った私は賢くんに会うことを決意する。
鏡に映る自分の姿を見ながら「大丈夫、大丈夫」と言い聞かせ立ち上がる。
そして、「よーし!」と気合いを入れて声を出すと、部屋を出た。
「賢くん待っててね」
私は呟くと、賢くんの為に作ったお弁当が入ったバックの柄を強く握ると、学校へ向かって歩きだした。
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