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No.49

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 パメラside


 「それではSクラスの親睦会を兼ねた入学を祝い乾杯!」

 「「「「「かんぱーい!」」」」

 クラスメイトの声かけでバーゲン様主催のパーティーが始まった。

 私は乾杯が終るとすぐに隅に移動して帰るタイミングを見計らっていた。

 「僕はバーゲン様に付いていきますよ~」

 「私もバーゲン様に付いていきますから~」

 男子はゴマをすり、女子は甘い声を出してバーゲン様に近づく。
 私はそれを見てタメ息を吐いた。

 何が楽しくてこんな茶番を見ないといけないのだろう。

 バーゲン様はそれでも楽しそうに女子の肩に腕を回している。

 「俺に付いてこれば間違いない!お前ら付いてこいよ!」

 「「「「「はい!」」」」」

 クラスメイト達は声を揃え返事をした。

 呆れて何の言葉も出ない。
 私は抜きにして勝手にやっててほしいと思う。

 グラスを手に持ち、中に入った葡萄ジュースを口にした所で肩を叩かれジュースを服に溢してしまった。

 「パメラ、楽しんでるか!」

 「何をするんですか!服に溢してしまいましたよ」

 「悪い悪い、ほらこれ」

 そう言ってバーゲン様はポケットからハンカチを私に向けて差し出した。
 そして私がハンカチを取ろうとした時、バーゲン様がハンカチを離し床にヒラヒラと落ちてしまった。

 「本当にバーゲン様は性格が悪いですわ!」

 私は一度バーゲン様を睨み床に落ちたハンカチを拾った。

 私がバーゲン様から目を離したのはこの時だけだった。
 バーゲン様はこの一瞬の隙に私のグラスに媚薬を入れた。

 顔を上げた私がバーゲン様を見るとイヤらしい視線を向ける。
 私の体を上から下まで舐め回すようなバーゲン様の視線に鳥肌立つ。

 「そのハンカチはやる、それではパメラ楽しんでくれ!」

 声を上げて笑う声も顔も全てがバーゲン様は本当に気持ち悪い。
 こんな所さっさと帰ってしまいたい。

 私はバーゲン様が媚薬を入れたのに気付かずグラスに入った葡萄ジュースを飲み干し、空になったグラスをテーブルの上に置いた。

 「すいません、お隣よろしいですか?」

 声に振り返ると魔法試験で一緒だったラメラさんだった。

 「あら、貴女はラメラさんどうぞ」

 「ありがとうございます」と頭を下げるとラメラさん私の対面の椅子に座った。

 「パメラ様に名前を覚えて頂いて光栄です」

 「ラメラさん、様付けは結構よ、ミラベル学園では身分は関係ありませんから」

 本来のミラベル学園の姿はそうだなのだ。
 Sクラスの皆がバーゲン様と呼ぶ事の方がおかしいのである。

 「分かりました。ではパメラさんと同じクラスになれて嬉しいです」

 「私もラメラさんと同じクラスになれて嬉しいわ。少しこのクラスに不安を感じていたのよ」

 私がバーゲン様に視線を向けタメ息を吐くとラメラさんは苦笑いを浮かべた。

 「同じ気持ちのパメラさんが居てくれて心強いです。これから仲良くして下さいね」

 「勿論よ!こちらこそよろしくね」

 私とラメラさんは笑顔で言葉を交わすと暫く話をした。
 ラメラさんはとても感じが良く、すぐに打ち解けた。
 ラグーがいないSクラスに不安は合ったけどラメラさんがいれば心強いと思った。

 ポツポツとクラスメイトが帰って行く中、ラメラさんは辺りを見回した。

 「それでは私もそろそろ帰ります」 

 「私も帰るから一緒に帰ろ」

 と言って立ち上がろうとすると目眩がして立てなかった。

 「パメラさん、どうしました?大丈夫ですか?」

 心配そうに声を掛けるラメラさん

 「大丈夫よ、少し休んだら私も帰るから先に帰っていいわ」

 「分かりました。余り無理はなさらずに」

 ラメラさんは頭を下げると帰って行った。
 私は一人座っていると「今日はお開きだ!」のバーゲン様の声が聞こえた。    

 「えーもうですか?」

 「もう少しいたい」

 残るクラスメイト達が残念そうな声を上げていたが渋々といった様子で帰って行った。

 「どうした?パメラは帰らないのか?」

 誰もいなくなったバーゲン様の部屋に一人残された私の髪をイヤらしい手付きで撫でるバーゲン様に全身の毛穴が逆立った。

 「やめて……」

 バーゲン様の手を振り払おうと手を動かそうとしても動かない。
 上手く呂律も回らず強く言葉を発せられなかった。

 「そうか、パメラは俺といたいのだな?」

 口角を吊り上げたバーゲン様は私を抱き上げるとそのまま移動した。

 「や、めて……おろ…して…」

 抵抗したくても体は動かない。
 
 別の部屋に入り私をベッドに下ろすとバーゲン様は服を脱ぎ始めた。

 そして服を脱いだバーゲン様は私の上に体を被せた。

 「パメラ、俺は言ったな?お前は俺の女だと」

 バーゲン様はそう言うと私にキスをした。
 気持ち悪いと思う心とは裏腹に私の体がビクンと反応する。

 「や、めて…」

 私は力を振り絞り顔をバーゲン様から反らした。

 「パメラ、最高だな。俺は無理矢理犯すのが好きなんだよ。最も媚薬を飲めば無理矢理も何も誰であろうと従順な娼婦になるがな」

 「び…やく」

 私はずっとバーゲン様を警戒して目を離していない。媚薬を飲ませる事など不可能である。

 「媚薬だ、パメラ飲んだろ?葡萄ジュース」

 ニタニタとするバーゲン様の言葉に全てを悟った。

 「ハ、ン…カチ……」

 「そうだ、あの時にパメラのグラスに入れた」

 「あ…なたは…」

 私の顔を見て笑いを堪えるバーゲン様は「それでは楽しもう」と言って私の服を脱がせて行く。

 「いや、い…や、やめ…」

 動けない私はそう声を出すだけで精一杯だった。

 服を脱がされた私の乳房にバーゲン様の手が触れると体が熱くなる。
 
 「パメラお前は顔も体も最高だ!そして感度もな」

 私はまだラグーにも裸を見せた事は無い。それなのにバーゲン様に全てを見られてしまった。悔しくて涙が溢れてくる。

 全身を舐め回され拒絶したくても反応してしまう私の体……

 「パメラ、行くぞ」

 「い、や…やめ…て」

 私の初めてはバーゲン様に奪われた。
 悔しくて悔しくて止めどなく溢れる涙が記憶にあるラグーの顔を歪ませる。
 
 バーゲン様が激しく動く中、私はラグーとの楽しかった日々を思い出して行く……
 
 ラグーの笑顔、優しい姿、そして声、ラグーの全てが大好きだった。
 汚ない体になった私をラグーはきっと見てくれない。
 
 (ラグーごめんね)
 
 心の中で謝るとスキル『記憶操作』を発動させた。
 
 「ラ、グー……あい…して…る…よ」

 呟くと私の今までの記憶は消え去り闇の中へと落ちて行った。
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