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勘違いが終了した件
しおりを挟むやっとまともな会話が出来たこの機会に私は本題となる偽装彼氏の事をコイツにちゃんと話してお願いしようと思う。
「あらためてお願いするけど、偽装彼氏として私と付き合ってくれない?」
◇◇◇
少し頬を赤らめた笑顔の滝川さんの姿は日射しに照らされてキラキラと輝いていた。
聖女と言われてもなんの違和感もない滝川さんの笑顔に、不覚にもドキッとしてしまった僕は偽装の彼氏なんてめんどくさそうな事は断ろうと思っていた気持ちが揺れ動いてしまう。
(滝川さんが天使に見える、そんな顔されたら断りづらい…)
そんな心の声をあげる僕の目に映る今の滝川さんは天使に見えて断る事に抵抗がある。
天使のお願いとはいえ、了承した事で面倒事に巻き込まれては日常生活に支障が出てくるかもしれない。
(そんな事になったらほんとにめんどくさいんだけど……)
◇◇◇
何を考えているかわからないコイツは私のお願いを聞いてずっと黙ったまま考えている。
(説明したのにまた断るの?コイツを選んだのは失敗だったかも……)
長い沈黙は私に不安とこんな事を考えさせる。
もし偽装の彼氏の事をオッケーされても私はコイツとうまくやっていけるのか不安になり、私から断ろうと思ったその時、
「いいよ!やろう!」
コイツは人類を見守る仏の様な優しさに溢れた笑顔でそう言った。
そして私に向かって手を差し出す。
コイツの表情には若干の気持ち悪さを感じたけど、話を進めてしまい私の計画を知ってしまっている今となっては『不安だからムリ』と断る事はできないと思う。
もし断って怒ったコイツが私の計画を誰かに話してしまったら目も当てられない。
(はぁ…しょうがないか…)
私はそんな気持ちのまま差し出されたコイツの手を握り『ありがとう、よろしく』と言おうとしたところでガン!と音をたて、隣にある入り口の扉が勢いよく開いた。
音に反応した私と染谷君《コイツ》が同時に入り口の方を振り向くと、扉を開けた男子と目があった。
見つめ合った私達の間に沈黙と少しの時間が流れた後に、扉はゆっくりと閉まった。
「い、今のはなに?」
「さぁ?」
お互いに頭の中で?が浮かんでいた。
★★★
授業をサボり、屋上に眠りにきた男子は学園のアイドル滝川杏子の見てはいけない現場に遭遇した事を誰かに話したくて急いで階段をかけ降りた。
「ヤベー滝川さんが男と二人でいたぁぁ!」
興奮気味に教室の前まできた男は授業の始まった教室に入れずに行き場を失い、少しさまよってトイレに籠った所で叫んだ。
「Oh、ノォーーーー!」
叫ぶ男子の声が、授業中で誰もいない廊下で響きわったっていたとかいなかったとか。
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