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修羅場がやってきた件
しおりを挟む僕は困惑している。滝川さんと紗枝がにらみ合いをしているんだけど……
(なんで紗枝がいるんだ?)
修羅場になりそうな予感しかないけど状況がよくわからない。
この状況に僕はどうしたらいいのだろう。
滝川さんが紗枝に話しかけると突然の修羅場が始まる。
「宮田さん、だっけ?」
「そう」
「宮田さんは、何してるの?」
「賢くんを守ってる」
「!?」
ちょっと紗枝!僕を守ってるってどうゆう事!!
「け、け、賢君て呼んで、親しそうだけど宮田さんは、賢とはどうゆう関係なの?」
ぎこちない口調で滝川さんは紗枝にそう質問した。
◇◇◇
私は滝川さんが賢くんの事を『賢』と呼び捨てにしたのを聞いて驚いた。
今まで私と私の母、賢君の家族以外の女の人に、賢と呼ばれるのを聞いた事がなかった。
「た、た、滝川さんこそ賢くんの事、賢ってよ、呼び捨てにしてるけど、どうゆう関係なの?」
驚きすぎてどもってしまったけど私は逆に滝川さんに聞き返した。
「えーっと…彼氏だけど?」
お昼休みに滝川さんと北澤さんの三人でいる賢くんを見て嫌な予感がしていた私はその『嫌な予感』が当たってしまった事に固まってしまった。
◇◇◇
私は突然動かなくなった宮田さんに質問する。
「宮田さんは賢とはどうゆう関係?」
固まったまま何も言わない宮田さんに少しイラッとする。
「宮田さん!聞いてるの?」
少し強目の口調で言われた宮田さんはハッとして慌てて答えた。
「わ、わ、私もけ、賢くんの彼女だけど?」
宮田さんの答えには驚きと怒りが込み上げる。
「はぁぁぁぁぁぁ!!」と奇声を上げ賢を睨みつける。
◇◇◇
紗枝のまさかの発言と、殺し屋の様な殺気を纏い睨みつける滝川さんにあたふたとする僕に更なる恐怖を与える滝川さん
「どうゆう事かな、け.ん.??」
ひきつった顔にドスの効いた声の滝川さんの圧力に僕の心臓は鷲掴みにされた気がする。
ガクガクとする膝と体は動かない。
これが蛇に睨まれたカエルの気持ちだろう。
何かを言おうとするも、
「あっ、と…えっと、それは、…えっと…」
キャパオーバーの僕は全く言葉が出てこない。
何もできず言えずの僕にはどうする事もできないこの修羅場に手を差しのべる人物が現れた。
◇◇◇
この状況を興奮しながら見ていたけどさすがにこれはまずい!
北澤美織、動きます!
「ストップ、スト~ップ!皆ちょっと落ち着こうよ、ね、ね?」
(ちょっと動くのが遅かった…)
反省しつつ三人の間に割って入る。
「ちょっと、美織ジャマしないでよ!」
「んっ、ジャマ」
「た、助かった…」
三者三様の思いを口にする三人に私は提案した。
「本当に落ち着こうよ!ほら、ここじゃ人の目もあるし…とりあえず近くの公園に行こうよ!」
私の提案に杏と宮田さんは周りを見て、互いに『なるほど』と頷く。
「わかったよ、美織」
「公園に行きましょう」
「良かった~、よし!なら急げ~Goだよ!」
笑顔で親指を上げている私は『とりあえず何とかなった』と冷や汗を垂らしていたのには誰も気がついていないと思う。
公園に行く事になった杏と宮田さんは染谷君を間に挟み、左右に別れ拒否権のない染谷君の手を握ると引きずるようにして公園に向かった行った。
私関係ないし、怖いから帰ってもいいかな?
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